りんの後ろ姿を見送った女王が最後の疑問を口にする
「ところで翔と言う者はいったい…」
「ピンポーンパーンポーン、お呼びになった翔は現在壊れとりますが治る見込み全くあらしまへんから諦めて放っといてもらえまへんか?」
そう翔に言われて呆気にとられる女王と吹き出して笑いを堪える王太子だけど翔の台詞が終わると本格的に声を出して笑いだし
「面白い子だ、母上にあんな軽口を叩くのは今は亡きお婆様位のもの…
それに変わった訛りだね?この世界には無い方言だ」
そう言われて
「エヘヘ、ホンマか?ボクのボケおもろかった?歌の国じゃ怒られてばっかやったから喋るのもめんどーなってもーてん…
そっかぁ…おもろいかぁ…そない言われたん久しぶりやわぁ…」
未だ顔は隠しているが瑞穂がこれ程の軽口を叩く…と、言ってもあの時は小鳥の姿をしていて念話だったが牧羊場以来かもしれない
「ではもう少し話をしてみないかね?お茶と茶菓も用意されてるとこだしね」
王太子にそう誘われたけど
「ボク熱いの苦手やねん、ぎょーぎも悪いし落ち着き無いてヤッパし怒られてばっかやからややねん…
せやからボク人前に出た無いんよ…別にボクなんか居らんくても誰も困らんのやし…
え?あ…み、瑞穂っ!な、何さらしてくれとんねんっ!?」
そう叫んだ翔はブランケットから出されその姿を女王と王太子の前に表しており
「確かに歌の国の六花の一花と呼ばれるのに恥じません」
その女王の言葉に
「えーからっ!ボクそーゆー冗談好かんから止めてんか…」
春蘭に同行してお菓子を持ってきた雪華の口が
「ユウ様に報告しますよ?」
そう言われてるのがわかり
「ひっ…」
と、小さく悲鳴を上げると
「はい、はい…大人しいえー子にしとります」
そー言ってモソモソとブランケットの上で動き出すとちょこんと正座したので一同は謁見の間に隣接するテラス移動して春蘭にお茶の支度を始めて貰った
小さな器みっつと上等な器がふたつ用意されお茶が注がれていく
上等な器を女王と王太子の前に出すと
「王女や媛…翔のは未だなのですか?」
(多分用意されて居る小さな器が三人のだろうが何故渡さないだろう?)
そう疑問に思っていると
「命様、媛様、翔はその順に猫舌が酷くなっていきますから…
ですからこうして冷ましているのです」
(成る程…確かに先程翔自身熱いの苦手と言ってましたね)
そう思いながら
(この香りは…)
それまで気にしていなかったお茶の香りに気付き
「これは普通のお茶では有りませんね?
薬香茶と呼ぶのですか?」
そう姉妹らしき面差しの良く似た二人の侍女の姉の方にそう聞くと
「さぁ、このお茶は薬草や香草に詳しい私達の母が庭で栽培した物を調合した自家製のお茶ですから特に呼び名は有りませんが?」
そう答える春蘭の顔を見て
「貴女の顔を見て居ると誰かに似ている気がしますが…」
そう言って考え込む女王に
「薬師の里の現在の長ではありませんか?似顔絵に良く似ている」
そう言われて命が頷くのを見て
「はい、長様は私達の母の双子の姉ですから似ていると言われても不思議ではないと思います」
そう答えて他の者へのお茶を淹れ始めた