闇に抗う影   作:春の雪舞い散る

38 / 63
ユウママ怖い

 そう訊かれたユカが溜め息を吐くと

 

 「どうすると聞かれても私達も持って帰る術を持ちませんがそもそも持って帰ってどうするのか自体知りません

 

 皮が高価な素材になるのは存じてますが加工出来る知識も設備も持ちませんし何より私達には漁業権が有りませんから

貴方達の方で引き取っていただけるならお任せしますけど?」

 

 問い掛けにそう答えると

 

 「わかりました、元々一部の食通に人気の食材だったのですがここ十数年の間に凶暴化し捕獲が困難になり品薄状態

 

 それをこれだけの大型をまとめて市場に出せばその総額がいくらになるのか見当も着きませんよ」

 

 そう言われて

 

 「それでしたら売り上げの20%を手数料と運搬の必要経費を差し引いた物を命様と媛歌様に払っていただくと言うことでどうでしょうか?」

 

 そうユカが提案すると海上保安庁の兵も

 

 「落札結果を保安庁に報告してくれれば数の分だけ褒賞金が出るよう手続きをしておくが?」

 

 「少なくとも俺達はこんな物を局まで持って帰りたいなど微塵にも考えとらんからな…お前さん達漁港の方で処分してくれれば助かるんだが?」

 

 そう言って盛大に溜め息を吐く二人に

 

 「わかりました、手の空いてる職員や漁師を動員しましょう」

 

 そう言って一旦漁港に戻って行くと兵も

 

 「それでは私達も引き上げますがお気を付け下さい」

 

 そう声を掛ける海上保安局員達だった

 

 

 結局10間前後の物が12体有り運の良い10隻の漁師達が一体ずつ引き受け漁港の職員達が二体出荷して言わば臨時のボーナスを手に入れる事になる

 

 勿論市場は異様な程の興奮に包まれていて値段どんどん跳ね上がっていき一体、又一体と落札されていき市場を盛り上げた       

 

 一方、ショックから立ち直れない澪とりんには無理をさせずに浅瀬でのんびりと地元の子達と触れ合っていた

かつて留美菜と仲間達が命と出会いそうしたように

 

 澪とりんからしたら自分達は命様の従者に過ぎないけど二人の周りに集まる子達には命と澪とりんの違いはない

 

 皆等しく「人魚媛」なのだから

 

 媛は二人を元気付ける為にユカに頼んで甘いシロップを取り寄せて貰いユウの膝でゴロゴロしてる水嫌いの翔を見て

 

 折角の水着が勿体無いとばかりに翔の手を引っ張りりん達の元に連れていくと騒ぎ出した翔に

 

 ーユウが睨んでるー

 

 そう言って大人しくさせりんに渡したけど受け取ったりんからしたら

 

 (真っ青な顔をしてガタガタ震える翔を海にいれるのは可哀想なんだけど…)

 

 そう感じていたけどそんな事情を…翔の水嫌いを知らない子達は翔と…それとも翔で遊びたがる?

 

 いくら小さな翔でも足の届く深さであるにも関わらず既にパニック起こしてしまっている翔には最早それすらも判断できない状態

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。