「姐さん、その隣の山鳥の串焼も絶品で…お嬢ちゃん、私もお使いを頼みたいけど良いかな?」
そう聞かれたほなみが
「はい、どうぞ」
そう答えたので
「山鳥の串焼きを二皿と焼酎を頼むね」
そう言って小銭を渡し買ってきて貰い焼酎を注いでもらうのを見た他の男達が鬼百合の周りに集まりだし
そのお陰で必然的に酒や肴はどんどん売れていきその一角は早くも賑わい始めていた
ミサのアクセサリーも人を集めていたけど強力な助っ人がきた
特に行く当ての無い翔が商品の前でちょこんと鎮座すると
「不思議な少女が居る店が在る」
と、言う噂があっという間に広まりそれを聞いた少女達が集まってきたのだ、翔を目当てに
嫌々ながらも命の要請でもあるから少女達に抱かれたり話し相手をしてミサの手伝いをしたし
ミサのアクセサリーを身に付けて言わばモデルもこなした翔は少女達に明るい笑顔を取り戻させ祭りを盛り上げるのに一役買った
そして何よりも命の豊作祈願と地の精霊への奉納の踊りに花の舞いを踊り豊作を願うと農業従事者が大喜びしたのは言うまでもないだろう
だが、命の踊りに呼応した香雲の精霊が咲、小波の精がなみの前に現れ
ーなみ、私はこの時の訪れを一日千秋の想いで待ってましたよ
いずれ貴女も人魚媛の一人となり水の精霊の巫女の側近く、時にはその代理人としてお仕えしなさいー
そう告げられ
「私も人魚媛の一人に…どうか私をお導き下さい、小波の精様」
そう言って左手を掲げるなみと契約を交わす小波の精
ー満開の桜の樹の如く艶やかに咲き誇りなさい、貴女の名が示すように…ー
そう言われて
「はい、私をお導き下さい香雲の精霊様…」
そう言って左手を掲げる咲と契約を交わす香雲の精霊
そしてこの奇跡に立ち会えた人達は口々に
「こんな奇跡に立ち会えるなんて…」
「今年の秋が楽しみだ」
そう言って感動的なラストを迎えた中、祭りは大盛況の内に幕を閉じた
その夜は町長の手配で宿を確保した命達は皆を労い宴を開きその席でユウも
「命様、皆さんに笑顔を取り戻してもらえて良かったですね?ミサ、この成果は観月様にも報告しますが喜んで頂ける事でしょうし…
新たに精霊の巫女なった咲となみはこれからは精霊の巫女としても命様にお仕えできるように修行を頑張りなさい、他の皆もご苦労様でした」
そう言って一同の努力を労い
宿の食事を摂り翌朝は宿が用意してくれた弁当を受け取ると命達白夜の国を目指して旅を再開した、街の人達の見送りを受けて
その日一日掛けて走らせ小さな村で宿を取りその翌日の昼過ぎから山岳地帯に入り
「明日の夕方には伯爵領が見える辺りまで走れるでしょう」
馭者の貫次がユウにこの先の行程についてそう説明した