食物の話であってもうけ話ではありません
「社交的で温厚な侯爵様と異なり他国の者の私には全く未知の存在の方ですね…」
そう呟くと
「私達もお顔すら存じ上げません…」
と音吉も答えると一同に沈黙が落ちたが
「なら、ここで考えて所で始まらんだろう?そんな事よりなぁ喜平よ、伯爵領の旨い物の事を教えてくれねえか?」
そう言われて祭り以来気の合う二人は何だかんだと酒や食い物談義を交わしている喜平が
「侯爵領は山羊や鹿の飼育が盛んですからそれら肉料理や乳製品が名物料理でしょうな
勿論牛や豚も飼われてますが豚は姐さんもご承知の通り侯爵領の角豚に勝る物は無いし牛もやはり侯爵領の内なる海の湖沼地帯で飼われている水牛が上でしょうから…
勿論ユウ様が関心を持たれるのは山羊や
牛の皮や皮製品でしょうな?」
「肉かぁーっ…」
と、言って喜ぶ鬼百合と
「そうですね、取り敢えず考えてもわからない事を無駄に考えるよりそちらを楽しみに伯爵領入りを楽しみにしましょう」
そう言って取り敢えず目の前の夕飯の料理を楽しむことにした
そして予定より遅れた一行が伯爵領に入ったのは更に三日後の昼近い頃でそれでも
「今日はこの先の村で宿を取る事をお勧めします
何故ならそこを早朝出ても次の街まで一日掛かりの距離があるからです」
そう言われたので
「では宿を取ったら皆をゆっくりさせる事にしましょう」
それが朝食の時にユウ達で話し合われたことだった
早めの昼食を取り午後のお茶の時間には未だ早い…そんな微妙な時間帯に村に入った一行
ユウとしてはゆっくりさせるつもりが水樹、みか、ほなみは命に踊りの指導を望みたけと見習い騎士達も鬼百合や黒蓮に稽古を着けて貰う事を望んだ
勿論命は謡華の稽古を望んだから苦笑いを浮かべそれを了承したユウ
そして…やっとこれまで修行の成果でアクエリアスの結界の外で空中浮遊をして見せた翔
未々不安定ですぐにバランスを崩しその場でくるくる回ってしまうけど本人は気にすることはない
しかも立っているより楽なようですぐに気に入ったらしくそれ以降翔の足は滅多に地面に着く事はなくなった
踊りの稽古は命の歌の稽古の間スーが見る事になり宿の食堂で歌の稽古を始める命
その歌を聞きながら鬼百合が酒を飲んでいるとそれに倣い他の客達も酒やつまみを頼みだし厨房が慌ただしくなり…
命の歌の稽古が終わり今度は命が踊りの指導をする番になり厨房が益々慌ただしくなり時ならぬお祭り騒ぎになった
夕方近くになり畑仕事を終えた女房衆が状況に驚きながらも厨房を手伝い山羊飼いの少年達が山から戻ると搾りたての山羊の乳を命達に飲ませてくれた