今宵の命の歓迎パーティーで命の入場をエスコートするのは海斗でミナは大樹が、春蘭は炎、マイを忍が、ユカは当然阿が、それぞれにエスコートする
その後に続き翔を肩に乗せた瑞穂、媛を抱いた留美菜とその後にりんが率いる精霊の巫女達
スーが率いる見習い侍女とその後に続く准騎士達と見習い騎士達
勿論、最初のパートナーはエスコートした者を指名するのは美月主催のパーティーのゲストの通例
と、言うより社交界では身分の低い者や力関係で弱い者をせめて最初のパートナーは自分の選ぶ相手と踊れないだろうか?
と、言う配慮から考えれた美月のルールではあるがやはり中々思う様にはいって無いのが現実だった
そしてパートナー交替の時が迫り訪れた人々の関心は睦月と如月が誰を誘うか興味津々だったが睦月については誰が答えようとも
「人魚姫様、水の精霊の巫女様、命王女様」
と、言い方が違うだけで命だったからすぐに話題から外され
なら如月は誰を誘うかと言う事になりやはり命の従者で精霊の巫女でもある春蘭かミナじゃないだろうか?
と、言うのが大方の予想だったが如月が選んだのは王宮の侍女でマイで驚きの余り固まってしまった彼女を前に悄気かえり
「やはり第二公子には振り向いてはくれないのかな?」
そう呟くのには構わずに
「マイ~っ、どーでも良いけど早く帰ってきてぇ~っ…貴女の王子様が泣いてるよぉ~っ!」
そう言ってマイの目の前で手を打ち合わせると我に返ったマイがうっとりした表情で
「やっぱり夢だったんですね…公子様に踊りを誘って頂けたのは…
ならもう少しだけで良いから夢に浸っていたかったな…」
そう言ってはにかむマイを見ながら如月を突っつき促すと
「夢なんかじゃないよ、確かにボクは君にダンスのパートナーを申し込んだし君さえ良ければ人生のパートナーをもと考えてるんだからね?」
そう話す如月の言葉が遠くに聞こえた
あの夜、十六夜がユイにプロポーズした夜鬼百合と言葉を交わしていたマイに憧れの気持ちがないわけではない
ただ…悲観的な思考の持ち主であるマイにとり
「やはり自分なんかに手を差し伸べてくれる王子様なんか居るわけ無いよね?」
そう思って諦めてしまうマイにはとてもじゃないけどついていけない展開だから
「私と公子様では身分が違います…」
そう答えると如月は笑って
「十六夜が良くてボクはいけないのは不公平だよ?十六夜とユイ程の身分差はないんだからさ」
そう言って観月を見ながら
「きみはみこの世話役にも選ばれ任されてたんだろう?
今回のお供だけじゃなくね、つまり伯母上や観月が託しワイマール女史が認めた人なんだからもっと自信を持って」
そう如月が言うと観月が
「マイ、兄が貴女に一目惚れしていたのは知っていました…
頼りない男ですが貴女への想いは本物ですしそう感じなければ既に二、三発は叩いてますから
伯母様からお預かりした貴女達に変な虫を…況してや私の目の前で言い寄らせるようなことはしませんからね
さあ、どちらであろうとも答えてあげなさい貴女の気持ちを」
そう言われて一度目を閉じて深呼吸をしてから
「私のような者で良ければ喜んで…」
そう答えると
「義姉さん、兄貴がつまらないことしたら私にと言いなさい、私がお灸を据えてやりますからね」
観月がそう言うと命も
「そうですよ、如月お兄さん…マイお姉さんを泣かせならたらみこも怒りますからねっ!
それとマイ、みこは乳母に蹴られたくないからマイお姉さんの恋路の邪魔はしませんから安心してね」
と、言うのを聞いて
(確かに私が知る乳母は怖いですけど…)
「みこ、それを言うなら馬ですからね?」
そう笑って言われるのを気にしないで
「そーなんだ、乳母ってどんな生き物だろうって期待してたのにな…」
と、とてもガッカリした表情で言われ皆気付かれない様に笑っていた
ただ…この一幕が与える影響は決して小さくない…少なくともその当事者達にとっては
未々慣れるはず無い社交界に戸惑う七人は今回も最初のパートナーとの踊りを終えると立ち尽くすのは予想済み
だからあらかじめ観月と特に親しい令嬢七人を集め交代の時に互いに側で踊り
「誘う様に働きかける様にっ!」
そう観月が指示を与えていたのだが立ち尽くす姿を見て苦笑いする令嬢達だったから後はそう
それぞれに友人を誘ってあげるよう言わなきゃ又立ち尽くすんでしょうね?
そう思って互いに友人達に紹介した
そうして賑わいを見せる会場内でただ一人興味無さげに椅子に座り足をぷらぷらさせる翔は
不機嫌なオーラを撒き散らし人が近寄るのを拒んでいたけど雪華が笑顔で
「ダメですよ、翔ちゃん…ユウ様に報告しますよ?」
そう耳元でささやかれ真っ青になり後はいつもの状態でダンスの得意でないご婦人達に取り囲まれていた
媛と翔は騎士達とは異なる理由でご婦人達を虜にする存在なのだから
明けて翌日の早朝海斗は観月から預かった観月と大公の書簡を王都の王妃宛に運ぶ事になり簡単な食事を詰め込み王都へと向かった