諸事情でしばらく投稿できませんでしたが何とか続きです。
県立大洗女子学園戦車道復活
パンター対ナースホルン(サバゲ愛好会対自動車部)の的当て合戦から数日後。
高等部、普通化2年A組の教室。
ここは明と詠美のクラスでもある。
チャイムが鳴り午前の授業が終わり、お楽しみのランチタイム突入の時間である。
ぞろぞろと昼の相談をしながら生徒達が廊下へ出ていく。
「うわーい昼だーい」
「今日は何を食べるかのー」
「刺定(刺身定食)かなぁ平目で、泳美は?」
「気分はあかじじゃな、・・・煮付けか塩焼きかで悩んでおる」
「好きだねぇ魚」
「好きじゃよぉ魚、まぁ肉も良いがの」
「それは同感、でも今日の気分は?」
「「魚」」
「イエーイ」ピシッガシッグッグ
「ところで・・・そろそろではないかの?」
「確かに・・・そろそろ、かな」
二人で同じ方向を向く、視線の先には一人の女子生徒。
西は熊本からはるばる大洗へやって来た転校生、「西住みほ」その人である。
このAクラス内でも様々なグループがいて、それぞれみほの事を気にしている。
転校生が新しい環境に溶け込むのは中々大変だろう。
元から出来上がっている交友関係に新しく入り込むのは結構度胸がいる。
みほから話しかけるのを皆待っているのだが、どうにもその兆候は見られない。
相手が動かないなら、こちらが仕掛けるまで。
今のところ他のクラスメイト等から接触を受けた様子は無い・
「うし、弁当とかじゃ無さそうだしここは・・・」
「「みほちゃん、良ければ一緒に食堂行かない?作戦」じゃな」
まんまである。
「それじゃワシが声をかけようかの」
「あ、二人も西住さん狙いね!」
「「!」」
振り向けばそこにはクラスメイトにして友人の二人。
びしっとこちらを指さす「武部沙織」と穏やかな笑顔を浮かべる「五十鈴華」がいた。
「何ぃっ!」
「おお、二人も西住さん狙いか」
「その通り!そろそろタイミングかと思ってね!」
「お昼にお誘いするのも良いかと思いまして」
今回動いたのは自分達だけではなかったのだ。
「目標は同じ、か」
「そういうこと」
四人の視線がみほに集中する。
そんな中、当の本人はというと―――――――。
机の上のシャーペンを床に落としてそれを拾おうと机の下にしゃがみ、
背中で机を押し上げた衝撃で消しゴムと定規を落とし、それを拾おうと意識が
向いた瞬間、再び机を押し上げてしまいペンケースを落とし中身を撒いてしまっていた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
(色々と手伝ってあげたい!)
(世話焼きたいのう)
(何かお力になれれば)
(あれはサポートが必要だろ)
みほが転校して来てからというもの、本人には恐らくそんな気は無いだろうが、
そのドジっ子のような一挙一動にクラスメイトは何かと釘付けにされていた。
そんな中で、
「駄目だ放っておけない」
と思う者も多く、四人もそう考えていた。
そんな事もあって話しかけるタイミングを見計らっていたのだ。
「・・・泳美」
「構わんぞい」
「・・・華」
「お任せします」
「「じゃんけんホイっ!!」」
「くっそ~~~~悔しい~~あそこでパーを出さなければ~~~」
刺身を食べながら明がぼやく。
「どんまいでござる」
「負けた物は負けですからしょうがないですね」
「まぁ今回は二人に任せるとしようや」
「元気出して、はい中華丼のうずら玉お裾分けー」
「マジですか先輩!いただきます!」
結局ジャンケン勝負で沙織に敗れた明(と泳美)はサバゲ組残りの面子に食堂で
会ったのでそのまま卓を囲む事にした。
四人で話しかけるということも出来たが、まずは二人から徐々に増やそうということになった。
「それにしてもそこまで気になる子なのかい?」
「(モグモグ・・・ゴクン)はい、めっちゃ気になります」
「見ててうずうずするというか何というか」
楽子はハウス内で明と泳美がよく話すその生徒、みほの事も気になっているのだ。
「あの人がですか」
「ふむ」
光里と歩も同じく。
斜め方向の窓際の席に座る沙織と華と共に座るみほを五人が見る。
「あの方は我等の同志に?」
「まだ誘ってないから何ともなぁ」
「急いては事を仕損じますから
それとなく話題を振りつつ、ハウスに呼ぶのもいいかと」
「上手く日取りが決まったらその日はご馳走にしようかな」
「おお!それは楽しみじゃなぁ」
「リーダーの料理を味わえるのですね」
「おい、主目的はみほっちの勧誘だっつーの」
「それではなっちー先輩とえいみー先輩に呼び出す手筈をお任せという形
でござるか」
「入ってくれるといいなぁ
手取り足取り色々教えちゃうよ、ベッドの中でのいろはも」
「「「「自重」」」」
楽子のデコに爪楊枝が投擲された。
「それでその額の有様か四季」
「いやあ参った参った
まぁ私が悪いんだけどねー」
「自覚があるなら少しは反省しろ!
三年生たる者下級生の手本なるように―――――」
「わーお、お説教が始まったよーらっきーたいへーん」
「・・・お前にも言っているんだぞ」
「ぐぅ」
「寝るなぁっ!」
楽子は食事を終えて戻った自分の教室で友人達と歓談していた。
「そういえば杏は?」
ふと姿の見えない生徒会長が気になった。
「今日は朝から見ていないな、学校には来ているようだが、まぁ生徒会だろう」
「何か会議するような行事控えてたっけ?」
「・・・選択必修科目の説明ではないでしょうか」
「あ、それかぁ。じゃあ準備が忙しいのかな?」
「噂だが、新しい科目が加わるというのも耳にしたな」
「だとすれば選択の幅が拡がるわね」
「お前は何を選択するんだ?」
「んー・・・・睡眠道」
「それが新しい科目か!何にせよ負けんぞ!私が一番だ!」
「そんな科目があるか!いい加減な事を言うな!お前も乗るな!」
にぎやかな友人達を眺めていると携帯に着信音が鳴った。
「四季、メールか?」
「うん・・・なっちゃんからだ・・・・・えー」
画面に記された文面に思わず面食らう。
「何かあったのか?」
「えーっと・・・・杏が教室に乱入してみほっていう子を脅したってさ」
「「「「「「「!?」」」」」」」
楽子の周囲が騒がしくなった。
「・・・生徒会長がお供を連れて西住殿を脅迫と」
「あの人の事だから勘違いの可能性も」
こちら一年の教室が並ぶ廊下では歩と光里が同じく届いた文面を見ていた。
「それは大いにあり得る」
「まぁ、詳細は放課後にでも詳しく聞きましょう。その頃には明先輩も落ち着いて
話を整理できるでしょう」
「それが最善か。では午後の授業がそろそろだ。教室に戻ろう」
「そうね」
マイペースな二人であった。
午後の授業終了のチャイムが響く。
「保健室保健室!生徒会に何を廊下で言われたんだ!沙織と華も付き添ったけど
そのまま戻らねーし!見舞いだ!行く!」
「ええい!落ち着かんか!ホームルームがまだじゃ!それに廊下を走ると風紀が来るぞい!とはいえ気になるのう!」
「保健室に行ったみたいだからこの後ちょっと様子見てくるよ」
「あ、私もー」
「お前は行かんでいい!」
ノートや筆記用具を片付けて鞄にしまう。
「さて、終わり次第参るか」
「ええ」
みほのもとにサバイバルゲーム愛好会が結集しようとしていた。
が―――――
「全校生徒に告ぐ。体育館に集合せよ。体育館に集合せよ」
突然の校内放送によって結集は未完となった。
体育館に高等部の生徒達が集まった。
一年から三年まで集合すると巨大な体育館も少々手狭に感じられる。
一年と二年は基本座っているが三年生は立ったままの者が多い。
三年生も座ろうと思えば座れるのだが、そうするときつくなり一、二年生を圧迫してしまうので、若い者はゆったり座らせてあげようという三年生の優しさだったりもする。
大洗女子学園は真心でできています。
「おお!みほっち生きてたぜ!」
「死んどりゃせんわい。とはいえ寝込んだままでは無さそうで良かったのう」
「よーし、見舞いがてら挨拶だぜ!おー・・!」
「静かに、それではこれから必修選択科目のオリエンテーションを行う」
「ど畜生!」
生徒会が壇上から退場すると照明が消え用意されていたスクリーンに映像が映し出される。
「えっ!?」
「おやまぁ」
「あれま」
「何と」
「あ」
思わず声が出た。
スクリーンにでかでかと映し出された文字。
そこには「戦車道入門」と書かれていた。
戦車道、それは伝統的な文化であり、
世界中で女子のたしなみとして受け継がれてきました。
礼節のある、淑やかで慎ましく、そして凛々しい婦女子を
育成する事を目指した武芸でもあります。
戦車道を学ぶ事は、女子としての道を極めることでもあります。
鉄のように熱く強く、無限軌道のようにカタカタと愛らしい、
そして大砲のように情熱的で必殺命中。
戦車道を学べば、必ずや良き妻、良き母、良き職業婦人になれることでしょう。
健康的で優しく、たくましい貴女は多くの男性に好意をもって受け入れられるはずです。
さあ、皆さんも是非に戦車道を学び、心身共に健やかで美しい女性になりましょう
唖然とする者、映画のようなノリで楽しむ者、熱い眼差しを向ける者、
目を逸らす者、寝ている者。
皆様々な思いで映像に見入っていた。
オリエンテーション終了後セーフハウス内部。
取りあえずみほは無事だという連絡を受けた愛好会の五人が集っていた。
今の話題はオリエンテーションの事である。
終わった後は話題で持ちきりでほとんどのクラスがホームルームどころでは
無かったようだ。
「みんなはあれどう思う?」
「上映の内容はさて置き、食堂の食券百枚、遅刻見逃し二百日、通常授業の三倍の単位、高級学生寮に入寮、 74アイスクリーム食べ放題券20日分。
確かに魅力的ですね」
「じゃが、旨い話には裏があるものじゃ」
明が机の上の履修届に目をやる。
「科目の提出用紙の下に小さくさ。希望が無い生徒や記載不備や提出期限を
守れなかったら自動的に戦車道の選択になるってあるんだよな」
「何としても戦車道に人を集める目的がある、ということでござるな」
「んー、やっぱり」
「「「「「怪しい」」」」」
「だよねぇ」
楽子はオリエンテーションの後、杏に会ってここまでする理由を聞こうと思ったが生徒会は用事があるのかそのまま教室に戻らなかった。
「戦車道選ぶ人―」
「「「「「・・・・・・」」」」」
満場一致で不選択であった。
だが、もう一つ全員一致するある思いがあった。
「・・・戦車道の授業に乱入したい人―」
「はいっ!はいはいはーいっ!
「はっはっはワシもじゃ」
「授業でやるよりも、正直面白そうです」
「思うがままに走らせ、他の戦車を煙に巻く自身はあるでござる」
「ふふ、私も同じだよ。
私達の以外の戦車、どんなのがあるのかも見てみたいしね!」
かくして方針は固まり、楽子が把握してきた戦車の倉庫を今度見に行ったり、
授業の際使われる場所の特定、迎撃の方法、砲弾、燃料の手配などを遅くまで
話し合ったのだった。
会話が続くと誰が誰やら混乱しそうです。
三年の会話が長くなりすぎた気も・・・・。
生徒会チームは教室にいるときあるんだろうかという気も・・・。
・・・次回は戦車探しとバトルロイヤル乱入までいければいいな(希望)と思っています。
こんな感じでよろしければ次回もお付き合いいただければと思います。
ありがとうございました!