もう1人の主人公 作:おもち
さて、自己紹介がまだだったな。
俺はシアン。何処にでも居そうなごく普通の、極普通の9歳11ヶ月の少年だ。普通を極めているのは俺が一番だと胸を張れる。
ただ、普通じゃないことがある。
それは、俺が転生者だという事実。日本という国で、これまたごく普通の少年をやっていたのだが、何故か飛ばされちまった。異世界であるポケモンの世界に。
そして、消えた両親の遺産をやりくりしつつ、ポケモンを育ててもうすぐ旅に出ようと思ってる。
この世界では、10歳からトレーナーOKなんていうものはない。ある程度の責任感とマナーと頭があれば、ポケモン協会の試験に合格してトレーナーカードを貰うことができ、旅に出ることが出来る。また、資格がなくても、資格を持った18歳以上の人の下であれば、ポケモンを捕まえて育てることが出来る。
というわけで、5年ほど前に試験を受けて見事合格。前世の知識で、二次方程式なんぞチョチョイノチョイだったよ。面接にも不備はなかったしね。
というわけで、まずはオーキド博士にレオンのタマゴを貰い、孵して1匹目GET。2匹目のアクアは、川に流されていたから説得してGET。フレアも数日前にGET。見事パーティが半分埋まった。
そういうわけで、旅に出るのである。
が。
「レッド、お前は何がしたいんだ。グリーン、ツンケンしてたら面接落ちるぞ。ブルーはおめかししすぎ!」
主人公ズのお守りをする羽目になっていた。
何故かというと、オーキド博士が押し付けやがったのである。トレーナー試験の付き添いを。
オーキド博士のピジョット2体に、片方は男衆、もう片方はブルーが乗ってタマムシまで向かっている。
ピジョットに興奮しているレッドの頭を1発殴り、引くほど化粧をしたブルーに濡れティッシュを押し付ける。流石にこれは知り合いだとは思われたくない。
そして、なんとかタマムシシティに到着。タマムシ大学での受験なので、ピジョットをモンスターボールにしまって歩いていく。
「おい、見ろよ! あのポケモン見たことないぜ!」
「……」
「あのお店、かわいい服が多いのよね!」
お静かに。
「ほら、ついたぞ。まずは面接、そのあと試験だ。面接は、ブルー、レッド、グリーンの順で、試験は同時スタートだ。頑張れよ? 迎えに来るから」
「迎えなんていらねーよ」
「さっさと帰りやがれ」
「迎え? 馬鹿にしてるの?」
「お前ら面接落ちるぞ!!!」
とりあえず腹いせに3人でレッドをタコ殴りにし、送り出す。
「ふぅ、疲れた……」
「ピカ……」
肩にしがみついていたレオンに労われる。
だが、こうしてはいられない。
「あいつらのことだ、試験が終わる前にお呼び出しが掛かるに違いない。それまでに用事を済ませるぞ」
「ピィカ、ピ」
タマムシマンションには、イーブイがいる。裏口から、迷ってしまった風に入り、階段を登って屋上へ向かう。
そこには、ひとつのモンスターボールが落ちていた。
それに近付き、しゃがもうとしたところで気付いた。老婆がこちらを見ている。
「あなたのですか?」
「さあ、どうだろうね。拾わなくていいよ、自分で拾うから」
「そんなわけにはいかないでしょう」
しゃがんで拾い、それを老婆に渡す。
「この中身はイーブイ。かわいそうに、捨てられていてね。よければ貰っていかないかい?」
「いいんですか?」
「もちろんだよ。———バトルに勝てたらね」
老婆がモンスターボールをポケットに入れ、傍に控えていたウインディが威嚇してくる。
それから目を離さず、老婆に問いかける。
「ルールは?」
「ポケモン1体ずつ、道具は使用可。フィールドは何処までも、使える限り。これでどうだい?」
「いいでしょう。タイプ、水が居ますがどうしますか?」
「なんでも構わないよ」
「じゃ、レオン、頼むよ」
「ピカ!」
アクアという選択肢を蹴って、レオンを選出する。アクアだとレベルが足りていないだろうし、フレアは進化前だ。こうなると、レオンしかいない。
充分なスペースをとって、2体が相対する。俺は、屋上の柵に座り、全体が見渡せるようにする。
「トレーナーへの攻撃は?」
「直接は駄目に決まってるよねぇ」
つまり、間接的にヤる気はあるらしい。
「じゃあ、始めだよ」
老婆の声で、戦闘が開始される。
「ニトロチャージ」
「レオン、アンコールだ」
「ピ〜カ〜! ピカピカ〜!」
「そう来るか」
「ニトチャオンリーでお願いします」
「おや、ニトチャなんて略知ってるのかい?」
「まあ。———レオン! かげぶんしんからのこうそくいどう!」
レオンの姿が数百にわかれ、その全てがフィールド中を駆け回る。
「本物を紛れさせる、か」
「我ながらいい手だと思っています。けど、そちら、大丈夫ですか?」
「様子見だからね。問題はないよ」
「おっし、レオン。大丈夫だとよ。サクッとやっつけようぜ。———でんこうせっか!」
「耐えろ、ウインディ」
レオンのでんこうせっかをかわすことなく耐える。一瞬、ウインディの目が見開かれた。
「特性:せいでんきですので」
「なるほどね」
「とりあえず聞きますけど、ポケモンの個体の強さアピールと戦術アピールとコンビネーションアピールと育成(トレーナー)アピールのどれがご希望ですか」
「育成(トレーナー)アピールが嬉しいね」
「了解しました。よし、レオン! 奥義行くぞ!」
「ピ、ピカ!?」
「正気だよ。話聞いてたでしょ。やるよ」
「ピカピー?」※訳:どっちー?
「うーん……。じゃ、
「え、ちょっと流石にそれは———」
「ピッカピー」
いっくよーというニュアンスで、レオンが軽々とクロスサンダーを放つ。
「ウインディ、流石にアレだ。アレだよ、避けろ!」
「おお、やっと必死こいてやがりますね」
でんじはによって動けてないけどな。
どっかーん。
光がおさまった中では、ウインディが目を回していた。
「ち、負けちゃったか。ほい、イーブイ」
「くれるんすか?」
「やるよ。どうせ、私には懐いてくれないし。ほいよ、
「どうも、
「ホントムカつく性格してるな。前世何かあったか?」
「いや、主人公ズの性格が悪タイプな感じでして。お守りで来たんすけど、ちょっと負担が」
「そりゃ頑張れ。じゃ、さっさと出な」
「ほい。また来ますわ」
多分このおばあちゃんどっかで会ったことあるわ。雰囲気がめちゃくちゃ似てる。
そんなことを考えていたから、大惨事に気付かなかったんだろう。
・訂正版
「レオン」
備考:クロスサンダー、らいげきなども使える。
「アクア」
備考:こんげんのはどうなども使える。
「フレア」
備考:クロスフレイム、あおいほのお、かえんだん、Vジェネレートなども使える。