もう1人の主人公 作:おもち
「だから! 言っただろ! 余計な! こと! するなって! 面接! 落ちるから! やめろって!」
「「「シアン様ー、お許しをー」」」
「今かみなり落としてるんだから」
そう言った瞬間、レオンのかみなりが3人に直撃する。命中率? 気合いでなんとかなるのさ。
「君、流石にそれは……」
「オーキド博士もです」
「」
警察署、ジュンサーさんの前にて。主人公ズを叱っている最中である。
時折、ジュンサーさんがやり過ぎではないかと声を掛けてくるが、その度にオーキド博士もやってますよーアピールで誤魔化している。実際やってるし。
「んで。どう落とし前つけてくれるの」
「「「えーと……」」」
3人揃って斜め上を見上げる。よって、レッドにチョップを叩き込む。
「グボギャッ!?」
「とぼけんじゃない。どうすんの、エリカさんまで出てくる始末、俺が頼めばジュンサーさんも前科を1人ひとつずつつけてくれるかもよ? それ以前に、君ら合格しに来たんでしょ? 何やってんの。ホント何やっちゃってんの」
「だって、レッドと組んだから大技完成させようと……」
「君達がなるのは、ポケモンコーディネーターじゃないの! ポケモントレーナーなの! 知識と判断力と常識と統率力があるかを見極める試験なんだから、それに当てはまるアピールしないと意味ないでしょ! わかる!?」
「いやでもレッドの奴が」
「言い訳はしない! 次はレオンのクロスサンダーとフレアのクロスフレイムだからね!」
「「「それはマジでシャレにならない」」」
「じゃあ反省しろ」
「「「はい」」」
実際こいつらが何をやったかというと、実技試験で会場をぶっ壊し、なおかつ借り物のポケモンを暴走させたのだ。
ジュンサーさん達が出動する直前に俺が捕獲したからいいものの、駆けつけたエリカさんによって警察署に強制連行。事情聴取となっている。
「レッド!」
「はいぃ!」
「何ポケモン煽っちゃってんの。君が暴走の一番の原因だと思うよ? わかってる?」
「ほいぃ」
「グリーン!」
「ひゃい!」
「あんた馬鹿か。馬鹿なんだな。何故レッドを野放しにした? 馬鹿だな。馬鹿すぎてオーキド博士昇天しちゃうよ」
「すんません」
「ブルー!」
「ひぃっ……!」
「お前はなんで、大技を完成させようとしたぁっ!」
「ご、ごめんなさい!」
「ポケモン協会のブラックリスト、載るかもよ?」
「がびーん」
反応を返したのはブルーのみ。あとは意識が飛んでるか、固まってるか。
「と、いうわけでお説教は此処まで。エリカさんとジュンサーさんにも謝りなさい」
「「「ごめんなさい」」」
「い、いいんですよ。そこまで気にしなくても……」
「エリカさん。こいつら、似たようなこと100回以上やってます」
「もう少し反省しましょうね」
ジムリーダー・エリカ。意外とノリがいい。
解決したため、全員で警察署をあとにする。出てすぐに白い軽トラが停まっていた。
「君達は、またやらかしてくれたな?」
オーキド博士が、呆れた顔をしながら出てきた。
「お陰で、迎えに来る羽目になったよ……折角シアンに押し付けたのに」
「オイ貴様」
「叔父に向かってなんじゃお主」
「自業自得だ……!」
「帰るぞ。じいちゃん、レッドとブルーは荷台で」
「馬鹿かお主」
調子に乗ったグリーンは、俺と博士から頭を叩かれる。
「「お前も荷台だ」」
「……ちっ、しょうがねーな」
「しょうがなくねーよお前のせいだよ反省しろ今日の晩御飯抜き」
「それはよせ」
「よさない」
レッドの尻を蹴って荷台に追い込み、あとの2人も乗せる。
「じいさん」
「なんじゃ」
「ピジョット借りていい?」
「駄m———」
「借りていい?」
「d———」
「借・り・て・い・い?」
「……いい」
「よし、研究所に送っとくから。じゃね!」
さて、トキワにひとっ飛びしますか。
*
「トキワシティとうちゃーく! さて、ポケモンセンターを探しますか」
ピジョットの背中を降り、すぐそばのポケットモンスターに入る。
ロビーの隅に設置されているパソコンにパスワードを入力し、続けて個人の暗証番号も打ち込む。
「久しぶりすぎてよく覚えてないな……。此処か」
ブツブツ呟きながら、「転送」をタップし、モンスターボールを専用のホルダーに入れる。
宛先は……オーキド博士研究所っと。これで完了だな。
ピジョットは返却できたので、受付に行ってジョーイさんに部屋の鍵を貰う。旅というものは案外お金のかかるもの。出来る限り、出費を減らさなければいけない。
必要事項を除いてどんどん買う物を削っていくと、上手くいけば月2万円程でやりくりできるのだが、そこまで貧乏ではないし、何かあったら
ポケットモンスターの部屋は、空いてさえいれば無料で泊まることが可能だ。ただ、
「やっぱ貧乏くさいなぁ」
めちゃくちゃ狭いのである。
また、折りたたみ式のプラスチック製の低いテーブルと、常に敷かれている布団、毛布。あと、小さな洗面台。
これが、三畳の中にぎゅうぎゅうに詰め込まれている。
「……ふぅ。タダで泊まれるだけマシか」
ジョーイさんの努力の成果により、使い込まれているもののどれも綺麗だし、何よりタダだ。無料だ。これほどいいものはない。
「しかも、壁紙は寄付っぽいな」
……ポケモンセンターの台所事情が心配である。ウチも余裕はないわけだが。
ただ、鍵は最新式である。ピッカピカの真新しいものである。
「ピッカピカー」
「おいレオン、お前わざとだろ」
ともかく、残りのモンスターボールを2つとも展開して、シアンファミリー大集合をさせる。
「フレア、かえんほうしゃ」
「カゲ〜」
フレアのかえんほうしゃでコンロに火をつける。
「とりあえず、きのみスープでも作るか」
アクアのみずでっぽうで、備え付けの鍋に水を入れ、火にかける。
「缶コーヒーも冷めてるな。よし、レオン、頼んだ」
「ピカー」
レオンが缶コーヒーを受け取り、レンジに入れる。そして、じゅうまんボルト。
ウィーン。
変な音を出して動き始めた。
10分後、調理を終えてテーブルを囲む。
「いただきます」
「ピーカーピー」
「カゲゲゲー」
「ミー」
流石に独り暮らしをしていれば、そして財政難であれば、ある程度の資源があれば何か食べられるものを作ることぐらいできる。受付で、豚肉を分けて貰ったので、きのみで出汁をとったりきのみを野菜の代わりにしたりして、なんとか豚汁を作り出してみた。いやぁ、味の再現って大変。
ちなみに、大量に作ったので、ジョーイさんや近くの部屋の人にも分けて差し上げた。持ちつ持たれつっていいね。
お礼に、珍しいきのみや何やらも貰えたし、正解だったと思う。
「さて、寝ますか」