久々の投稿です
執筆途中で色々思いついたものを詰め込んでいったら思ってたより長くなりました
楽しんでいただけたら幸いです
???
たまたま夜用事があって帰る途中に歩道橋の階段を上がった先に
大輔と出会った
と言ってもそれは一目で異常だと分かった
なぜなら相手は這っていたからだ
これだけでも十分に異常だが
服はボロボロ体中から血が出血して足がおかしいのが分かる
誰かにやられたのか思い駆け寄って大輔を抱き抱えた
顔を見ると左右に切り傷があり目は虚で恐怖に怯えてるのかガクガクと震えていた
「どうし」
言葉をかえるがその前に腕をゆっくりゆっくり上げて俺の肩を力なく掴み
必死の形相だがか弱い声で言った
「助けて…助けて…」
「だ・誰にやられたんだ!」
「男に…男に…殺される…殺される…」
男に…誰にやられたにせよここまでやるなんて…一体誰が…
とにかく救急車を呼ばないとと思いスマホを取り出す
これだけの出血大丈夫なのかと心配したがそれは次の言葉によって吹き飛んだ
「許して…彩菜…許してくれ…俺たちが…犯した事…許してくれ…蓮に言われて……仕方なく…仕方なく…」
その言葉を聞いた瞬間頭に血がのぼるのが分かる前に体が先に動いた
こいつの胸ぐらを両手で掴み歩道橋の柵に叩きつけた
こんな奴を助けようとした俺がバカだった!!!
こいつは救う価値もないクズだ!!!
殺してやる!!!!!!
ポン
肩に感触が
反射的にぐるりと首だけ振り向く
するとそこには髪の毛を後ろに少し縛った外国人が立っていた
「よせよせ、そんなクズ相手に手を汚す必要はないぞ」
「殺った所で何も得はしない、損するだけだ」
「この国には骨折り損のくたびれ儲けって言葉があるだろ正にそれだな」
何だこいつは…と思いながらも外国人は話しを続けた
「そんな事よりもここは黙って手を差し伸べる、それが紳士ある大人の対応ってやつだな」
「なぁ、大輔?」
その男は大輔に声をかける
すると大輔は目を思っ切り見開いて
恐怖に塗り潰された表情で叫んだ
「タスケテクレ!!!!コロサレル!!!!オトコニ!!!!!コロサレル!!!!!」
そう叫びながら歩道橋の柵の向こう側へ逃げようとした
そんな所へ行けば落ちて死ぬかも知れないのにそんな事お構い無しに必死に行こうとした
「オイ!よせって!」
何とか大輔を羽交い締めにしたけどまだ暴れるので仕方なく路面へ投げつけた
大輔は投げ出されてもすぐに這って逃げようとした
直感的に分かった
大輔をここまでやったのはこの男だと…
「アンタ大輔に何したんだ?」
「なーに大した事じゃない、体を動かす楽しい授業をしただけさ」
「授業?」
今の言葉でこの男は大輔とは少なくとも何かしら関わっている事を認めた
「その割には傷だらけだけどな」
「そりゃナイフを使った授業だからな、そいつナイフの使い方が丸っ切り分かってないから手本を見せて体で覚えさせただけさ」
傷だらけなのも頷けるが
この男大輔の事どうやって知ったか分からないが知った上でここまでやった…
「アンタ何者だ?」
「俺か?俺は通りすがりのコックさ」
そんなんで納得するほどあまちゃんじゃない
ここまでやって素知らぬ顔であんなセリフを吐くなんて…
正直気が狂ってるとしか思えなかった…
「さてと悪いが俺は帰らせてもらうぞ、あんなバカ相手に付き合っていられるほど俺は暇人じゃない」
そう言うと
スタスタと歩いて行く
「オイ!」
俺の声に男は振り返った
ただ違うのは
俺の目を冷酷に見据えている事
そして言葉を吐いた
「それに安心しろ」
「お前もいずれこうなる」
そう言うとまた振り向きもせず歩いて行った
追う事が出来なかった
恐怖で体が動かない、冷や汗が止まらず一瞬で服がびっしょりと濡れた
まるで蛇に睨まれたかのように…
「何なんだアイツは…」
何とか言葉振り絞る
ふと足元見るとスマホが…
きっと大輔を投げつけた時の衝撃で落ちた大輔のスマホだ…
男がいた方向を見るももう姿はなかった
そして反対側を見ると大輔が必死になって這っていた
俺は仕方なく
落ちていたスマホを手にして電話をかける
「もしもし、救急ですか?火事ですか?」
電話が繋がったのでそれを大輔方へ投げてそのまま逃げるように立ち去った
隣町 某店
「サムライ乙女発売記念イベントはこちらです」
お店の関係者が整列の為に声を上げる中ワクワクした表情で列に並ぶ中学生が1人
五十嵐隼人である
「五十嵐君?」
「え?」
突然の声に振り返る五十嵐
「やっぱり五十嵐君だ」
そこには2人の女性が…
今まで見たこともないキラキラの美女が1人で
もう1人は服装はキラキラだけど見覚えある顔だ…
「窪田さん……後はどちら様で?」
「え?私藍よ、野村藍」
驚いたまさかあんな地味な子がこんなに綺麗な姿に…
「にしても五十嵐君?自宅待機って言われているのに隣町まで来て何しているの?」
藍から突然聞かれて戸惑う五十嵐
「えっそ…そう言う2人はどうして?」
すると恵美と藍はイタズラな笑みを浮かべて
「なーんてね」
「私達も五十嵐君と同じだったりして」
そう交互に言ってサムライ乙女の前売り引換券を見せてくれた
ここから遠く離れたベンチに2人の姿があった
絆創膏をつけた女性とすらっと長髪の女性はベンチの背もたれに両肘を置き双眼鏡を覗いていた
「恵美大丈夫かな…なんか笑顔がちょっと引きつってるような気が…」
心配する私
何せ演技もして、なおかつ藍と同じようにキラキラした化粧に服を着るのは初めてだろうから
「大丈夫だと信じたいわね」
と結子は答えた
「ねぇライバックさんはどう思う?」
私はライバックにも意見を求めた
ライバックは双眼鏡を覗かずに呑気に鳩に餌を与えていた
何羽の鳩がライバックを囲っていた
「ダメかもしれないな、それなら後であいつの写真のデータをシュレッダーにかけるだけさ」
「……恵美 血の涙を流すわよ」
結子はライバックの方に顔を向けて答えた
昨日の朝
警察官が2人家に訪れた
私とお母さんとで家の前で対応した
本当は昨日の事で体が痛くて出たくないのに…
「では無駄な外出は控え学校の指示を待つように」
「あの…今後どうなるんでしょうか?」
「虐待がありましたのでそちらの捜査がしばらく続きますが、私どもと学校側で影響を最小限に努めるとのことで」
「ああよかった……大切な時期に」
恵美の騒動については学校側は黙秘するつもりみたいだ
あれだけライバックが暴れたにもかかわらず…
お母さんもあの話し方だと受験の事しか心配していないのだろう…
大人の対応には散々失望させられたけど
悪い面ばかりではないもちろん復讐するのには都合がいい訳だけど
それよりもライバックに捜査の手が及ばない方がなりよりである
「ご協力ありがとうございました」
さて警察官は行ったみたいだし家へ戻ろうかとした時だ
「あら?あなたもしかして…」
その声に振り返るそこにいたのは…
「お久しぶりです」
「ヤホー彩菜元気?」
「結子ちゃんに恵美ちゃんじゃない久しぶりね」
結子と恵美だ
私の部屋
「はいどうぞ」
お母さんからお菓子と紅茶をもらって恵美と結子に配った
「ありがとう」
「いただくわ」
「傷大丈夫?」
顔に貼り付けた絆創膏やガーゼを見て心配そうにみる恵美
「大丈夫よ、結子が手当てしてくれたんだもん元気元気」
「それよりもあの後大丈夫だったの?」
「全然問題ないわよ」
結子はそう言うとあの後の事を話した
電波障害機の片付けをしてライバックの指示のもと この場に起きた証拠や痕跡は一つも残す事なく隠滅して
その後は2人を送り迎えをした
大輔は手当てした後這うように動き出し恵美と結子は狼狽えたけど
ライバック曰くどうせ壊れているんだからどこへ野垂れ死にしたって構わないとの事だった
「もう終わった事だから彩菜も気にしなくてもいいわよ」
「私も今度こそ彩菜の力になるから…だから心配しないでね」
「ありがとう…」
結子と恵美はそう言った
私としては出来れば恵美にも結子にはこの復讐には関わって欲しくなかっただけに複雑な心境だった
そんな時突然私のスマホが鳴った
「ん?」
メールが届いていた
私に結子が声を掛ける
「誰から?」
「ライバックから」
「今度の復讐で話しがあるからすぐ向かうって書いてある」
ガチャリ
部屋の扉が開く音がした
「お母さん部屋に入るならノックぐらいしてよね」
「悪いがオレは君のお母さんじゃないぞ」
そこにいたのはライバックだった
私はびっくりしたまさかもう着いているなんて…
そして疑問が浮かんだ
「あれ?お母さんいなかったの?」
「お前のお母さんは雑誌と紅茶で優雅に過ごしていたぞ」
これで分かった、お母さんに気付かれないようにこっそり来たんだ
突然断りもなく来られる事に何も感じない訳ではないけど…
結子はそれを察知したのかライバックを諌めた
「土足でレディーの家に入るなんて不躾なじゃないですか?」
「靴なら脱いだぞ」
確かにライバックの足元を見ると靴は履いておらず靴下だけだった
どうせいつもの事だ、あきらめて本題を聞く事にした
「それで話しって何?」
「次のターゲットを決めた、コイツだ」
そう言うと写真を数枚バサリ出された
そこには五十嵐隼人が映されていた
通学時やアニメグッズを買う姿お金を不良に配る姿など隠し撮りされたものだ
この分なら五十嵐隼人の情報は全て手に入れているのだろう
「コイツは知っての通り五十嵐隼人、自称・人気者というイタイ奴だ」
「金持ちなのをいい事に札束でクラスのクズ供の頬をペシペシと叩いていい気になっている阿保ダラだ」
「しかも綺麗な女の子に豪快に貢ぐなんてどこまで馬鹿なんだコイツは」
「相変わらずすごい情報収集ね」
「情報を制する者は戦いを制するものさ」
写真に興味がある恵美は両手で写真取りよく眺めていた
「へぇーよく撮れているね、何のカメラ使ったの?」
「企業秘密だ」
「ケチ!」
恵美はそう言うと不貞腐れたけど
ライバックは気にすることなく話し続けた
「それとちょっとしたお手伝いさんを呼んだ」
「お手伝いさん?」
私は誰だろうと思い過去を振り返る前にお母さんの声が聞こえた
「彩菜お友達が来たわよ」
あれ?友達?もしかして美穂かな?
そう思いドキドキしたけど私の部屋に入って来たのは…
「あれ確か…」
「野村さんね」
「あれ?どうしてここに?」
来たのは野村藍だった
「おいずいぶんと道草したな、そこら辺の草でもムシャムシャと食べ歩いて来たのか?」
「いえ…そんな事は…」
ライバックの言葉に野村さんはビックとして顔を俯向き震え始めた
「なにか怯えているわね?何したんですか?」
「何って優しく聞いただけだ」
「そうには思えないのは私だけかしら?」
結子の皮肉に恵美も私も同感だ
少なくとも野村さんにどんな事されたか私は知っている
「そうだ!コイツにも見せたホームビデオがあるんだが見るか?」
「え!ホームビデオ!気になる!」
「恵美見ない方がいいよ…」
私はどんな内容なのかよく分かるから見せたくはない
だから恵美にも見ない方がいいって伝えたけど…
でも恵美は好奇心が勝ってしまっている
「えー何で もったいないよ」
「そのー……ヤバイと言うか……」
正直あんな映像を思い出して説明するのは辛い…
野村さんはさらに震え出して
恵美はルンルンと楽しみに待っている
結子はそっと顔を寄せて聞いた
「何が映っているの?」
なるべく思い出さないように簡潔に説明した
「相手を痛めつけている所」
「なるほどね」
そうこうしてる内にライバックはスマホを取り出して映像を再生していた
『ここにお前達を招いたのは他でもない聞きたい事があってな』
『面白いかぁ?あぁ面白いよなぁ』
『その気持ち、よくわかる』
手を刺したあたりだろう
悲鳴が響き渡り始めた
「うっぷ!」
その画像を見てしまった恵美はそのまま部屋を飛べ出した
「おい!部屋を汚くするなよ」
「ここ私の部屋だよね」
少しして恵美が帰ってきた
顔は真っ青になっていた
映像は古賀さんが心折れてしまった所を映していた
「そうだこの後優斗とか言うクソ野郎の顔面が3倍になるシーンもおさめてあるぞ」
その言葉を聞いて結子は恵美の方を向いて話した
「良かったわね恵美、あれほど見たかったの撮ってくれてたなんて」
「…もう良いです」
恵美は俯きながら首を振った
「今日呼んだのは他でもないお前にはまた協力してもらおうと思ってな」
「えぇ!……あの……またですか………」
「その通りだ、まさかお前はこの前の使いパシリだけで今までの事が許されると思っているのか?」
「それは甘っちょろい考えだな、ガムシロップに砂糖を混ぜるくらいに甘いな」
「お前は彩菜を見て見ぬ振りをした分かるか?それなりに償ってもらわないとなぁー」
「嫌なら別に構わないんだぞ、その場合はホームビデオの映像が1つ増えることになる」
普通にやってくれって言えばいいものをわざわざこんな言い回ししなくたっていいのに…
ガクガクに青ざめて震える野村さんを見ていられなかった
「ねぇライバック、その辺でいいでしょ」
「野村さんにも協力して欲しいだけだよね」
「まぁそんな所だ」
「今度隣町でサムライ乙女というアニメのイベントがある」
「あ…知ってます、私そのアニメ好きで…」
「おっと!これはすごい
立場が違えば私が言ったであろうセリフをライバックが言う
改めて私が聞くとすごく白々しく聞こえる
白々しいセリフを言った後こう続けた
「そこに五十嵐隼人とかいうお金をドブに捨ててるボンボンの馬鹿がいる」
「その馬鹿に話しかけてどっかの店に寄って隙を見て財布を盗んでやれ」
突然そんな事言われて驚く野村さん
当然狼狽えた
「そ・そんな…盗むなんて…私に出来るでしょうか?」
そんな弱気な発言にライバックはバッサリ切り捨てた
「出来るかじゃなくやるんだ、後がないと思え」
「…はい」
その後恵美の方へ顔を向けた
「そしてお前には宿題がある」
「へ?シュクダイ?」
まさか宿題を出されるとは思ってみたかったのかポカンした表情で聞いていた
「コイツ1人では心許ない…そこでお前も同行してもらう」
「当然怪しまれないようにアニメの知識も詰め込んでおけ」
突然の宣告に当然恵美は狼狽えた
「い…今から覚えるの?頭パンクしちゃうよ…」
「そうだな………」
「歯を折られるよりかはマシだと思わないか?」
衝撃的な発言に恵美は真っ青になり固まった
「…マジで言っているの?」
「俺が冗談を言うふざけた男だと思っているのか?」
恵美が反射的に私や結子の方を見る
でも私も結子もどうする事も出来ないから首をゆっくりふるしか出来ない
それを見た恵美は涙目になりながら恨めしそうにライバックを見ながら言った
「ウゥ……頑張って覚えます…」
「ひたむきに努力する子はみんなから応援されるぞ」
そう言うと今度は野村さんの方へ顔を向けた
「せっかく同じ仲間ができるんだ、俺に感謝しながら教えてやれ」
同じ仲間ができるからなのか明るい表情で恵美に話しかけた
「頑張ろうね」
「うん、お願い」
救いを求めて縋るように答える恵美
この一日だけでサムライ乙女のあらすじやキャラなど覚えられるかどうかは野村さんの教え方次第だからだ
某所
隼人と野村さんがサインを見ながら感想を言い合っている
恵美は相づちうつのに精一杯のように見えた
双眼鏡で眺めているとふいに結子がライバックに話しかけた
「所でよく一日だけで恵美の前売り引換券の分用意出来たわね」
「アイツに丁寧に頼んで何とかしてもらったのさ」
「野村さんもご愁傷様だわね…」
「でも野村さん見違えるほど綺麗になったわね、普段と違いすぎるから正直とても驚いたわ」
「そりゃ彩菜のセンスが良いからな」
「良かったわね彩菜、褒められたわよ」
「う…うん」
野村さんを利用するために用意しただけに複雑な心境だ
そうこうしてる内に3人は移動し始めた
双眼鏡で追跡すると近くの店に入っていった
「入ったわね」
結子は呟くように言った
「さてと、ここでプロの道具を使う時が来たな」
そう言うとイヤホンを取り出し片耳につけるライバック
私も結子もイヤホンを取り出して片耳につけた
「にしてもポケットにすんなり入る受信機があるなんて…」
「技術は日々進歩し続けるのさ」
少し前
恵美と野村さんを綺麗にオシャレさせた後
私達は現地に到着してライバックと合流した際だった
ライバックはちらっと視線を別の方向に向けた後
恵美野村さんの前へ寄った
『2人にこれをやる』
指の上でも乗るくらいの大きさの小さい板みたいなものを恵美と野村さんに渡した
『これ何?』
『盗聴器だ』
『盗聴器!!!こ!これが!!!』
私も結子も野村さんも驚いた
まさかこんなに小さい盗聴器があるなんて
『音声自動起動やノイズカットなど多機能搭載の優れものだ』
『それを服の襟の裏とかに貼り付けて置けばクリアな状態で盗聴出来る』
『すごーい』
恵美は興味津々で盗聴器を見ていた
『彩菜と結子にはコイツを渡す』
そう言うとテレホンカードくらいの大きさで厚さは薄い カード状の物にイヤホンがついた物を渡された
『それは受信機だ、盗聴器が拾った音声を聞く事が出来る』
『こんなに薄いんだ…』
盗聴器にしろ受信機にしろこんなにコンパクトなのに驚いてしまった
現在
私としてはスマホで野村さんのスマホと通話中にしてそれで済ませようとしたけど…
やっぱり専用の物なのかクリアによく聞こえてくる
店の中でも3人はサムライ乙女について熱く答弁していた
と言っても恵美の声はほとんど聞こえないからおそらく相槌ばかりだろう
それに隼人は野村さんにしか眼中になくずっと野村さんに話しかけていた
「クラスメイトとサムライ乙女なんて高尚な作品を語れるなんて」
「いや!でも、僕は知っていたよ」
「藍は他の子とは違うってね!」
「いつもそんな感じでいればいいのに!」
「んー学校では目立ちたくないし」
「それに藤沢さんも充分綺麗だし他の人とは違うと思うけど…」
「だめだよあんな奴!」
「無愛想で自己中で、だからみんなに攻撃されるんだ!」
「僕が誘ってもいつも無視して、あんなだからイジメられるし不良に目を付けられるんだ」
他人の目から見て私ってこんなふうに見らているんじゃないかと考えさせざるを得なかった
私って思っている以上に感じ悪い人間に見られていたんだな…
ふと隣の結子を見ると結子は少し語気を強めて言った
「彩菜は優しいし思いやりがあるわよ、だからあんな奴の言葉真に受ける必要はないわよ」
結子の言葉とは関係なく隼人は話し続けた
「藤沢なんかと付き合っていたら酷い目にあうよ!」
ガシャン!!!!!
突然テーブルを思っ切り叩きつける音が入り私はビックとした
「なにそれ…何もかも彩菜が悪いって言うの?」
恵美の声が聞こえた
聞いてるこっちが寒気がしそうなほど冷徹冷たい声で隼人を問いただした
「彩菜に問題があるって言いたいの?」
「そ…そう言う訳じゃ…」
「じゃあ何?あんたが勝手に誘っておいて乗らないからダメな奴なの?」
「うぐ…君に関係ないだろう!蚊帳の外の人間が好き勝手言わないで欲しいな」
そして少しの間沈黙が続いた
物が良い物で聞いているからだろうか恵美の怒りの滲んだすごく重苦しい雰囲気が伝わってくる
「…私帰る」
そう言うとバックを持つ音を拾った
慌てて双眼鏡で確認すると恵美が店から出てきた
そして一直線に私たちの方へ歩き出した
「ちょっと雰囲気が壊れちゃったね」
「でも藍がいるから気にならないね」
「藍がいれば全然問題ないね」
もともと興味がなかった恵美が場外へ行っても気にならない
隼人にとって藍がいれば後は良しなのだろう
「………」
でもさっきがさっきなだけに流石に野村さんもすぐに言葉は出なかった
「ぼ…僕ちょっとお手洗い」
そう隼人は言って足音が聞こえた時
私たちの前には恵美が帰ってきた
「ロクに喋らず、あまつさえぎこちない演技でかつ仕事放棄してお前は何しに行ったんだ」
ライバックの非難の声に恵美は反論した
「そんな!だって!最低だよアイツは…」
恵美の目と目元をよく見ると目は赤く目元は少し腫れていた
「あぁ、それに関して言えば俺も同感だ」
「本来だったらお前のスマホをバラバラにしてやりたい所だが…」
ライバックの恐怖の発言に恵美はこわばる
「まあ今回は事情が事情だ、大目に見てやる」
安堵したのかゆっくり息を吐いた
ライバックは双眼鏡を取り出しある方向を見ていた
私たちも慌てて双眼鏡で確認すると2人は店の扉を開けて歩き出していた
目の前の出来事にうっかり2人の事はおざなりになってしまった
少し歩いて突然隼人が野村さんに話しかけた
「ねぇ!この服藍にぴったりだ、買ってあげるよ!」
「困るよ何でもないのに…」
「気にしないでよお金ならいくらでも」
「あれ?」
「どうしたの?」
「おかしいな…どっかで落としたかな?」
「僕ちょっとさっきのお店を見てくるよ」
そう言って隼人は走って行った
その後野村さんは私たちの方へ歩き出した
どうやらやってくれたみたいだ
「こ…これでいいんですよね?」
野村さんはオドオドしながらライバックに隼人のサイフを渡した
「上出来だ」
ライバックはそう言って隼人のサイフを受け取った
「さて、戦利品を入手したぞお前達どうする?」
「私はいいかな」
「私もいらない」
「使うのも躊躇してしまうわね」
「私もいいです」
私恵美結子野村さんの順番に話していき
一周して誰も要らない事を確認したライバックは言った
「誰もいらないのか?じゃあ俺が遠慮なく貰うぞ」
ライバックは遠慮なく隼人のサイフを探った
「おぉ、軍資金がたくさんだ」
「ありがたくいただかないとな」
「え…使うのそれ?」
さすがの私も他人のお金をぶんどって使うほどの度胸がないだけに
つい聞いてしまった
「そうさ、ここに隼人って名前が書いてあるか?無いだろう」
ライバックがお札を一枚私に見せてくれたけど
当然お札に名前なんか書いてあるわけ無かった
「つまりお前の物は俺の物さ、どうせアイツには過ぎたお金だ豚箱に捨てたも同然さ」
「お金と言うのはないきさつはどうであれ持ったものが持ち主なのさ、それなら使ったもの勝ちだ」
「そんなものなのかな…」
ライバックの言葉に頭では分かっても心では理解しきれず言葉が漏れてしまった
でも当の本人はさほど気にしてなかった
「さて最後の仕上げた」
そう言うとライバックはニンマリの笑みを浮かべた
ライバックは双眼鏡で隼人が入っているお店を眺めていた
私たちも見るすると
店外で少し肩を落として歩いている隼人を見つけた
ライバックはおもむろにスマホを取り出し電話した
「サイフが無いんだろう」
「今いる所から45°方向転換して真っ直ぐに来いそうすれば分かる」
ライバックはそう言って電話を切った
同時に隼人の方は電話に出て酷く驚いた表情で聞いて体の向きを変えた歩き出した
隼人の電話番号を調べたのだろう
一体どうやって…
色々思案しているうちに隼人がやってきた
私たちを目にして驚愕の顔をして言った
「藍!それに滝島さんに窪田に…藤沢!」
「どうしてここに!」
「お前のサイフはこれだろ」
ライバックは片手でサイフを持ちヒラヒラさせて隼人に見せびらかした
「あんた誰だよ!どうしてそのサイフを!」
早歩きで近寄ってサイフを取ろうとする隼人
ライバックはサイフを後ろへ上げた
「おっと、これは俺が見つけたサイフだつまり俺の物だ」
「ふざける!お前達最初からグルだったんだな!」
ここにきてようやく状況を理解して憤慨する隼人
「今頃気付いたのか?お前のアホ面見て笑いを堪えるに大変だったぞ」
「ふざけるな!!!」
それとは対照的に余裕な対応をするライバック
「こんな事して許さないぞ!警察に訴えてやる!」
隼人の発言に私は青ざめた
そもそもこんな状況ならそうなっても不思議じゃない
ライバックはどう切り抜けるのか私はハラハラした
「どうやって?」
「だから訴えて」
「証拠はどこに?」
「そのサイフが証拠だ!」
隼人はライバックが持っていたライフを指差しした
「こんな物燃やしてしまえば物的証拠は無くなる、しらを切り通せる」
「え?」
「それに俺はお前の住所も分かっている、毎日通って有り金をむしり取る事だって出来る」
「そ…そんな…」
怒りに身を任せて責めたが逆に攻められてしまい
恐怖に怯える隼人
ライバックは優しく話しかけた
「だが地獄の沙汰も金次第、お前は俺にお金を快く渡してくれた」
「それに彩菜に対して見捨てはいるものの直接的な害は与えていない」
「俺たちの事とサイフのお金さえ黙ってくれれば何もしない、どうだ?」
「わ…分かった」
そう言った後ライバックは隼人にサイフを手渡した
サイフを受け取る隼人
今回は珍しく穏便に済ませるんだなと思っていた
その直後だった
「所でお前彩菜の事バカにしただろう?」
「え!」
突然ライバックが言って冷や汗をかいて狼狽える隼人
「な…なんのことだか?」
「惚けるつもりか?」
「しょ…証拠があるのか!!!」
焦る隼人に指摘されておもむろにポケットに手を入れて
ボイスレコーダーを取り出した
そして再生ボタンを押す
『藤沢なんかと付き合っていたら酷い目にあうよ!』
「あっ!!!」
驚愕する隼人
隼人だけでなく私も驚愕した
まさか録音までしていたなんて
用意周到なのには脱帽する
「気が変わった、少しだけお灸を据えてやる」
ライバックはすぐさまに股間を思っ切り蹴り上げた
「うぐっ!!!う…うぅ…」
あまりの痛さにゆっくり膝をつきゆっくり倒れてうずくまる隼人
痛そうだな…
「そこで反省でもしていろ」
「お前達行くぞ」
そう言われて隼人を後にして私たちはライバックについて歩き出した
「それでこの後どうするの?」
思っていたよりも早く終わってしまいこの後予定もない
「決まっているだろ、買い物さ」
「その後寄りたい所がある、お前達も付いて来い」
特にやることもないからライバックについて行く事にした
何を買うのかな?と歩きながら考えていると
3人の若者が目に入った
1人は肩まで髪の毛を伸ばし
1人はニット帽を被り
1人は金髪に染めていた
「マジサイフだよな、子供の写真にカードもあるぜ」
「拾ったオレが7割だよな?」
「何言ってんだオメー」
「さてとゲーセンでも行って遊ぶか」
「賛成だぜ、臨時収入もあるし今日はツイてるな」
会話の内容を聞いてとても暗い気持ちになった
持ち主は妻子持ちの人なのだろう…
もしかしたら必死になってサイフを探しているかも知れないのに…
あんな人にサイフを拾わされて持ち主がかわいそうだった…
「オイ!お前何ガン飛ばしてるだ?」
「あ!その…」
どうやらいつの間にか相手を睨んでいたようだ…
引くに引けなくなったので
私は思った事をそのまま伝えた
「そのサイフ拾ったんですよね?」
「拾ったサイフをどうしようが俺たちの自由だろ」
とんでもない理論で反論する相手に私は内心バクバクしながら相手の目を見て言い返した
「そんな事無いです持ち主がいるんです、きっと探していると思います」
「届けてあげて下さい」
「何だよ?お前には関係ないだろ」
「関係なくても」
「オイ!お前達!」
話しが進まない中ライバックが割って入った
「ん?なんだよおっさん?」
3人の視線が私からライバックに移った
「そのサイフ落ちていたのを拾ったんだろ」
「だから何だよ?」
「落ちてたサイフは交番へ届ける、それがこの国の美徳だろ」
「それなのにお前達ときたら中学生の頼みを無視して届けるどころかそれで遊ぶだと」
「お前達はこの国の恥さらしだ、恥を知れ!」
言っている事はとても立派だけどついさっきまで隼人のサイフのお金をぶんどったあげくに蹴り上げた人間が
平然とそんなセリフ言うなんて
相変わらず図太いなと感心する
ライバックがそう言うと3人はケラケラと笑いだした
「おっさん、状況分かってる?」
「俺たちは3人で、そっちはおっさんとお嬢ちゃん4人意味分かる?」
「あぁ分かるぞ、お前ら3人俺に頭を下げるってな」
強気なライバックの発言に3人はそらにケタケタと笑い出した
「おっさん頭悪りぃな」
「そうだ、俺たちを挑発したからには慰謝料をもらわないとな」
「おっさん、サイフを俺たちによこせよな?痛い目に遭いたくなければな?」
近づく3人にライバックは平然としている
「窃盗 恐喝の挙句に傷害…人間の風上にも置けないな」
ライバックの発言にイラっとしたのか3人共少し険しい表情になり、長髪の男性がさらに近づき掴みにかかる
「とっとと寄越せよ、おっさん」
男性の伸びる腕…
ライバックはゆっくりと左手を上げて
相手の向かってくる腕の 前腕の裏を掴む
そこから捻りながらライバックは自身の手は下にしてゆっくり後進して
掴んでいた手を強く後ろに引いて離した
相手は下屈みになって強く後ろに引かれたと同時にバランスを崩し両手を地面についた
はたから見るとライバックに土下座してる姿だ
「ほら、頭を下げただろ」
突然の事に驚愕する長髪の男性
仲間も当然突然の事に焦った
「オイ!何遊んでんだよ!」
「しっかりしろよ!」
長髪の男は慌てて立ち上がった
相手はファイティングポーズで構えるが対照的にライバックはうんざり気味な構えだ
「まだ続けるか?」
「うるせぇ!」
相手は右ストレートを繰り出した
ライバックは素早く相手の右手首を掴んで捻り下ろした
そしてまた後ろ後進して掴んだ手を後ろに強く引っ張り離した
するとまた長髪の男性は下へ屈んで引っ張られたと同時にバランスを崩して両手を地面についてしまった
「ほら、また頭を下げたぞ」
「クッ…クソー!」
悔しがる表情
長髪の男性はすぐに立ち上がり左ストレートを繰り出した
ライバックは少しだけ体の向きを変えてストレートがライバックの右脇の下に向かった
向かった手首を脇で締めて空いた右手で相手の肘を掴み上げた
「イテェ!!!!!」
痛みに悶絶する仲間に2人はライバックにかかってきた
「このヤロ!」
金髪の男性の右パンチが来るが
ライバックは左手で相手の右手首を掴み外側へ回して投げた
すると相手はくるりと倒れてしまい
投げ出された手をライバックは踏みつけた
「イテテテテェ!!!!!!」
「調子に乗るんじゃねぇ!」
ニット帽の男性がライバックに右ストレートを仕掛ける
ライバックは相手の右手の甲を掴み捻って上へ上げた
「あああああぁ!!!!!」
3対1の戦いをライバックは赤子の手を捻るように簡単に制してしまった
「まだまだ続けるか?」
「もういい!!!」
長髪の男性は痛みに苦しみながらも叫んだ
「よし、それじゃサイフは今すぐに交番へ届けるんだ」
「もちろん謝礼は辞退だ、分かったな?」
「分かった!!!分かった!!!」
「よし、良い子だ」
ライバックはそう言うとパッと掴んでいた手を離して踏みつけていた足をどかした
すると相手は慌ててその場から離れて
ときおりライバックをチラ見しながら逃げる様に立ち去った
「さすがライバックだね」
「よく3人相手に勝てましたわね」
「あんなのチョロイもんさ」
恵美と結子の賞賛にライバックはさらりと答えた
でも私は複雑な心情だった
ライバックがいたからサイフは返されると思うけど私だけならどうだったか?
結局私は何もできなかった
「ライバックはすごいなぁ私何も出来なかったよ…」
ボソリと暗い心中をライバックに伝えた
「まあ、あの状況じゃ君は自力で打開は出来なかっただろう」
ライバックの言う通りだ…
結果的に私から訴えたのに私はなんて無力なんだ…
力の無さに嘆いた…
「でもな彩菜」
そう言うとライバックは私の目を見て話してくれた
「君は目の前の悪事を見過ごすこともなく逃げる事もなく勇気を出して立ち向かった」
「それはとても尊いし誇るべき行いだ」
「その心を忘れるな」
「うん、ありがとう」
ライバックの言葉がとても胸にしみた…
私もライバックみたいに派手に暴れたく無いけど…
かっこよく解決できる大人になりたいなって思った
「私も藤沢さんカッコいいって思いました」
「彩菜はすごいよ、私なんて怖かったもん」
「前よりも大胆になったわね」
「そうかな?」
野村さん恵美結子の言葉に私は照れくさくなった
「さて、邪魔者はいなくなったし行くとするか」
ライバックは歩き出し私達もついて行った
賑やかな街中から少し歩いた所に商店街があった
そこは人がまばらでここだけ時間に取り残されたような雰囲気だった
その商店街を歩いて途中にある小路に入って右左進んでいると
外見はチョコレート色で看板は漢字が横並び
いかにも中華的な装飾の古びた店舗の前で足を止めた
「ここだ」
ライバックは何も躊躇する事なく店へ入っていく
私達も恐る恐る入ってみる
店の中は思っていたよりも品数が多く所狭しと並んでいた
カウンターには2人の老夫婦がいて後ろには引き戸が沢山ある立派なタンスがあった
ライバックは老人の前で両手を合わせてその後2人で話し合っていた
中国語みたいだけど、どんな話ししているのか分からなかった
近くの商品を手に取る
なんかの植物を乾燥させた物がパッケージにされた商品だ
老婦人が近くに寄ってフレンドリーに話しかけてくれたけど意味が分からなかった
困ったので結子に話しかけた
「結子なんて言ってるの?」
結子は首を傾げて答えた
「中国語は勉強範囲外よ、そうだ」
結子は中学で習った英語で何とか話しかけるけど
今度は老婦人が首を傾げた
「お手上げだわね」
両手を上げて参っているとライバックの声が不意に聞こえた
「それは
ライバックの説明になるほどと感心した
よく見渡すとそれに似たような品が多くある
ここは漢方薬を販売している店なんだと理解した
「何?これ虫?」
恵美の声だ
声する方へ向くとプラスチックの容器に虫がたくさん入っていて
恵美がその容器を持ってジロジロと眺めていた
近くにいた野村さんも眺めていた
「それはゴキブリだ」
「ヒィ!!!」
ライバックが恐怖のワードを口にすると恵美は
悲鳴をあげて容器を急いで元の場所に置いて距離を置いた
まさかゴキブリを置いているなんて…
結子の顔が引きっている
私は背筋が凍えた
野村さんは青ざめていた
「何でこんなもの置いてあるの!」
「それは血行改善に効果がある、それに身近なゴキブリを使ってる訳じゃない」
「特定の種類のゴキブリだけ漢方薬として使っている」
たとえそうだとしてもあの台所にうごめく姿を想像しただけでもめまいがしそう…
「もう!こんな店やだ!」
恵美はキレ気味に荒れたけど
事情を知ってないのか老婦人が寄ってきて話してきた
「なんて言ってるの!」
ライバックにキレ気味に話しかける
「お嬢さんとても綺麗におめかしして可愛いって言っているぞ」
それを聞いた途端にデレと顔を緩ませた
「そうなの、嬉しいな」
褒められただけでここまで機嫌が良くなるなんて良くも悪くも恵美らしいなぁと感心した
「馬子にも衣装だからな」
ライバックの言葉を聞いて恵美は結子に聞いた
「結子マゴにもイショウって何?」
「立派な衣装を着ればちゃんと綺麗に見えるって意味よ」
「そうなんだ、オシャレも大事なんだね」
ポジティブな意味合いで説明して
恵美は嬉しそうに聞いていた
私は意味を知っているから目で結子を訴えた
結子も気づいて言った
「嘘は言っていないわよ」
ここで本当の意味でも言ってケンカになったら面倒だから黙る事にした
「最近体の調子が良くないんだよね〜何かあるかな?」
上機嫌になった恵美はライバックにいい漢方薬ないか相談していた
「なら恵美にぴったしの飛び切りいい品物があるぞ」
ライバックは老人に話しかける
すると老人は何かの粉末を四角形の紙に乗せて持ってきた
「これを舐めてみろ」
ライバックに勧められて何も疑う事なくその粉末を口にする
「んー変わった味…何なのこれ?」
「
「変な名前だね、ちゃんと効くの?」
「オイオイ名前だけで決めつけるなんて頂けないぞ、これはとても貴重で優れた効果があるんだ」
「そうなんだ…これの粉末前ってどんな感じなの?」
「待っていろ」
ライバックがまた老人に話しかける
すると老人はタンスから何かを取り出して私達に見せてくれた
「何ですかこれ?」
「この黒い玉みたいのが…」
「気味悪いわね…」
「ねぇ何で出来ているの?」
「蛇のキモさ」
ブブゥーーーー
「汚いわね…」
ライバックの衝撃的な発言で恵美は口にしたものを飛ばした
「へ…蛇のキモ!!!」
「だから
「何で変な物食べせるのよ!私をおちょくって楽しいの!」
その様子を見てライバックや老夫婦は微笑ましい顔で笑っていた
「笑わないでよ!」
「言っておくが蛇胆は疲労回復に血糖を抑えたり解毒作用に腸の栄養吸収を良くする」
「それに蛇の胆は他の動物の胆に比べれば強靭だぞ」
「腸の栄養吸収がよくなれば体の成長にも一役買うしバストアップだって夢じゃないぞ」
「バストアップ…」
なんか恵美が変な方向にいきそうな予感が…
そんな事お構いなしにライバックは老夫婦と会話して
色々な漢方が出されてそれを袋詰めにして会計をした
「よし、次へ行くぞ」
その後また歩き出したのでついて行く商店街の迷路をすんなり抜け出し今度はスーパーに着いた
「ここのスーパーは物がいい上に豊富な品揃えでな、俺のお気に入りさ」
早速入るとライバックはカゴにニンジンやジャガイモや牛肉などを沢山入れてそれを恵美や結子や野村さんに持たせた
「随分買うのですね?」
「こんなにたくさんですか?」
結子と野村さんの疑問にライバックは答えた
「だからお前たちを呼んだ」
「人使いが荒いよ」
恵美は愚痴をこぼした
突然ライバックは
不意に遠くへ視線をやった
「まだ
そうボソリと呟いた
色々食材をカゴに入れてレジへ行って会計を済ませて
店を出た
もちろんそのお金は隼人からぶんどったお金だけど…
恵美の両手には食材の入ったレジ袋がずっしりとしていた
結子や野村さんにはそれぞれ1つのレジ袋を持たせていた
どう見てもライバックが食べる分には多すぎるし何に使うんだろう?
「重い…何でこんなに買うのかな…」
「つべこべ言わずにとっとと運べ」
「へいへい…」
恵美の文句に関係なくライバックもずっしりと食材の入った袋を右左1つずつ持って歩く
少し歩くと大きい公民館みたいな建物がありライバックこの建物に入った
私たちもその建物へ入った
中へ入ってみると意外に子どもがちらほらいて私たちの事を確認するとすぐに寄ってきた
「ねーねー、おねちゃんはおてつだいさん」
「あっー!ライバックのおじさんだ」
「ねぇ!ねぇ!コックさんが来たよ!」
1人の子どもが奥へ走って行ってここの責任者らしき中年の女性の手を引っ張ってやって来た
「まあぁ!ライバックさん!いつもお手伝いしていただきありがとうございます」
女性はライバックに頭を下げた
「いえいえこちらこそ、素晴らしい活動に微力ながらお手伝いできるなんて嬉しいかぎりです」
「紹介します、歳は離れていますが友人の藤沢彩菜と召し使い3人です」
「え?」
召使いって言うワードに理解が追いつかない女性に3人は気にせず自己紹介をした
「はーい、召し使いの窪田恵美です」
「右に同じく滝嶋結子と言います」
「あのー同じく野村藍です」
責任者の女性は何とか理解しようとして言葉にした
「えーとつまりはボランティアさんって事でよろしいですよね?」
「まあそんな感じです」
「本当は違うけどね」
恵美がジト目で反論する
「あぁ、コイツは一言多いのが玉に傷なんですよ」
「ぐぬぬ…」
恵美のジト目がひどくなった…
とにかく私は疑問に思った事を口にした
「ライバックこの人は誰なの?ここはどう言う所?」
「ここはな、子ども達やその保護者に対して無償で遊びの場や学習支援や食事を提供する所さ」
「テレビか何かでここと似た事やっているの見たことあるだろ」
「そういえば…」
テレビでそんな活動が盛んになっているとは知っていたけど実際に見るのは初めてだ
「こちらの方はその活動を随分前から始めて続けている言わば功労者だな」
「いえいえ大げさな、ただのお節介が過ぎるおばさんですよ」
「それよりもライバックさんが来てくれたおかげで子ども達も前よりも明るくなりました」
「それに美味しい料理に運営にも力添えしていただいてただただ感謝しかありません」
「気にすることありませんよ、隣人の為に自分が出来ることやるそれだけですよ」
ライバックが買ってきた食材はここの子供達や保護者の為なんだろう
見ず知らずの人の為に頑張る
ライバックの優しさはすごいと思う
それにライバックだけじゃない
子供達や保護者の事を考えて行動して優しさを配る大人がいる
私の知らない所でそんな思いやりのある優しい大人がいるんだ…
私も少しでもそんな大人になりたいと強く想った
「私も何か手伝いたいなぁ、ねぇライバック何かやる事ある?」
「手伝ってくれるのか?涙が出るくらい嬉しいな将来きっといいお嫁さんになれるぞ」
「それじゃあ悪いが調理の手伝いをしてもらってもいいか?」
「いいわよ」
「ねぇ?私達も何かやる事ある?」
恵美が話しかける
「お前達は俺が持ってきた食材と裏にある食料を丁重にキッチンに置いて、それから手洗いうがいしてから子供達と一緒にお絵描きや折り紙や勉強を見てやれ」
「それと食事前に手洗いさせてお皿と料理を運んで終わったら片付けをやってもらう。あぁ見送りもきちんとやってその後掃除も手を抜かずにマジメにやるんだぞ」
「はいはいご主人様、ついでにマッサージなんかもいかがでしょうか?」
「力がないお前にマッサージされても嬉しくも何ともないな、分かったらさっさと仕事に入れ」
「へい!へい!」
「はいは一回で十分だ」
「ぐぬぬ…このぉ……」
あまりにも私とは違う扱いにファイティングポーズをとる恵美
「ここで張り合ってもしょうがないわ、とにかくお子様のお相手をしないと」
恵美を制止する結子は指示を出した
「恵美は子供達と体を動かして遊んであげて」
「了解」
恵美は敬礼のポーズをして子供達の輪の中へ入っていった
「私は勉強の面倒を見るから、野村さんはそうね…絵本の読み聞かせをお願い出来ないかしら?」
「分かりました」
みんなそれぞれの持ち場に離れて行って
私は調理室へ向かった
そこにはライバックとボランティアの年齢が責任者のだいたい同じくらいの女性が数人いて調理の準備をしていたり料理の献立の相談をしていた
調理の手伝いをして思ったのはボランティアさんは調理の手際が良い事からおそらく子持ちか子育て経験がある人なのだろう
そしてコックと名乗るだけの事があってライバックの調理の技術や知識はずば抜けていた
若いボランティアが珍しかったのか話しかけられたりととても楽しく調理ができた
料理ができた
献立はかぼちゃのサラダとカレーでスパイスはライバックのお手製だそうだ
きっとスパイスは漢方薬店から買ったものだろう
コックとして本格的なものを出すプロの姿勢にはすごいと思った
そして惜しみなくボランティアさんに簡単にやる技術やレシピなど伝える
だからみんなライバックの事を慕っている
ライバックの懐の深さを改めて認識させられた
配膳するため部屋へ向かうと恵美も結子も野村さんもすっかり馴染んでいた
私達は同じテーブルでご飯を食べる事になった
「美味しいこんな美味しいカレー初めて!」
「そうね、私も初めてだわ」
「スパイスがこんなにも効いてる」
恵美も結子も野村さんも美味しそうに食べている
私も食べてみると確かにスパイスが効いているけど甘さや旨みでバランスがとれてとても美味しいカレーだった
「どうだ、ライバックお手製お手軽本格的カレーは?」
「すごく美味しいよ!」
恵美はそう答えて
2人の子供に話しかけた
「ねぇ、舞子ちゃん美奈ちゃん」
「うん、すごく美味しい」
「おかわり」
2人は恵美と一緒に遊んでいた子ですっかり恵美に懐いていた
おもむろにライバックが私たちに話しかけた
「かの山田方谷だったか河井継之助だったか言った」
「お札は軽いがよく飛ぶと」
「ん?誰ですか?そんな人聞いたことありませんけど?」
結子が聞く
私もそんな人初めて聞いた
「河井継之助は新潟県出身で藩の財政赤字を立て直し西洋武装して新政府軍と戦った偉人だ」
「でその師匠が岡山県出身の山田方谷で同じく藩の財政赤字を立て直すために人材育成や特産作りなどして赤字から黒字に変えた偉人だ」
「学校のお勉強だけでは視野が狭くなりがちだ、幅広く勉強して学ぶのが肝心だぞ結子」
結子はその話しを真剣な眼差しで聞いていた
「昔は物々交換が主流だったがお札や貨幣が発明されてから より便利に物が行き交いするようになり現在に至る」
「こうした活動をするにもどうしてもお札や貨幣が必要なんだ」
「お金の力は絶大だ、遊ぶ事も出来れば傷付ける事もできるそして、人を助ける事も出来るし喜ばす事も出来る」
「大切なのはお金をどう活かすかにあるんだ」
「お前たちもいずれお金を稼ぐ時が来たらこの事をよく念頭に入れて行動する事だ」
「そうすればお金に振り回される事なく生きる事ができる」
お金を活かす…
私にはまだ実感は湧かないけどいずれはその時が来るのだろう…
私はちゃんとお金を活かせるだろうか?
「お兄ちゃんだ!」
「お兄ちゃーん!」
舞子ちゃん美奈ちゃんが声をかけた
その先には吉永翔太がいた
「あれ?お兄ちゃんって吉永だったんだ!」
恵美や結子に野村さん私も驚いたけど吉永君も驚いていた
「あれ?みんななんでここに?」
恵美が答えた
「ここでお手伝い、吉永こそどうしてここに?ここ隣町だよね?」
「それは…その…」
「ここなら友達たくさん出来るからわざわざここに来ているんだよね?」
みんなは事情を知らないけど私は知っている
私は助け船を出して切り抜けようとした
「そ…そうなんだ、ここなら思っ切り遊べるしね」
「確かにここなら同じ世代も多いしね」
「なるほど、分かるよだって2人とももう友達だからね」
結子恵美が話し
恵美の言葉に舞子ちゃん美奈ちゃんが嬉しそうに頷いていた
そんな中
そっとライバックが私に話しかけた
「心配するな彩菜、君はちゃんとお金を活かしている」
「自信を持て」
突然の声に振り向くとライバックはボランティアさんと会話していた
たまに心を見透かすような行動には驚くけど
でも今日はすごく嬉しかった
その後は子供達は帰宅していった
舞子ちゃんと美奈ちゃんは恵美との別れにすごく名残惜しそうだったけどまた会えるって聞いて
嬉しそうに吉永君の手に引かれて帰宅した
私たちは片付けをした後ライバックは責任者さんと話しがあるとかで先に帰る事にした
道中今日の出来事や子供達と遊んだ事など色々話しをした
それぞれの帰路について
そして今はわたしの部屋にいる
今日は最初はハラハラしたけど色々深く考えさせられたり
とても楽しく充実した日だった
でも明日から登校だ…
どうなるのか
いじめが続くのか心配だし
怖いけど…
でも今日はこの幸せを深く噛み締めながら布団に入った
願わくばまた4人で仲良く過ごせる事を願って……
彩菜の家の外
二階の部屋の電気の灯りが消えた
肩よりも下に髪の毛を伸ばし右左にリボンをつけた女子中学生
その子はとても悲しそうなとても寂しそうな目で灯りがついていた部屋を眺めていた
「………」
「そんなに会いたいなら会えばいい」
突然の声に驚き振り返る女性
そこには外国人の男性がいつの間にか立っていた
「あんなコソコソとストーカみたく眺めなくたって彩菜結子恵美はお前を受け入れてくれるぞ?」
「………」
「コソコソストーカって何の事ですか?」
「惚けるな、今日1日俺たちの事ずっとつけていただろ?」
「何の事ですか?」
手は震えて心臓をバクバク冷や汗かきながらも顔だけは平然になるよう努めた
男は胸ポケットから写真を数枚取り出し女性に見えるように見せた
女性が双眼鏡で見ている写真や公民館のそばにいる写真に入り組んだ路地にいる写真にスーパーにいる写真だ
「これお前だろ」
女性は平然を装うことを放棄した
まさかそんな!
いつの間に撮られていたのかと驚かずにはいられなかった!
「ど…どうして…」
「あんなバレバレな尾行なんかここにいますよと言っているようなもんだ」
とにかくこの男はえたいがしれない
「…帰ります」
男を背にして歩き出した
「構わないぞ、どうせまた会うしな」
後ろから男の言葉に内心ヒヤヒヤしながらも女性は振り向きもせずに行った
今回は彩菜ちゃんの成長と楽しい時間を過ごす事が結果的に多くなりましたが
やっぱり彩菜ちゃん達は幸せに過ごして欲しいですし書いていてもウキウキして執筆できました
次回は登校になりますがどう進めるか悩ましいですが上手に執筆出来ればと思います
また投稿に時間がかかると思いますが気長に待っていただけたら幸いです