沈黙の復讐教室   作:またねや

12 / 12
大変お待たせしました
楽しんでいただけたら幸いです


宣戦布告(前編)

 

 

「お母さん行ってきます」

 

「いってらっしゃい」

 

私は勢いよく玄関の扉を開くと少し軽い足取りで歩いた

 

 

いよいよ待ちに待った登校日が来た

自宅待機中に色々あったおかげで随分長く待った気分だ

 

いつもなら重い足取りで学校に着き地獄と化した教室でイジメや暴力に怯え傷付き絶望する日々だった

 

今日もその事には変わりは無いけど一つだけ違う事がある

 

「彩菜おはよう」

 

 

「おはよーう」

 

聞き覚えのある声振り向くとそこには結子に恵美の姿があった

 

 

 

 

「おはよう結子、恵美」

 

私は嬉しさのあまりいつもより少し大きい声をつい出してしまった

 

 

「今日はいつもより元気いっぱいだわね」

 

 

「昨日は美味しいカレー食べたからね」

 

 

「なるほどね」

 

登校中にいつものように

結子と恵美とのたわいの無い会話いつ振りだっただろうか?

 

 

「どうしたの彩菜?大丈夫?」

 

 

恵美が心配そうな目で私を見る

 

 

気付けば目からは涙が滲んでいた

 

もう親友と一緒に登校する事なんてもう無いのかと思っていたけど

また一緒に登校する事ができる日が来るなんて…

 

 

ライバックには深く深く感謝したい気持ちだ…

 

 

 

そうとも知らない恵美は狼狽えながらも慎重に聞いた

 

「やっぱり登校するの怖い?無理に登校しなくても別の日にする?」

 

 

「そうじゃないの…また一緒に登校することが嬉しくってついね…」

 

 

そう言うと結子と恵美はしみじみとしながら照れ臭そうに答えた

 

「確かに随分と久しい感じがするわね」

 

「確かにね…長く感じるよね」

 

そう言った後結子は私の目を見て話した

 

「彩菜心配しないで、クラスの事は私が何とかするから…だから安心して」

 

「私も今まで以上に頑張るよ、もう彩菜が傷付く姿は見たくないし…」

 

 

「ありがとう、2人がいてくれればなんか大船に乗った気分だわね」

 

 

「そう言ってもらえるとありがたいわね」

 

「どーんと任せなさい」

 

「そうやってすぐ調子に乗る」

 

 

「ごめんごめん」

 

 

ごく普通に楽しく会話しながら登校する様は正にごくありふれた光景だ

 

これで無事に学校を過ごせれば御の字なんだけどね…

 

 

 

そんな淡い希望はものの見事に打ち砕かれた…

 

 

 

私達は校門をくぐり玄関を抜けて教室へ向かう

 

教室へ近づくにつれて今後どうなるかと思うと足取りが自然と重たくなる

そして一悶着が起きた

 

廊下で待ち構えていたのか私をいつも激烈にイジメる詩織と真央の姿があった

 

心臓がドキッとする

またいじめられると思うと恐怖が蘇ってくる

 

 

 

その途端に私の手を強く握り締める感触が

その方向へ目を向けると恵美が心配そうに握っていた

 

「大丈夫、私達がついている」

 

ボソッと結子の声がした

 

そんな2人のおかげで恐怖を抑えながら私は前へ一歩歩き出した

 

詩織と真央も私達に気付いたらしく私達の方へ歩き出す

 

 

そして…

 

「あれ?滝嶋さんあんな大騒動になったからもう学校に来ないんじゃないかと思ったよ?」

 

詩織は侮蔑の目で結子に話しかけた

 

「えぇ。おかげさまでまとまった休暇がとれて良かったわよ」

 

続けて真央が話しかけた

 

「へぇーそうなんだ、そこの生ゴミと一緒に来るなんて思っても見なかったけどね」

 

「言えてる、なんか臭うなーって思ったらやっぱりだな」

 

 

 

「生ゴミまで学校に登校するんじゃねぇよ」

 

 

2人の悪意ある言葉に心が暗闇に沈んでいく

 

このままいつものようにやられるがままに惰性的に乗り越えようかと思ったけど

 

昨日ライバックに言われた言葉が頭に過ぎった

 

『君は目の前の悪事を見過ごすこともなく、逃げる事もなく勇気を出して立ち向かった』

 

 

『それはとても尊いし誇るべき行いだ』

 

 

『その心を忘れるな』

 

今は違う…私は以前の私じゃない!

私はライバックに言われたら言葉を心に焚きつけて感情のまま言い返した

 

 

 

 

「私はゴミじゃない」

 

 

 

 

 

「ハァ!今何だって」

 

 

「私はゴミなんかじゃ!ない!!!」

 

 

 

 

「テメェ!何ほざいてるんだ!!!」

 

「もういっぺん言ってみろ!!!」

 

 

私が反撃した事に一瞬だけ怯むもすぐに言い返してくる真央と詩織

そんな真央に結子は冷ややかな目で言った

 

 

「あなた達聞こえなかったの?彩菜はゴミじゃないって言ったの...あなた達は人間の言葉も理解出来ないの?」

 

 

「アンタ達本当に低レベルだよね」

 

 

 

 

 

結子恵美の援護もあって2人は悔しそうな表情を浮かべながら私達を睨みつけた

 

「フン、今更友達面かよ」

 

 

「お前達だって共犯のくせに」

 

 

「そうね、だからこそ今度は絶対に見過ごさないし許しもしない」

 

「よく覚えておきなさい」

 

 

 

「グッ!このままで済むと思うなよ…」

 

 

 

 

結子の決意に2人はたじろぎながらも捨て台詞を吐いてから自身の教室へと戻った

 

 

 

 

「ありがとう」

 

 

「気にする事ないわよ」

 

 

「アイツら相変わらずに子供だよね」

 

「これで懲りれば良い子なんだけど、悪ガキはそうもいかないわね」

 

 

 

「行きましょう、そろそろ教室も近いし」

 

 

私達は一悶着を終えて歩き出した

心臓がバクバクする

あんなに啖呵を切ったのは真央達に水責めにあって以来だ

ライバックの言葉が私を前へ突き出してくれた

あれからちょっとは成長出来たかなとしみじみと浸っていると次の問題が起きた

 

 

 

私達が教室に着くと違和感が…

私の机と椅子が定位置には見当たらず教室の隅っこに乱暴に投げ飛ばされていた

 

真央と詩織をはじめ周りのクラスメートはクスクスと笑いながら傍観していた

 

 

真央と詩織の腹いせなのかは分からないけど目の前に出来事に久々の登校に歓迎されていない事実を突き付けられた

 

 

「何やお前も来たんか?」

 

「また病院にでも行ったかと思ったぜ」

 

 

「また入院でもすればええのに」

 

辻村と阿部が私を見るや否や暴言を浴びせる

クスクスと笑う声が心ばかりか少し大きくなった気がする

まるでドジをして笑われるピエロの気分だ…

 

「彩菜が来ちゃ悪いわけ?」

 

「何や?」

 

「男のくせに本当にウザいよね」

 

「何やと!」

 

 

 

 

「彩菜の机と椅子...誰がこんな事したの?」

 

辻村と恵美が火花を散らしている中

それを遮るようにクラスメートに聞こえるように辺りを見渡しながら聞く結子

 

 

当然ながら誰も答えもせず笑い声しか聞こえない

 

「聞いたって無駄だったわね」

 

 

そう言うと転がった私の机と椅子に近づくと机を掴み私の席の所まで運んで行く

恵美もそれにならって椅子を運んでくれた

 

「ハイ、これでOKね」

 

 

「ありがとう結子、恵美」

 

 

「これくらいお任せあれ」

 

 

私の机と椅子は元の定位置に戻り改めて親友のありがたさを実感した

 

「何や?お前らそいつの味方をするんか?」

 

「この前までシカトしたくせに今更正義の味方かよ?」

 

 

辻村と阿部の言葉に結子は毅然とした態度で答えた

 

「正義の味方なんておおそれた事なんかじゃないわよ、彩菜は私の友達だからあなた達の行いを見過ごせない...ただそれだけ」

 

「分かったらさっさと席にでも着いたら?」

 

 

「そんな奴に気配りするなんてクラス委員様は偉いよなぁ?」

 

 

「偉いと理解しているなら無駄口は叩かない事ね」

 

 

それを聞いた辻村と阿部はそそくさに散っていた

 

「彩菜大丈夫?」

 

 

「私は大丈夫」

 

「バカを相手にすると疲れるわね」

 

こうして私は席に着くと誰かの会話が耳に入った

 

「何か前より空いてないか?」

 

「まさかまた来ないって言うんじゃないよね?」

 

 

辺りを改めて見渡す

今は古賀さん夏目さん森谷君に楓と千鶴が居なかった

一真は暴力事件でまだ謹慎中だ

そして

私達は前もって知っているけど今度は大輔と五十嵐がいない

だから以前よりも人数がスカスカだ

 

 

 

 

 

続けてこんな会話を耳にした

 

 

「そういえば古賀見た!なんか以前とは違いすぎるよね」

 

 

「わかるわー、なんか生気がないって言うか...ゾンビみたいな」

 

 

「何か保健室で一旦休んでるみたい」

 

 

 

古賀さん来るんだ…あんな事あったけど登校すると言う事はある程度はトラウマを克服したのかな?

なんて呑気に考えていた

 

「古賀さん来るんだね…大丈夫かな?」

 

「たぶんね?まぁ人が減るよりかは良いわよね」

 

きっと結子も恵美もそこまで深く考えてはいないのだろう

 

 

 

 

「古賀だ…あれ大丈夫なんか?」

 

 

そう聞こえたのでふっと扉の方を見ると

 

 

古賀美里が現れたが…

 

彼女の姿を見て私は驚愕した

 

 

目が虚ろで焦点が合ってなく くまがひどい

表情もとても暗く姿勢も全体的に見て気だるい感じだ

 

 

 

「あれ…古賀さんなの…」

 

 

「見る影も無いわね…」

 

 

私も結子も恵美も学校へ登校するくらいだから以前ほどとはいかなくても大丈夫だろうと思ったけどライバックに植え付けられたトラウマは思っていた以上に深刻だった…

 

 

そう思っている中、古賀さんの目線が私を捉えた

 

「ヒィ!」

 

化物にでもバッタリ会ったかのような怯える表情

さらに顔色が悪くなり体は震え出し

蛇にでも睨まれたが如く動かなくなってしまった

 

 

 

 

 

 

その後だった

 

「古賀さん大丈夫?」

 

 

山瀬裕也が現れた

 

 

「だ…大丈夫…」

 

どう見ても大丈夫じゃないと思うけど裕也はそれを聞いて安心したのか

みんなに向けて話し始めた

 

「みんな、大事な話があるんだ」

 

 

「川本君が大怪我して入院した」

 

突然の出来事に私達以外は衝撃が走った

 

「どう言う事や!川本が大怪我したやんて!」

 

「僕にも分からない、朝突然先生に呼ばれて行ったらそう言われたんだ」

 

「何がどうなって大怪我したかなんて分からない…」

 

「それと五十嵐君もしばらく休むって連絡があった」

 

 

どよめく教室

一体何が起きているのか訳もわからず戸惑うクラスメイト

でも私達はその雰囲気に合わせながらも内心はあっさりしていた

私達は当然知っている

大輔の大怪我も五十嵐が学校を休むのも

 

 

「呪われてるなこのクラス」

 

 

「みんな死ぬんじゃないのか?」

 

ざわめく教室の中

下品な言葉を発する人間がいた…

峰嶋貴志だ…

 

ある事ない事人の悪口を吹いて回るのが趣味

そのせいで男子にも女子にも煙たがれている

 

 

「オイ!そんな言い方!」

 

峰嶋の言葉に亮も不快感を露わにする

だけど峰嶋には気にする素振りもなく続けた

 

 

「藤沢彩菜にな」

 

矛先が私に向いた…

みんなの視線を感じる…

鋭く突き殺すようなそんな視線が…

 

 

「峰嶋!あんた何ふざけた事言ってるのよ!」

 

 

「だってこの中で一番クラスみんなを恨んでいる奴なんてそいつしかいないだろ」

 

「お前ら2人もいずれ藤沢に呪い殺されるじゃね?」

 

 

 

「あんたねぇ!!!」

 

ニタリと笑う峰嶋の言葉に怒りを露わにする恵美

 

「古賀さんどうしたの?」

 

裕也が心配そうに声をかける

古賀さんはしゃがむと頭を抱えてガクガクと震えながら呟き始めた

 

 

「殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される」

 

 

 

そう呟くと突然古賀さんは立ち上がり

私に向かって全力疾走で駆け寄って

すがるように私を抱きしめ私を見上げた

 

 

 

「彩菜……」

 

 

 

「ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさいごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい許して下さい 許して下さい 許して下さい 許して下さい 許してください 許してください 許してください 許してください 許してください 許してください 許してください 許してください 許してください 許してください 許してください 許してください 許してください 許してください 許してください」

 

恐怖のあまりにパニックを起こしてしまった古賀さん

どう宥めるか悩んでいると事態は思わぬ方向に…

 

    

「やっぱ彩菜(コイツ)が疫病神じゃね?」

 

「ハ!コイツはただの性悪女やがな!」

 

真央と辻村の発言でさらに私への視線の切れ味が増した…

 

 

「オイ無視してんなよな!」

 

 

私へ詰め寄ろうとする真央

 

「や…やめなよ…藤沢さんは悪くないだろ」

 

 

えっ?

と思い声をする方へ向くと吉永君だった…

 

 

「何でもかんでも藤沢さんのせいにするなんて良くないよ」

 

珍しく自分の意見を言う吉永君

でも真央は容赦しなかった

 

「何だよ、お前まで彩菜を庇うんかよ?」

 

「そんな事したらどうなるか分かってんだろうな?」

 

「いや…でも…」

 

「吉永君...私は大丈夫だよ」

 

 

「藤沢さん…」

 

 

「テメェ何偉そうにしてるんだよ!!!」

 

癪にさわったのか怒りの感情を私に思っ切りぶつける真央

 

 

「やっぱり藤沢は疫病神だな」

 

 

「アンタまだそんな事言うつもりなの!彩菜は疫病神なんかじゃない!」

 

 

「言えてるな、こんなゴミいらんし」

 

 

「藤沢早く居なくなってくれないかな」

 

 

ここに乗じて峰嶋が悪口を吹いてみんなが乗じ始めた

恵美も反論すれども焼石に水だ…

 

 

悪意ある言葉に耐えられない

自分の耳を引きちぎってやりたいくらいだ…

 

 

クラスが大荒れになりどうすればいいのか戸惑う結子に裕也

 

そこにさらに油に火を注ぐ事態に…

 

ちょうどタイミングが悪く担任の先生が来て

この事態に驚いた

 

「何が起きているんだ!」

 

 

裕也は慌てながらも事情を説明した

 

「ちょっと藤沢さんの事で…」

 

「藤沢、お前は問題ばかりしか起こさないのか!」

 

校内で色々な事件が起きてストレスが溜まっているのか?イライラしていたのか分からないけど

何故か矛先が私に向いた事に愕然とした…

言うべき相手は私では無いのに…

弱い立場の人間になら八つ当たりしやすいのかと失望していると

流石の結子も反論した

 

「先生...この問題は彩菜が引き起こした訳ではありません」

 

 

 

 

「滝嶋!!!お前はクラス委員なのにこんな時でもまとめられないのか!!!」

 

 

 

 

「…八つ当たりか見過ごすしか出来ない頼りない人が担任なので参っています」

 

 

「何だと!!!」

 

「そんな事ならお前の内申書を考え直さないとな!」

 

 

「私が成績の事なら何でも言う事聞くと思っているのですか!」

 

話しがつかない担任につい毒を吐いてしまった結子

それがさらに担任の神経を逆撫でにする

 

いよいよ収集がつかなくなった…

 

どうすれば良いのだろう…やっぱり私は疫病神なのか…自分が折れるしかないのかと頭によぎる

 

そんな時だ

 

 

 

 

 

「よーしみんな揃ってるな、お前達席につけ」

 

 

聞き覚えのある声!!!

声のする方へ向くと

そこにはライバックが居た!!!

 

「ライバック!!!どうしてここに?」

 

 

 

 

「彩菜お前も席に着け」

 

 

私の質問に答える事なく席に着くよう促すライバック

 

「あ!あんたはあの時の!!!」

 

「あなたは!!!」

 

亮と美穂だけはびっくりした顔をしてライバックを見ていた

そのセリフだとどこかで会ったのかな?

他の人は突然知らない人が来たから2人以外は除いて怪しんでいる

 

「あんた誰よ?」

 

「誰だコイツ?」

 

 

 

 

「え!どうしてここに?」

 

 

「どうしたの!」

 

 

結子と恵美も当然驚いてライバックを眺めていた

 

 

「いいから席につけ」

 

 

はっきりと通るような大声で促すライバック

でも突然知らない人が来て座れと言ってもみんな動揺したり怪しんだりして座るわけもない

 

 

 

「お前誰だ!」

 

見ず知らずの人が来て一番驚いたのは担任の先生だろう

不快感をあらわにする担任の質問にライバックは平然とした態度で答えた

 

 

「俺か?俺はな、役立たずの担任の代わりにやって来た特別臨時教師さ」

 

 

「分かったらとっとと引っ込むんだな」

 

 

「担任は私だ!勝手な事をするな!私の前から消え失せろ!!!」

 

 

そう言って担任はライバックに詰め寄る

 

 

「消え失せろだと…」

 

「俺は特別臨時教師だ」

 

 

 

「だから何だ!!!」

 

 

 

「口の利き方に気を付けろ」

 

そう言うとビンタを打ちかまし

担任はふにゃあとあっさりと気絶して倒れてしまった

 

「何やってるんですか…」

 

 

結子のお咎めも耳にせずそのまま担任を引きずり出して掃除道具入れにぶち込んで閉めた

 

「そこで頭でも冷やしていろ」

 

そう捨て台詞を言うと

ライバックは教卓の方へ歩き出しみんなを見渡しながら話した

 

 

 

「さて今日の授業は道徳だ」

 

 

 

「テーマは()()()だ!」

 

 

「いじめはダメ!ノー!分かるか?お前達の足りない頭でもわかるだろ」

 

 

「まあ虫けら以下のお前達に言っても無駄かもしれないがな...」

 

 

 

 

みんなも薄々気付いている…

この人は教師なんかじゃない事を…

 

 

「何やコイツ」

 

 

「頭おかしいんじゃない」

 

 

 

「なんだよいきなり来て偉そうだな」

 

 

 

クラスのみんながヒソヒソとライバックの非難をする中

峰嶋がまた悪口を吹き回る

 

「オイオイ、お前自分のした事分かってんのか?」

 

「こんな時に道徳とか頭おかしいじゃないのか?」

 

「ママに一から勉強した方がいいんじゃね」

 

 

嫌味ったらしい峰嶋の言葉にライバックは怒る事もなくフラットな感じで答えた

 

 

「ずいぶんとおしゃべりだな」

 

 

「喋っちゃ悪いのかよ!」

 

 

「このデカブツのクズ野郎!」

 

自分は生徒だから殴られないと思っているのか?

それともここではさらに騒ぎは起こせるはずがないと思っているのか?

強気な威勢で毒を吐く峰嶋に皆がクスクスと笑い出した

 

 

 

「お前面白い奴だな…」

 

ライバックの低く冷静な声色に

この後起こるであろう出来事を想像してしまう…

 

私はついおせっかいを出してしまった…

 

 

 

「あのー…」

 

「何だよ」

 

「とりあえず謝った方がいいとおも」

 

「何だお前こいつとデキているのか?」

 

 

峰嶋の言葉にクラスはさらにクスクスと笑い始めた

 

それとは対象的に私は冷や汗をかきそうだった

これ以上何も言わない様に峰嶋に声をかけようとした時誰が私の手を掴んだ!

 

掴まれた方を見ると恵美が掴んでいて首を左右に振って話し出した

 

「もういいよ彩菜…こんな奴放って置こう…」

 

「何だよ、お前まで俺に何かあるんか?」

 

 

「アンタは彩菜の優しさを無駄にした…もうどうなっても知らない…」

 

 

そんな事はお構い無しにライバックは峰嶋に言った

 

 

 

「少し俺とゲームをしないか?」

 

 

「ゲーム?」

 

 

「簡単なゲームさ」

 

「両方が手を前に出して叩かれた奴がぶん殴られるゲームだ」

 

「3ポイント先取で」

 

 

「俺は手のひらを上へ出す、お前は手のひらを下に出す」

 

「両方の手のひらが合わさったタイミングで俺はお前の手の甲を叩けば俺の勝ち」

 

「逆に叩こうとした俺の手を避けたらお前の勝ち」

 

 

 

 

「どうだ簡単だろ」

 

ライバックはニヤリと笑いながら峰嶋を誘う

 

 

「そんなゲームやってられるかよ」

 

 

そう吐くと峰嶋が後ろ向き始める

その時だった

 

「逃げるのか?」

 

 

「何だと…」

 

ライバックの言葉に反応した峰嶋がライバックを睨みつけるがライバックはお構い無しに話し続けた

 

「さっきから思ったんだがお前は口先だけは一丁前だな…」

 

 

 

「日本ではそう言う奴の事を口では大阪城は建つ、能無しの口叩き、吠える犬は噛み付かぬとか言うんだよな」

 

 

「お前は吠えるだけの犬か?」

 

 

「何だと!」

 

またクラスのみんながヒソヒソ話し始めた

 

「オイ、アイツやると思うか?」

 

 

「どうせいつもの口先だけだろう」

 

 

「カッコ悪い」

 

 

ヒソヒソ話しの話題は私からライバックへそれから峰嶋に移っていた

状況の変化に少し焦る峰嶋

 

「何だよ!何だよ!!やってやるよ!!!」

 

ここで逃げればプライドが傷付くと判断したのかライバックの誘いに乗ってしまった

 

周りは他人事の様に楽しそうに眺めていた

 

 

「それじゃ始めるぞ」

 

 

ライバックは手のひらを上へにして前へ出した

峰嶋も手のひらを下にして前へ出した

 

「さぁ行くぞ…」

 

ライバックは手のひらを峰嶋の手のひらに合わせた

 

「へっ!掛かって」

 

バチッン!!!

 

 

と言い切る前に素早く峰嶋の手の甲を叩いた

 

 

「ダメダメ、反応が遅すぎる」

 

ライバックの手の速さに驚く峰嶋

でもすぐにニヤリと笑いながら話す

 

「まずはお前の勝ちだな、殴れよ」

 

「だけどな本気で殴ればどうなるか」

 

とまた言い切る前にライバックは思い切って峰嶋の腹部をぶん殴った

 

「グワァ!!」

 

ぶん殴られた峰嶋は後方へ吹き飛び腹部を抱えて悶えて苦しんでいた

周りはさっきまでは歓声を上げるまでとは言わないけど楽しんでいたが

この状況を見て真っ青になった

 

私たちからしてみればこうなる事は想像できたのだが

もう真っ青になりながら成り行きを見届けるしかなかった

 

「どうした?これでおしまいか?やっぱり口先だけなのか?」

 

 

「何だと…」

 

ライバックの挑発に峰嶋は悶え苦しみながらもライバックを睨み付けていた

 

 

「お前は吠えるだけの犬じゃないんだろ?さあ立てよ」

 

 

峰嶋はその言葉を聞いたからなのかふらふらになりながらも立ち上がりライバックの前まで来た

 

「さぁ、手を出せ」

 

ライバックが手を出し

峰嶋は恐る恐る手を出す

 

ライバックが手を合わせようとすると警戒してなのかすぐに引っ込める峰嶋

 

そしてライバックの手に峰嶋は恐る恐る合わせた

 

バチッン!!!

 

またライバックが峰嶋の手の甲を叩いた

 

 

ライバックはウンウンとニヤリと頷き

峰嶋は冷や汗をダラダラと流していた

 

そしてまた峰嶋の腹部を思いっきりぶん殴る

 

「グワァ!!!」

 

峰嶋は後方へ転げてうずくまった

 

 

「オイオイ、こっちはリーチなのにお前は1点も取れやしない」

 

「情けないとは思わないのか?」

 

 

苦しそうにうずく峰嶋にライバックは相変わらずの調子で話しかけた

 

「このクソ野郎がぁ…」

 

そして何とか立ち上がった峰嶋はまた手を恐る恐る出した

ライバックも手を出した

 

今度はライバックがフェイントを仕掛けて峰嶋はヒヤヒヤしながら手を引っ込めたりしたが…

 

 

バチッン!!!

 

また峰嶋の手の甲を叩いた

 

「それじゃ遠慮なく」

 

峰嶋の腹部を渾身の力を込めてぶん殴る

 

「グワァ!!!」

 

峰嶋はまた転げながらうずくまった

 

「グエェ…」

 

苦しそうにうずいてしまいには吐いてしまった…

 

 

「よーし、3ポイント先取...俺の勝ちだな」

 

 

ライバックは勝ち誇った様な感じで腕を上げて喜びを表していた

 

だがこんな状況を山瀬裕也が黙っている訳がなく

 

 

 

「ちょっと何をやっているんですか!そんな横暴なやり方許されませんよ!」

 

 

普段おとなしい裕也が止めにかかった

まあもっとも今は異常事態だから当然と言えば当然だった

 

 

()()だと?そいつは誤解だ」

 

 

 

 

 

「それじゃお望み通り平和的に解決しようか」

 

 

とても嫌な予感がした…

ライバックのやる事は私たちの想像を遥かに超える事をしでかす…

 

 

そう言うとライバックはうずくまっていた峰嶋の手をひねり出し

上へ上へとあげた

すると峰嶋も痛さを和らげるためにも立ち上がざる負えない状況に…

 

「このクソ野郎が!離せ!」

 

 

「クソ野郎だぁ?クソはお前だ」

 

 

「日本には口は災いの元と言うことわざがある」

 

「たしかにそうだ、災いは口から出てくる」

 

「だが安心しろ、俺がその災いの元を塞いでやるよ」

 

 

ライバックはひねっていた手を峰嶋の後頭部側へ回した

 

「な!何をするんだ!」

 

「いいか!それじぁ行くぞー」

 

 

峰嶋の頭を掴み今度はそばにあった机の角に口を突っ込むような形に叩き込んだ

 

「グアァ!!!ナァニシヤガル!!!」

 

峰嶋の口には机をかませている状態なのではっきり喋る事が出来ず口の周りには強引に入れたからだろう血が少し滲んでいた

 

 

 

「お前は今日に至るまで実にくだらない言葉を散々彩菜に浴びせ傷つけてきた」

 

 

「さあ、今この場で今までの事を謝罪をして彩菜に許しを請うんだ」

 

 

 

「ダレガイウガーーーー!!!」

 

 

ドカッ!!!

 

「ヴヴヴーーー!!!」

 

ライバックは拳を峰嶋の頭上から強く殴った

殴った衝撃が歯に伝わりその痛さに峰嶋は悲鳴をあげた

 

「ゴノクゾヤロォーーー!!!」

 

 

 

「もう一度言うぞ彩菜に許しを請うんだ!」

 

 

「ヴルゼァエエエーーー!!!」

 

 

ドガッ!!!

 

 

「ヴヴゥーーー!!!」

 

必死の抵抗にライバックは容赦なく拳を振り下ろした

 

 

「言い方を変えよう、とっとと謝れゴミクズ!」

 

 

「ギエローー!!!ゴミガーーー!!!」

 

ドガッ!!!

 

 

「口の利き方がなっていないな」

 

ドガッ!!!

 

「このクソが!」

 

 

ドガッ!!!

 

「これでもか!」

 

ドガッ!!!

 

 

タダでさえ無理矢理口に机の角をぶっこまれたのに

さらにそこから何度も殴りかかれば歯には相当な衝撃がくる

 

貴志の口から血が染み出して小さな湖みたいに広がった

 

 

 

ご丁寧に貴志の身体はライバックが掴み固定して机から離れないようにしてそしてまた躊躇なく何度も殴りつけその度に貴志は言葉にならない悲鳴を上げた

 

「アヤナァー!ユルジテグレェー!」

 

 

「なんだって?」

 

ドガッ!!!

 

「ヴヴゥーーーー!!!」

 

 

 

「大きな声でハッキリと、心を込めてな!」

 

 

 

ドガッ!!!

 

 

「アヤナァー!!!ユルジテグレェー!!!」

 

 

 

 

「よーしその言葉信じてやる」

 

そう言うとライバックは峰嶋を拘束するのをやめた

峰嶋は拘束から解放されて口を開けてかまされた机から離したが

そこには血の湖と歯が2個転がっていた

 

 

 

「彩菜こいつの事許してやるか?」

 

ライバックは優しく話しかけてくれるが

あの状況はもう見るもの耐えられなかった…

 

 

「…う…うん、許すからこれ以上はやめてね…」

 

「...こんなゴミに情けをかけるなんて彩菜は優しいな」

 

 

「ゴノゴミ女ーー!!!ブッツブシテヤル!!!」

 

歯が抜けてしまったのか濁音混じりの言葉を吐く峰嶋にライバックはうんざりしていた

 

 

「ハァー...信じた俺がバカだった…」

 

 

「よく聞け、彩菜には今俺がついている、ぶっ潰すんならまず手始めに俺をぶっ潰してからにするんだな」

 

 

「アァ!!オノゾミドオリニシテヤラァ!!!」

 

怒り狂った峰嶋はライバックに思い切り拳を向けるが

ライバックは向かってくる拳をひねり上げて再び空いた手で峰嶋の後頭部を掴み勢いよく血の湖がある机に向けて顔面を叩き込んだ

 

「グワァ!!!」

 

しかもこれで終わりではなく何度も叩き込んだ

 

そして叩き込み終わると峰嶋はそのままぐったりと倒れ込んだ

 

 

みんなこの状況に騒然とする

だけど山瀬だけは違った

ライバックに近づいて非難した

 

「あなたは一体何をしたのか分かっているのですか!?」

 

「これは暴力ですよ!許される事じゃありませんよ!」

 

 

「さっきからも言っているがこれは暴力じゃない、口を塞いだだけだ」

 

どっから見ても暴力にしか見えないので

山瀬裕也は続けて言った

 

「彼を見てそんな事が通用するとでもあなたは思っているのですか!?」

 

裕也は手のひらで峰嶋を指し示しその後ライバックへ指し示した

 

 

「人の話は最後まで聞けってママに教わらなかったか?」

 

「こんな子に育てた()鹿()()()()に代わって俺がきちんとしつけてやるよ」

 

そう言うとライバックは自身に指し示された手の指を1本掴むと反対方向へ曲げた

 

「グゥアァ!」

 

「いいか小僧、よーく覚えとけ()()と言うのはなこうゆう事指すんだよ!」

 

 

指を掴んだ手ごとそばにあった机の上に置いて掴んだ指をバッキと折り曲げた

 

 

 

 

 

 

「アアァ!!!」

 

指を折られた痛さに顔を歪ませる裕也

 

さらにそこからライバックの拳がこれでもかと裕也の手に振り下ろされた

 

 

「グアァ!!!」

 

「痛いか?彩菜はもっと痛かったぞ!」

 

 

 

 

「その辺にして置け」

 

誰かがライバックの振り下ろそうとした拳を止めた

 

 

蓮だ…

 

いつも間にか教室に入っていてライバックと裕也の側に立っていた

 

「お前は確か常盤蓮だよな」

 

「札付きのワルだって聞いているぞ、もしかしてその札にはひらがなでレンって書いてあるのかな?」

 

「そうすると札付きじゃなくて名札付きになるな」

 

 

「あぁすまない、その名札にはポチと書いているのかな?安っぽい犬の名前だな」

 

ライバックの挑発に蓮の目付きがより険しくなる

 

 

「テェメエ…」

 

そう唸ると蓮はポケットからそろりと果物ナイフを取り出した

教室内が恐怖に包まれる

普通ならこんな状況に恐怖を覚えるがライバックは違う

 

 

「お前らマヌケどもはバカの一つ覚えのようにナイフを出すな」

 

 

「あぁ、そう言えばあの大輔とか言うバカもそうだったなぁー」

 

 

「大輔を知っているのか?」

 

ライバックのまったりとした言葉とは対照的に険しく目付きで反応を示す

 

 

「あのバカは極悪人だからなぁ...俺が飛び切り痛めつけてやった」

 

「コイツやな!川本を大怪我させた奴は!!!」

 

「あなたなのですか!」

 

ライバックからの衝撃的な発言に教室内はざわめく中

仲間を傷つけられた事に蓮が激昂しないはずもなく

 

 

 

「テメェ!切り刻むぞ!!!」

 

 

より険しい目付きで蓮はナイフをライバックの首近くに向けた

ライバックをナイフで脅すように

 

でも本人は何ともなく涼しい顔をしている

 

 

蓮を怒らせて何を考えているのか…

蓮がどう言う人間かも分からず馬鹿な奴だ…

誰もがどうせ蓮にやられると思っているだろう…

 

でも私達は知っている…

今蓮の目の前にいる大人は

蓮とは比べ物にならないくらい恐ろしい人間だと…

 

 

 

一瞬だった…

 

 

蓮のナイフを持つ手をライバックは

右手を手首辺りに

左手は手の甲辺りに

交差する様に払ってナイフをはたき落とし

 

右手を蓮の首根っこを掴み

左手は蓮のナイフを持っていた手を掴んだ

 

 

「聞け…」

 

「ヴッグ!」

 

 

低くドスの効いたライバックの声に

なす術もなくどうする事も出来ない蓮は

目で必死の抵抗をする

 

 

「ナイフを向けた野郎は殺す」

 

 

「だがもう一つルールがある、ガキは殺さない」

 

「お前はどっちのルールに従う?」

 

 

 

 

「グッ!」

 

どっちかも答えず苦しそうに睨み続ける蓮

 

 

「そうか…」

 

そうライバックが言うと首根っこを掴んでいた手を離すがその後手を振り上げて蓮の胸辺りを叩きつけ

蓮はそのまま仰向けに倒れてしまった

 

 

 

「それじゃ席に着け」

 

何事も無かったかのように振る舞うライバックに蓮が黙っている訳なかった

すぐさま叩き落とされたナイフを掴みまたライバックの方へ向けた

 

 

「舐めんじゃね!!!」

 

 

 

「オイオイ、なーよせって...こんな事して何になるんだ?もっと中学生らしく青春を謳歌したいだろ?スクールエンジョイライフを過ごしたいだろ?」

 

こんな状況でも動じずに呑気な態度が蓮を神経を逆撫でにする

 

「何ふざけた事言ってやがる!くたばりやがれ!!!」

 

蓮はナイフをライバックへ突き刺すが

ライバックは向かって来るナイフを

蓮の右腕辺りに右手で払い

空いた手を蓮の腕を掴む

その後払った手を

蓮のナイフを持つ手を掴む

 

そして掴んで蓮の腕を思っ切り首後ろまで押し痛みに顔を歪ませる蓮

 

 

「グゥア!!!」

 

 

その間にライバックは蓮の手を掴んだ手で

蓮がナイフを掴んだ指を無理矢理こじ開けた

するとナイフはまた落ちてしまった

 

 

 

 

 

「いいか?よく聞け」

 

バッシン!

 

 

左手で蓮の腕を思っ切り首後ろに引っ張りながら右手で蓮をビンタした

 

 

「さっき言っただろう?」

 

バッシン!

 

 

「俺はなぁ、カギを殺したく無いってな!」

 

 

バッシン!

 

 

「俺を本気で怒らせるな!」

 

 

バッシン!!!

 

そう言うと思っ切りビンタをする

蓮は呆気なく倒れてしまった

 

みんな今目の前に起こっている状況に呆然としている

 

 

 

 

「クソォ!!!」

 

そう叫ぶと蓮はまた立ち上がり教室の一番後ろ側に行く

今の蓮はプライドをズタボロにされているから何をしでかすか分からない

ハラハラする私達に

 

 

ライバックゆったりと落ちていた蓮のナイフの刃の方を持つ

 

 

「おっと、こいつを忘れているぞ!」

 

 

そう言うと教室の一番後ろにいる蓮へ

ライバックはナイフを投げつけた

ナイフは蓮の顔から僅かに横の位置の掲示板の所に突き刺さった

まさかあんなに正確にナイフを投げるなんて…

さすがの蓮も一瞬怯んだ顔を見せて慌ててナイフを抜いた

 

「とっとと席に着くんだ...これ以上やられたくなければな」

 

 

そう言うと蓮は不快な顔を見せながらも席に着いた

 

 

みんなも驚愕な表情を見せながらも素直に席に着いた

まさか蓮相手に軽々と叩き伏せる大人がいるとは思っても見なかったのだろう

私達も突然こんな状況になれば驚愕せずにはいられないだろう

 

 

 

 

この状況にみんな青ざめて誰もが黙っていた

でもライバックは気にする事なく話し続けた

 

 

「俺はこれまでに色んな人間を見て来たが…」

 

 

「はっきり言ってお前たちのバカさ加減には希少価値がある」

 

 

「まぁこんなクズ共に守る価値はこれっぽっちもないけどな」

 

 

 

 

 

 

「さてと本題に入るが…その前にだ…」

 

ライバックはある生徒に目を向けた

その生徒は目を向けられているとわかると

さっきもライバックが出て来てからガクガク震えていたのがさらにガクガク震えだしこの世の終わりとも取れる顔をしてた…

 

「オイ!!!そこのガリ勉!!!」

 

 

古賀美里だ…

 

「お前...彩菜をはめたな」

 

美里は全力で首を振って否定の姿勢を出した

 

「しかもあのガリ勉2人は部屋にこもって反省しているのにお前は懲りずに開き直って来たな」

 

「ち…違うんです…お…お父…さん…に……無理矢理……仕方………なく…違う…です…お父さん…に…」

 

「おっと、自分の非を認めずに他人のせいにして口答えをするのか?」

 

古賀さんの顔がますます青くなっていく…

 

 

 

「この前ので懲りると思ったがまだ足りないみたいだな」

 

 

「そうだ!無駄に勉強、大好きなガリ勉のお前の為に特別授業を組んでやるよ」

 

「授業名は『二度と彩菜に歯向かえないように徹底的に心をへし折ってやる』だ」

 

「授業内容は有刺鉄線でキツキツに縛り上げて水責めとナイフのオンパレードだ」

 

 

「あ・・あ・・・」

 

 

 

あまりにも絶望的な授業内容に古賀さんはついに涙をポロポロ流し呆然としていた…

 

 

 

 

「どうだ!涙が流れるくらい嬉しいか?ガリ勉にはたまらない授業だ!ワクワクしてきただろう!」

 

 

「もう……や………だ…………」

 

 

 

絶望に打ちひしがれる古賀さんの姿は

もう見ていられなかった

私は古賀さんの所まで歩く

古賀さんは私が目の前に来て酷く怯えているが

私はしゃがみ優しく里美を抱きしめた

 

「大丈夫…大丈夫…」

 

 

「あ・・や・・・な・・・」

 

古賀さんのか弱い声を聞いた後私はライバックの方を向いた

 

 

「古賀さんにそんな授業必要ないでしょ」

 

 

「だから授業は中止にして、お願い」

 

 

 

 

 

「そうか?俺には泣いて免れようとしか見えないな、さらに痛めつける必要があるんじゃないか?」

 

 

「ヒッ!!!」

 

 

「ライバック!!!」

 

 

「分かったよ…オイガリ勉、彩菜に谷のごとく深く深ーく感謝するんだな」

 

 

「彩菜!!!ありがとう!!!ありがとう!!!ありがとう!!!ありがとう!!!ありがとう!!!」

 

 

里美は涙を流しながら私をすがるような格好で強く抱きしめて感謝の言葉を言い続けた

 

そんな様子を気にするでもなくライバックは皆んなに向けて話し始めた

 

 

「さて...本題に入るとするか」

 

「この教室ではイジメが起きている」

 

 

「彩菜を傷付け苦しめている馬鹿どもがクラス内に何人もいる」

 

「なのにいじめた奴らは何も罰を受けずにのうのうと生きている」

 

 

「こんなゴミクズを許すわけにはいかないな」

 

 

ライバックの発言にクラスのみんなが黙っているわけもなく…

 

「さっきから勝手な事言わないでよ」

 

 

「いじめ?何のこと?」

 

「知らないわね?そんなのあったかしら?」

 

 

「変な事言うな」

 

そして辻村も

 

 

「そんなに言うんなら証拠はあるんやろうな?」

 

「証拠!」

 

「証拠!」

 

 

辻村は手を叩いて証拠のコールをした

 

「証拠!」

 

「証拠!」

 

 

 

「証拠!証拠!」

 

 

「証拠!証拠!証拠!」

 

 

辻村のコールに次第にみんなも合わせて証拠コールの大合唱を始めた

しまいには調子に乗った辻村は立ち上がっておどけた音頭とる始末だ

 

うろたえる私達とは対照的にライバックは実に涼しそうな笑顔をしていた

 

 

「証拠がそんなに欲しいならお望み通りに出してやるぞ」

 

その言葉に周りは一瞬シーンとする

その中でライバックはゆっくり歩き出し懐から何かをばら撒きはじめた

 

 

 

 

「ほら!よーく見ておけ!」

 

 

ライバックが通った後にはばら撒かれた物が落ちていた

 

みんなしゃがみながらばら撒かれた物を手に取る

 

私たちもそれを手に取る

見るとそれは写真だった

 

そこには私の机に落書きをしているクラスメイトの写真だったり

私が真央の指示で水責めにあっていた写真など

どれもいじめの決定的な証拠写真だ

 

 

「こんなのいつも間に…」

 

 

さっきまで余裕で音頭をとっていた辻村は真っ青につぶやいていた

 

 

 

「これを警察にタレ込んでやってもいいが…」

 

 

「現状での日本の法では甘々の処罰にされる」

 

 

「これではお前たちの罪に相応しい罰を与えて十分に反省させる事が出来ない...なんとも情けない話だ」

 

 

 

「そこで情けなく頼りない法に変わって俺がお前たちをたっぷり()()()()してやる」

 

 

 

 

ライバックの発言にクラスは沈黙する中それを破る者が…

 

 

 

「なぁ彩菜...お前このオヤジにどんだけ体売ったんだ?」

 

真央だった

ライバックとはそんな関係なんかないのに真央の発言に悲しくなる中

ライバックは真央を見ながら言った

 

 

「いいかパーアタマよく聞け、彩菜を侮辱することは俺を侮辱するのに等しいんだ」

 

 

 

 

「お前は飛び切りの悪人だから最後辺りにとびきりの恐怖を与えてから痛めつけてやる」

 

 

「だから今日の所は見逃してやる」

 

 

そう言うとライバックは真央の視線を逸らすが

真央は気にもせずに勝ち誇ったかの様に喋り続けた

 

 

「へっ!ゴミ女とこれから仲良くデートてっか!」

 

ライバックはウンウンとゆっくりと頷くと再び真央の方へ向いた

 

 

「今のは見過ごせなかったぞ」

 

 

ライバックは真央の方へゆっくり歩み出したが

真央はニヤリと気味の悪い笑みをうかべていた

さっきの事もあるのにどうしてと不思議に思うが

手元には何かを握っている

よく見るとコンパスを握っていた

 

真央のやろうとする事が容易に想像できた

そしてこれから起こる事も容易に想像できた

 

ライバックが真央に近づいた時だった

 

「くらえぇ!!!」

 

真央は隠し持っていたコンパスをライバックに目掛けて刺そうとするが…

 

 

 

ライバックは真央のコンパスを持つ手をいともたやすく掴むと手首を上へ曲げた

 

すると真央は痛さでコンパスを落として膝をついた

 

 

「いてぇ…いてぇよ………」

 

 

さらに犬の散歩のようなライバックが腕を横へ引っ張ると真央も痛さでつられて移動する

 

 

「痛いか?そうか?俺にはそうは見えないけどな?」

 

そして掴んだ手首を捻って下へ肘は上の状態になり

ライバックになされるがまま真央は身動きできない

 

 

「それじゃ早速だが彩菜に」

 

 

 

「その手を離せ!」

 

 

突然の強い言葉にビクッとしたが声の主は友達の真莉だった…

真莉はそう言うとライバックに近づいていった

 

「…何だって?」

 

 

「その薄汚れた手を離せっていてるんだよ!!!」

 

「それは心外だ、俺は職業柄 衛生面にはすごく気を使っているんだ」

 

 

 

「いいからとっとと汚い手を離せって言ってるだよ!!!」

 

 

 

 

「分かった…じゃあ離してやるよ…」

 

そう言ってライバックは素直に手を離したが…

その瞬間に離した手で真莉の鼻にめがけて顔面パンチをお見舞いした

 

モロに受けた真莉はバタンと倒れると鼻を両手で押さえながら痛みに悶絶していた

 

束の間を解放された真央だったが

ライバックは真央の背後から左手で真央の左手を掴んで捻りながら自身の右肩まで上げてガッチリと抱きしめて

右手で真央の首を掴んだ

 

 

 

 

「さあ、彩菜に謝るんだ。気絶してしまう前になぁ」

 

「だ・・だれが・・・言う・・・わけね・・・・・」

 

 

「そうか、じゃあ気絶するんだな。もっとも目が醒めればいいんだがな」

 

 

そう言うと真央の首を掴んでいた手に力がメキメキと入る

 

 

 

 

「あぁ・・がぁ・・」

 

 

真央を掠れた声と共に酸欠なのか痛さなのか目は白眼を向いていた

 

 

「うぉぉー!!くたばれーーー!!!」

 

また突然の声に驚いて声が出てする方へ向くと

いつの間にか詩織はT字モップを持って走り出しライバックの後方から

思っ切りぶちかまそうとした

 

 

が…

後ろにも目があるのではと疑いたくなるような素早い反応で後ろに振り向きざまに

詩織の持つモップの柄ごと空手チョップを叩き込み

柄はへし折ったように割れてそのまま詩織に直撃して後ろへ倒れてしまった

 

 

 

「この野郎!!!」

 

 

立ち上がろうと体を起こす詩織にライバックは詩織の顔面に回し蹴りを叩き込んだ

 

「ガッハ!!!」

 

 

思っ切り顔を90度振り向くとバタンと倒れてしまった

 

 

「さすがは希少価値だけの事はあるな」

 

その後ライバックはみんなに聞こえるように話した

 

「よく聞け!もし、彩菜に危害を加えようもんなら...」

 

 

 

「真っ先にそいつを処刑してやる」

 

「そして順番ずつ...1人残らず制裁を加えてやる」

 

「言っておくぞ」

 

「どこに逃げようが隠れようがムダだ」

 

「地球の裏側に隠れようが、宇宙へ逃げようが地中に潜ろうが...」

 

「宇宙の果て地の果てまで必ず追い詰めてやる」

 

ライバックの恐怖の宣言にみんなが顔を引きつられているが…

 

 

「こ…こんな事して許されると思ってんかいな!」

 

「人権侵害よ!プライバシーの侵害よ!」

 

「犯罪者め!」

 

「こんなの暴力だ!」

 

みんなガヤガヤと叫ぶがその内静まり返った

 

うるさくなったクラスを教師が静まり返させるように

ライバックから滲み出る怒りのオーラがクラスを黙らせた

 

 

 

 

そしてライバックは口を開いた…

 

 

 

「誤解がないように俺の信念ってモノを教えてやるよ…」

 

 

「お前たちみたいなゴミクズどもに人権なんてないんだよ」

 

「それでもあると言うなら…そんなもの俺が踏みにじってやる!」

 

 

そう言うとライバックは教室の戸を開けて出て行ってしまった

 

出てってしまった事にポカーンとしていたが

 

「待って!逃げんじゃね!」

 

「どこ行くんやぁ!」

 

 

すぐに辻村や真央が彼の後を追う為に戸を開けたが…

 

 

戸を開け左右を見たが人は誰もいなかった

 

 

「そんなバカな…」

 

「い…いない…幽霊か?あの野郎は…」

 

まるで幽霊でも見たかのように真っ青になる2人

 

実は今までの事は夢じゃないかと信じたくなるような数々の出来事

私自身もそうじゃないかと思い始めるが

でもさっき起きた事はすべて現実であり

血溜まりの机や刺さったナイフの跡や気絶した教員など

目の前に証拠がこれでもかと転がっていた

 

こうしてライバックのクラスへの顔見せは終わった…

 

普通だったらこの後警察に呼ばれてお縄についてざまぁみろで済んだ

 

でもライバックは普通じゃない

 

 

ライバックはアウトロー(無法)に対してはアウトロー(無法)で挑む

 

 

そしてどこまでも執念深く...そして徹底的に無慈悲に追い詰める...




お話しとしてはクラスに顔見せして対策を打った上で順番に制裁をする話しで行こうかなと考えていました
やっぱり悪人をぶちのめす所を書くのはとても楽しいですね
またマイペースに書き上げますが気長に待っていただけたら幸いです
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。