オヤジ怒る
病室
朝食が出ているけど
私は昨日の事が頭から離れられなかった。
なぜ分かったのかも気になるけど計画に支障が出るんじゃないかと震えた。大抵誰かが復讐すると口にすれば周りの人は良くないよと言って止めにかかるもの
「どうする…」
考えてもいい案は浮かばない。
あの男に何か行動を起こされたらもう復讐なんて出来ない、
そう思うと焦る。
朝食が出ているけど食べる気にはなれない。とにかく俯いて悩んでいた
「失礼しますよ」
聞き覚えのある声が聞こえ顔を上げた
「どうした!朝食に手を付けないなんて!この病院でダイエットでも始めるつもりか?勇気あるな」
あの男だ
「あなたは!」
驚きのあまりそれしか言えなかったけどそれ以上に驚く事を彼は言う
「彩菜ダイエットするなら三食きちんと食べてカロリーや脂肪や食べる量など計算しないとリバウンドするぞ」
「放っといて!」
彼が知っているわけもない事を言っているのに気付かずに苛立ちつい言葉を吐いてしまった
「私に……」
そして私は気付いた…
どうして私の名前を知っているのか…
そもそもたくさんある病室の中からどうして私のいるところまで迷わずに来れたのだろうか?
「ねぇ、どうして私の名前を知っているの?」
疑問に感じて答えを求めたけど…
「大した事じゃない」
彼は笑って答えた
「それよりもお前、俺に嘘をついたな」
私はまたビックとした、とりあえずはしらきればいいかと思い
「…何の事かしら」
と答えたけど…
「惚けるなよ、昨日のお昼を食わなかっただろう」
確信を持って言う彼に
何で分かったのと驚くしかなかった、考えても分からないだからこそ答えを求めた
「なんで私の」
「質問に答えてくれよ、俺が丹精込めて作ったんだからな」
「一口も食わないからにはそれなりの理由があるんだろう」
「これでも俺は料理人なんだ、ちゃんと訳を聞いて次回に生かしたいんだ頼むよ」
ここまで切実に言われたらもう折れるしかなかったと言っても私のやつが優先だけどね
「…分かった、ちゃんと話すから私の質問に答えて」
そうゆうと彼は喜んで
「そうか、とても助かるよ。で、質問は何かな?無理なく続けられるダイエット法か?それなら俺にいいアイデアがあるぞ」
と言った。何でこんな事言うのか分からなかった。私の話を聞いていれば何を聞きたいのかすぐに分かるのに
呆れて聞いた
「そうじゃなくて、どうして私の名前と私のいる病室あとお昼を食べなかった事を知っているの?」
「なんだそんな事か?」
キョトンとしてた
「さっきから聞こうとしたのだけどね」
「そいつはすまない、大した事じゃないから無視してたよ」
今さらりとひどい事言った。というよりも普通の人なら大した事だと思うけど…
「簡単な事だ、ここの病院のパソコンで調べた」
「パソコンで調べたってどうやって…まさかハッキング!」
パソコンで調べたと言われてすぐに思い付いたのがハッキングだけど
「そんな物騒な事は言わないでくれよ、ちゃんと丁寧に見せてくれとお願いしただけだ」
「お願いした!それだけで!」
ハッキングじゃなくてもお願いしただけで見せてくれる物だろうかこの個人情報のセキュリティーが叫ばれる時代に
「ここの院長とは知り合いでな、それでその院長にこうお願いしたんだ」
昨日の夕方 院長室
「まさか夕食まで料理を引き受けるなんて、どうゆう風の吹き回しだライバック?」
「実はなここの病院で料理をするのも悪くないかなーと考えてな」
「しばらくここに置いてもらってもいいかな?」
「あぁ、構わないよ。むしろ大歓迎だみんな喜ぶぞ。君の部屋とかの準備は秘書に任せるよ」
医院長は喜んで歓迎した…が…
「助かるよ」
「だが、この病院で働くには条件があるんだ」
「条件?」
医院長は首をかしげる
「ここの入院患者で一人調べたい奴がいてなここのパソコンを使わせて欲しんだが」
それを聞いた途端に医院長は顔を渋らせる
「それはダメだ、いくら君の頼みでも聞けないよ」
「どうして?」
「今は個人情報の管理がとても厳しいんだ、これから病院関係者となる君でもコックとして雇う以上は見せられないダメだ」
と明確に拒否した
「別にお前の一声でなんとかなるだろう?」
「責任を取らされるのは私なんだ、日本はそうゆう所が厳しいんだ」
「それは良くない慣習だ、心臓と血圧に悪いし早死にしてお前の商売も上がったり下がったりだな」
「そうとも言えるな」
「どうしてもダメか?」
「どうしてもだ」
「じゃあ仕方ない、それなら俺にも考えがあるぞ」
ライバックは秘策があると言わんばかりに強気にでる
「なんだ?」
強気にでるライバックに嫌な予感を感じた医院長、しかもそれは見事に当たる
「簡単な事だ、ボイコットしてやるのさ」
ライバックの言葉に驚く医院長
「さっきここに置いてくれと言ったばかりなのにもうボイコットするのか!」
普通に考えてもすぐボイコットはありえないが…
「あぁそうだ!しかもただのボイコットじゃないぞ」
更にありえない事をライバック言う…
「ここの調理室やベットや医療器具など院内にある物全てを破壊の限りを尽くしてやる」
「こんどは恐喝か!」
もうただ驚くしかない医院長にライバックは話し続ける
「恐喝とは人聞きが悪いお願いをしているだけだ」
「そんな事すれば警察が来て大騒ぎだぞ」
「いいじゃないか、受診に来た警察官はみんなまとめてライバック先生が我流で高額診察してやるよ」
「ただ俺の診察は超荒治療だからな、下手すれば重症患者続出だぞ」
「そこでお前たちが警察官を丁寧に診てやって医療費をふんだくってやれ、俺の稼ぎも含めて大騒ぎで儲かるぞ」
もうメチャクチャな理論にうんざりした医院長はもうこう言うしかなかった。
と言うよりもここで拒否したらライバックなら本当にやりかねない
「…ハーー、分かったよ、今回は特別に目を瞑るよ」
諦め顔の医院長とは対照的にライバックは嬉しそうに
「感謝するよ」
と笑って答えた
「で、誰を調べたいんだ。それくらいは教えてくれよ」
医院長は気になるそこまでして調べたい人なんて
「あぁ、構わんさ、失礼するよ」
そう言うとライバックは医院長の座っていた椅子に座りパソコンをいじる。院長は立ち上がりライバックの事を見る
「俺の作った特別メニューを食わなかったやつを探している」
それを聞き院長は皮肉を言った。いわば小さな仕返しだ
「それはそれは、調べて分かったらそいつを入院期間大延長してお金儲けでもするつもりか?」
「俺はそこまで極悪人じゃないぞ」
ライバックはあっさりとかわす
「あれだけの事言ってよく言うよ」
恨めしそうに見つめる院長をよそにライバックは作業を続けた。
パソコンにお昼の特別メニュー関するファイルがあり、そこに食べなかった人のリストがあった。
リストと言っても食べなかったのは一人だけだが…
「見つけた、藤沢彩菜か」
現在
「という風な具合だ」
彼の言葉に驚くしかなかったそしてこう言った
「それはお願いと言えるの」
彼はすまし顔でこう言う
「当然だろ、こうして頼んでいるのだから」
頼んだと言えるのだろうかと思う他なかった
「俺は答えた、次は君の番だ」
そう言うと彼は真剣な表情をしてこう言う
「どうして一つも食べなかったんだ」
彼の質問に仕方なく答えた
「食べる気分じゃなかった」
「どうして?」
私の計画は悟られたくなかったから濁して答えた
「そのー考え事してたから」
それを聞いた彼はニヤリと笑い
「考え事ってもしかして…」
そう言うとおもむろに私の引き出しからあの計画書が出され
「これの事か?」
私は真っ白になった、何で!どうして!
「皆にラブレター出すなんてすごいミーハーだな、感心するよ」
「もしかして中身を見たの!」
「見させてもらったよ、内容はダメだな。文才もなし分析もろくにしてない。小説家の道はまず無理だな」
ここまで言われて私は鋭く睨みつけて言った
「勝手に見ないで!」
「勝手にだなんて失礼な、ちゃんと断ったぞ」
彼の予想外の言葉に驚き少し冷静になった
「いつ」
「夜中にだよ」
「私は寝ていたわよ」
その時は凄く眠気が来て疲れたのかと思いすぐに寝たけど
「そうだったのか?知らなかったよ、いくら断っても喋らないから良いのかと思ったぞ」
彼の破天荒な理論に感情的に問い詰めた
「なんでそんな勝手な事を!!」
彼はまたすまし顔で答える
「無言は肯定とみなすとよくドラマなんかで言うだろう」
もう普通の人の会話が出来ない
「無茶苦茶だわ」
そう諦めるように吐くしかなかった
「昨日の夕食は美味しかったか?」
彼の突然の言葉に
「え?今までの中で一番美味しかったけど…」
私は素直に答えた。病院食は長く食べてきたけど昨日の夕食は入院中の中で…いや今までの人生の中で一番美味しかった
「夕食も俺がメニューを考えてみんなに指示を出したんだ」
へーと聞いていたけどその後とんでもない事を言い始めた
「実はな君が夜悩んで眠れないだろうなと思って君の分には特別な調味料を入れたんだ」
「調味料?」
嫌な予感がした
「あぁ、ここには沢山置いてあるから助かったよ。これを使えば夜はぐっすり朝はバッチリお目覚めだ」
これを聞いてとっさに言った
「睡眠薬を入れたのね!」
彼はケロリとして言った
「睡眠薬じゃなくて調味料だぞ、そこんトコロは間違えないで欲しいな」
彼の話についていけないと思った
「あとお前のラブレターだけど随分過激だなー。みんな引くぞとてもじゃないが彼氏彼女は出来ないな」
私はその言葉に心の底にある憎しみや怒りが一気に湧いてくるのを感じた。
もういいやどうせ私の考えていることは彼は分かっている。感情のままブチまけようと思った
「奴らはそれだけの事をした」
暗く低く憎しみを込めて言った
「そうか?どうせパンチラしたとか、消しゴムのカスを当てられたとかだろう?」
彼の軽い発想に私の我慢の限界を超えた
「そんなんじゃない!!!毎日が地獄だった!!!いじめられ暴行に恐喝それに脅迫に集団無視!!!そして私は……」
そう言うと思わず頬に流れるものが…
まさかここで涙が出るなんて…
もうとっくの昔に枯れたかと思ってたのに
「そうか…それは辛かったな、不躾に聞いて悪かったよ」
彼はすまなさそうに言うから続けて矢継ぎに言った
「だから誓ったのよ!奴らに復讐してやるって心に決めた!」
私は宣言するかのように言ってやった
「それでこの計画をたてたのか」
「そうよ!だから邪魔しないで!」
私は言いたい事を言ってやった。彼は静かに話を聞いて頷いて
「お前の気持ちはよーく分かったよ…一つ言っていいか?」
どうせ私の言う事は馬鹿げているとかそんな事は止めるべき復讐なんて良くないとか言うと思っていた……
結局は他の大人達と同じ考えだとそう考えてた
でも彼は違った…
「甘いな…」
「え!」
彼の言葉に戸惑った
私の耳がおかしくなったのかと本気で思ったけど彼は続けて言った
「甘すぎる、ここまでやられているのにこれだけ復讐計画で済まそうなんて…お前はマリア様か?」
彼の言葉に思わずこんな言葉言ってしまった
「これでも十分に苦しめられると思うけど…」
いじめの復讐にこれでも十分だなんて…自分でも何を言っているんだか
彼の想定外の答えに戸惑う私に彼は言った
「これじゃあ駄目だ」
「ここまでやられたからには徹底的に懺悔させないとな…」
「この復讐俺に任せろ、バッチリ決めてやる」
突然の宣言に私は言った
「これは私の復讐なのよ!あなたが勝手に決めないで」
私の復讐だから赤の他人を入れたくなかったけど
「ここまで知った以上は引き返せない」
彼は真剣に言い
「それにお前は本来優しい子だ、そんな子がこんな下らない事で手を汚しちゃあいけない」
「私の何が分かるの?あなたなんかに」
何も知らないくせにそう思いひがみを込めて言ってやった
「分かるぞ、お前の父親は大きい会社の社長や成績に運動はイマイチとかな」
また私は驚くしかなかった
「そこまでどうやって!ここのパソコンだけじゃ分からないはず!」
またケロリと言ってのけた
「なぁにちょっとしたつてを頼っただけさ、それに悪いけどお前の置かれている立場もだいたい把握している。いじめられている事もな」
たったの数時間でここまで分かるなんて…
冷や汗が止まらない
「あなたは何者なの?」
言葉を選ぶように慎重に聞いて彼はあっけらかんとして答えた
「コックだ、ただのコックだよ藤沢彩菜」
「どうだ、これほど役に立つコックは世界を探したっていないぞ」
これだけ言ってもくっついてくる何でどうして…
私はもう考える事を諦めた…
だって考えたって無理だ私の考えての及ばない人物としか今の私には知る由もなかった
「分かった…」
「そうか、おじさん嬉しいな」
彼は嬉しそうに言った。そこで一つ疑問が出たので聞いてみた
「一ついいかしら?」
「何でも聞いてくれ、ただ料理のレシピは勘弁してくれよ。秘密だからな」
にこりと言う彼に私は呆れて言った
「そんなんじゃなくて、最初に会った時の最後のセリフどうして私が考えていた事が分かったの」
そう何でか気になった。どこも不自然な所は無かったのに
彼はあっさり言った
「目さ」
「目?」
目なんかでと思ったけど
「そう、君の目は怒りと憎しみに満ちた復讐の目をしてたからな。俺はそうゆう奴とは沢山会ってきたからな」
何か説得力があり頷いた
「それなら納得するけど、どうして復讐に向いてないの」
これも聞いてみた
「人の話を聞いてないな」
何か先生に注意された気分になり気持ちがやさぐれになりかけた時彼は言う
「さっき言ったろ、心優しいって」
その言葉に戸惑った
「私が…」
「そうさ、だから向いてないのさ」
でも私は復讐しようとしているのにどうして…どうして…どうして…
「まあ、今の君にはまだ分からないだろう。とりあえず朝食を食べろ、食べないと元気に1日過ごせないぞ」
まだ分からないっか…確かにそうかも知れないと言うよりも分からなくても良いだろう復讐するにとって優しい感情は邪魔だ
彼の言葉に従うのは癪だけどご飯を食べなければならない
私は冷めた朝食を食べる
「どうだ」
彼は作った料理を母親が食べて感想を待つ子供のような目をして私を見る
「美味しい」
確かに美味しかった
「それは良かった、腕にかけた甲斐があったよ」
彼は子供のように嬉しそうな顔をしてた
なんか久しぶりな感じだこの感覚は
ここでまたひとつの疑問が浮かんで来た
「もう一つ質問しても良い?」
そう言うと彼は
「欲張りさんだなー君は、まあ良いだろう何だ?」
「あなたの名前は?」
彼は言う
「俺の名か…そう言えばまだ言ってなかったな」
私も今になって気づいたけどね
「俺の名はライバック、ケイシーライバックだよろしくな彩菜」
ここから彼の協力のもと私の復讐は始まる