楽しんで頂けたら幸いです
「無我夢中に争って…」
「それでリビングが散らかった…」
私は今 警察署の取調室で刑事とお話しの 真っ最中だ
あの後私達は携帯で警察に通報した
その後警察車と救急車が来て結子は病院に搬送された
私と恵美は大まかな状況を警察官に説明して一旦はそれぞれの家に送ってもらった
そして心のケアと言う名目で休みを手に入れた
詳しい経緯は明日にとの事で今に至る
「あのドアの爆破は?」
警察を呼ぶ前に私達はその事についてどう返答するか考えた
「結子の指示で爆弾を作り爆破しました」
とりあえず指示したのは結子と言う事にした
最初は私も恵美も抵抗したけど
この3人中で文句が言われなさそうなのは私だからだと言われた
それでも私達は納得しなかったけど…
結子があなた達に迷惑をかけたくないと強く願っていたから仕方なく従った
「でもいくらなんでも爆弾を作るなんて…普通じゃないな…何とも思わなかったわけ?」
別に私が作ったわけじゃないしそのセリフは私達もそう思っている
ライバックに言ってやってほしかったけど…
そうゆう訳にもいかない…
私は言ってやりたい気持ちを抑えて少し語気を強めて答えた
「友達の危機なんです、手段なんか選んで入られません!」
「ふーーん…」
刑事は顎に手を当てながら唸った
私…変に思われたのかな…
これだからライバックのやる事の後始末は大変だ…
「本来なら爆破物取締法違反を視野に入れたいのだがね…」
「……」
「今回は自宅でしかも緊急時だし指示したもの被害者だから大目に見ます…」
「ありがとうございます」
「ハァー………後はもういいですよ」
うんざりそうにため息をつき
調書は終わりお告げだ…
「分かりました、失礼します」
そうお世辞を言って部屋を出ようとした時
刑事が言った
「そうだ、今度からは爆弾とか2人で助けるなんて余計な真似はしない事だ」
「そう言う人助けは我々警察もとより大人の役目だ、くれぐれも出しゃばった真似はしない事だ」
勝手な真似…
大人……役目……人助け……
そんな薄っぺらい言葉…
吐き気がする!!!
どうせ行ったところで取り合う事もせず何もしないくせに!!!
大人はいつもそう…
助けを求めても見て見ぬ振りをして 挙げ句の果てにはなかった事にして蓋をする
そうやって責任逃れや目くらまし
そして手柄があれば取り合いになる
勝手な真似の意味には
結子を助けた手柄は私たちにあり
警察は何も対応せず無能のレッテルを貼られた
そのことを踏まえた上で私たちに嫌味や牽制が含まれているんだろう…
あの刑事の目は私たちに感謝する感じではなく
手柄を奪われて嫉妬するような目だ…
そのせいで散々私は失望させられた!
今までの散々な辛い想いが駆け巡り
それとは対照的に目の前には何もしないくせにのほほんと偉そうな態度の大人がいる…
恨み辛みが激しくこみ上げてきた
私はそれを無理矢理抑えようとするけど
気が狂いそう…
いっそうのことこのまま腹いせにこの刑事を殴り飛ばして断罪してやりたい!!!
あなたみたいな大人がのさばっているから!!!
でもそんな事して結子や恵美に不利益な事があると思うと行動には移せない…
狂いそうな気持ちを必死に抑えて部屋を後にする
ただ…
猛毒を吐いてやった…
私は振り返り刑事の方を見た
刑事は酷く驚いた表情で私を見ていた
今の私の目つきは多分ライバック曰く憎しみに満ちた目をしているんだろう…
「何もしない何も出来ない無能な警察・先生もとより大人なんて頼るつもりも信用するつもりもありません」
「心にも無い言葉を言うよりも誠心誠意な仕事をして下さいね」
そう大人なんて みんなそ…
『何言っているんだ』
『お前の必死の頼みを断るわけないだろう』
『任せろ俺が必ず助けてやる』
いや…そうじゃない…真剣に考え向き合ってくれる大人がいた……
取調室から出た後ちょうど聞き覚えのある声がした
「あ、彩菜ー!」
恵美だ
手を振って駆け足で私の所に来た
「そっちも終わったの?」
私が聞くと明るく答えたしかし疲労感をにじませながら答えた
「うん終わったよ、一対一で話すのは疲れるよー」
「同感ね」
すると恵美を取調していた若い刑事が苦笑いしながらペコリと軽く頭を下げながら答えた
「耳の痛い指摘です、すみません」
「お詫びにもう夕方ですので自宅まで送りますよ」
ラッキーだと思ったが私はここで一計を思いついた
「恵美ちょっと来て」
「なあに?」
そして恵美をそばに呼び出し一計を耳打ちした
「うん、いいと思うよ」
恵美の了解も得て私は再び若い刑事と話した
「ありがとうございます、でも送るのは自宅でなくここへお願いします」
私はスマホである場所を検索 表示してそれを若い刑事に見せた
「ここですか?」
「お願いします!」
驚く刑事に対して
私は強い姿勢と切望の瞳を駆使して頼み込んだ
恵美も同じく切望の瞳で頼み込んだ
さすがにダブルは答えたようで
若い刑事さんは観念したかのように答えた
「…分かりました、ではこちらへ」
私達は若い刑事に案内されながらパトカーへと移動した
彩菜を調書した刑事が取調室から出た時2人の刑事とばったり会った
2人のうち1人のメガネをかけた若い刑事が聞いた
「調子はどうですか?」
取調室から出た50代のメタボな刑事はうんざりそうに答えた
「まあまあだな、しかし今時の中学生は冷ややかと言うか無知と言うか」
それを聞いたメガネの刑事は怪訝そうに聞いた
「何かあったんですか?」
「さっき大人なんか信用しないとか誠心誠意の仕事をしろとか言われてさ」
呆れたように答えるメタボな刑事にメガネの刑事は吐き捨てるように言った
「生意気な中学生ですね、救った手柄で優越感に浸っているんですよ」
それを聞いたメタボの刑事は恨みつらみの表情を見せて言った
「あのハイエナ供が出しゃばったお陰で手柄は横取り…我々警察は何やってんだかとかうるさく言われる、警察の権威が落ちる」
「教育委員会や学校もバカなマスコミと善人ツラの保護者に責められるでしょうね…同情しますよ」
それを聞いたもう1人の刑事が少し怪訝気味に答えた
「…その言い方はどうでしょうか?我々もとより1人の大人としてこの件に気付かなかった落ち度はあります」
「それに彼女たちの活躍で1人の学生は救われた訳ですし」
それを聞いたメタボの刑事は噛み付かんばかりに話した
「福島いいか!大した事件でもないのにこれだけ騒がれているのはあの2人の無責任な行動にあるんだぞ!」
「それよりもすぐに気付かなかった友人さんの方がよっぽど問題だと思いますよ」
メタボの刑事は
ウンウンと頷き
よく言ったと言わんばかりのニンマリとした表情だった
「それよりもあっち方は?」
突然話しが振られ少し戸惑うメガネの刑事
しかし福田刑事は戸惑う事なくきちんと答えた
「大苦戦してますよ…なんせ会話にならないし大声上げて暴れようとするし…」
「事あるごとに結子はどうしたとか叫ぶし」
「しかも男にやられたとか叫んだりもする…男なんかいないのに…言い方悪いがどうかしている…」
メガネの刑事は諦めにじんだ感じで言った
「親もダメなら子供もダメか、世も末ですよね…」
メタボの刑事も同感だばかりに話した
「全くだ…こんなちっぽけなヤマは早いとこ終わらせるぞ」
「そうですね」
2人は話しながら歩いて行き
それを呆然と見つめる福島
すると若い刑事が
「課長すみませんがお呼びした2人を送り出しますので少し抜けます」
そう聞くと疲れ切ったかのように答えた
「分かった…」
不思議に思った若い刑事は聞いた
「どうしたんですか?何か暗いですよ?」
先ほどと同じ様に答えた
「あぁ…」
「さっき廊下ですれ違ったのですがあのバカ2人何か言ったんですか?」
「そうだ…」
「あの中学生2人のせいで手柄は横取り警察の権威が落ちた学校と教育委員会が大変だ同情するとかだ」
それを聞き手を握りしめ拳を震わせ
怒りをにじませながら言った
「心配する相手を間違えていませんか…」
「彼女達が頑張ったお陰で事なきを得たのに…」
課長はうんざりしながら言った
「正直あんなのが警察官に紛れ込んで国民の為だとか言っていると思うと吐き気がする…」
若い刑事は吐き捨てるように言った
「あの2人…いつも自分の手柄や組織のメンツばかり考えて立ち回っている底辺な奴らですよ」
「悪い噂もよく聞きますし…」
「それより問題なのは彼女の方だ…セリフからして大人を信じてないんだろうな…」
「彼女には大人はこんな奴ばかりだと誤解して欲しくは無いんだけどな…」
「同感です…」
「送り出しは許可するよ、くれぐれも失礼がないように」
「分かりました」
それを聞き若い刑事は駆け足で彩菜たちの元へ走った
駆け足で来た若い刑事の運転の下私達はある場所に来た
「こちらの病院でよろしいですか?」
「はい」
そう結子が入院している病院だ
私の返事を聞いた刑事は病院前の停車スペースに車を止めてくれた
私達はそこから降りた
「それでは私はこれで…後くれぐれも遅くならないようにして下さいね、私も含めて皆さんが心配しますので」
「ありがとうございました」
今思ったのだが…
あの人の目や雰囲気はさっきの刑事とは違って優しさに溢れている感じだった
私達は受付で結子が入院している部屋を聞き早速行く
エレベーターに乗り…そして……
「あ!彩菜ちゃんじゃないか!」
どこかで聞き覚えのある声…
振り向くと見覚えのある顔が!
「あなたは…けんさん!」
ムーンのスタッフのけんさんだ!
「けんさん病院ですよ…静かにしないと…」
「うるさい!」
また同じ人に突っ込まれて
少し不機嫌気味に答えるけんさん
「ねぇ彩菜この人達は?」
そう言えば恵美は知らないのかな?
私は簡単に説明をする事にした
「結子の相談相手 ムーンのスタッフさん達だよ」
それを聞いて恵美は目をキラキラさせながら言った
「あぁ結子の言っていたクラブの!そうなんだ!初めて会ったよ!私恵美です。よろしくお願いします」
「あぁ君が恵美ちゃんだね」
クラブの男性スタッフが恵美の名前に反応した
「私の事知っているんですか?」
「知ってるよ結子ちゃんからよく聞かされていたよ、写真を撮るのが大好きな元気な子だってね」
「よろしくね」
それにしてもこんなに大御所で一体どうしたのだろう?
私は率直に聞くことにした
「所で皆さんはどうしてここに?仕事は大丈夫なんですか?」
するとあの女性スタッフさんが答えた
「結子ちゃんが入院しているって聞いたから飛んで来ちゃったわよ」
恵美はそれを聞き首をかしげた
「ニュースにも流れていないのにどうして?」
すると1人の男性スタッフさんが余裕の表情を見せながら答えた
「チッチッチッ、俺たちを舐めてもらっちゃー困るぜ」
「ウチは商売柄 色んなお客さんが来るから情報がニュースなんかよりは幅広いし早く伝わるのさ」
「へーすごい!」
「仕事は開ける時間を遅めにして来たわけなのさ」
結子の為にそこまでしてもらって私は嬉しく感激した
「わざわざありがとうございます」
「いや何の何の、結子ちゃんの為ならこれくらいなんて事ないわよ」
「さっき会ったけど結子ちゃんウチに来てる時よりも穏やかな表情していたから安心したわ」
「彩菜ちゃん達のお陰だね、ありがとうね」
そう言って女性スタッフさんは頭を下げた
「私なんか…皆さんが結子の相談に乗ってあげたからですよ」
私よりも前に結子の為に相談に乗っている
私なんかよりもずっと頑張っている偉い人達だ…
「でも結子ちゃんの苦しみを取り除いたのは私達じゃなくて彩菜ちゃん達だよ」
「そうそうオレ達はその手伝いをしただけ」
「やっぱり持つべきものは親友だよな、しかも彩菜ちゃん達みたいな親友持てたら最高だぜ」
「結子ちゃんが羨ましいぜ」
スタッフみんながそう言ってくれて私としてもとても…とても嬉しかった…
「そう言って頂けると嬉しいです」
私は素直にその言葉を受け取ったけど…
その後スタッフさんの顔が曇った…
「…でも許せないよな、結子ちゃんの親があんな事してたなんて…」
けんさんが最初に言い始めると続いて他のスタッフさんも言い始めた
「あぁ…まさか別の悩みも抱えていたなんて…」
「オレ達ダメだな…何も気付かなかったし何も出来なかった…彩菜ちゃん達は気づいて勇気を出して助けたのに…」
「まあそれが親友とオレ達との違いだよな…」
「不甲斐ないよな…」
そんな事ない…
スタッフのみんなにはそんな気持ちになって欲しくなかった
私の感謝の想いを言葉にしてムーンのスタッフに訴えた
「そんな事ありません…」
「結子が私に謝る勇気を出してくれたのはムーンの皆さんです」
「そして私に結子と昔みたいに仲良くする為に行動する勇気をくれたのはムーンの皆さんです」
「ムーンの皆さんが居てくれたから今の私達がいるんです、感謝しきれません」
「本当にありがとうございました」
私が頭を下げて上げると女性スタッフさんが少し目は潤みながら明るく優しく微笑みながら言った
「やっぱり彩菜ちゃんは優しい子だね」
「俺彩菜ちゃんのファンになりそうだぜ、マジ天使だ 癒されるー」
「やっぱりケンさんは置いてって店番させるべきでしたね…」
その後けんさんがオーバーリアクションで答えた
お酒飲んでいるのかな?
女性スタッフさんはうんざりそうに答えた
「ごめんね彩菜ちゃん、せっかくの雰囲気をこの呑兵衛がぶち壊しちゃって」
これにけんさんはムッとして答えるが…
「何でそうなるんだよ、俺は飲んで」
けんさんが言う途中で
女性スタッフさんから
今にも張り倒さんばかりの黒い雰囲気を滲み出しながら
ニンマリと笑みを見せながら一言…
「口答えしないで黙ったなさーい」
「は…はい…」
けんさんが一瞬で子犬のように大人しくなってしまった
それがあまりにもおかしかった
「その笑顔いいねー写真撮りたいぜ」
「はいはい私もー 私も撮りたいなー」
スタッフさんと恵美がそう言って私は急に恥ずかしくなり少し顔に熱を感じながら言った
「もう恵美ったら…」
よく思えば笑顔になったのっていつ振りだろう…
「これから結子ちゃん大変だと思うけど支えてあげてね」
「オレ達も出来る限りのサポートするから何かあったら頼ってくれよ」
「お客としてでなく、結子ちゃんの友達としてね」
「ありがとうございます」
スタッフさんの言葉に私たちは感謝の気持ちを伝えた
「じゃあ俺たちはここで…」
そう言ってスタッフのみんなは帰り始め私たちは結子の病室へ向けて歩き始めた
その時駆け足で近く足音
振り向くとあの女性スタッフさんだ!
「彩菜ちゃんに一言ね」
そう言うと私の耳元にそっと優しく話しかけた…
「彩菜ちゃん不安でいっぱいだと思うけどファイトだよ…」
私はハッとスタッフさんを見るとスタッフさんは微笑みながら言った
「それじゃあね」
その後ウィンクしてその場を後にした
私は呆気にとられて女性のスタッフさんが歩く後ろ姿を見つめていた
やっぱりムーンの人達はスゴイとしみじみそう思った…
恵美は不思議がって聞いた
「何話したの?」
「勇気が出るおまじないだよ」
そう答え私たちは歩き続け結子の病室へ着いた
病室前
「お邪魔します」
恐る恐る中に入るとベットが四つあって内3つはだれも使ってないから殺風景にも布団が折り畳まれているだけだったが
その中でも生活感あるベットや棚は一際目立っていた
「来てくれたの」
結子はベッドから身体を起こして姿勢を私たちに向けた
表情や雰囲気は学校の時やこの間の時よりも穏やかであった
「心配だから来ちゃった」
「大丈夫?」
恵美と私が言うと結子はにこやかに答えた
「えぇ、大丈夫よ」
「久々に時間に追われる事もなくゆっくりと過ごせたわ」
よかった…
私は意を決してあの話しを切り出すことにした…
「今日はね結子や恵美に話があって…」
「話し?」
そう言うと結子が首をかしげた
言わなきゃ!言わなきゃ!言わなきゃ!
「あ……あの………わ……わたし……その……」
言葉を紡ぎたいけど恐怖ですくんでしまい口は動けども言葉になってない…
結子と恵美は不思議そうに私を見つめていた
終いには情けなくなり黙ってしまい俯いてしまった…
正面から結子を見る勇気がない…
そんな時だ…
ふっとあの言葉が私の背中を押してくれた
『彩菜ちゃん不安でいっぱいだと思うけどファイトだよ…』
ムーンのスタッフさんの想いを無下にさせたくない!
私が恵美と結子にしようとした事をきちんと向き合わないといけない!
もう逃げたくない!
私は持てる勇気を全て振り絞って言葉を紡いだ
「実は結子と恵美に謝らないといけない事があるの…」
その言葉に恵美は反応した
「それって…復讐しようとしたとかだよね……」
「…うん」
結子と恵美は黙って私が喋るのを見守っていた
「優斗が一真に殴られて怪我したのあったでしょ…」
「うん」
私の言葉に結子は頷いた
「あの事件…裏で仕組んだのは私なの…」
結子も恵美も黙って聞いていた
「他にも千鶴や楓の2人をはめたのも私…」
結子は首をかしげながら恵美に聞いた
「千鶴と楓何かあったの?」
「あの2人おやじ狩りみたいな事して補導されたのよ」
それを聞くと結子はか細く呟いた…
「そうだったの…」
「そして…結子の事もはめようとしたの…結子がクラブに行く所を写真に撮って結子の親にリークするつもりだったの」
先ほどよりもさらにか細く呟いた…
「…そうなの」
結子を正面から見る事が出来ない
恐怖で埋め尽くされて
顔を上げる事が出来ず頷いたままだ…
「一つ聞いて良いかしら?」
内心ビクビクしながら頷いた
私にはもはや言葉で返事をする気力がもうない…
動作で表すので精一杯…
「その写真は結局は出さなかったわよね?」
「そ…それは…ライバックに私のスマホを踏み潰されたから…それで…」
私は恐怖に震え言葉がしどろもどろになりながら答えた
「でもその気ならすぐに使い捨てカメラにするなり方法があった訳でしょ?」
「そうするつもりだったけど…あの後ライバックに無理矢理ムーンに連れていかれてスタッフさんから結子がどんなに後悔して苦しんでいるのか知ったから…」
「い…今さらだけどね…」
私がそう言うと結子は首を振った
「それは私こそよ…」
「いいえ…私なんか今さらどころじゃないわ…」
「彩菜がここまで追い詰められていたのに私は結局 何もせずに見て見ぬ振り…」
私はこの言葉にすぐ反論した
「何もしてないなんて…そんな事ないよ!ムーンのスタッフさんに相談して」
「そう言う事じゃないの…私は彩菜に対して何もしなかった事に変わりはないわ」
「…でも彩菜は違う…私を助けるために戦ってくれた」
違う…私じゃない……
「…結子を助けたのは私じゃなくてライバックだよ、私じゃ結子を助けるなんて出来なかった」
「でもそのライバックさんに助けを頼んだのは彩菜でしょ、頼んでくれなければ私はこの世には居なかったわ」
その後恵美が話し始めた
「結子…実は私も下手すれば結子と一緒にあの世に行っていたかも…」
「そうなの?」
「結子の電話の後屋上から壁にある雨戸を伝って降りようとしたの」
「とんだ無茶をしたわね…」
結子は呆れながら言った
「でもその雨戸の金具は壊れて真っ逆さまに落ちるはずだったんけどね」
その言葉に結子は驚いたけど構う事なく私の方に顔を向けて話し続けた
「彩菜が助けてくれたから今ここに居るんだよね、あの時は本当にありがとうね」
「ねぇ、違うでしょ。私達のことを許してくれて、助ける為に行動してくれた」
「それに比べて私はダメね…」
「私もだね…」
「…ダメじゃないよ」
私の言葉に2人は驚いていたけど構う事なく言った
「2人とも心の中では辛く苦しんで何とかしようとしていた」
「私はそれで十分だよ」
「だから私が言うのも変だけど…これからもよろしくね」
そう言って私は手を出した
こんな事しか思いつかなかったけどね…
「…彩菜ありがとう…こんな私の事許してくれてありがとう…」
「彩菜…ありがとう…彩菜はどんな時でも優しさを忘れないわね…」
恵美と結子が涙を流しながら私の手を握ってくれた
あの時と同じくとても温かかった…
「そんな事ないよ…私だって優しい心を忘れた…いや捨てたと言った方がいいわね…復讐に囚われていたから…」
「でもライバックがいつも私を気に掛けてくれて…それで本来の自分に気付くことが出来たの」
「そうなんだ…そのライバックさんって優しい人なんだね…」
結子の言葉に私はそうだよと一瞬言いかけたけど…後々深く考えてから言葉にした
「うん…優しいと思うよ…たぶん…そこそこかも…優しいのかな…」
「何か煮え切らない言い方わね」
結子は不思議そうに聞いた…
でもこれはしょうがない事だ…
「2人は会ったばかりだからよく知らないけど…やり方がとても強引で正気じゃないし…それに歯向かう相手には容赦しないわよ」
「でも…とりあえずそう言う人だって事は十分に理解したよ、この前のでね」
「爆弾を調理する時点でも正気じゃないわよね、しかも当然なごとくに銃を持ち歩いているし…」
恵美と結子がそう答えると結子は恐る恐る聞いた
「もしかしてだけどあの優斗の怪我…あの人が関わっているの?」
「そうなの、一真の後にライバックがやったの」
「投げ飛ばして足を折ってその足をひねって最後に顔面をさらに殴り続けたわ、しかも何の躊躇もなくね」
私は見た事をそのまま話し恵美は苦い顔をして
結子は呆れていた
「うわー……」
「道理で一真がそこまでやってないって言い張る訳ね」
「でもさ千鶴と楓はボコボコにされてないよね、しかも自分達から自白してすごく反省してるって話だよ」
「あの2人は何も無かった訳じゃないの、絶望するくらいの恐怖を味合う目に遭ったのよ」
「どうゆう事?」
結子が不思議そうに聞いた
「おやじ狩りの中に裏の人が紛れていて大変な目に遭うところだったの」
「え?紛れていた?」
私の話しに恵美はうまく飲み込めていないみたいだ
すかさず結子が助け舟を出した
「大方2人のせいで収益が減らされたから見つけ次第制裁するつもりだったのでしょうね」
その説明でも納得いかない恵美は結子に聞いた
「でもさ悪い奴が悪い奴をとっ捕まえるなんて変な話」
「利益をドンドン減らす相手を野放しにするわけないでしょ」
「なるほど」
私は結子の回答に頷き話しを続けた
「私はたまたま千鶴と楓が柄の悪い人達に連れられていくの見ちゃって…」
「それでライバックに連絡して助けてくれるように頼んだの」
「なんでよりによってあんな2人を助けようなんて思ったの?」
恵美は不思議そうに私に聞いた
「私も最初はいい気味だと思ったけどね…」
「普通はそう思うわよね…」
「でも私とおなじに……不憫に思っちゃたからついね」
「それで助けてもらって2人は反省した訳ね」
「そう言う事」
話し終わった後
結子は腕を組んで斜め上を怪訝そうな表情で見ながら言った
「でもお金を散々巻き上げまくったあの2人が今さら反省するなんて何だか信じられないわね」
結子の疑問はもっともであるが
あの2人がそう思われることが嫌だったのでつい余計だけど言葉が出てしまった
「大丈夫だよ結子、千鶴と楓は心の底から反省している」
「だから信じてあげて」
「分かったわ…」
私は結子の目を見て話したのだがその姿が威圧に感じたのか少したじろぎながら結子は答えた
そんなに私って怖かったのかな?
「でもさ結局は千鶴と楓は何もされてない訳だし…女性には優しいのかな?」
「本人は女性には紳士で優しいって言っているけどね……」
2人は不思議そうにしながら顔を見合わせた
「んーまあそのうち話すわね」
ここでこれ以上衝撃のある話したら結子が失神しかねない…
「よう、元気そうだな彩菜」
後ろから突然聞き覚えのある声が…
「ライバック」
「あの後大丈夫だったの?」
下手すれば警察の捜査がライバックに行くのではないかとヒヤヒヤしたのだが
「あぁ、証拠は残してないし証言もあの親なら信じない」
「悠々自適にこの病院で料理に専念したぞ」
ライバックの言葉に結子が質問した
「あのー料理を作っているのですか?」
「言わなかったか?俺はコックをしてるって」
「そうじゃなくてこの病院に勤めているのですか?」
「そうだ、ここには友人がいてそいつに誠意を込めてお願いをして雇ってもらったのさ」
「そうなのですか…」
ライバックの言い方に少し違和感を感じた結子
それもそうだ
ライバックは今さらりと語弊ある回答をしたので
仕方なく是正させる事にした
「誠意を込めてお願いをしたじゃなくてトコトン脅して強引に雇ったじゃないの?」
「え?そうなの?」
「彩菜…それは語弊があるぞ誠意を込めれば思いは通じるのさ」
このフレーズ前にも聞いた気が…
「具体的には…」
「ボイコットしてやるぞかな」
「他には…」
「院内の物を破壊の限りを尽くしてやると警官来てもライバック先生が高額診察してやるだ」
「それって…脅しじゃ…」
恵美の言葉にライバックは悪びれる事なく平然と答えた
「これは脅しじゃなく誠意を込めた行動だぞ、誤解するなよ」
「気を付けないとね、うっかり誤解しそうになるわ」
「そうだ、お前には謝らないとな…結子すまない、お前の家をリフォームしようとしたら部屋の風通しが良くなってしまった」
「いいわよ全然、学校に近いアパートに住むから気にしなくてもいいわ」
「助かるよ、やっぱりコックの俺が大工のマネしてリフォームするのはよくなかったな」
恵美は皮肉を込めて言った
「使う工具を間違えていると思うけどね…」
「3人揃うなんて何か大事な話しでもあったのか?」
「まあね、でもライバックには秘密だよ友達だけの会話だからね」
恵美が満面の笑みを浮かべながらそう答えたが
その後ライバックの口から信じられない言葉を口にした
「うん?友達だって?誰のだ?」
「え…」
「彩菜と私と結子だよ…」
結子は呆気にとられて恵美も呆然しながらも答えたが
ライバックはまた信じられない言葉を口にした
「彩菜の友達にお前達がか?」
「それは不思議だな?」
「どうしてそんな事言うの!!!」
このセリフに恵美は親の仇と言わんばかりにライバックを睨みつけて問い詰めた
しかしライバックは涼しい顔で2人に対して淡々ながらも心を深く抉るような内容で指摘した
「お前達は彩菜の友達なんだろう?それなのにお前達ときたら助けるどころか見て見ぬ振りだ」
「そう言うのはいじめに加担したと言っても過言じゃないな、卑怯で姑息で卑劣なやり方だ」
それを聞いた2人はドンドン顔が青ざめていき うなだれていった
この世の終わりとも取れる表情をしていた
「お前達がのほほんとしている間に彩菜は地獄の日々を過ごしていたのに今では何もなかったかのように友達ツラをしている、オメデタイ奴だ」
これ以上は聞きたくない!!!
私は止めにかかった!!!
「ライバック!2人には事情があったの!だから!!!」
でも私の言葉はライバックには届かなかった
「確かにな…だが例えそうでも友達なら…何が何でも助けなきゃダメだろう」
「ライバックお願い!話を聞いて!」
「彩菜…2人はやった事に対してけじめをつけなきゃいけないんだ」
うなだれていた結子がはかなく絞り出すような声で聞いた
「…何をすればいいのでしょうか?」
「んーーそうだな…彩菜はどん底まで苦しんだからなー…お前達にもそれなりの苦労を味あわせないとな」
「そこでお前達には体を使って償ってもらおうと思うんだが…どうだ?」
友達にこんな事なんて…
想像もしたくもない…
絶望的な提案を2人に突きつけるライバック
私は頭が真っ白になり胸の底からの感情そのものをライバックに思っ切りぶつけた!!!
「ライバック!!!私はそんな事望んでいない!!!」
想像もしたくもない要望を突きつけたライバックに私は強く反対した
しかし結子がおもむろに口を開いた
「そうね…ライバックさんに彩菜には色々助けてもらったしいじめに加担したのも事実…」
「だから復讐されちゃんだものね…」
まるで今までの出来事を振り返りながら話すかの様にゆっくりと話し
そして…
「ねぇライバックさん」
「なんだ?」
「それで私の罪は償えるですよね」
「あぁ、償えるよ ばっちしさ」
「なら引け受けます…どこへ連れてっても構いませんよ」
「わ…私も……覚悟はできています…」
「話しが分かって助かるよ」
いやだ……イヤダ……
結子と恵美にあんな苦しみを味合わせたくない……
想像しただけでも大粒の涙が溢れ出た
「お願いライバック…そんな事させないで」
ライバックが私を見た
その目には優しさが含まれていた
「安心しろ 彩菜」
「体を使うって言っても君が想像している事じゃない」
「え?」
「詳細は後で伝える」
そう言うとライバックは病室を後にした
私達は呆然とライバックの後ろ姿を見続けていた
病院内
「わざわざ見送らなくてもいいのに」
「今は何も出来ないからせめてこれくらいはやらせて」
「そんな事ないってばー」
2人とも明るく振舞ってはいるけど笑顔にはどこか影が差しているように私は感じた…
「無理しないでね…」
結子は笑顔で答えた
「私は大丈夫わよ、ほらちゃんと歩いていでしょ」
「そうじゃなくて…ライバックの言った事」
「平気よこれだけしてもらったのに何もしないなんて悪いわ」
「彩菜は気にしなくても大丈夫だよ、何とかなるから」
結子と恵美がそう答えるけど…
「私ライバックに何とか説得させるから」
「だからライバックの言った事気にしないでね」
「ありがとう彩菜…でも私大丈夫だから」
2人は笑顔で答えたけど私は不安が一杯だった
何とかライバック説得させると言ったけど
あのライバックを説得出来るかはよく分からない…
いかんせあの態度だから出来る保証はないし…
そうモヤモヤ考えていたらある人物の姿が見えた
「え、ちょっと!」
「な?何?」
私は2人を急いで柱の死角へ押し込んだ
「しーー」
「どうしたの?」
そしてチラリとある人物を見た
続いて恵美と結子も私と同じようにチラリと見た
そこにライバックの後ろ姿があった
そして前には白衣を着た男性がいた
確か…ここの医院長だったはず
パンフレットにも載っていたはずだから間違いない
何やら話しているみたいそっと聞き耳をたてる事にした
「どうゆう訳だか医療用ニトログリセリンがたくさん注文されていてしかもかなりの量が減っているんだか知らないか?」
と院長はライバックに聞くがライバックはケロリと答えた
「あぁそれか、料理に使うから俺が大半を使わせてもらったよ」
院長はさらに苦い顔して詰め寄った
「へー料理ね…そのニトロでどんな料理が出来るのかな?まさか爆弾とか言わないよな」
まさにその通りなのだが…
ライバックは別の回答を用意した
「ニトログリセリンは甘いからな、お酒のつまみにぴったりだ」
「言っておくがニトログリセリンは有毒だからな」
「だが医療用として出しているし、酒のつまみに食べている人がいるんだろう?」
「作っている従業員はそうしていると聞いたな、そしてここは病院だ」
「つれない医者だ、みんなに嫌われるぞ」
それを聞いた院長は慎重に言葉選んで話した
「ライバック…ここがどこだかわかっているのか?」
「それくらい分かっているよ、俺を馬鹿にするなよな……病院だろう」
「そうじゃない!ここは日本だ!」
ライバックの何食わない態度に院長は語気を強めた
「そう言えばそうだったな…」
「ライバック日本はなお前の故郷の国とは違うんだ、銃を持つだけでも大騒ぎなんだぞ!そして街中でドンパチ起こせばタダでは済まないんだ!」
「んーーー…しかしだ…」
「あのお嬢ちゃんをイかれたバカ親から救う為ならそれくらいは目をつむっても良いはずだぞ」
院長は呆れながら吐き捨てるように言った
「それは裁判官に言え」
「俺は良心的な裁判員に心を込めて無罪を主張するよ」
「それなら安心したよ、百発百中有罪で決まりだな」
院長は両手を上げながら皮肉気味に言った
「まぁ、そんな事よりもだ…」
「例の件はどうだ?」
時折見せるライバックの真剣な表情に
院長も真剣な表情で答えた
「…あぁ、大丈夫だ」
「診断書に心身共に激しい折檻によって疲弊していると書いた」
「そして両親の方は精神異常が手をつけられないほど酷いと書いた、これであの両親は二度のあの塀からは逃げられない」
「助かったよ、これなら順調に親権喪失の手続きに入れるな」
「別にわざわざこんなメンドウな手を回さなくたってあの両親は精神病院行きだぞ」
「あの両親を確実に葬る為にはこうしないとな、相手はどこのだれであれ害虫共は徹底的に叩き潰さないと俺の気が済まないのさ」
さすがライバックらしい考え方だ…
院長もそう感じたらしくこの言葉をかけた
「人によく嫌な奴だと言われているだろう?」
「しょっちゅうさ」
「喪失後も私のツテでサポートするよ」
「まあお前より心強い人達がいるだが頼りにしてるぞ」
もしかしてムーンのスタッフさんの事かしら…
いつの間にもう情報が入ったの…
私も恵美も結子も驚きを隠せなかった…
壁に耳あり障子に目ありと言うことわざがあるけど
まさにこの事だろうか?
「それを聞いて安心した。助かるよ」
そしてライバックはにこやかに言った
「やっぱり持つべきものは友だな、いい友人を持てて俺はうれしいよ」
「とんだ友人を持つ事になった私は限りなく不幸だよな」
対照的に院長は暗く疲れた感じで答えた
そしてライバックは私達が隠れている場所から反対側へ歩いて行った
すれ違う際 院長はライバックを見て首をかしげた
そんな事をあまり気にすることなくライバックが見えなくなったあたりから院長に近づいて話しかけた
「あのー…少しよろしいでしょうか?」
我ながら敬語を使うなんて少し恥ずかしい感じをするのだが…でも相手が相手なので仕方ない…
「君は…藤沢彩菜ちゃんだよね」
ライバックから話しを聞いているから院長先生は数ある中の患者の中から私の名前は知っている
私もライバックとの関係を知っているから分かったって不思議じゃないけど
でも院長先生はその事を知らないからか
なぜ知っているのかアタフタしながら言い訳し始めた
「いや!その!ほら!院長たる者は患者の名前は覚えるように心がけているもので…」
「大丈夫ですよ、ライバックから院長先生の事は聞いていますから」
私の言葉を聞くと深〜いため息をついてから喋った
「ハァー…あのおしゃべりコックめ、つくづく困ったものだ」
「あのー…すみませんでした、院長先生には色々迷惑をかけてしまって…」
そう言って私は頭を下げた
聞く限りだといつも影でライバックの色々な無茶を聞いたりしているので申し訳なく思い謝った
ライバックがそんな事するのは私のためでもあるから…
「なーに気にする事ないさ、あいつの無茶苦茶は今に始まった訳じゃないし」
そう軽く言い放ったがその後真剣な表情でこう話した
「それに悪いが君の事は聞いているよ…こんな社会を作ってしまった1人の大人として謝罪をするよ…本当にすまない…」
そう言って院長先生は頭を下げた
「いいえ」
私が普段見る大人は自分の保身だけで私の事なんて見てくれない大人ばかりだ…
思えばムーンのスタッフさんといい院長さんといいライバックと付き合ってからこうした真剣に考え向き合ってくれる大人達と会うようになった
いかに私が世の中を見る目が狭いかを思い知らされた…
「ライバックとは付き合いが長いのですか?」
「そうだね、だいぶ前からだね」
「私は漢方もとより東洋医学に興味があってね」
そう言えばここの病院には本格的な東洋医学の診察を導入してあるで有名だ
「ライバックとはその勉強会の繋がりで知り合った、あいつはどちらかと言うと漢方に関心が強かったけどね」
「料理関係で漢方を勉強していたんですか?」
「それもあるけどインド日本に中国と言った東洋文化を熱心に勉強していたな、まあ随分前から学んだみたいだからね」
「私がいい気になって東洋文化を話していたら矛盾点を突かれたよ」
ここで私は核心を突く事にした
前から気になっていた事だ
「戦い方もそこから学んだんですか?」
院長先生は私の目を見据えて話した
「彼の事が気になるのかな?」
普段は私の目を真剣に見据えて話す大人なんて会ったことないけど…
いざそうなると心がたじろぎそうだけど…
それでも
私はたじろく気持ちを抑えて臆する事なく聞いた
「はい…ライバックは普通の人とは違います」
「まあそうだね、相手を気にせずにお構い無しに行動をするからね私もよく迷惑を被っているよ」
「でも良いところもあるよ、正義感があり芯の強い優しい男さ」
確かにそう言う面はあるが私が聞きたいのはそこじゃないので改めて突く事にした
「…それもありますけど」
「ライバックの強さは尋常じゃありません…」
「彼は強いよ、そりゃコックたる者 体力が必要だからね 。一流のコックともなればなおさらさ」
「一流のコックなら刀や武器を持った相手でも素手で余裕に勝てますか?」
「……」
「それにコックさんが爆弾を調理したり拳銃を持ったり普段目にかかれない道具を使ったり…普通じゃないです」
院長は少し呆れ気味に答えた
「本人に聞けばいいのに…」
「言ってもはぐらかされるだけですから」
「それで私に…」
「さっきの会話を聞く限りでは何か知っていますよね」
「会話を聞いていたのか…どうりで…」
院長先生は
でも最後のどうりでが気になったけど…
「ライバックがいると話してくれなさそうなのでこんなコソコソした感じになりました」
「気付かれないからと言ってこんな事…ライバックを出し抜いた感じがして悪いと思っていますけど…」
私がそういい終わると院長先生の口からとんでもない事を言われた
「それなら安心していいぞ、もう気付かれている」
「え!」
院長先生の言葉に驚きを隠せなかった
恵美や結子も同じで院長先生に問いただした
「ちょっと待って下さい!ここからだとライバックさんから視界に入らないし距離だって!」
「そうだよ!分かるわけないじゃん!」
「あいつは動物以上にカンが鋭いんだ気配だけですぐに分かる、コソコソするだけ無駄という事さ」
「それに私と別れる際に指三本立ててから人差し指を後ろに指して合図をしていた、最初は何のこっちゃと思っていたが…君達だったんだな…」
ま…まさか…私達に気付くなんて……
全く想像もしてなかった
結子も恵美も私と同じ様で心底信じられないように驚いていた
「申し訳ないがそろそろ行かないと…失礼するよ」
そう言って医院長は私達とは反対方向へ歩き出した
「あの!待って下さい!」
「何だね?」
私は慎重に言葉を選んで聞いた
「彼は何者なのですか?」
しばらく間を空けそして…
「………彼はただのコックさ」
大人はいつもそう…
自分たちの都合で真実に蓋をするものだけど…
あの医院長の今まで見た事もないこの世とは思えないとてつもなく重いおもい表情……
そう軽々と話せる事じゃない……
ライバックって一体何者なんだろう…
一体何を背負って生きているんだろう…
繁華街
「それじゃまたね」
「うん、また明日ね」
恵美と私はここで別れた
私は歩きながら今後のことを考えていた
先ほどのライバックの言葉を推察する限り結子と恵美に酷いことはするつもりはないと思うけど…
でもライバックが2人に何かやらせるのは間違いない
一体何をさせるつもりなんだろう?
そう言った私は不安な気持ちもあるが
それよりも
また3人で仲良くできる嬉しい気持ちの方が大きかった
今は結子の体調が万全じゃないけどまた買い物行ったりカラオケ行ったり
そう考えただけでも気持ちがルンルンに
「おい彩菜じゃねーか」
川本大輔だ……
目の前が真っ暗になった
マイペースの執筆の為書き上げるのにまたかなりの日数がかかるかもしれませんのでその時はよろしくお願いします