伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚   作:OTZ

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前後編に分かれます。(五十七話の分岐です)
→三話構成になりました(2016.8.4)


番外編2-1 落ちる花(イッシュ編IFルートその2)

―2014年 2月18日 ヒウンシティ某所 地下―

 

 マツバは度重なるオーキドの卑劣な口撃にとうとう堪忍袋の緒が千切れ、枷を自力で打ち破るにいたった。

 捕まってからのおよそ九ヶ月間、何度も壊そうと試みたおかげで金属が疲労した結果といえる。

 

「ほほう。恋情は華奢な青年をここまでの怪力男とまでに化かせた……!?」

 

 オーキドが途中まで言ったところでマツバは無言でオーキドの胸ぐらを掴み、一気に上げる。

 しかし、それでもオーキドは平然とした表情を崩さない。

 

「おやおや、良いのか? ここでワシを殴ればすぐさまトリニティを動かすぞ……」

「殴る……か。そんな生易しいもので済ませるとでも?」

 

 マツバは意外にも優しい表情で言う。

 

「ほう、ならば?」

「決まってるでしょう、貴方をこの手で締め殺すんですよ」

「ククク……、エンジュの貴公子がそんな事を言うとはのう……、全く、恋というのは恐ろしい物じゃ。それに、ここでワシを殺さば、今度こそマツバ君の命は無いぞ」

「仮にも僕は一回死んだことになってるんでね……二度死のうと大した違いではないですよ。少なくとも、今誰よりも、どんな物よりも輝かしく生きている人を、卑怯な手段で半ば死人にさせるよりはね!」

 

 そう言うとマツバはオーキドの胸倉から手を放し、そのまま両手をオーキドの首元に近づける。

 オーキドの首まで残り20センチ程になったところで彼は言う。

 

「全く。聞き分けの悪いこと……。止むを得んの」

 

 オーキドはすかさず白衣のポケットの中にあるスイッチを押し、ダークトリニティを呼び寄せた。

 どこに潜んでいたのか、すかさずマツバは引き剥がされる。

 

「ここまでやっても聞き入れぬならば、もう説得の余地はないの……。もうよいわ」

 

 オーキドはマツバに背を向ける。

 

「くっ……!」

 

 マツバはどうにかトリニティの束縛から逃れようとしたが、先ほどの無理のせいで腕に力が入らぬ様子で汗が滴るばかりであった。

 

「サカキ殿に伝えよ。何人かをカントーのタマムシに飛ばせ、この写真の人物であるエリカ君をワシのもとに連れてくるようにと。実行の暁の報酬はいくらでも渡す。手段は殺さなければあとは好きにしてよい。とな」

 

 と言いながら、写真を手渡す。すると、黙したまま彼方へと消え去った。

 

「オーキド……教授。貴方は……エリカさんを……どうする」

「フン。君の知ったことではない。賽は投げられたのじゃ」

「グッ……」

 

 ”賽は投げられた”との一言に全てを察したマツバは黙って膝をつく。

 床には小さな水たまりが出来つつあった。

 

―2月20日 午前10時 タマムシシティ タマムシジム―

 

「お帰りなさいませリーダー! 遠路はるばるご足労をかけてしまい申し訳ありません」

 

 代理でリーダーを務めていたユキコはエリカに深々と頭を下げる。

 

「とんでもありませんわ。こういう時にこそ私が居なくてジムは成り立ちませんし」

「リーグへの取次、関係各所への連絡は既に済ませてあります」

「用意が早くて助かりますわ。それで、ナツキさんはどのような様子でしたか?」

 

 エリカはとても気がかりな様子で尋ねる。

 

「はい。とても辛そうで……。ジムや挑戦者の方々に対して申し訳ないと言っておりました。そしてなにより……」

 

 ユキコは言葉を詰まらせた。エリカが発言を促すと

 

「リーダーは旅に出かけているのに、自分の不養生のせいで足を引っ張ってしまった。こんな自分が情けない。と自責の念に駆られているようで」

 

 それを聞いたエリカは悪いことをしたという思いを募らせた表情で

 

「左様ですか……。出来るだけ早くお見舞いに行かなくてはなりませんね。ナツキさんが退院されて、落ち着くまでは原則通り私がリーダーを務めます」

「そんな! リーダーには全国を旅する使命があるじゃないですか! ナツキさんの代わりならあたしで十分に務まります!」

 

 ユキコは自信ありげな様子でエリカに言う。

 

「私、カントーに来たのはほかの用事もあるので……。それに、右隅に植えたポプラに虫がよりついておりますわ」

 

 エリカはユキコに鋭い視線を突き付けながら言った。

 

「うっ。あれはその……」

 

 ユキコは冷や汗をかきながら目を逸らす。

 

「ここの樹木やお花は私やお母様、更にはお祖母様が世界中の種苗を取り寄せて試行錯誤を重ねて植えた言わば大事な宝物ですわ。その管理は母の代よりトレーナーを務めており、植物の知識が豊富でいらしたナツキさんだからこそ任せられた事なのです。ユキコさんも仕事熱心でリーダーシップの取れる方だとは思っておりますが、長い間リーダーを任せるには申し訳ありませんが力不足です」

「うぅ……」

 

 ユキコはすっかりしょげてしまった。ジム内のライバルであったナツキとの差を身に沁みて感じたからであろうか。

 

「ユキコさんには引き続き副リーダーをお任せします。ナツキさん、貴女には助けられたと手紙でも言っておりましたから期待していますわ」

「は、はい! ご期待に添えるよう頑張ります」

 

 ユキコは少しだけ元気を取り戻した風であった。

 

―午後6時 同所 事務室―

 

 この日のタマムシシティは昼になってから雪が降り出していた。

 この時間帯になると視界がやや悪くなるほど勢いを増した。そんな中、エリカはジムを早々に閉めてナツキの見舞いに行くことに。

 ジムは閉めてもリーダー格の仕事は残っており、急いで仕事を終わらせようとしたが面会時間の終わりが迫ってきている為エリカは止む無く切り上げて見舞いの準備をしていた。

 

「リーダー。ナツキさんのお見舞いでしたらあたしも付き添いますが」

「いいえ。今日、ナツキさんとは一対一でお話ししたいですし……。あとの残務は戻った後私がやりますから、ユキコさんは帰宅して頂いて結構です」

「そんな。まだここに戻ったばかりなんですからリーダーに無理させる訳にはいきません! ここはあたしがやりますから」

 

 ユキコはリーダーたるエリカに無理をさせないように一生懸命である。

 エリカは小さく息をつきながら

 

「ユキコさん。貴女ここ数日間まともに寝ていないでしょう……。目に隈ができていますわ」

「こ、これは元から」

 

 ユキコは意地を張ったがエリカは遮るように続けた。

 

「仕事に注力することは良いことですが、体を壊してしまったら元も子もありませんわよ。今日はゆっくりと休んでくださいね」

「そんな。リーダーだって相当無理しているじゃないですか。今日だってあたしも手伝うと言ったのにジムの植栽すべてご自分でチェックしていましたし……」

「貴女だって、先ほど書類の整理していた時うつらうつらしている時がありましたわ。これ以上、今の貴女に仕事をさせることはオーバーワークもいいところです」

「そ、そんなことないですって! あたしはリーダーの手足となって働くんです! このくらい苦じゃありません」

 

 ユキコは決然とした表情で言う。本心から言っているようだ。

 

「ユキコさん。もういいのですわ。私がいない時、本当に一所懸命にやってくれたことは私にも分かっています。ナツキさんが倒れた後の最初の電話だってそうです」

「え?」

 

 ユキコはキョトンとし、仕事の手を止めた。

 

「私がその電話を受け取ったのは午後2時です。しかし、時差を考えれば確かここはその翌日の午前3時ですわ。そんな遅くまで仕事をし、そして倒れたナツキさんを看てくれていたということですもの。真摯に頑張っていたことは私にも伝わりました」

「リーダー……」

 

 ユキコはちゃんと分かってくれていたのだとばかりに感激している。

 エリカはユキコに近寄り、頭上に手を置いて優しく撫でる。

 

「ナツキさんが倒れてからもよく頑張られましたわね。貴女がいなければこのジムはどうなっていたことか。何事もなかったように機能しているのは貴女の尽力があってこそです。貴女にはナツキさんには無い力があります。私がまた旅に出た後はナツキさんと力を合わせてジムを切り盛りしてくださいね」

「は……はい!」

 

 ユキコは嬉しそうに返事をした。

 

「さてと、表に車を待たせているのでお暇致します。貴女は、今処理している仕事が終わり次第上がっていただいて構いませんからね」

 

 ナツキが入院しているタマムシ大学附属病院はジムより20キロほど離れた場所にある。雪も降ってきたためエリカは運転手を呼び、車で病院に向かうことにしたのだった。

 

「はい。どうか、お気をつけて」

 

 ユキコは幸せそうな表情で彼女を見送る。エリカは目礼した後、一枚羽織を重ね着していそいそと部屋から出て行った。ユキコはエリカが撫でてくれた頭上に手を遣り、頬を緩ませながら最後の仕事を仕上げていった。

 

―午後6時30分 タマムシ大学附属病院 第一病棟 五階廊下―

 

 エリカは病院に到着すると、ナツキの病室へと向かっていく。

 この時間帯になると見舞いの人も疎らになり、五階にたどりつくとエリカ一人になっていた。

 彼女は静かに歩みを進めていった。十数歩歩いたであろうか、彼女は突如止まる。

 

「ばれていないとでも、思っているのですか? 何者かは存じませんが、用があるのならば私の前に姿を現しなさい」

 

 エリカは静かであるが、物々しい雰囲気を多分に漂わせた口調で言った。

 すると彼女の後ろの柱からぬうと一つ、人が出る。こつこつと前に出ていった。

 

「あ……あなた!?」

 

 エリカは目の前に姿を現した赤い帽子に赤を基調とした服装をした男に数歩引くほどに大いに驚く。

 そう、姿はまさにレッドそのものなのだ。

 

「ど、どうしてここにおられるのですか!? フキヨセに残られた筈では……」

「……」

 

 男は沈黙を保つ。

 彼女はうつむき気味に信じられないとでも言いたげな表情で更に続ける。

 

「あ、あのこのような事お尋ねするのははしたないと承知してはいるのですが……もしかして、私に会いたくてこっそりと……?」

 

 男はこくりと頷く。肩は少々震えているように見える。

 

「ま、まあ! えっとその……私、とても嬉しいのですが修行の方は大丈夫なので」

「プッ……ぶわっはっはっはっはっは!! あーっはっは!!」

 

 男はそこまで聞くと無理やり遮ったかのように野太い声で大笑いしてみせた。

 

「あ、貴方?」

「あ、貴方ってまだ気づかねえのか? あんたの旦那さんにはこんな顎ヒゲついてんのかよ?」

 

 男は笑いながら帽子やカツラを脱いだ。

 エリカはこれまた驚いた表情になったが、すぐに憎悪の情をあらわにした顔になる。

 

「よ……よくも騙しましたわね!」

「はっはっは……。全くベタ惚れと聞いて試してみたらこれかい。こんな可愛らしい嫁さんもってレッドとかいうのはとんだ幸せもんだな」

「くっ……。こんな人の心を弄ぶ卑劣な真似をして一体、何の用です?」

 

 激情冷めやらぬ様子でエリカは尋ねる。

 

「おお怖い怖い。そうさな……、運試しならぬ恋試しってのを」

「はぁ……。私、先を急ぎますので。ごきげんよう」

 

 そういって彼女は呆れた様子で男のもとを去ろうとする。

 

「おっと待った! ……、あんたマツバって男の所在知りたくないか?」

「マ……マツバさん? エンジュのですか?」

「そうだ。気になるだろう?」

「亡くなった方の所在などどうやって知るというのです。いい加減なことばかり言うのであれば警さ……」

「そのマツバさんは死んでなどいない……と言ったら?」

 

 その言葉にエリカは目を丸くする。

 

「な、何を仰せになるのですか! 私はご遺体をこの目で見ましたし……」

「遺体なんかちょっとした小細工をすればすぐに作れんだ。現にあんたは騙されている」

「出鱈目な事を申されますわね……。あら、そういえばそのお顔どこで見た記憶が……」

 

 彼女は男に向き直って改めて顔を見ると、どこかで見た顔だとばかりに思索をはじめる。

 

「気のせいだ。それより、マツバの安否確かめてみたくは」

「しつこい方ですわねぇ……。そもそもどうしてマツバさんに関する情報を貴方が……。もしかして」

 

 エリカはようやく感づいた様子である。

 

「ケッ、漸く気づいたか。賢い女とは聞いていたが、ちぃと遅かったな」

 

 その言葉と同時に、いつの間にか私服に身を包んだ三人のロケット団員がじりじりと彼女の周りを固める。ポケモンを出せるほどの間合いは無い上にここは病院である。近くにナツキが居るかもしれないためみっともなく叫ぶ真似もできない。

 

「薄々嫌な予感はしていましたが……止むを得ませんわね」

 

 彼女は懐から棒状の物を出す。光沢のある白木の柄には彼女の家紋である千家独楽(せんけごま)が刻印されている。

 

「おいおい。そんな棒切れで何をする気だ?」

蒙昧(もうまい)な御方ですこと……」

 

 彼女は(おもむろ)に切れ目から持ち手を右に抜いた。刃紋は悠然たる稜線の如く美しく、短いながらもしっかりと研がれた刃先は名のある刀匠によるものだと如実に語っていた。そして切先を男に向ける。

 男の顔が少し青ざめた。まさか彼女が武器をもっているとは想定していなかった様子である。

 

「物騒な真似しやがって」

「私とてこのような事は本意ではありませんわ。武器を人様に向けるなど……。しかし、安心してください。殺しはしませんから」

 

 そういうと彼女は一旦見せた刃を鞘にしまい、素早い動きで男の懐に向かう。そして鳩尾に両手を使って全力で束を叩き込む。下っ端たちは押さえ込もうとしたがエリカの動きに全くついてこれていない。やはり腐っても彼女は有段者である。

 

「いてっ!」

 

 男はうずくまり、前方へ倒れこむ。彼女は体をずらし下っ端たちのいない方向へぬける。

 

「ラムダ様!」

「人の心配してる暇があるならあの女を追え! くそっ、可愛い顔して案外手練れじゃねえか……」

 

 彼女はナツキの見舞いどころではなくなったことを悟り、通話可能エリアに逃げ込んで外にいる運転手に事の次第を伝えるためライブキャスターを取り出した。

 しかし、電話をかけても全く通じない。電波状態を見るとアンテナは一本も立っていないのだ。

 彼女はいよいよ焦り始める。即座に助けを求める手段がいまのところないのである。彼らに出会う前までは数人の病院関係者や一般人が通っていたのに、今は閉院したのかのように誰もいない。

 とにかくこの場から離れようと、彼女は行きに使ったエレベーターを目指そうとエリアを抜けようとしたが、通路にまた一人男が立っていた。

 

「全く。どうして人っ子一人捕まえるまでここまで手こずっているのでしょうね……。お久しぶりです。エリカさん」

 

 先ほどの男とは対照的に礼儀正しい様子で、軽く会釈をした。

 

「あ、貴方は……」

 

 今度こそ彼女にとって見覚え、いや憎悪を持つ人物が現れた。

 目の前に立つ黒づくめ男はヒオウギシティで狼藉を働かんとしていたプラズマ団の幹部、ランスであった。

 ランスの後ろにもまた数人ほどの下っ端がついている。一人は電波ジャマーと思われる機械を所持していた。あれで電波を妨害していたのだろう。エリカを追いかけていた下っ端たちも追いつき、彼女を挟み撃ちにした。

 

「もう一ヶ月も前のことでしたか。あの時はずいぶんとお世話になりましたねぇ」

「いったい私になんの用事ですか? 通してください!」

「残念ですがそれは叶いませんね。私は崇高なる主より命を受けてここに来ているのです」

「そんなこと知ったことですか! 通さないのならばあそこの廊下で伸びている男のようにしますわよ!」

 

 彼女は先ほどの匕首を取り出し、出せる限りの力をランスにぶつけようとする。

 

「甘い」

 

 ランスは先手をとって彼女の手首をとり、反対方向に捻り上げる。

 彼女は堪らず武器を落とし、体勢を崩す。そしてそれを見計らったかのようにランスは後方に回り、もう片方の手を組み合わせ、エリカの背中に締め上げた。その後下っ端によって猿轡を噛ませ、意識を失わせて布袋の中に放り投げた。

 

「おぅし退散だぁ! 布きれ一つ残すんじゃねえぞ!」

 

 いつの間にか体調が戻ったラムダは腹を押さえながら撤収を指示。いつの間に主導権が変わっていることにはあまり気にしていないのか涼しい顔でランスや下っ端たちもそれに続いていった。

 

─2月21日 午前7時 タマムシシティ ポケモンジム 事務室─

 

 副ジムリーダーのユキコは朝早くジムに出勤した。

 

「おはようございまーす! ……あれ、リーダーがいない」

 

 エリカは普段誰よりも早くジムに来て、ジム内の清掃をしたり仕入れてきた花々を飾り付けたりと仕事をしていた。しかし、今日は何も聞いていないのにジムの庭や事務室にエリカの姿はない。

 そして、本来なら昨日仕上げているはずだった書類がまだ山積している。いつもの彼女なら仕事を放置するはずかなく、万一そのようなことがあってもユキコには一報を入れてくる。 

 ユキコが不思議な顔をして机の上を眺めながら支度をしているとドアが幾度となくノックされた。かなり焦っている様子である。ユキコがドアを開けると、一人の老練そうななりをし、しっかりと仕立ててある茶色の着物を召した男が立っていた。

 用事を尋ねると男は名刺を差しだしてエリカの執事であると名乗り血相を変えた様子で言う。

 

「一大事でございます。エリカお嬢様が……行方不明となりました」

 

 ユキコはそれを聞くと、目を点にして腰を抜かしかけた。

 

「そ、そんな! 何かの間違いでは?」

「お嬢様をナツキ様の見舞いのために病院でお送りした運転手の者が申しておりました。あの者はもう数十年も当家に執事しているのです。嘘を言うはずも理由もありません」

 

 ユキコは顔面蒼白となり、続いて尋ねる。

 

「け、警察に捜索願は? リーダーは、エリカさんは見つかりそうなんですか!?」

 

 ユキコは執事の肩を揺さぶりながら訊ねる。執事は流されず冷静に答えた。

 

「すでに出しております。屋敷の者が未明より総出で捜索に当たっていますが有力な手がかりは残念ながら……」

「さ、然様ですか……。分かりました。リーグなどの各所には私が伝えておきます。ジムとして出来る限りの協力はさせてください」

「はっ。感謝いたします。此度の事は偏に私どもの責にございます。誠に申し訳ありませんでした」

 

 執事は深々と頭を下げたのち、別の場所へ謝罪に行くと言ってジムを去った。

 ユキコはその後、リーグなどに電話した後、次々とやってきたトレーナーにエリカ行方不明の一件を伝えた。

 

―同日 午後1時 リバースマウンテン―

 

 この頃、レッドはストレンジャーハウスに幽霊が出るとの噂の検証と対処の為にフウロと共にその場所に向かっていた。

 レッドはフウロに対する熱情が高まっており、かわってエリカがどうでもよくなりつつあった。

 砂嵐の中を歩いているとレッドのライブキャスターが鳴り響く。

 

「あれ? レッド君、鳴っているけど」

 

 気付いたフウロがレッドに話しかける。

 レッドは面倒臭そうにライブキャスターを見た。知らない番号である。

 本心を言えば出たくはなかったが、大事な用だとまずいので一応出ることにした。

 

「はいもしもし……」

「レッドさんですか? 突然お電話をかけてしまい申し訳ありません。私、エリカさんのジムの補佐をしておりますユキコと申します」

 

 そういえばエリカからそのような名を聞いた覚えがあると思うと適当に相槌を打って次を進めた。

 

「あの、驚かないで聞いてください。エリカさんが……エリカさんが昨日の夜から消息が分かっていないんです!」

「何ですかそれ……」

 

 レッドの心中は信じられないと言う気持ちと、面倒な案件持ってきやがってという気持ちが交錯している。

 

「本当の事です。今、私たちだけでなく警察やエリカさんの屋敷の方が全力で捜索しておりますが、全く手がかりがつかめていない状態でして……」

「あぁそう。要らない手間をかけさせてしまいなんとお詫びをすれば宜しいか……」

 

 レッドは適当な文句を言って切り上げようとする。一刻も早くフウロと二人きりの時間に戻りたくて仕方がない様子だ。エリカ失踪の件もあんなしっかり者の彼女が行方をくらますなどあり得るのかと半信半疑である。

 

「レッドさんに謝られるようなことではありません。とにかく、こちらとしてもできる限りの手を尽くしてエリカさんを見つけますのでどうか気を落とさずに……」

「はい分かりました。では……」

 

 そう言ってレッドは半ば一方的にライブキャスターの電源を切った。

 

「ちょっと……いいの?」

「何がです」

「エリカさんが居なくなったっていうのに全然心配そうな顔してない」

 

 フウロにはレッドの心境が読まれている様子である。

 

「はぁ。あのエリカが誰にも言わずどこかに消えるなんて思い難いですよ。きっと何かの思い違いでしょう。それにこんな遠くに離れた俺が何かできるわけじゃないですし」

 

 レッドはそう言って早々に切り上げて先に進んだ。フウロは釈然としなさそうな顔をしながら後に続く。

 

―同日 午後3時 セキエイリーグ 第二会議室―

 

 ワタルはエリカ逐電の報を聞くと、緊急会合と称してカントー・ジョウト中のジムリーダーを呼び寄せた。

 

「今日は忙しい中、集まってもらい申し訳ない。今回集まってもらったのは、この中の何人かは既に耳にしているかもしれないがタマムシのジムリーダーエリカ君が昨晩突然行方をくらました件についてだ」

 

 その言葉で議場は一気にざわついた。あのエリカがというのもあるが、ジムリーダーが突然行方不明になる事など前代未聞の事態だからである。

 

「エ、エリカさんが!? そんな、無事なんでしょうね?」

 

 タケシが真っ先にワタルに問いただす。

 

「落ち着きなさいよ。容体が分かっている行方不明なんて聞いたことないわ」

 

 ナツメがタケシをたしなめる。ナツメは存外落ち着いている様子である。

 

「そりゃそうですが……。そうだ、ナツメさん、貴女には何か分かるのでは」

「テレパシーやクレヤボヤンス(透視・千里眼)なんてもうとっくに試しているわよ。でもダメ。全く手がかりが掴めないわ。あまり言いたくないし、考えたくもないけど……最悪の場合誰かにさらわれているかもしれない」

 

 彼女のその一言に議場全体が凍りつく。

 

「そんなまさか……。あの子確か柔道だか剣道だかやっているとかって話じゃなかった? 少なくともそういう護身術は心得ているはずなのに」

 

 カスミがそう疑問を返す。

 

「本人曰くあれは嫌々やらされたものって言ってたし、ここ七年くらいはやってないとも言ってた。それに仮に覚えていたとしても、大の男に十人くらい囲まれたらいくらエリカとはいえ……」

「エリカんとこ確かこの国でも有数の金持ちやろ? そないなとこならSPとかつけてるんとちゃう?」

 

 続いてアカネがナツメに尋ねる。

 

「あの子、そういうのは積極的につけない子だし……。たまたま居ないときを狙われたら」

 

 憶測が飛び交う中、ワタルが大きく咳払いする。

 

「とにかく。我がリーグとしては一員であるエリカ君を捜さなければならない。とはいえ、諸君らにはそれぞれリーダーとしての仕事がある以上限界があるだろう。だから、何かてがかりとなりそうなものがあれば些細なものでもリーグ、もしくは現在臨時でリーダーを務めているユキコ君にまで伝えていただきたい」

 

 ユキコは立って、「どうかよろしくお願いいたします」という言葉と共にリーダーのいる全方向に頭を下げた。

 

「そういえばレッドはどうなっているんです? 数日ほど前まで一緒に旅していたのであれば何か手がかりになりそうなヒントとか持っているのでは」

 

 タケシがワタルに尋ねる。

 

「それがどうもユキコ君の話だと生返事で恋人を失ったとは思えないくらい冷静というか落ち着いた態度らしくてね……。明日の朝にでも僕から彼に持ちかけるつもりだ」

「どういう事よあのスカポラチンキ! あんなにベタ惚れだったくせにいなくなったらそれとかあんまりだわ!」

 

 カスミは激情に駆られて感情を議場にぶつける。しかし浮気性の彼女が言えた事ではない。

 

「まあまあ。レッドさんの事ですからもしかしたらあまりにもショックで気が抜けてしまっているだけかもしれないじゃないですか」

 

 ミカンがそうカスミを宥め、レッドをフォローした。

 

「ミカン。あんた何言うとんの! レッドは胡散臭い男やで、きっと今頃別の女とランデブーしとるんや! だからそんなに平然としてられるんや!」

「そうよ。そうに違いないわ。アカネちゃんよく分かってるぅ!」

 

 段々と議場全体がただのレッドの総叩き会場となりそうな様相を示してきた為、ワタルはまたも喉を鳴らし咳払いをする。

 

「真偽も定かでないのにレッド君を責めるのはやめなさい! ……、とにかく今晩レッド君に何か手がかりがないか聞くことにする。諸君らも何か分かり次第連絡を頼む。今日はこれにて解散! あとユキコ君には話があるので理事長室に来るよう」

 

 こうして、緊急会合は終わりエリカの失踪はジムリーダーにも知れることとなった。

 

―2月21日 午後10時 ストレンジャーハウス―

 

 ストレンジャーハウスへの依頼を無事終えたレッドとフウロ。この日は砂嵐が酷かったため翌日までここに寝泊まることにした。

 二人はこの時間まで談笑していたが、レッドは外に出していたピカチュウとヒトモシを部屋の外へ遣り部屋に二人きりになるという状況を作る。

 

「? どうして下がらせたの?」

「いや……、ヒトモシは暗い空間の方が好きそうだし、ピカチュウはそのお目付けってことで」

「ふーん……」

 

 と言うと、フウロはポケットから携帯を取り出し時間を見る。

 

「もうこんな時間かあ……、じゃ、あたし歯磨いてくる」

 

 この部屋の奥には洗面台がある。

 フウロは立ち上がると、後ろを向き、歯ブラシを取り出すためにカバンに向かう。

 レッドはカバンに向かっている時、フウロの背後から精いっぱい抱きつく。

 その時、レッド自身にフウロの腰あたりの柔らかい感覚を味わわせた。

 その感触に彼は更に彼女に対する性的欲求を高める。

 

「ひゃあ!」

 

 フウロは当たり前だが、突如抱きつかれて狼狽している様子だ。前かがみになっているところを狙われレッドに掬い上げられたので、丁度フウロの体は弓のような形になる。

 

「ちょ……レッド君……な、何……?」

「……」

 

 レッドはしばらくの間、沈黙を守ったまま柔肌の体温を感じ続ける。

 

「やめてよ……、あたしたち別にそういう関係じゃな」

 

 フウロがそういって、腕の束縛から逃れようとすると、途端にレッドは

 

「好きだ」

 

 と、フウロの耳元に囁く。

 

「!」

 

 フウロはその言葉を聞くと、目を見開かせる。

 

「好きなんだ……俺、フウロさんの事」

 

 レッドは続いて同じことを言う。

 

「何言ってるの……、レッド君には、エリカさんが」

 

 フウロの反論に、レッドは反射のように答える。

 

「エリカよりも……ずっと好きなんです!」

「っ……!」

「フウロさんは、俺の事」

 

 言いかけた瞬間、ライブキャスターの電子音が鳴り響く。鬱陶しいと思った彼はバッテリーを抜き、床へ投げ捨てた。

 

「いいの……? 電話にでなくて」

 

 話をそらす口実ができたとばかりにフウロは尋ねる。

 

「いいんです。それよりも、フウロさんは俺の事……」

「嫌い……」

「えっ?」

「その電話……もしかしたらエリカさんを捜すのにレッド君の助けが必要でかけてきたものかもしれないのに……それを断ち切るように投げ捨てるなんて……そんな酷い事を平然と出来る人なんか好きになれるわけないじゃない!」

 

 そう言って、フウロはレッドを押しのけ、部屋をでていこうとする。

 

「フウロさん!」

 

 彼女は数秒の沈黙の後

 

「あたし、今日隣の部屋で寝るから」

 

 そう言って、部屋から廊下を跨ぐ。

 

「待ってください! あの、その電話には出ますから話を」

「そう言う問題じゃないって事……どうしてわからないの? まさか、あたしを口説く為に仕方ないから電話にでて……そうすることでレッド君にとってあたしがいい返事をするって本気で思っているの? だとしたらレッド君は男として……ううん、人間として最低だよ!」

 

 フウロは怒りにまかせて大きな声でレッドを(たしな)めた。

 

「くっ……!」

 

 レッドはそこまで言われて漸く押しとどまった。フウロにここまで叱責されるとは思っていなかったため項垂れて大いに落ち込んでいる。

 

「……、ごめんね。ちょっと言い過ぎたけど……とにかくそういう事だから!」

 

 そう言って彼女は今度こそ部屋を出て行く。レッドは十分ほど放心状態になった後、バッテリーを入れ直し、電話をかけなおす。

 

「もしもし」

「ああレッド君かい? ワタルだけど、エリカ君が居なくなった話はもうユキコ君から聞いているよね?」

「ああ……はい」

 

 レッドは生気を失ったかのような声で答える。

 

「元気ないね……。どうかしたのかい」

「いえ……気のせいではないですか」

「そう? 最後に会った時の君はもっと元気そうにしてたと思うけどなあ。まあそれはいいや。単刀直入に聞きたいんだけど……レッド君ってエリカ君の事好きなのかい?」

 

 レッドの中で長く放置されていたエリカに対する感情を尋ねる質問に彼は困苦する。

 

「それは……えっと」

「全く……そんな調子だから女性陣に袋叩きされるんだよ……」

「え?」

「いや。こっちの話だ。それで、何かあったのかい? 喧嘩でもしたとか」

 

 レッドはもう叶わなくなったことだし、この際全てワタルにあらいざらい話してしまおうという気持ちになった。

 エリカはあまりにも完璧すぎて自らには不釣り合いではないかと思ったこと。

 エリカには自分よりもふさわしい相手がいて、自分は遊ばれているんじゃないかとも思ったこと。

 そんな風に悩みを抱えていき、エリカと同じ女性で自分に親しくてくれるフウロに相談をもちかけて、最初は淡い恋心だったのが段々とエリカを凌ぐほどの恋情となったこと。

 そして今日、フウロに思いの丈をぶつけようとしたが逆に嫌われてしまい、現在に至ると。

 

「なるほどそういう事だったのか……」

「一体俺はどうすればいいんでしょうね……ワタルさん」

 

 レッドはすべてを話し終えると、切なげな声でそう言った。

 

「恥ずかしながら僕はそういう経験したことないし、偉そうなことは言えないけれど……。少なくともフウロ君の言った通りエリカさんは君の事を見下していたり、遊んでなどいない。むしろ見てるこちらが恥ずかしくなるくらいのベタ惚れだよ」

「またそんな事……。フウロさんも言ってましたけどどうしてそうと言い切れるんですか」

 

 レッドはワタルに対し投げやりな口調でそう答えた。

 

「はぁ……。エリカ君に悪いから言いたくなかったんだけど……。ユキコ君がナツキ君の私物を整理している時、彼女の机の引き出しから大量の手紙が見つかったんだ、どうやら定期報告以外にも手紙のやりとりもしていたみたいでね」

 

 旅をしている時手紙の管理などは一切合切エリカが行っていたのでレッドにとってその話は寝耳に水である。食い入るようにレッドはワタルの話を聴いた。

 

「で、何かてがかりがあるかもしれないから……とユキコ君から僕にその手紙の山が贈られたのさ。まあナツキ君側からの内容は電話じゃ伝えきれない予算の報告とか仕入れの状況とかそんなのが主だったしそれはいい。で、エリカ君の返答もそれに対して意見したり、花の種類はこちらのほうがいいですよとかそんな感じの普通の内容。最後に三行だけ追伸としてエリカ君自身の近況が書いてあるんだけど……」

「も……もしかして」

「そう。レッド君の事が書いてあるんだよ。どの時期の手紙を見てもね。もう、読んでみたら顔から火が出るくらい惚気ている内容でねぇ……心底君が羨ましくなったさ」

「ぐ……具体的に何が?」

 

 レッドは興味津々な様子でワタルに尋ねる。

 

「おいおい僕にそれを読ませる気かい!?」

「気になるじゃないですか! ここまで焚きつけといて読まないとは言わせませんよ?」

「うう……分かった。読むよ」

 

 その後ワタルは三通ほどエリカの手紙の追伸を読みあげた。

 内容は確かに惚気ており、ある日レッドにいつもより更によりをかけて食事を作ったらいつも以上に喜んでくれたこと。何番道路で何々と名乗るトレーナーと戦ったときの戦術が素晴らしく惚れ惚れしたこと。そして極めつけは性活に関する記述まであったことである。

 読み終わった頃にはワタルの顔は髪色よりもさらに赤くなっていた。

 

「はぁ……これでいいかい?」

「は、はい有難うございます」

「全く今日は来客がなくて助かったよ……。誰かに見られたら絶対変な目でみられるところだ……。で、これで分かったよねエリカ君が本当に君の事を愛していると」

 

 ワタルはまだ興奮しているのか、少々息の上がった声で言う。

 

「はい。実によく」

「良かった。これで恥を晒した甲斐があるってもんだ。じゃあ本題に入るよ? レッド君、君の思い当たる中でエリカ君に危害を加えそうな人って誰だと思う?」

 

 レッドは質問に対し、深々と考えてみる。彼女はまず人に恨まれるようなことはしないし、妬みや嫉みを持つ者はいるかもしれないが彼女に直接に危害を加えることはしないだろう。何故ならそれ以上に仕返しを恐れる筈だからである。

 

「うーん……」

「やっぱり居ないか……」

 

 ワタルが諦めかけたその時、レッドの頭中に一人だけ思い浮かんだ。

 

「いえ! 一人だけ思い当たりますが……」

「本当に? 誰だい?」

「いやでもそんな……まさか」

「渋ってないで、言ってごらんよ」

 

 ワタルの勧めに対し、レッドは口を開く。

 

「オーキド博士……です」

「オーキド……ってあの4月にエンジュで大騒ぎを起こした? 記憶が正しければレッド君が片づけてくれた筈じゃ……」

「いやしかし、それ以外に考えられないんです。ワタルさんは知らないかもしれませんが博士のエリカに対する執着心は異常ですし、何より彼女の報復を恐れなくてもいい……。何故なら博士はエリカと同じかそれ以上に頭がいいですし……財力も相当にあるはずです。エリカに嫉妬やいやらしい感情を抱く人は少なくないでしょうけど、直接危害を与えうるのは……博士以外に思い当たらないです」

 

 レッドの推論にワタルはうんと深くうなずき

 

「なるほど……。実をいうとカツラさんやダイゴ君の報告を受けて、今シロナ君にイッシュ地方でプラズマ団の現状を調べさせているんだ。その調査で希薄ではあるけれどロケット団が結び付いている可能性が浮上してきた。僕自身どうして未だにロケット団が活動できるのか不思議だったんだけど……オーキドが生きている仮説が成り立てば辻褄は合うね」

「だったら今エリカはオーキドの命によってプラズマ団に捕らわれている……」

「断定はできないけどね。シロナ君にその件について話してみるよ。ありがとう。頭のもやが晴れたよレッド君! 感謝する」

 

 レッドはワタルに尋ねる。

 

「そんな大したことでは……。ところで旅はどうしましょうか」

「エリカ君をいつまでも待っていても時間は無為に過ぎるばかりだよ。不本意だろうけど本来は君一人に向けての計画なんだ。捜索はこちらに任せてどうか続けてほしい。確かあと二つだろう?」

 

 レッドは一分ほど黙したのち

 

「そうですね……。出来ればエリカとこれからもしたかったのですが、止むを得ないです」

「心配だろうけど、頑張って欲しい。エリカ君だってそれを望んでいると思うよ。それで、もしもそっちでも手がかりが見つかったら遠慮なく僕に伝えてくれ」

「勿論です。ワタルさん、ありがとうございます」

「なに。レッド君のリーグへの貢献を考えたら軽いものさ。あと、手紙の件は内密に。じゃあね」

 

 こうして、ワタルとの通信は切れた。

 

―隣室―

 

 フウロは隣の部屋でレッドの話を盗み聞きしていた。

 

「これで……良かったんだよ……頑張れ、レッド君」

 

 彼女は満足げな表情をし、レッドが床についた後、書置きを残してエアームドで砂嵐の中を飛んで行った。

 

―番外編2-1 落ちる花 完―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




本編以上のバッドエンドにしようか
トゥルーエンドっぽくするか

それが問題だ

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