おっぱいドラゴンに柱間ァ……!大好きクレイジーサイコホモがinしました(休載中)   作:ふくちか

23 / 48
………一晩寝て起きたらお気に入りが増えてびっくりしている、私です


第二十一話「お前はお前だ」

 

 

「……ここか」

 

ギャスパーの性格矯正後の次の日、俺は姫島に言われとある神社へと来ていた。

 

普通悪魔は神社などには入れないものだと思うが………何か特別な手配をしているのだろうな。

……姫島は分かるが、もう一人のこの気配は誰だ?

 

「いらっしゃい、イッセー君」

 

…見上げると、鳥居の下には姫島がいた。

しかし、こうして見ると巫女服が様になっているな。

 

「…お前の他にもう一人来ているようだが、一体誰だ?」

「うふふ。流石はイッセー君。鋭いですわね」

「私をお呼びですか?」

 

そういって姫島の後ろからやって来たのは、金髪を長く伸ばした柔和そうな男だった。

 

「こうして会うのは初めてですね、兵藤一誠君」

「アンタは?」

「私はミカエル。天使の長をしております」

 

そう言うと、奴の背後から翼が開いた。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

立ち話もなんだと言う訳で、俺は今、神社の本殿にいる。

 

「まず、あなたにはお礼を言わなければなりませんね。先日のコカビエルの一件。本当にご苦労様でした」

「……俺は何もしていない。あそこにいたリアス・グレモリー達が戦った。それだけだ」

「成程、ではそういう事にしておきましょうか」

 

ミカエルは可笑しそうにクスリと笑った。

………気に食わん反応だな。

 

『素直ではないと言いたいのだろう』

 

…………何だ?今何処からか声が聞こえたな。

 

『……相棒、ボケでもそれはきついんだぞ?俺、他の作品と比べて出番がほぼ無いんだぞ?』

 

そんな外部事情、俺が知る訳ないだろ。

 

「………アンタが本題に入る前に一つだけ聞く」

「何でしょうか?」

「何故、アーシア・アルジェントを追放した」

 

以前からこれがずっと俺の中で引っかかっていた。

俺は無神論者ではあるが、彼女の信仰心は本物だと言うのがありありと伝わってくる。

 

ずっと神を信じ、辛い時の中を生きてきた彼女を、なぜ悪魔をも癒せるという理由だけで追放したのか。

 

 

 

だから一度確かめたかった。

 

 

天界側はそんな下らない理由で信徒一人を追放するほど唾棄すべき勢力なのか、そうではないのか。

 

 

「悪魔を癒せるから、と言う言い訳なら聞かんぞ。場合によっては俺が教会や貴様等天界を滅ぼす。正直に言え」

 

座りながら、俺は脅しの意味を込めて殺気を放つ。

奴は瞑目すると、静かに語り始めた。

 

「それに関しては、申し訳ないとしか言えません。…………神が消滅した後、加護と慈悲と奇跡を司る『システム』だけが残りました。この『システム』は、神が行っていた奇跡等を起こすための物。神は『システム』を作り、これを用いて地上に奇跡をもたらして来ました。悪魔払い、十字架等の聖具へともたらす効果……これらも『システム』の力です」

「だが神がいなくなった事で、『システム』に不都合が起こった………か?」

 

俺の問いにミカエルは頷いた。

 

「正直、『システム』を神以外が扱うのは困難を極めます。私を中心に『熾天使(セラフ)』全員で『システム』をどうにか動かせていますが…………神がご健在だった頃に比べると、神を信じる者達への加護も慈悲も行き届きません……残念な事ですが、救済出来る者は限られてしまうのです」

「……………………」

「その為、『システム』に影響を及ぼす可能性の有るものを教会に関する物から遠ざける必要があったのです。影響を及ぼす物の例としましては、一部の神器――――アーシア・アルジェントの持つ『聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)』も含まれます。そして、貴方の持つ『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』、白龍皇の持つ『白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)』も同等の物です」

「……『神滅具(ロンギヌス)』ではないアーシアの神器が弾かれるのは、悪魔や堕天使も回復出来るから、だな?」

 

ミカエルは再度頷いた。

 

「はい。信徒の中に『悪魔と堕天使を回復出来る神器』を持つ者がいれば、周囲の信仰に影響が出ます。……信者の信仰は我らの天界に住まう者の源。その為、『聖母の微笑み』は『システム』に影響を及ぼす禁止神器としています。それと、影響を及ぼす例に――――」

「神の不在を知る者……か。つまりゼノヴィアは、悪魔にならずとも追放される対象だったんだな」

「えぇ、その通りです。戦士ゼノヴィアを失うのは此方としても痛手ですが、神の不在を知った者が本部に直結した場所に近づくと『システム』に大きな影響が出ます。――――申し訳ありません。ゼノヴィア、アーシア・アルジェントの両名を異端とするしかなかったのです………」

 

恐らくは全てだろう――――それらを言い終えたミカエルは、俺に頭を下げた。

その声音には悔恨の念も含まれていた。

 

『…………演技ではない。恐らく此奴にとっても、苦渋の決断だったのだな』

 

なら、俺が言うべき事はただ一つ。

 

「…頭を下げる相手が違う。それは今度の会談の時に、二人に下げるべきだ。それと――――」

「勿論、彼女達には説明させてもらいます」

 

………分かっているじゃないか。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

 

「では、今日の本題に入りましょう。あなたを呼び出したのはこれを授けるためです」

 

そう言って、ミカエルは眼前に一本の剣を召喚した。

……天界側のこの男が召喚すると言う事は、聖剣の類か。

 

「これはゲオルギウス――――聖ジョージと呼べば伝わりやすいでしょうか?彼の持っていた龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)の聖剣、アスカロンです」

 

いや、聖ジョージとか言われても分からんのだが。

あれか、新しいコーヒーのメーカーか?

 

『それはジョー〇アだ』

「特殊儀礼を施してあるので、あなたでも扱えるはずですよ」

 

眼前で輝くそれを、しかし俺はただ簡単に手に取る気は起きなかった。

 

「どうしました?」

「…アンタ正気か?こんな貴重な業物、どの勢力の派閥でもない俺に託して何になる?」

 

一応悪魔に多少肩入れしているから悪魔側と捉えられるが、俺は一応どの勢力の人間でもない。

だと言うのに、目の前の天使はそんな物を態々俺に託そうとしている。

 

普通に考えれば罠、好意的な意味でも訳の分からない事をしているこの男の心理が、俺には謀りかねる。

 

「私は今度の会談は、三大勢力が手を取り合う大きな機会だと思っています。既に御存知ですのでお話しますが、我等が創造主――――神は先の戦争で亡くなりました。敵対していた旧魔王も戦死し、堕天使の幹部達も沈黙。アザゼルも戦争を起こす気はないと口にしています。言わばこれは好機です。無駄な争いを無くすためのチャンスです。このまま小規模なイザコザが続けば、何れ三大勢力は滅んでしまう…………仮にそれを避けたとしても他の勢力が攻め込んで来るやもしれません。先の戦争時、三大勢力は一度だけ手を取り合いました。今度も手を取り合える事を祈って――――貴方に願を掛けたのですよ」

 

 

 

ふむ、俺にとってはどうでも良い事だな。

 

『戦争になるやもしれんと言う事だろう。であれば、相棒の家族が危険なのだぞ?』

 

そうなった場合は俺が三大勢力ごと滅ぼせば良い。

 

『な………』

 

何を驚く?

 

 

 

 

 

俺は――――家族を守る為なら鬼にも修羅にも、咎人にもなり果てると決めているのだからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「言いたい事は分かった。なら、俺がその剣をどう使おうが文句はあるまい?」

「えぇ」

 

……言い切るか。

顔の割に中々肝の据わった男だ。

 

「……なら、受け取っておいてやる」

 

これを受け取る事で、俺の家族が平穏を享受出来るなら、喜んで受け取ろうではないか。

 

「では、赤龍帝の籠手と同化させてみてください」

 

俺は久方ぶりに籠手を展開させる。

……正直な話、これを前に展開したのが何時だったか覚えてないレベルで使っていないな。

 

『……相棒』

 

まぁ良いか。

俺は泣きの気配を見せ始めたドライグを無視して、聖剣を籠手に同化させた。

 

「上手くいって良かったです。私はそろそろ行かねばならないのでここで失礼します。………アーシア・アルジェントとゼノヴィアには必ず償いを果たしましょう。それでは、会談の時に」

 

そう言うと、ミカエルは一瞬の閃光の後、姿を消していた。

 

 

 

 

 

俺は出る等とは一言も言っていないのだが。

 

 

 

ーーーー

 

 

「お茶ですわ」

 

ミカエルが去った後、俺は姫島の居住区へと上がっていた。

……美味いな。

 

「驚きましたわ。イッセー君ったら、ミカエル様を前にあんな啖呵を切るんですから」

「…………で?何故俺を上げた?態々そんな事を言ったり、茶を振る舞う為ではあるまい」

 

茶を飲みながら俺が横目で見据えると、姫島の顔から笑顔が消えた。

 

「……イッセー君は、何でもお見通しですのね」

「…少なくとも、お前が堕天使の血を引いている程度なら知っている」

「!」

 

…やはり、堕天使関連か。

俺が以前アザゼルの話をした際、此奴は一目には付かない程度に顔を陰らせた。

 

加えて、初めて会った時から感じていた、リアス達とは異なるチャクラ………そう、半分が堕天使だった。

それに関しては塔城もそうなのだが………まぁ、この話題は今は関係ない。

 

 

恐らくはその事だろうな。

 

 

そう思い姫島の言葉を待っていると、姫島は巫女服の上を肌蹴させた。

 

そして広がった翼は――――悪魔の物と、堕天使の物。

 

「イッセー君の言った通り、私は堕天使の血を引いてるわ。……この汚れた翼が嫌で私はリアスと出会い、悪魔となったの。でも、その結果、生まれたのは堕天使と悪魔の翼を持ったおぞましい生き物。ふふ、この身に汚れた血を持つ私にはお似合いかもしれません」

 

そう言って自らを自嘲する姫島。

 

「……私のような悍ましい生き物、本来ならいてはいけない存在なのにね………」

「…………それだけか?」

「え?」

 

俺は立ち上がって、一言そう言った。

 

「いてはいけない存在、そう俺に肯定してほしいのか?それとも否定してもらいたのか?………いや、違うな。お前が今語った言葉に、本音なんて物はない。―――――お前はただ、自分が何者か分かっていない。それだけではないのか?」

「……………ったら………。だったら分かるの!?何でも見通している風な眼をして!!……こんなっ、悪魔なのか、堕天使なのか………私でも分からない事が!貴方には分かると言うのっ!?」

 

俺の言葉が何かに触れたのか、今までは見せた事がない様子で――――まるで駄々っ子のように、姫島は喚いた。

 

 

…………何でも見通している風な眼、か。

 

 

 

「……確かに。俺は全盛期ほど、全てを見通せる訳ではない」

「………?」

「だがな、それでも俺には一つ、分かる事がある――――お前は、姫島朱乃だ」

「!」

 

驚きで固まる姫島に構わず、俺は奴の目を覗き込む。

 

「他者を甚振るのに悦楽を見出すお前……何時も柔和な笑顔で空気を和ますお前………他者よりも繊細で脆いお前…………堕天使と悪魔の血を引くお前……………それらは全て、お前をお前足らしめる物だ。お前を他の誰でもない――――姫島朱乃としてな」

「い、っせー……君」

「……本当の自分が分からないなら、これから探していけば良い。まだまだ人生は長いんだ。だが……これだけは覚えておけ。どんな自分自身になろうが、お前はずっと、俺にとっては、ただの姫島朱乃だ」

 

 

 

 

………全く、小娘の相手は苦労する。

 

 

 

 

 

「……イッセー君ッ!!!」

 

と思いつつ帰ろうとしていたら、姫島に押し倒された。

 

「……ありがとう……………ありがとう…ッ!」

 

どう引き剥がそうと思っていたが、俺の胸に縋り付いて泣き続ける姫島が視界に入ってきた。

それは、まるで自分の存在を再確認するかのように。

 

 

「………ハァ、今回だけだからな」

 

 

俺は仕方なく、泣き止むまでイズナにしているみたいに姫島の頭を撫でる事にした。

 

 

 

 

 

 

 




もう、GWも終わりなんですね………(絶望)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。