おっぱいドラゴンに柱間ァ……!大好きクレイジーサイコホモがinしました(休載中) 作:ふくちか
手 抜 き で は あ り ま せ ん
手抜きと申す方はもれなく卑劣様が穢土転生の生贄にしてくれるそうですよ
イッセーだ。
俺は今――――空に浮かぶ男を見上げている。
「…馬鹿と悪役は高い場所が好きとは、よく言ったものだな」
………前世の俺にも覚えがあるのだから、昔の偉人は素晴らしい言葉を残したものだ。
「はっはっは!神を前に何たる不遜!!だが、貴殿はそれだけの実力を持つという証拠!」
「そちらも随分と不遜な神だ……………悪神ロキ。その娘ヘル」
全く、リアス達があの爺の警護をしている最中に、とんでもない相手と出くわすとはな。
『そういう割には随分と高揚しているではないか、相棒』
当然だ。
まさか神と戦える機会が来ようとは…………心躍らずしてどうする?
「神であるならば…………その実力、俺に見せてくれ」
俺はゆらりと魔力を周囲に展開する。
須佐能乎を発動し、まずは拳を振るう。
「ほう、それが貴殿の妙技!一度しかと見てみたかったぞ!」
ロキは魔法陣を展開、須佐能乎の拳は奴に触れる事無く――――遥か後方の山で爆発が起きた。
「……転移魔法か」
俺の須佐能乎を飛ばすとは、やはり神の名に嘘はないということか。
「しかし、態々山の方へと転移させるとはな」
「我とて無用な殺生は好まんのだよ。我が用があるのはオーディンただ一人なのだ、兵藤一誠――――最凶の赤龍帝」
……人前でドライグの力なぞ使った覚えが全くないのだが。
まぁそんな事はどうでもいいか。
『……相棒』
「貴殿がいくらその身に宿る龍の力を使わずとも、貴殿は赤き龍に取りつかれた者という事実は変わらぬさ」
「………」
「お喋りはこの位にして……消えてもらおう、赤龍帝」
ロキは手元に幾重もの魔法陣を展開…………攻撃用と、捕縛用か。
俺の予測通り、半分の魔法陣からは魔力の奔流、後の残りからは鎖が此方へと襲い掛かってきた。
「その鎖は貴殿を何処までも追い掛ける!そして……ヘル!」
「……はい、お父様」
ヘルが虚空に傘を向けると、空間が歪み始める。
やがてその中から、夥しい数の醜悪な魔物が湧き出て来る。
……あれが北欧の地獄、ヘルヘイムの魔物か。
感心する傍ら、俺は印を結ぶ。
「火遁・豪火滅却」
チャクラを炎に変換し、一気に吐き出す。
魔物は殆ど焼却したが、鎖だけはしぶとく俺を追い掛けてくる。
…………あちこちが焼け焦げていたが。
俺は須佐能乎の腕を振るわせ、その剣で鎖を薙ぎ払った。
「……からかうつもりであったのだが、その認識を改めねばならんか!」
そう言うと、ロキは俺へと単身向かってきた。
「お父様!」
「手出しは無用だ、ヘル!」
ロキは手元に魔方陣を発動、その手には剣が握られていた。
すかさずアスカロンで受け止めると、刀身からは熱を感じた。
「っ……素晴らしい反応速度!」
「神性を感じるが、これもお前の玩具か?」
「そう、この剣は神剣レーヴァテイン!あらゆる物を燃やし尽くす神にのみ握ることを許された剣なのだ!」
「ふん、レバ刺しごとき握った程度で勝ち誇って貰っては困る」
「っぬ!?」
俺は力でロキを押し退けると、アスカロンに炎を纏わせる。
それを見てか、ロキもレーヴァテインに炎を纏わせた。
「貴殿の炎と我がレーヴァテインの炎!どちらが上なのか…………面白いっ!!」
「――――剣義・豪火滅却剣」
息巻くロキに構わず、俺はアスカロンを振るう。
それをロキは受け止めるが――――直ぐに顔色を変え始めた。
「っ!…………まさかっ!」
ロキはその場から離れ、レーヴァテインを消した。
そこへすかさず、ヘル本人の攻撃が俺に向かってくる。
「――――うちは返し」
俺はアスカロンと入れ違いで召喚したうちはで攻撃を吸収、そのまま暴風として跳ね返す。
「っ!!」
…………が、ロキはそれを魔方陣で吸収して霧散させてしまった。
…………そうでなくてはな。
「……驚いたぞ。まさか我がレーヴァテインをも燃やそうとは!」
「言った筈だ。レバ刺し程度の得物で、勝った気になるなと」
「……貴殿を生かしておけば、この先確実に我が驚異となる。ならば――――ここで確実に殺しておこう」
ロキは再び魔方陣を展開する。
その輝きと共に姿を現したのは、巨大な狼。
赤き双眼が、俺を睨み付ける。
「灰色の狼、北欧…………成る程、その犬が
「如何にも!神をも穿つ牙を持つ我が息子!フェンリルの力の前では、如何に貴殿と言えど抗えぬ!」
「…………心が踊る」
「何時まで踊っていられるか!さぁフェンリル、目の前の人間を切り刻め!!」
「――――待つのじゃ、ロキ」
犬が此方に飛びかからんとする中、背後から声が聞こえてきた。
そちらを振り向くと、そこにはジジイ――――もとい、オーディンがいた。
「おぉ、我が主神オーディン!態々我が元へと姿を見せようとは!」
「お前さんが危険なペットを解放しようとしておるからな」
「イッセー!まだ噛みつかれてないな!?」
アザゼルがそう聞いてくる。
あの犬には噛みつかれてはいないが…………
「あそこの神は噛み付いて来たぞ」
「上手いこと言ってる場合か!」
「オーディンよ、今一度だけ聞く!まだこのような愚かなことを続けるおつもりか!」
「そうじゃ。少なくともお主らよりもサーゼクスやアザゼルと話していたほうが万倍も楽しいわい。だいたいのぉ、黄昏の先にあるのは終末。つまりは滅びじゃ。それを自ら引き起こそうとするなど、それこそ愚かな行為じゃと思わんか?」
「…………成る程、答えは分かった。これで気兼ねなく貴方を滅ぼせる!フェンリル!!愚かな主神の喉笛を掻っ斬れ!!!」
ロキの命令通り、犬が此方に向けて飛びかかる。
俺はすかさず犬とジジイの間に立つ。
「アザゼル、手出しはするなよ?」
「お前、何を――――」
俺が前方へと差し出した左腕を、フェンリルは躊躇なく爪で斬り飛ばした!
『――――ッ!?』
全員の驚愕とロキの哄笑が見詰める中――――俺はフェンリルの出っ張った口元を踏みつける。
『グルルルル……ッ!』
「な、に…………?!」
「……随分躾の悪い犬だな」
俺は退かした足でフェンリルの顎を蹴り上げる。
その一撃でフェンリルの体躯は宙へと浮かぶ。
「…………たっぷりと調教してやる、有り難く思え」
此方へと噛み付こうと飛び付いてきたフェンリルを右腕で抑え込み、
「千鳥流し」
『―――――ッ!!!』
雷遁のチャクラを流し込む。
眼も眩む発光を上げながら、電流はフェンリルの身体を傷付けていく。
千鳥流しを終えると、フェンリルは未だに敵意剥き出しの瞳で睨み付けている。
俺は口角を上げて、そのままフェンリルを離し――――右拳を叩き込んだ。
それを受けたフェンリルはロキへと吹き飛ばされていく。
「…………まさか、フェンリルをも!!」
「……得意気に召喚した割には、大したことのない駄犬だな」
「………………一度、計画の再構築が必要か。ここは退かせてもらおう」
ロキはマントをはためかせると、その場から犬と女共々姿を消した。