では、どうぞ。
比較的平和にデュエルをする時間帯と場所を決め、現在地はオベリスクブルーが主に使っているというデュエルスペース。コナミと万丈目は一対一のサシ、観客無しでやると思っていたのだが――
「――おう! コナミー楽しいデュエルをしてくれよ!」
「……うん。知っていた。その場に遊城がいたんだから君が来ることは。でも……そのいつものメンバーは十代から聞いたんだろうね……」
当然のごとく。最近コナミと一緒にいる人物がギャラリーとして観戦しにきていた。コナミの言った十代を元に、翔、三沢、明日香。さらにはツァンや雪乃といったメンバーも集まっており。
「そうっス! それとコナミ君、いい加減あのブラマジガールフィギュアの詳細を知りたいッス! ネットで調べんたんスけど、どこにもあのモデルはなかったッスよ!?」
「あれは自分の親友のお手製だ、以上。で、三沢は?」
「それは勿論、中等部トップの万丈目と特異なデッキを使う辰上のデュエルが気になるからだ。それと、俺の知らない知識が知れるとなるとワクワクするもんでな」
「うん、ある意味デュエリストの鏡だね。それでオベリスクブルー三人組は……」
「十代から聞いたわ」
「天上院さんから聞いた」
「ツァンさんから聞いたわ」
「……まぁ、いいや。それと……ごめんね万丈目。観客とかいないで気楽にデュエルするように設定していたんだけど……」
コナミなりに悪いを思っていたのだろう。謝罪していたところで――万丈目は小声で言葉を並べていた。
「オシリスレッドとラーイエロー、この際他のオベリスクブルーの生徒はどうでもいい……しかし、天上院君がこのデュエルを見に来ただと!? これはもう、負けるわけにはいかない……!」
「……どうしたの万丈目?」
「万丈目『さん』だ。それよりも、デュエルを始めるぞ! オベリスクブルーとオシリスレッドの差をとくと思い知るが良い!」
先ほどのデュエルをする前の万丈目を比べると、覇気がさらに宿ったような気がしたコナミ。先ほどまではコナミを倒そうという意思は感じていたが……それに加えて、さらなる決心を加えたような感じがする。
……何となく察していたが、デュエルの挨拶を。
「「――決闘!」」
「先行はオレからだ、カードドロー!」
デュエルが始まり、先行をとったのは万丈目。デッキトップからカードを引き、彼は行動に移る。
「俺は【地獄戦士】を攻撃表示で召喚! さらにリバースカードを二枚伏せてターンエンドだ!」
『フハハハッ』ATK/1200 ☆4
万丈目 LP4000 手札三枚
場
【地獄戦士】Atk/1200
伏せカード 二枚
「お、万丈目の主力カードか!」
彼のモンスターに反応したのは十代だ。その言葉に疑問に覚えた三沢は彼にそのまま問いかける。
「? 何だ十代。万丈目のデッキを知っていたのか?」
「あぁ。その時のデュエルは流れちまったけど、大体知ってるぜ! ……あ。そうなるともしかしたらあのカードもあるかもな……」
「いつの間にアンタ、オベリスクブルーとデュエルしていてんのよ……?」
当時のデュエルと思い出していたが、ツァンは疑問が増えていく。何故、彼とデュエルとする機会があったのだろうと思っているが……この場では翔と明日香も知っており、どこか二人は苦笑いを浮かべている。
その中で、冷静にデュエルを観察しているのは雪乃だ。
「万丈目のボウヤのデッキは確か【地獄】デッキだったわね。癖が強いモンスター群だけど、回ればそれなりに強いわ……さて、コナミ。どういうデュエルを見せてくれるのかしら?」
「……【地獄戦士】か。……まぁ、気にしないでおこう。自分のターン、ドロースタンバイ……何かある?」
「? 無いが……」
「了解っと、じゃあ改めてメインフェイズ」
もはや恒例となった、彼の丁寧な進み方。そして、今の手札を見て思う事。
「(……決闘盤を使ってでのデュエルで、あまりソリティアできるような手札が来ないんだよなぁ……。昨日の夜にちょっとネタよりに構成したのもあるんだろうけど。まだエクストラデッキはペンデュラムと融合召喚ぐらいしかできないし……)」
どうやらフル回転で回すことはできないらしい。だが、彼のデッキは周りやすい。コナミは二種類のカードを手に取り、決闘盤の端に置いた。
「自分はライトペンデュラムゾーンにスケール4の【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】、レフトペンデュラムゾーンにスケール8の【竜穴の魔術師】をセッティング!」
PENDULM
「これでレベル5から7までのモンスターが召喚可能――揺れろ自分の魂! 現世と幻想を繋ぐ橋になれ――ペンデュラム召喚! 手札より【相克の魔術師】!」
『……』Atk/2500 ☆7
もはや彼の十八番の召喚方になっているペンデュラム召喚。デュエルフィールドの端には二色の瞳を持つ陸上型のドラゴンと、青と黒の服を着ている、ガタイの良い魔術師が出現すると、最近彼のピンチを救ったという【相克の魔術師】が姿を現す。
彼の召喚に騒ぎ立てているギャラリーだが、当然目の前にいる万丈目は【ペンデュラム召喚】を知らないわけで。
「な、何をした!? その召喚方法は一体何だ!?」
「要約するとこんな感じ。
・スケール内のレベルのモンスターは手札・融合デッキから特殊召喚可能
・スケール内なら一斉にモンスターを特殊召喚できる
……追加事項としてペンデュラムモンスターは破壊、生贄、効果で墓地に送られる場合は融合デッキに送られる。以上」
「……腑に落ちないが、まぁ良いだろう! それでどうするつもりだ?」
「当然バトル。【相克の魔術師】で【地獄戦士】に攻撃!」
バトルが始まり、攻撃力の差で当然【相克の魔術師】が魔法攻撃を放ち、勝つ。その影響で戦闘ダメージを受けた万丈目だが――
「くっ……だが、【地獄戦士】の効果を発動! オレが受けた戦闘ダメージを、お前にも与える!」LP4000→2700
「(……ダメージが適用されたってことは、これは効果ダメージだったのか……。確か【アマゾネス】モンスターで似たような効果モンスターがいたはずだけど、違う裁定……これだからコンマイ語は……)」LP4000→2700
もしもこの効果のダメージが【戦闘ダメージ】ならば、【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】のペンデュラム効果により、一ターンに一度戦闘ダメージを0にする効果があるのだが、決闘盤はそのダメージは認識しなかった。表面上は平静なコナミだが、【A、カードが違います】という答えに頭を悩ませていたが。
多少の思い違いがあったが、これは誤差の範囲だ。続けてコナミは行動を行う。
「メイン2。モンスターをセット、伏せカードを二枚伏せてエンドフェイズ。そしてこのエンドフェイズ時に【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】のペンデュラム効果を発動! ペンデュラムゾーンのこのカードを破壊し、デッキから攻撃力1500以下のペンデュラムモンスターを手札に――」
「オレは罠カード――む……。いや、なんでもない」
コナミの処理時にカードを発動させようとした万丈目だが、一瞬言葉が詰まった後、コナミに行動を進めた。一瞬の彼の行動に疑問を覚えた人物が多数だが、万丈目の言葉を受け取り、再開。
「……じゃ、改めて。【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】を破壊して攻撃力1500の【慧眼の魔術師】を手札に。これで自分のターンは終了だね」
辰上コナミ LP2700 手札2枚
場
【相克の魔術師】Atk/2500
伏せモンスター
Pゾーン スケール8【竜穴の魔術師】
伏せカード2枚
「なら、オレのターンだ! ドロー! そしてドローが終了してメインに入る前に罠カード発動!【リビングデットの呼び声】! オレの墓地のモンスターを攻撃表示で特殊召喚する! 戻ってこい、地獄戦士!」
『フハハハッ!』Atk/1200
墓地から蘇る万丈目のモンスター。このタイミングで何故蘇生カードを発動したのかわからなかったが――続けて万丈目は次の伏せカードを公開した。
「そして、オレのモンスターが特殊召喚に成功した【時】、相手のフィールドに表側表示のモンスターが存在するときに発動【できる】! 速攻魔法【地獄の暴走召喚】!」
「あぁー……なるほど。だからチェーンをしなかったんだ」
「フン。癪に障るが、中等部の時のデュエルの相手で、相手が発動しようとしたカードが発動できないときがあってな。あの時は相手の決闘盤の故障かと思っていたが……前の講義で納得がいった。まぁ、お前はオシリスレッドにしてはできる方みたいだからな。相手の長所はオシリスレッドでも役立つものなら吸収する。オレ達が優秀であるオベリスクブルーである所以だ」
納得した表情を浮かべるコナミに、誇らしげに語る万丈目。コナミが過去に披露した知識は大部分の生徒に印象ついて残っていたのだが――
「? なぁ、なんで万丈目はさっきのコナミのペンデュラム効果の時に発動しなかったんだ?」
――仕方ないかもしれないが、まだ十代は深くは理解していない。むしろ彼は一部であっても、コナミの説明した講義には起きていたのだが……。
その事について、簡略的に説明する三沢。
「俺もコナミから講義が終わった後に教わったんだが、あのタイミングで【リビングデットの呼び声】を発動すると、【地獄の暴走召喚】のタイミングを逃すんだ。だからこそ、万丈目はそれに気づき止めたんだ」
「タイミングを逃す? 別にタイミングなんて関係ないと思うけど……」
「【時と場合】と【するとできる】で違ってくるそうだ。大雑把に説明すると、大体の【場合にする】【場合にできる】【時にする】というのは例外を除いてタイミングを逃さす発動できる。しかし、今回万丈目が発動した【地獄の暴走召喚】は【時にできる】という任意効果だ。あのカードの発動タイミングは【自分のモンスターを特殊召喚した時】。特殊召喚に成功するが、その時は辰上は改めて【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】のペンデュラム効果の処理に移る。チェーンが終わったものに、チェーンすることが出来ない。処理中に他のカードの効果を発動できないのさ。そしてその結果、【地獄の暴走召喚】の特殊召喚した時のタイミングを逃し、発動できないんだ」
「……悪い三沢、何を言っているんだ?」
「……まぁ、簡単に言うのならば【時に~できる】という効果はチェーン2以降で発動すると大方【発動したくても発動できない】とでも思ってくれ」
三沢なりに説明したが、処理が追い付かず頭を抱えて悩んでいる十代。この【タイミングを逃す】という問題はギャラリーの人物を悩ませていた。
閑話休題。
改めて、万丈目は自分が使った魔法カードの説明に入る。
「このカードは自分のモンスターを特殊召喚したモンスターを手札・デッキ・墓地から同盟モンスターを可能な限りフィールドに特殊召喚する! ただし、お前も表側表示モンスターを手札・デッキ・墓地から特殊召喚できる」
「……恩恵を受けたいけど、生憎このデッキはハイランダー構築でね。【相克の魔術師】は一体しかいないよ」
「ならばオレはデッキから二体の【地獄戦士】を特殊召喚!」
『フハハハッ』ATK/1200 ☆4
『フハハハッ』ATK/1200 ☆4
万丈目のモンスターゾーンには、同盟モンスターが三体並ぶ。同じレベルのモンスターが並んだことに『レベル4のモンスターが三体……来るぞ主!』という幻聴が聞こえたような気がしたコナミだが、万丈目は一枚の魔法カードを使用した。
「さらにオレは装備魔法【ヘル・アライアンス】を【リビングデッド】の対象になっていない、二体目の【地獄戦士】に装備する! このカードは自分の同盟モンスターがオレのフィールドにいるとき、そのモンスターの数のかける800攻撃力がアップする!」
『フハハハッー!』ATK/1200→3600
「攻撃力が3600……相克の魔術師を超えてきたか」
攻撃力の上昇に、このままいくとコナミが劣勢になるであろうと予想する三沢。攻撃力3000台を叩きだした万丈目はどこか満足気だが――コナミは素朴な疑問があるようで。
「……【団結の力】で良くない? 【ヘル・アライアンス】はあくまで【同盟モンスター】のみ攻撃力を装備魔法だけど……(しかも確かこのカードは自身は攻撃力アップには含まれないのに、含んでいるし……)」
「!? 【団結の力】は制限カードであり、かなりのレアカードだぞ! そんな簡単に使えるものか!」
「(あれぇー……? 団結の力って、そこまでレアリティが高かったっけ……?)」
コナミの【パンが無ければケーキを食べれば良い】という理論に万丈目やギャラリー達も驚いており、ふとあることを思い出した雪乃は呟く。
「……そういえばコナミの持っているストレージに、【団結の力】が何枚も持っていたような気がするわ……」
「嘘っ!? そんな簡単にあのカードは手に入らないよ!?」
「……でもコナミの持っている【団結の力】はノーマルに、何か金色みたいな色で加工されたレアリティものだったのよね。でも、試しに使ってみたら決闘盤はちゃんと動作したけれど……」
「まさか、辰上君がカードに詳しいのは、コレクターでもあるためかしら……」
コナミのカード事情を知って驚くツァンをよそに、博識である理由の一つを予想する明日香だったが、このままではデュエルは進まない。癪に障った万丈目は攻撃指示を。
「ちぃっ! ならばお前を敗北させるまで! ここでオレはリビングデットの呼び声で蘇らせた【地獄戦士】を生贄にささげ、来い、【地獄将軍メフィスト】!」
『ハッハーッ!』ATK/1800
『……』ATK/3600→2800
戦士から将軍に昇格したのか、威厳のある悪魔の将軍が万丈目のフィールドに出現。同盟モンスターが減ってしまったことによって【地獄戦士】の攻撃力は下がってしまったが、コナミは万丈目の意図を理解する。
「藤原が持っている【パーシアス】のハンデスヴァージョンか……。守備貫通を持っていては、戦闘ダメージを与えると、相手の手札をランダムにハンデスするカード……」
「そこまでわかっているのなら話は早い! バトル! 力を得た【地獄戦士】で相克の魔術師に攻撃!」
「ん……」LP2700→2400
「そして【地獄将軍】伏せモンスターを攻撃!」
力を得た地獄戦士がコナミの魔術師を破壊した後、地獄将軍がコナミの伏せモンスターに攻撃。そして、伏せモンスターが公開されては――
『きゃああっ!?』【調律の魔術師】DEF/0 ☆1
――コナミの精霊である【調律の魔術師】が普通に戦闘破壊された。
『――って、ますたー! どうしてあたしを守ってくれないんですかーっ!?』
「(いやぁ、守備貫通は予想してなかったし……)LP2400→600
調律の魔術師の抗議の言葉にコナミは理由を述べると、万丈目はコナミの伏せモンスターに不満があるようだ。
「守備力0でレベルも1だと!? それではダイレクトアタックと同じだろうが!? 貴様、そんな低ステータスのモンスターでオレを舐めているのか!?」
「そんなことはないよ。ただ、本来の用途とは違う形になってしまったけど……例えどんな弱いカードと評価されていても――本人の使い方で何とかなる」
「減らず口を……! ならば、【地獄将軍】の効果を発動させる! 戦闘ダメージを与えたとき、相手の手札を一枚捨てさせる!」
【地獄将軍】の剣でコナミの手札を切る演出がされ、その対象になった手札を墓地に送り、万丈目は意気揚々に攻撃宣言を行ったが――
「これで終わりだ! 残りの【地獄戦士】でダイレクトアタック――」
「墓地より【SR三つ目のダイス】の効果を発動! このカードを墓地から除外し、攻撃を一回だけ無効にする!」
「何!? ……オレがさっきハンデスしたカードか!?」
「ご明察」
戦士が攻撃しようとしたところに、コナミの目の前に青いダイスで目の模様が入ったモンスターが簡易的なバリアを作り、攻撃を防いだ。その事に万丈目は悔しそうに舌打ちするが、ターンを進める。
「ちぃっ……! ならばオレはカードを一枚伏せてターンエンドだ!」
万丈目 LP2700 手札2枚
場
【地獄将軍メフィスト】Atk/1800
【地獄戦士1】Atk/2800 装備【ヘル・アライアンス】
【地獄戦士2】Atk/1200
【リビングデットの呼び声】対象:無し
伏せカード 1枚
「さてと、自分のターン、ドロー……む」
ターンはコナミへ移行し、彼がドローしたところに顔を一瞬しかめる。だが、それは単なる杞憂だったようで。
「……そうだった。別に入れても問題ないから入れてただけだった。まぁ……スタンバイ、メイン。手札より魔法カード【強欲で貪欲な壺】を発動」
「……何?【強欲な壺】と【貪欲な壺】の名前が入ったカード? 一体どんな効果が……?」
三沢を代表に知らないカードであるが、語感的には聞き覚えのあるカードに万丈目もギャラリーも興味津々だが――そのテキストに度肝を抜かれることになる。
「コストとしてデッキトップから裏側で10枚除外し、デッキから2枚ドローする!」
「…………は?」
思わず対戦相手である万丈目が間抜けな声を上げた。それに構わず相手が発動する様子が無い事を確認したコナミはデッキトップからカード10枚除外し、カード二枚補充していたが。
斜め上のコスト要求によほど驚愕したのか、ドローをしまくる十代を筆頭に疑問の声が飛んだ。
「コナミ!? それだったら普通に【強欲な壺】で良いだろ!? わざわざ十枚も除外なんて……!?」
「まぁ……入れようとは思っていたんだけどね。でも、否定するわけじゃないんだけど【強欲な壺】ってかなりのノーコストかつパワーカードじゃない? さらには自分は【ペンデュラム】カードも使っているのに、それじゃあ対戦相手に申し訳ないと思ってのも一つの理由。余程ガチでいかない限りは、凡庸パワーカードは使わないよ。このぐらいのコストがちょうど良い」
ほとんどの生徒がデッキに入れている【強欲な壺】は単純計算で手札が一枚増えるありがたいカード。しかし、コナミの使用したカードは不確定でキーカードさえコストとして除外する可能性のあるカード。結果的に見るのならば同じ手札の増加だが、除外をなるとカードの扱いが難しいのだ。
「……コナミのボウヤ、そこまで対戦相手の事を考えていたのね……。確かに【ペンデュラム】は現状ボウヤだけが使えるカード群……」
「それに、中々そのペンデュラムモンスターの効果も厄介だからね。コナミのデッキはモンスターカードを魔法カードとしても扱えるし(……そもそもなんでコナミはあのデッキを使っているんだろう……?)」
対戦相手の事を多少気遣っていたことに驚いている雪乃をよそに、改めてツァンは何故、特異なデッキを使っている事が気になった。
閑話休題。
「……よし、良いカードだ。そしてまた君がいるのか……まぁ、良いや。自分はフィールド魔法【天空の虹彩】を発動!」
コナミが発動したフィールド魔法により、決闘場の足場が虹色の空間が渦巻くフィールドに変わった。その光景に惹かれたのか、明日香は「綺麗……」と声を漏らしていたが、コナミは処理を続ける。
「この【天空の虹彩】は相手の【サイクロン】といった対象を取るカードを、自分のペンデュラムゾーンの【EM】【魔術師】【オッドアイズ】カードは対象にできない! もしもするとしたら、【天空の虹彩】から破壊しないといけないよ」
「あ、前に言っていたコナミ君の弱点を補強できるカードなんスね」
「そしてライトペンデュラムゾーンにスケール5【慧眼の魔術師】をセッティングしペンデュラム効果を発動! 片方のペンデュラムゾーンに【EM】もしくは【魔術師】が存在する場合、このカードを破壊して、名称の違う【魔術師】をデッキからペンデュラムゾーンにセッティングできる! この効果によりスケール2【賤竜の魔術師】をペンデュラムゾーンに!」
先ほどサーチしたカードを使用し、少年の魔術師から荒々しい風を纏った魔術師と入れ替わる。だが、まだコナミの処理は止まらない。
「そしてペンデュラムゾーンの【賤竜の魔術師】のペンデュラム効果! 1ターンに一度融合デッキに存在する【オッドアイズ】ペンデュラムもしくは【魔術師】ペンデュラムカードを一枚手札に加える! この効果の処理により【慧眼の魔術師】を手札に! まだだ! さらに【天空の虹彩】の効果を発動! 自身を除く表側表示のカードを破壊し、【オッドアイズ】カードを手札に! 自分は【賤竜の魔術師】を破壊し、【オッドアイズ・フュージョン】を手札に!」
「フン……あの融合モンスターをそのペンデュラムとやらで素材を揃えるつもりか。やれるもんならやってみるが良い」
「慌てない。まだ下準備がまだある。再び【慧眼の魔術師】をペンデュラムゾーンにセッティング!【慧眼の魔術師】のペンデュラム効果はターン制限はない! 再びペンデュラム効果によりこのカードを破壊し、スケール1【竜脈の魔術師】をセッティング!」
今度は若き少年の魔術師がペンデュラムゾーンに出現すると、片方のペンデュラムゾーンに存在する【竜穴の魔術師】は彼に視線を送っては頷くと、【竜脈の魔術師】は頷いた。それを確認したコナミは、高らかに宣言。
「これでレベル2からレベル7まで召喚可能! 来い、自分のモンスター! 融合デッキから特殊召喚! レベル4【慧眼の魔術師】、レベル6【賤竜の魔術師】、レベル7【相克の魔術師】、そして――レベル7【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!」
天空から現れる、コナミのモンスター達。魔術師3人にドラゴン一体の出現を確認した後、コナミは手札の魔法カードを発動。
「そして魔法カード【オッドアイズ・フュージョン】を発動! 場にいる【慧眼の魔術師】と手札の【オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン】を融合! 世にも珍しい二色の眼を持つ龍よ。雷を纏いて、旋風と共に降臨せよ! 融合召喚!【オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン】!」
『――!』ATK/2500 ☆7
「(……来たかッ!)」
コナミのエースの一角である融合ドラゴン。その出現にわずかだが、万丈目は口角を吊り上げていたが、コナミが処理をしている途中で――
「そして【ボルテックス】の効果を発動! 表側攻撃表示で存在するモンスターを手札に! 対象は装備魔法がついている【地獄戦士】」
「かかったな! オレは対象になった【地獄戦士】を生贄にささげ、罠発動! 【ヘル・ポリマー】!」
「! まずいコナミ! あのカードは――」
十代が覚えがあったのか、警告をしようとしたが、遅い。万丈目は発動した罠カードの説明に入った。
「相手が融合召喚した時に発動できる! オレのモンスターをコストに、その融合モンスターのコントロールを得る! フハハハッ! 貴様の切り札はいただくぞ!」
「…………まぁ、良いか。どうぞ」
無抵抗のまま、コナミの融合モンスターが万丈目のフィールドに移り、十代が「あちゃ~」とどこか悔しがっているが、ここで明日香の疑問が。
「……あら? 融合デッキにさっき融合素材になった【慧眼の魔術師】がいたはずなのに、効果を無効にしなかったのは何でかしら……?」
その呟きは聞こえる人物はいなく、万丈目は改めてコナミから奪った融合モンスターを確認したが――
「(くくく……やはり無効効果は戦闘時と見た。さて、改めてテキストを確認――)」
【オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン】
融合・効果モンスター
星7/風属性/ドラゴン族/攻2500/守3000
「オッドアイズ」モンスター+P(ペンデュラム)モンスター
「オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードが特殊召喚に成功した時、
相手フィールドの表側攻撃表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを持ち主の手札に戻す。
(2):このカード以外のモンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。
自分のエクストラデッキから表側表示のPモンスター1体をデッキに戻し、
その発動を無効にし破壊する。
「――何だこのテキストはぁっ!? 無効効果を使う際にはエクストラデッキからペンデュラムモンスターを戻す!? これでは使えんではないか!? それとエクストラデッキとは何だ!?」
「まぁ、疑問には思うだろうどけそれは融合デッキのことだと思っていいよ。それと無効効果を使わなかった理由として――多分、伏せカードがなくなった今、もう決着がつくから」
「決着だと……!?」
「そしてこの罠カード発動――【リビングデッドの呼び声】!」
「……おい待て。確か貴様の墓地にいるモンスターは――」
「その通り。攻撃力0、レベル1の【調律の魔術師】を攻撃表示で特殊召喚!」
『あたしふっかーつ!』Atk/0 ☆1
墓地から復活した、小柄の少女の魔術師。思わぬ登場したモンスターに十代は期待しているような視線を送っているが――それは違う意味で裏切られることになる。
「【調律の魔術師】のモンスター効果発動! このカードが召喚・特殊召喚した場合――」
「な、何が起こるんスか……?」
「――自分は400ダメージを受け、相手は400ライフを回復する!」LP600→200
『――はぁっ!?』
効果の演出の為か、調律の魔術師の持つ杖により振動が伝わり、コナミはダメージを受け、万丈目のライフは回復を。
誰もが思う、デメリットしかない効果。もはやコナミのライフは少ないのに対し、さらに風前の灯火にさせては、相手を回復させる? 何故彼はこのカードを採用しているのか、わからない。
当然、急なプレイングで戸惑いよりも怒りが上回ったのだろう。万丈目は怒号を含めて抗議の言葉を飛ばした。
「貴様、オレを舐めているのか!? それだけライフがあれば、オレの勝ち当然だ! それに貴様はライフポイントが200。【地獄戦士】すら攻撃すればもう自滅だぞ!?」LP2700→3100
「あぁ、大丈夫。これが通ったってことは、もうライフは残さないから。一種の脳筋エンタメを魅せようかと思ってね。バトルフェイズに移行。【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】で【地獄将軍】に攻撃! さらにダメージステップ時に、罠カード発動!【魂の一撃】!」
ステップ移行時にダメージ計算に移るが、コナミはこのタイミングで罠カードを発動。
「このカードはLPが4000以下の時に発動できる! ライフを半分払い、自分のモンスター一体を対象にしては、4000を下回っている数値分アップする! 対象は勿論【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!」LP200→LP100
「!? まさか、故意的にライフを減らしたのはこの為か!?」
「だから言ったよね?『例えどんな弱いカードと評価されていても――本人の使い方で何とかなる』って。じゃあ処理に移って、【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】の攻撃力は上昇。その攻撃力は――」
【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】Atk/2500→6400
「こ、攻撃力6400だと!?」
『これがあたしの力だーっ!』
急激な攻撃力の上昇。もはや万丈目のライフポイントを大きく上回るダメージ計算に彼は顔が青くなり、コナミに若干だか貢献しているためか、どこか自慢げだ。
それとは関係なしに、コナミは補足の説明を。
「あ、そうそう。【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】はモンスターとの戦闘時、ダメージは二倍になるから」
「バカな!? ただでさえ、オレのライフポイントを大きく上回っているというのに――通常計算が4600から9200のダメージ、だと……!?」
「そう。これがもうトドメ――改めてバトル! いけ、【螺旋のストライクバースト】!」
「オ、オレが、オシリスレッド如きに――うわぁあああっ!?」LP3100→0
オーバーキル。単純計算で二人分のLPを削り切った。放心中なのか万丈目は四つん這いになっているが、デュエルを終えたのを確認した観客達はコナミの周りに集まり、その健闘を称えていた。
「すっげぇーなコナミ! まだあんなに攻撃力が高くなるコンボがあったのか!【調律の魔術師】のダメージ効果には冷や冷やしたけど、それそら攻撃力に加算してよ!」
「(少なくとも、ダメージ量なら、お兄さんの切り札のダメージ量を超えていたッス……コナミ君は一体……!?)」
「ふむ。デメリットは多いが、決まればリターンが大きい。そしてダメージ量が半端じゃないな……」
「本当に見てるこっちがドキドキしたわ。本当にここからの展開はどうするか気になってしょうがなかったわ……」
「あぁん……♪ 凄いアツくなったわ……! ボウヤのデュエルはこれだから面白いのよ……!」
「ボク的には、コナミのあのモンスターがあんな効果という事に驚いたよ……今回のコンボの為に入れているわけ?」
「いや、本当はこれでも用途は違うんだけどね。偶々条件にあったからそうしただけだよ」
しばらくの間は、コナミのデュエルについて話し合っていたという……。
その夜。まだ消灯時間ではないが、灯台にて話す人物が二人。
「――十代とは違う意味で気になる存在なのよね。【ペンデュラム】という特異なカードを使って、度肝を抜かされるようなカードの使い方するし……【カイザー】としての貴方でも、【ペンデュラム】ついて何か知ってる?」
『いや、聞いたこともないな。それに加え、彼が使ったという魔法カードや罠カードも聞いたことがない……』
「それに加えて、実際の攻撃力は貴方の【パワーボンド】を使った攻撃力並みの戦闘ダメージを叩きだせるデッキ……。おまけに持久力もあるわ。あなたと彼が戦ったら……どうなるかしら?」
『フッ……機会があれば――コナミと戦ってみたいものだな……俺のサイバー流がどこまで戦えるか楽しみだ……』
まだ彼と戦うのは先になるかもしれない……。
ではまた。