ではどうぞ。
※漫画基準効果のカードがあります。
クロノスは悩んでいた。以前彼の策略で遊城十代を合法的に退学させようとしたのだが、何故か失敗に終わり。問題はそこからだった。遊城十代と一緒に来た生徒、講義においてオシリスレッドにしては知識が膨大だった生徒――辰上コナミの事についてだ。
「シニョール辰上の【ぺんでゅらむ】召喚ってなんなノーネ……!? そんな召喚方法は聞いた事ないノーネ……!」
ペンデュラム召喚。クロノスが把握する限りは、二枚のモンスターカードを魔法カードとして扱うことのできるペンデュラムカードを二枚使用し、間にあるスケールのレベルを一斉に特殊召喚できるというもの。さらにはペンデュラムモンスターは破壊などのあとは融合デッキに送られるらしく、融合デッキに溜まったカードでさえ特殊召喚できるという意味不明な召喚方だった。
一先ず、クロノスがやるべき事。ただでさえ独特な決闘盤を持っている辰上の事だ。まずは決闘盤を制作した――この学園を作り上げた人物の会社へと電話を掛けようとした。
「……一先ずーは、不正を報告をしなければならないノーネ……」
本来ならまずは校長へと報告するべきかもしれないが、そもそも彼の決闘盤すらかなり改造してある。ペンデュラムゾーンのカードも含め、普通の決闘盤よりも扱えるカード置き場が多いのも問題だ。
そして電話を掛けようとした矢先――先にクロノスがとろうとしていた電話が鳴り響く。タイミングが悪いノーネとクロノスは思いつつ、応対することに。
「もしもーし、こちらデュエルアカデミアなノーネ」
「――ふぅん。鮫島はいるか? もしくは――辰上コナミはいるか?」
聞いたことのある声だった。その人物はクロノスが電話を掛けようとしていた相手でもあり、デュエルアカデミアの創設者であり、伝説のデュエリストの一人に数えられている――
「ワッツ!? もしかしーて、
「聞いた事だけを答えろ。鮫島かコナミはいるかと聞いているんだ」
「こ、校長は出張で出ていーて。シニョールコナミはこの時間帯ならば講義を取っているノーネ……」
「あいつ……まさか良い子ぶって講義中は携帯の電源を切っているのではなかろうな……! すぐさま奴を呼び出せ。すぐにだ」
「わ、わかりましたノーネッ!」
クロノスは、電話の相手の言うことにすぐさま従い、放送でコナミを呼び出した……。
海馬瀬戸。現在は大きなゲーム会社、身寄りのない子供の為の施設海馬ランドを運営している若社長。さらには世界に三枚しかないという【青眼の白龍】を全部所持しており、豪快なプレイングで相手をねじ伏せるスタイルのデュエリストだ。今ではデュエルアカデミアの創設者でもあり、極まれに視察にくる――というデュエルアカデミアの七不思議に数えられているとか。
電話越しとはいえ、コナミはその偉大な人物と話しているのだが――
「あー、海馬さん。授業中は携帯電話の電源を切っている、もしくは故意的にその時間が無視しているに決まっているでしょう。自分も学生なわけですし」
「黙れッ! 俺の言うことは絶対だ! 次回からは必ず俺からの着信がすぐさまに取れ! 例え絶体絶命の危機でさえもだ!」
「そんな無茶苦茶な……あー、はい。次回からは気をつけます」
――その偉大な人物と敬語とはいえ、会話を続けているコナミ。その様子は慣れしんだ上司と部下のような雰囲気だ。クロノスは二人の会話が気になって仕方ないのか、どこか冷や汗を浮かべて落ち着きがない。
挨拶文句が終わったところで、改めて話題を振る海馬。
「……まぁ良い。それよりもコナミ。自身の制限を解くことが出来る生徒とは出会えたか?」
「はい。ちょうど同じ寮――オシリスレッドの遊城十代が一部の制限を解いてくれましたよ。ちなみに制限段階は一段階目ですけど」
「ふぅん。オシリスレッドで、だと?」
「はい。個人のデュエルで、実際に自分のデッキを知っているのは数名ですけどね。それはともかくとして……彼、ドロー力が凄いんですよ。いつもデュエルを心から楽しんでいて、それでデッキを信じていくまっすぐな素直さ。外見は高校生ですけど――純真な子供とデュエルしているみたいで楽しいです」
「……そうか」
「(あれ? 何だか嬉しそう?)」
返事は一言だけだったか、どこか嬉しそうに聞こえたコナミだったが、それは一瞬のことで。海馬は次の話題へと話を移した。
「なるほど。そうなるとペンデュラム召喚の制限は解かれたということか。ならば――そろそろアカデミア内で公にしても良い。ちょうど、デュエルアカデミアで教育実習生が50戦の採用試験をしている最中だ。使うのはペンデュラム召喚・融合召喚だけを使え」
「……何故自分が50戦目の自分なんでしょうか?」
「……ある生徒の苦情の報告があってだな。どうやらその教育実習生とデュエルしている間、魔法カードが使えなくなるらしい」
「あ……その話、風の噂で聞いたことがありますね……」
ちょうど雪乃の言い訳に使った話題だ。確かに、一部の決闘盤が故障し、魔法カードが使えなくなる不具合があると最近、聞いたことがある。しかもその不具合は教育実習生とのデュエルの間だけにおこり、決闘盤にはどこも不具合は実際はないという。
しかし、本題はそこではないと海馬は言う。
「だが、本題はこれからだ。どうやらその教育実習生はグールズのように生徒のレアカードを強奪しているそうだ。仮にも俺の作った学び舎でグールズのような窃盗を行うなど、言語道断!」
「(おまいう)」
「そこでだ。その教育実習生を合法的に不合格にさせる。何、貴様なら大丈夫だろう。その手製の決闘盤ならばな。失敗は許さん」
ブツッと電話の回線が切れる音。どうやら言いたいことは全て終わったらしい。
軽くため息をつきながらコナミは電話を置くところに、クロノスは恐る恐る概要を問いかける。
「お、オーナーは何と言っていたノーネ……?」
「要約すると今の教育実習生の最後の相手を務めろという話です」
「(マンマミーヤ!? 龍牙センセーとはドロップアウトボーイの相手をさせようとしていたノーに、オーナーの指示なら逆らえないノーネ!?)」
「……どうかしました?」
当初のクロノスはその教育実習生と十代をぶつけたかったらしい。クロノスは事情は知らないといえど、現在48連勝している教育実習生だ。そろそろ49勝目になるだろう。期待の新人に十代に黒星をつけてほしかったのだが……。
冷や汗を浮かべ続けているクロノスに、純粋に心配したのかコナミは気遣う。
「……どこか体調が悪いんですか?」
「な、なんでもないですーノ……」
世の中、うまくいかない事ばかりなノーネと思うクロノスであった……。
ちょうど電話が終わったころは授業は終わった時間であり、コナミはクロノス先生と共に急いで先ほどまで授業を受けていた教室までもどり、教材を回収。後はクロノスと一緒に龍牙を探すだけになったなのだが――口論が聞こえてきた。
その口論が気になり、その方向に足を向けて確認したところ、そこにいたのはどこか困り顔の翔。何かを訴えている十代。そして、眼鏡をかけた、いかにもエリート風の社会人にも見える人物が一人。
事情を理解するため、コナミは三人に近寄ってはワケを聞く。
「遊城に丸藤? 何かもめごと?」
「あ、コナミ! 聞いてくれよ! この教育実習生、翔の――」
『おっと、これはクロノス先生。どうかなされたんですか?』
どこかわざとらしく、十代達の口を塞ぎながら話題を反らす男。その様子にコナミは「黒かな」と推察を立てているが、クロノスは男の質問に答えた。
「龍牙センセー、現状聞いておくべきことーデ、現在何連勝目なノーネ?」
「ふふふ……ちょうど丸藤翔君に勝てたところなので、50勝は後一戦ですよ。もう合格は目の前ですね」
「ならーば、最後の50戦目はシニョール辰上とデュエルするノーネ。その理由はー……えーと――」
「まぁ、立候補です」
事情でオーナーが指名したということが話しにくいのだろう。言葉が詰まっていたクロノスにコナミはフォローを。どこかクロノスは安堵したかのようにため息をしていたが、教育実習生――龍牙はコナミに興味の対象を移した。
「ほう……噂程度には聞いています。何が何でも彼の切り札の融合モンスターが強いんですよね。相手のモンスターを手札に戻しては、効果の無効。そして何よりも――試験で唯一ワンターンキルをした受験生。君のカードは見たことないばかりのカードを使うようだが、とても気になっていてね。できれば複数枚持っているならば【譲って】もらいたいぐらいだ」
「……少なくとも、あなたに【譲る】カードは一枚もありません。あなたに譲るぐらいなら遊城にまだ渡していない融合サポートを譲ります」
「(……オシリスレッドの癖に生意気な……!)まぁ、いいでしょう。その強気の態度、崩れ落ちるのを楽しみにしています。そして、私がこのアカデミアの教師になった時を……ね」
一瞬コナミの言葉に眉をひそめたのを見逃さなかったコナミ。どこか強気な態度でコナミに重圧をかけたところで龍牙は去って行った。クロノスは「では、私は明日のスケジュールを組みなおしてくるノーネ」と去って行く。先生がいなくなった事を確認したコナミは、改めて十代に詳細を求めた。
「それで遊城。さっき言いかけていたことは?」
「そうだそうだ! コナミ、あの教育実習生デュエルで負けた生徒からカードを奪ってるんだ! それで翔もあいつにカードを……!」
「……黒判定っと。じゃあボコるか」
「……あれ? コナミ君、詳しいことは聞かないんスか?」
それにボコるって……とどこかコナミの発言に疑問を覚えている翔に、簡潔に事情を説明した。
「ある人からの情報で、教育実習生がカードをカツアゲしているって聞いてね。それでクロノス先生に頼んで、デュエルの申し込みを」
「コナミ……頼む! 翔のカードを、大事なデュエリストのカードを取り戻してくれ!」
本来なら他人事で十代は関わりは翔以外はないはずだが、魂の一部でもあるカードの強奪には怒ることが基本無い十代でも、頭にきているらしい。
それは――コナミも同じことで。
「……卑怯者には負けるつもりはないから、安心していいよ」
「その言葉……信じてるぜ!」
帽子の影から、ちらりと見えるコナミの眼。その眼力は、とても頼もしく見えた……。
デュエル当日。そのデュエルをする会場には多数の生徒。教師たちも見守る中、名義上は「教育実習生認定テスト」である。
デッキを改めて確認しているコナミに、対戦相手である龍牙は眼鏡を中指で整えながら挑発を
「どうだい? 考え直す気にはなったかい? 今からでも遅くはない。ここで私に勝利を渡し、カードを提供してくれれば教師になった暁には成績を多めに見て――」
「御託はいいです。さっさとデュエルをしましょう」
「……っ! なら、後悔すると良い! ここで私に逆らったことにな――」
「「――決闘!」」
コナミ LP:4000
龍牙 LP:4000
「兄貴……コナミ君大丈夫かな……?」
観客席。そこにはコナミが最近つるんでいるメンバーが固まっている。心配な声を上げたのは、実際に龍牙とデュエルして負けてしまった翔だ。不安を吹き飛ばすように、彼らしく十代は翔を元気づける。
「心配すんなって翔! あいつは強い! 教育実習生に負けるはずないぜ!」
「……教育実習生、ねぇ……。あのボウヤには悪い噂があるのよねぇ……」
いつの間にか馴染んでいる雪乃は、遠目だが龍牙を見てどこか疑惑の視線を向けている。彼女の言葉が気になったのか、隣にいたツァンは情報の提示を求めた。
「? 藤原さん、悪い噂ってなにさ?」
「何が何でも、あの教育実習生とデュエルをしている間、魔法カードが使えなくなる事があるみたいなのよ。それがしょっちゅう起こっているみたいで……」
さらに興味を持ったのは、入試でトップだったラーイエロー在籍の三沢。魔法カードという言葉に、この決闘についてある仮説を立てていた。
「魔法カードが使えなくなる……? もしかすると――辰上はこの決闘、ペンデュラムカードと融合カードが使えなくなる可能性があるんじゃないか? 本当に使えるか使えないかどうかはわからないが――」
「いや、三沢君。実際に僕が龍牙先生と決闘した時に魔法カードが使えなくなったんだ。決闘盤の故障かと思ってそのあと調べたら何もなかったんだよ」
「翔君!? それは本当なの!?」
噂が真実である可能性に同席していた明日香の驚きの声。疑念が確信に変わっていくなか、コナミ達の決闘が始まった……。
「――私の先行! ドロー! 私は手札から首領亀を守備表示で召喚! さらにこのモンスターは召喚時、手札から同盟モンスターを任意の数を特殊召喚できる!
手札から二体の首領亀を守備表示で特殊召喚!」
『……』DFE/1200 ☆3
『……』DFE/1200 ☆3
『……』DFE/1200 ☆3
教育実習生のターンから始まり、いきなり手札から亀の同盟の三体モンスターを特殊召喚。一瞬コナミは「詰め込み?」と疑っていたが、龍牙は展開を続ける。
「そして召喚した爬虫類族の首領亀を生贄に捧げ、魔法カード【超進化薬】を発動! 手札から恐竜族のモンスターを特殊召喚する! 来い、【サイバー・ダイナソー】!」
『グルァアアッ!』Atk/2500 ☆7
「(おいそれは確か機械族。効果も相手のターンで特殊召喚した時に特殊召喚できる効果のはずなのに……まさか、何度目かになる「カードが違います」パターン?)」
「これで私はカードを一枚伏せてターンエンドだ。どうした? この布陣を見て慄いたか?」
「……いいえ、別にー。逆にそれぐらいしかできないのかーとしか」
「っ! 君は人の神経を逆なでするのが上手いみたいだね……! さぁ、さっさとドローすると良い!」
大型の機械の鱗で覆われた恐竜のモンスターを出したことで、どこか自慢げだった龍牙だったが、コナミは明後日の方向を向きながらどこ吹く風。自分が求めていた表情を得られていない事に龍牙は腹を立てていたが、コナミはそのままデッキトップをドロー。何時ももの丁寧な確認をしていたところで――龍牙は勝利を確信していた。
「(そう余裕を保っていられるのは今だけだ……。何故なら、君はこのデュエル、この指輪からの妨害電波により、魔法カードを発動できない! すなわち君の切り札である融合モンスターも使えないということだ! さらには伏せカードは罠を封じる永続罠【王宮のお触れ】。もはや魔法罠は機能しない! さぁ、苦痛の表情に変わるが良い!)」
そう、自信を持っていた。現にもうすでに彼のしている【指輪】から魔法カードの使用を封じる妨害電波を送っている。
が――
「ドロースタンバイメイン。自分は手札からスケール6である【EMギタートル】、【EMリザードロー】をライト・レフトペンデュラムゾーンにセッティング!」
――彼の知らない事をし始めたのだ。対戦相手はもちろん、彼のカードを初めて見た観客達もどよめている。
「――!? な、なんだそのカードたちは!?」
「そうですねー……この機会に言っておきますかー。このデッキはこのデュエルアカデミアのオーナーである【海馬瀬戸】に使用するように頼まれたデッキです。実装は未定ですが、デュエルモンスターズに新たな革命をもたらすカードが盛りだくさん積まれているデッキ。現在使ったカードは、その名もペンデュラムカード」
呼吸するかのように説明するコナミだが、それでも今の現状についていけない人物が多数だ。二体のモンスターが変な青い筒状に包まれては、足元に数字を表示している光景など一部の人物を除いて初見だからだ。
彼の十八番のカードの発動を確認できた十代は【ペンデュラム来たー!】と気分を高揚させているが。コナミの説明はまだ続く。
「この先、自分とデュエルをするかもしれない人に説明しておきます。ペンデュラムカードは魔法カードとして扱うとき、基本的には決闘盤の端におくことで永続魔法カードとして扱えます。さらにはこの浮かんでいる数字はスケールといい、この二枚の魔法カードとして扱われたペンデュラムカードのスケールの間のモンスターを手札などから一気に特殊召喚できる。大雑把な説明は以上」
一仕事を終えたといわんばかりに、軽くため息をついているコナミ。だが、今の説明で納得できない人物は目の前に一人。
「ま、魔法カードとして扱う、だと!? バカな、今魔法カードは――」
「魔法カードとして扱う事になにか?」
「……! い、いや……」
龍牙は思う。だったら尚更魔法カードとして扱うのならペンデュラムカードを使用する事が出来ないはずだ。現に指輪から妨害電波は発しているのに、コナミの決闘盤はペンデュラムカードを魔法カードとして情報を受け取り、発動出来ている。
いかにもわかりやすい反応だったのも含めて、コナミは龍牙にあることを教える。
「……言っておきますけど、この決闘盤は自分のお手製なんですよ。最高の設備で開発したプロトタイプの決闘盤に現状バグや妨害電波を受け付けない、現状最高傑作の決闘盤です。最近の決闘盤の故障とかで魔法カードが使えないバグが多いみたいですからねー。決闘者として盾とも表現される決闘盤のメンテを欠かさないのは当たり前じゃないですか」
「くっ!? まさか貴様……!」
どこか確信犯のように、嫌味に聞こえるコナミの言葉。間接的に龍牙はこう聞こえる。「お前のやり方なんざ知っているんだよ」と。
冷や汗を浮かべている龍牙を見てか、拳を顎につけながらコナミはあることの推察を行う。
「さーてと、どうやら魔法カードが発動できないバグに期待していたんですか? だったらその伏せカード、さしずめ【王宮のお触れ】ですかね?」
「っ!?」
「……さて、伏せカードも分かったことですし展開しますか。まずは【EMギタートル】のペンデュラム効果を発動。一ターンに一度このカード以外のEMペンデュラムゾーンにEMペンデュラムがセッティングした時、一枚ドロー。続いて【EM】リザードローのペンデュラム効果。一ターンに一度このカード以外EMペンデュラムカードがペンデュラムゾーンに存在する場合、このカードを破壊して一枚ドロー……うん。ドローした魔法カード【テラ・フォーミング】を発動。デッキからフィールド魔法をサーチ。【天空の虹彩】を手札に加え、発動。そのまま表側表示の【EMギタートル】を破壊し、【オッドアイズ】カードをサーチ。【オッドアイズ・フュージョン】を手札に。さらにスケール2の【EMペンデュラム・マジシャン】をライトペンデュラムゾーンに。スケール8の【EMオッドアイズ・ユニコーン】をレフトペンデュラムゾーンにセッティング!」
「(なんだこのドローとサーチの連続は!? いつターンが終わるんだ!?)」
疑似ソリティアを続けるコナミ、怪訝な表情を浮かべていたが、後は彼の得意な召喚方法に。
「これでレベル3からレベル7までのモンスターが同時に召喚可能。来い、自分たちのモンスター! 融合デッキからレベル3【EMリザードロー】! 手札からレベル4【EMシルバークロウ】! レベル5【星読みの魔術師】! そしてレベル7――【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!」
『――!』Atk/1200 ☆3
『――!』Atk/1800 ☆4
『――!』Atk/1200 ☆5
『――!』Atk/2500 ☆7
同時に大量召喚される、トカゲのモンスターに銀狼のモンスター。魔術師にドラゴンのコナミのモンスター。その圧巻した登場に興奮している生徒、インチキと文句を言う生徒。それぞれの反応は様々だが、龍牙はどこか虚勢を張っているのか、どこか言葉を強く言いながら現状を突き付ける。
「……は、はっ! モンスターを大量に召喚したと思えば、サイバー・ダイナソーの攻撃力に届ているのはそのドラゴンだけじゃないか! おまけに首領亀の守備力を超えているのはその狼のモンスターだけだ!」
「まだ処理は終わってないですし、このターンでもう決めるつもりですよ?」
「……は?」
あれだけデッキをぶん回しながらまだやるのかという間抜け声。そんな声をよそに、コナミは行動を再開。
「ペンデュラム召喚成功によって【EMペンデュラム・マジシャン】のペンデュラム効果。このターン、EMモンスターのペンデュラム召喚に成功した時、EMモンスターはエンドフェイズまで攻撃力が1000ポイントアップする」
『――!』Atk/1200→2200 ☆3
『――!』Atk/1800→2800 ☆4
「ぐっ……それでも、まだ私のライフは残――」
「残さない。自分は魔法カード【オッドアイズ・フュージョン】を発動! フィールドに存在する【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】と【星読みの魔術師】を融合!」
まだ悪あがきをしようとした龍牙に、追い打ちをかけるように融合カードを使用。神秘的な渦が出現し、2体のモンスターは溶け合う演出が発生する。
「星の力を纏いし魔術師よ! きらめく閃光となり、龍の瞳に力を与えよ! 融合召喚! レベル8秘術ふるいし魔天の龍!【ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】!」
『――!』Atk/3000 ☆8
大型モンスターの融合召喚。そのモンスターは入学試験とは違う融合のドラゴンであり、オッドアイズだった眼が十字の模様に変わっては、背中には大きな輪のようなものを構えており、『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』の名残をどこか残しながら出現したドラゴン。
「ルーンアイズはレベル5以上魔法使い族モンスターを融合素材にした場合、モンスターに3回攻撃できるようになる。モンスターはそれで完全処理できる。後は……わかりますね?」
「あ、あ……」
「バトルフェイズ! ルーンアイズで3体のモンスターに攻撃!『連撃のシャイニー・バースト――三連打ッ!』」
「ぐぁああっ!?」LP4000→3500
ルーンアイズの背負う輪からも光のエネルギーがたまり、咆哮と共に放たれる攻撃。その攻撃は龍牙のモンスターを全滅させ。
「トドメ。残りのモンスターでダイレクトアタック!」
「ぐわぁああっーっ!?」LP3500→0
ワンターンキル。何時かの入学試験みたく、融合モンスターを駆使しながら決着をつけた。そのままの勢いなのか、攻撃を受けた龍牙は背中から倒れこんだが――何故かその拍子で龍牙がつけていた指輪がボンっと壊れた。その事について――コナミは見逃さなかった。
「あれ? 先生。その指輪、機械で出来ているんですか?」
「うぅ……こ、これは――」
「決闘の衝撃に耐えきれない指輪ってのもおかしいと思いますけどね……まぁ、それはともかくとして。機械の指輪ですし修理に出しておきましょうか。さっきも言った通り、オーナーである海馬瀬戸さんと繋がりがあるんですよ。いやぁ、運が良いですね。まさかあの大天下の会社で修理できるなんて」
「そ、それは……! いらん、これは私で――」
この指輪を渡せば今までの不正がバレる、渡すわけにはいかない。立ち上がりながら龍牙はコナミの申し出を拒否しようとしたが――いつの間にかコナミは龍牙の目の前におり、その彼の表情は龍牙しか見えなかったのだろう。
龍牙が否定の意を示そうとしたところで――
「『 ワ タ セ 』」
異常だった。帽子で隠れているはずの目元が、少しだが見えた。だが、その右眼は赤く染まっている。心なしか、その眼に吸い込まれる。
「…………」
龍牙は虚ろな目で壊れた指輪をコナミに手渡してしまった。コナミは帽子の元を元の位置に戻すと、彼に言葉を。
「――はい、確かに受け取りました。後日結果をお知らせしますね。それでは」
「――はっ!? いや、待て――」
我を取り戻した龍牙はコナミを引き留めようとしたが、時すでに遅し。コナミは十代達に囲まれており、もう取り返すことが出来ない。もうすでに彼の周りには評価する教師によって隔離されてしまっており。
彼は、膝から崩れ落ちていた。
後日。コナミが提出した指輪には決闘盤における魔法カードを妨害する電波が仕組まれていたらしい。それに伴い、龍牙の借りている部屋に家宅捜査が入り。そこには生徒から奪ったと思われるカードが出てきたという。その後の龍牙教育実習生のことは……言うまでもない。
当然カードは持ち主へ帰っていき、被害にあっていた翔には感謝されたので、報酬として大福を求めておいた。
閑話休題。
一部の生徒しか知らなかったペンデュラムだが、今回のデュエルで広まった。
その結果――
「――【オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン】の効果! モンスターとの戦闘時、与えるダメージは倍になる――【リアクション・フォース】!」
『うわぁああっ!?』LP4000→0
――多種多様の人物から決闘を挑まれていた。オシリスレッド、ラーイエロー。オベリスクブルーまで。授業が終わった日にはデュエル、デュエル、デュエル……その繰り返しである。
……たちが悪いのは、身勝手な傾向が多いオベリスクブルーにアンティを挑まれることであり、現状その対処にあたり、簡単な脳筋ワンキルで勝利を収めることが多い。
今日も生徒を撃退し。去って行く敗者を見てコナミは呟く。
「……デュエルをするのはまだいいけど、いい加減デッキの制限を解きたいなぁ……」
その願いは何時になるのか、まだわからない。
魔改造サイバー・ダイナソー……どうしてあの効果になった……。
ではまた。