さて、パートナーはどうしよう。
前回と違い、今回は夜吹を誘うこともなく、商業エリアを探索している。
アルバイトの当てもできたし少し心に余裕が出来たからだ。
「それでも人込みは苦手だな」
列とかではなく雑多な感じが苦手なのだ。
だからガランとした裏道とかをのんびりと歩く方が楽でいい。
「まあ、その分ちょっと物騒なんだけどな。柄の悪い連中がうろついていたりするし」
明らかに『俺、不良だぜ!』と主張しているような服を着ているやつも見かけたからな。
「はぁ……やめてもらえるかな?」
「……おいおい、言ってた側から……。なんだなんだ?」
……美少女が見るからに世紀末な髪型のごろつきに絡まれていた。あの髪型凄いな。
今にもヒャッハーとか言いそう。
「ちょっと付き合ってくれって言ってるだけだろぉ?いいじゃねえかよ」
「生憎、私はそれほど暇じゃないの」
「なんだとぉ?優しくしてやりゃつけ上がりやがって!大人しく来ればいいんだよ!」
流石に見逃すわけにもいかないな……。
「おい、嫌がってるだろ。そこらへんにしておけよ」
「あぁん!?なんだテメェ、いきなり出てきやがって!関係ねぇだろうが、あっち行ってろ!」
「そう言われて帰るやつは話しかけないだろうが。そんなこともわからないのか、モヒカン!」
何処に行けばできるのかというほどの綺麗なモヒカンだった。
やってくれる床屋さんを見てみたい。自分からしてるなら笑うが。
「テ、テメェェェ……!!」
どうやら彼の勘に触ったらしい。
だが、少女から気をそらすことは出来た。
「今だ、走って!」
「えっ?あぁ、うん!」
少女の手を掴んで走る。
後ろからモヒカンの声が聞こえてきたが止まる訳がない。
追い付かれなかったのは多分モヒカンがタバコでも吸っていたからだろう。
***
自分でも何処をどう走ったのかわからないが確実に撒いたところで息をつく。
「ふぅ……ここまで来れば大丈夫だろ」
「ん、そうだね。でもまさか、私が誰かに助けてもらうとは思わなかったなぁ……ありがと」
「べつに気にしなくていいって。だけど、女の子が1人で来る場所じゃないぜ?」
「これでも腕には少し自信があるんだ。さっきみたいな時でも自分でどうにかできる程度にはね」
「……とても腕が立つようには見えないけどな」
見た目だけでは判断するのは難しいかも知れないけどさ。
「そうだね……それじゃ、助けてくれたお礼ってことで特別にいいもの見せてあげる。ただ、今から見るものは絶対に秘密だよ?」
…………嫌な予感しかしない。
「いや、ちょっと待って!俺はべつにそんなーーーって、ええぇ!?あんたは……シルヴィア!?世界の歌姫がこんなところに……嘘だろ?」
あぃえええ!?ナンデ!?シルヴィアナンデ!?
ここは不良が大勢たむろするURAMITIデスヨ!?
「あはは、嘘じゃないってば。私もおせっかいな人は嫌いじゃないし、シルヴィって呼んでくれていいよ」
「……あ、ああ。よろしくシルヴィ。俺は星村リク」
誰に言っても信じてもらえないだろうけど、俺が裏道で助けた少女はとんでもない世界の歌姫さんでした。
「うん、よろしくね。さて、いつまでもこんなところにいても仕方ないしそろそろ行こっか」
…………あの、いったい何処へ?
今回でようやくヒロイン全員登場。
……流石世界の歌姫、出会いだけで一話になるとは。
書いてる作者が予想外。