彼は使い魔?   作:ヒタク

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感想が嬉しかったので続きを書きました。かなりのキャラ崩壊が起こっております。
そういうことが嫌いな方は見ないことを推奨します……。


第2話

 大きな石造りの城。俺たちは今、その中にある少女の部屋にいた。

 桃色がかったブロンドの髪を持つ少女――ルイズはどうやら記憶を失っているらしかった。この部屋も、城の中に入った時に出会った黒髪のメイドの子に教えてもらったのだ。

 小さな声でありがとう、そうルイズが言った時、メイドの子がひどくおびえるように驚いたのが、印象的だった。

「これからどうするの?」

「ど、どうするって……」

 部屋の中に入るとルイズが尋ねてきた。

 正直、聞かれても答えることなんてできない。何せ、俺自体ここのことを知らないんだ。

 しかも、あの場にいた人たちは飛んで移動していた。もしかすると、ここは俺の知る世界ですらないかもしれない。なおのこと、取るべき対応なんて分かるはずがなかった。

 部屋の中を見渡す。女の子の部屋を見渡すなんて、ルイズには悪いと思うが、正直何も分からない以上、少しでも情報が欲しかった。

 テーブルに衣装ダンス。それに天蓋付きの豪華なベッド。どれもが高価なことを、雰囲気だけで感じ取ることができた。床に敷いてあるマットさえ、高級すぎて踏むのに躊躇したぐらいだ。

 そして、ひときわ違和感を放つものに、なぜか置いてある藁束があった。

「なんで藁束?」

「さあ?」

 おそらくルイズが置いたのだろうが、記憶の失っている彼女では理由も分かるはずがなかった。

「それより、本当にどうしたらいいのかしら……。あなたには何か案はない?」

「って言われてもなあ……」

 ここへ来る時に出会ったのはメイドの子だけ。いや、一応、あの草原で何人ものガイジンと会っていたか。

 あれ? そういえば、あの時、髪の毛が死滅している男の人が何か言っていなかったっけ。

「たしか、『次の授業がおしている。早く戻るんだ』だったっけ」

「どうしたの?」

「いや、あの場所にいた人が言っていた言葉だったよなって思――」

 その言葉が正しければ、ここって学校じゃないだろうか。しかも、今は思い切り授業中ということなんじゃ……。

 俺が黙っているのを不思議に思ったのか、ルイズは小さく首をひねる。

 その、女の子らしさを感じさせる仕草に俺はドキッとした。

 俺は雑念を払うために首を振る。その仕草にますますルイズは疑問符を浮かべていた。

「さ、さっきの人が言うことが正しければ、ここって学校なんじゃないか?」

「学校、ね……」

 ルイズは考え込む。覚えている学校の名前を頭の中から探し出しているのだろう。

 だが、少し思うことがある。

 記憶喪失になっているらしいルイズに、その名前が分かるのだろうか、と。

「もしかすると、トリステイン魔法学院かも」

「トリステイン魔法学院?」

「ええ。私の住むトリステイン王国で有名な学校よ」

「ほうほう」

「まあ、覚えていないからよくわからないけどね」

 どうやら記憶は全て消えているというわけではないらしい。一部の記憶は覚えているのだろう。

 とはいえ、どこまで覚えているのか分からない以上、不便なことには違いないわけだが。

「で、どうするんだ? 授業には出るのか? 一応、ここの生徒なんだろう」

「うーん。どうしようかしら……。でも、ここの生徒なのは間違いないと思うわ。他の人と同じ制服を着ているみたいだし」

 言われて気づいた。ルイズはあの草原にいた生徒と同じ制服を着ていた。俺のいた秋葉原では、ある意味いてもおかしくがない魔法使いっぽい服装だ。

「なら、移動してみるか? ここでじっとしていても意味がないだろうし」

「そうね……」

 俺はルイズのことを知らないし、ここのことも知らない。ルイズも少しは記憶が残っているとはいえ、情報が足りないことには変わりない。

 今は出かけて情報を集めよう。

 そう考え、部屋を出るために俺は扉を開いた。

「あら?」

 すると、目の前に驚く赤毛の女性がいた。褐色の肌に豊満な肉体を持ち、実に肉欲的だ。

「ルイズの部屋から出てきたみたいだけど、あなたは誰かしら?」

「え? 俺か? 俺は平賀才人だけど……」

「ヒラガサイト? 変な名前ねぇ……」

 どうやらガイジンには変な名前と感じるらしい。ルイズに名前を教えた時、変な名前と言われたのだから、ガイジンは皆そうなのだろう。

「あら、ごめんなさい。気を悪くしたみたいね」

 どうやら気づかぬうちに不機嫌そうな顔をしていたらしい。謝られてしまった。

 別にいいよ。とだけ返すと赤毛の女性が自分の胸に手を当てて、自己紹介を始めた。

「私はキュルケ。キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーよ」

「随分と長い名前だなあ」

「そして、そこの部屋であるルイズとは親友よ」

 キュルケがそう言った時、部屋からルイズが出てきた。

「あら、そうなの。これからもよろしくね、キュルケ」

「え……、は……!?」

 ルイズに笑いかけられたキュルケが驚愕のあまり大きく口を開く。美人とはいえ、こんな顔をするなんて男も寄ってこないんだろうな、なんてことを考えた。

「どどどどういうことなの!?」

 いまだに驚愕が抜けきらないらしい。激しくどもっていた。

「どういうことって何がよ?」

「な、何がってあなたのことよ! ルイズ! あなた、一体どうしちゃったの!?」

 二人に挟まれているが、何も言えない俺。激しく格好悪いな。そんなアホなことを考える。

「? よく分からないけど、あなたと私は親友なんでしょ?」

「あ、あなたがそんなことを言うなんて……」

 キュルケは壁に手をついた。小さく「夢よ。これは夢よ。間違いないわ」なんてことをぶつぶつと言い続ける。

「なあ、ルイズ」

「なに?」

 俺は小声でルイズに話しかけた。

「キュルケとお前って別に親友じゃなかったんじゃないか?」

「奇遇ね。私も実はそう思うわ」

 二人でキュルケを見てみた。さっきよりも悪化しており、座り込んで何かおかしなものを見た、とでも言わんばかりである。いや、今は本人が十分おかしいけれど。

「これは夢。これは夢。これは夢。これは――」

 尻尾に火のついたトカゲがキュルケの近くで慰めるように、きゅるきゅると鳴いている。その巨体に驚きはしたが、今はそれよりもキュルケの方が問題だった。

 どうしようか。俺はルイズに無言でキュルケを指さし指示を求める。

 放っておきましょう。ルイズが俺に無言で指示を与える。

「いやいや! それはさすがにまずいだろ!」

「でも、正直、面倒じゃない?」

 ルイズって記憶を失う前もこんなに薄情だったのだろうか。少し記憶を失う前のルイズに会ってみたいような気もした。

 でも、俺もこんな状態の人にどう対処すればいいのか分からない。一体どうすればいいんだろうか。

 おかしくなった人。壊れたテレビなら見たことあるんだけどな。あのテレビってどうやって直していたっけ。

 確か、斜め四十五度で――

「叩いたら直ったんだっけ」

「なるほど。わかったわ」

「へ?」

 気づいた時には遅かった。

 綺麗な右フックがキュルケのこめかみをえぐった。

「ぐえっ」

 蛙のつぶれたような音を出し、キュルケが廊下に倒れこむ。

「ちょ、え……。ルイズ、お前なにしてんの!?」

「え? サイトが言ったんでしょ? 叩いたら治るって」

「叩くのは人じゃねえ!」

「?」

 どうやら本気で分からないらしい。もしかして、ルイズが失った記憶って人としての常識なんじゃないか。そんな気がする。

 ぴくぴくと何かやばい感じの痙攣を起こしているキュルケ。このまま放っておくとまずいんじゃないだろうか。

「さあ、探索へ行きましょう」

「いやいやいや! さすがにまずいだろ!」

「?」

 決めた。こいつのあだ名は天然外道だ。そんなことを考えながら、俺はキュルケを横から抱く。いわゆるお姫様抱っことかいうやつだ。

 力を入れて、持ち上げようとする。が、少し持ち上がったところで腕の限界が来た。

「うぅ……」

 落としてしまったキュルケが艶めかしい声を出す。これが、こういった状況じゃなければ、非常に嬉しい状況だったのに。ルイズが俺を冷ややかに見つめた。

「サイトも人のこと言えないんじゃない?」

「なんだか、とっても心がえぐられる言葉をありがとう……」

 涙が出ちゃいそう。俺は着ていたパーカーの裾で目尻を擦った。

「結局、どうするわけ?」

「もう、このままキュルケが起きるのを待とう……」

 俺はもう動く気がなかった。色々と悪化しそうな気がする。割と切実に。

「分かったわ」

 何より、俺とルイズというコンビは最悪な組み合わせなんじゃないだろうか。情報ないコンビという意味で。俺は諦めの念を込めて、大きくため息をつくのであった。

 

 

 




小説が手元にないために、かなりの崩壊が起こっております。いや、私が書くとキャラ崩壊が起こるのは目に見えていたのですが……。もし、こういった形でも構わないということでしたら、少しずつ投稿をしていこうと思います。

なお、誤字報告や評価・感想などはいつでもお待ちしております。また、こうすると読みやすいなどの意見もお待ちしております。
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