綺麗な物ほど幻想によく似合う   作:月影音紅

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人里暮らしの始まり-もう1人の外来人-

 自転車を漕ぐこと20分、流石は現代文明の器具、ないよりはあった方がいい。人里の入口前で降りると自転車を押して中に入ろうとすると入口脇にいた一人の門番が寄ってきて尋ねる。

「この人里に何か良いかいお嬢さん?」

「私今日幻想郷に来た人間です。住むところに宛がないのでこちらで提供していただけたらと思いまして。」

「あぁ、外来人ね少し待っていてくれ、ここの代表を呼んでくるから。」

門番はそう言うと中に入っていき、やがて姿が見えなくなった。そんなに遠い所にあるのだろうか、と疑問に思うとともにどれだけ広い里なのだろうと言うちょっとした好奇心も起きた。もう1人の門番がこちらに手招きすると、10分はかかるからと言って人里での掟に近い決まり事を話し始めてくれた。

本当に10分程度経って、先程の門番が桔梗色の髪の十代前半辺り少女を連れて戻ってきた。一瞬この子が代表?と疑問に思ってしまったが代表にされる位の地位があると考えると一瞬よぎった疑問が打ち消される。少女は私に一礼すると、

「初めまして、私は稗田阿求と申します。稗田家九代目当主であり、この里の代表です。早速、空家を提供させて頂きますが、先に御名前の方を教えて下さい。」

私は阿求の大人びた雰囲気に唖然としたが私も一礼すると、

「水鏡麗華、苗字、名前、どちらで呼んでいただいても構いません。」

とだけ言うと阿求は麗華さん、とだけ呼ぶと、何も言わずに里の中に入っていった。何となく阿求の言いたいことがわかると急ぎ足で彼女の後を追う。私は阿求の隣で歩いていると急に彼女の口が開いた。

「実はですね、一週間位前にあなたと同じ外の世界から来た人に会いました。何故かはわかりませんが今は妖怪になって山で生活してます。」

「もう1人は妖怪の元人間ですか…同じ外の世界出身なので、少し興味が沸きますね。」

阿求の言葉に驚きはせず、自分と同じ境遇の人に興味を持った。人間だろうが妖怪だろうが関係ない、一度でいいから会ってみたいと1人胸を高ぶらせた。

「その方はよく里に来るので会うのも時間の問題だと思います。しかし、確実に会うには金曜日に寺子屋で授業をしているそうなので行ってみるのも良いでしょう。話しているうちに着きましたね。」

紹介された家は他の家と同じではあるが、立地の条件はあまり良くはない。しかし、住むところがないよりはマシだ。ドアを開けると中はそれなりに広く部屋もいくつかある。住むには申し分ない。

「ここにします。提供して下さりありがとうございました。」

「いえいえ、困った時はお互い様ですので何かあったら気軽に相談して下さいね。」

そう告げると、一礼して帰っていった。荷物を広げ、簡単に模様替えすると、スマホで日付と時間を確認する。

『9月20日金曜日 午後2時』

一応五日分の食事は何とかなるがその先は何ともならない。自給自足と仕事をしないと生きていけないと考え、換金できるものを持って大通りに向かうと看板通りに換金できる場所で換金してもらった。とりあえず、一か月は生きていける程度には、店員に寺子屋の場所を聞くとすぐさま足を運んだところまでは良かったが、時既に遅しと言わんがばかりに扉の鍵が閉まっていた。ダメ元でノックをしてみたが案の定反応はなく、仕方なく家に帰る他なかった。

 

 

翌日、私は早く目が覚めてしまい、気分で里を自転車で1周走ってみることにした。意外と道が整備されているためかすごく走りやすく驚いた。里の外への塀に沿って走っていくと家から徒歩で行ける場所に細身の人なら通れそうな穴が空いていた。特にその穴からは出る理由もないので、気に求めずに過ぎて行った。

一周し終えるてだいたい30分程度で回ることが出来、家に戻ってくると、家の前に飴色の髪に鈴の髪留めをしたツインテールの女の子が立っていた。女の子は私に気づくと、

「あなたが麗華さんだよね?私は本居小鈴、鈴奈庵と言う店で貸本屋をしてるの。」

「あ、はい、小鈴さんは何故家に?」

テンションの高い小鈴に私は理由を尋ねた。小鈴は軽く謝ると、

「阿求に外来人が来たって聞いて外来本を譲ってくれないからな〜?って感じで来たんですけど大丈夫ですか?それとさんは付けなくて良いですよ私の方が年下ですし。」

「本ね〜読書は好きだけど本はないかな……あ、1冊だけあったかも、とりあえず上がって寒かったでしょう。」

「お言葉に甘えてお邪魔します!」

小鈴を居間で座らせ、部屋にある本を探した。

数分して本を見つけ、お茶と一緒に小鈴に差し出した。

「わざわざごめんなさい、お茶まで出して頂いて。」

小鈴はそう言うと本を速読し始めた。

「いえいえ、小鈴に聞きたいこともあるから大丈夫だよ。」

「聞きたいことって?」

私の言葉に小鈴は顔を上げると、

「私の他にもう1人外来人で今は妖怪の人の名前を知っていれば教えて欲しいの。」

私の問いに小鈴は考え始めた。うーん、唸り突然思い出した反応を見せると、

「確か水無月樹って名前の白狼天狗で、たくさん本を売ってくれたんですよ。」

「ありがとう、えっと、天狗がいる場所ってわかったりする?」

私の我儘を小鈴は素直に聞いてくれて、

「そりゃ、妖怪の山だよ。幻想郷唯一の山に天狗はいるらしいよ。っと用件は済ませたのでお暇しますね〜鈴奈庵のご利用お待ちしてますよ〜」

と家を去っていった。一人残された私は、水無月樹を訪ねに向かうのであった。




今回はほとんど即興みたいな話でしたねすいません
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