艦これ〜クソ提督と副司令「艦」のブラック鎮守府細腕繁盛記〜 作:帰灰燼
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「ーーふむ、此処が○○鎮守府か」
「みたいだな」
白い軍服に身を包んだ青年の言葉に、ジーンズにTシャツというラフな姿の少年が答える。
「……聞きしに勝るとはこの事だな。 この有様で海軍施設だなどと良く名乗れたものだ」
「だよなあ。 見ろよこの壁、まるで廃墟だぜ」
そう言って近場の建物の壁を叩く少年。
「この分だと「彼女達」の福利厚生も充実とは程遠いだろう」
「だろうな。 何せ、自分達の提督を「処刑」しちまうくらいだからな」
そう言って、一際高い建物を見上げる少年。
その視界に、何か光る物が見えたーーその瞬間。
二人の姿を爆炎と轟音が覆い隠した。
◇
「ーー流石ね姉さん」
「当然だ。 この距離なら外さん」
茶髪の女性の言葉に、振り向く事も無く答える長い黒髪の女性。
その背中に背負われた巨大な鉄の塊に据え付けられた砲台からは、砲撃直後を示す硝煙が立ち昇っている。
「人間如きに〈長門〉の砲撃は勿体無い気もするがな」
「油断は禁物よ、〈那智〉。 仕留められる時は確実に仕留めないと」
「〈妙高〉の言う通りだぜ。 人間って奴等は弱っちい癖にタチの悪さだけは〈深海棲艦〉より上と来てるからな」
那智と呼ばれた長いサイドテールの女性の言葉に、同じ青い軍服を着用した妙高と呼ばれた女性が苦言を呈し、黒いスーツに眼帯の女性が同意する。
「あらあら、〈天龍〉ちゃんってば随分と人間嫌いになっちゃったわね」
「お前は違うのかよ、〈龍田〉! 〈扶桑〉が、〈山城〉が、〈古鷹〉が、あの提督野郎にどんな仕打ちを受けたか! 忘れた訳じゃねえだろ!」
その問いに、龍田と呼ばれた黒スーツの女性は携えた薙刀の手入れの手を休めること無く返す。
「勿論、忘れてないわよ。 天龍ちゃんだってその一人なんだし。 でもーー」
一度言葉を切り、未だ黒煙立ち昇る港の一角に目をやる龍田。
「私は長門や妙高達と違って、「人間」そのものを見限ったつもりは無いのよね。 今度の提督はあの椅子をお尻で磨くしか能の無い豚の後に配属されるくらいだから少しはましな人材だと思うし、人間を見限るのはそれを見極めてからでも遅くは無いと思ったんだけど……」
その言葉に、長門を姉と呼んだ茶髪の女性が鋭い視線を向ける。
「随分と甘い考えじゃない。 悪いけど、私と姉さんはそこまで楽観視するつもりは無いわ」
「私と那智も同意見よ。 もし〈羽黒〉が今も此処に居たのなら、貴女と同意見だったかも知れないけど……」
お互い一触即発の雰囲気の中、長門と呼ばれた長い黒髪の女性が黒煙の薄まりつつある砲撃地点を見据え呟く。
「何にせよ、戦艦の砲撃をまともに受けたのだ。 あれでは跡形も残るまい。 まあ、これだけの「歓迎」を受けて尚この鎮守府に着任しようという気概がある人間が居るのであれば、その時は龍田の案に乗ってやっても良いがーー」
『ーーへえ、そうかい』
「「「「「「!!!?」」」」」」
耳元で聞こえた声に、その場の全員が驚愕の表情を浮かべる。
何故なら、今の声は明らかに男のーーそれも、先程長門の砲撃を受けた筈のジーンズ男のものであり、それが艦娘しか使えない筈の専用通信機から聞こえてきたのだ。
「馬鹿な!! 何故貴様が生きている!! 確実に直撃させた筈だぞ!!」
『ああ、確かに食らったぜ。 中々いい腕してんじゃねえか』
「ーーはっ!! ま、まさか貴様、ゆ、ゆ、ゆうれーー」
『ちげーよボケ。 窓の外見てみろ』
その言葉に、女達は窓から身を乗り出して黒煙の立ち込めていた辺りに視線を向ける。
そこには、ジーンズ男ーーいや、いつの間に着替えたのか、多少煤けているものの青の袴にたすき掛けした白い胴着に身を包んだ先程の少年が軍服の青年を庇うように前に立っていた。
「ーーふむ、流石は超弩級戦艦だな。 だが、いくら装甲には自信があると言っても自ら射線に飛び込むのは感心できんな」
「だったらテメエをほっといて一人だけ退避しとけってか? 中々笑えねえ冗談じゃねえか」
その言葉に眉一つ動かさず、軍服の青年は少年の持っていたボストンバッグから拡声器を取り出すと、管制塔から身を乗り出す女性達に向かって語り掛ける。
「君達はこの鎮守府の所属艦娘のようだな。 私が今日からこの鎮守府に配属された〈
そして、その自己紹介に続くように少年も名乗りを上げる。
『俺の名は〈紀伊〉! 今日からテメエらの頭を張らせてもらう! 勿論、気に食わねえなら何時でも喧嘩を買ってやる! ただしーー』
『〈紀伊型戦艦〉一番艦の肩書は伊達じゃねえ! コロネハイカラ沖の果てまでブッ飛ばされてえ奴からかかって来やがれ!!』
うーん……書いたはいいけど続けていいものか