ブラック・ブレット ーガストレアとなった少年ー 旧作 作:ブロマイン
ピピピピーそんな音を鳴らして理玖に着信を伝えた携帯電話のスクリーンには《非通知》の三文字が映されていた。
しばらく待っていても通知音が切れる様子がなかったので理玖は電話に出たところそれは予想にもしていなかった人からのものであった。
「初めまして御影 理玖さんですね聖天子と申します、少々勝手ながら連絡先を調べさせていただきました、幾つか話したいことがありますので聖居まで来ていただけますか」
「もし僕がそれを断ったとしたら如何するのでしょうか」
理玖がそう答えると聖天子はまるでRPGゲームのNPCのように
「幾つか話したいことがありますので聖居まで来ていただけますか」と同じ言葉を繰り返すと加えて
「御影民間警備会社についてもお話があります」
などと言うものだから理玖は溜まらず
「聖天子様が職権乱用のうえに脅迫ですか。わかりました、いつ頃伺えば宜しいでしょうか」
「急ぎの用件ですので今すぐにでも来ていただけますか」
そうして理玖は了解の意を伝えて電話を切り聖居へ向かった。
「御影 理玖という者です聖天子様に呼ばれているのですが」
理玖が聖居の入り口に立っている男にそう声を掛けると男はあらかじめ理玖が来ることを聞かされていたのか
「了解しました、案内のものを呼びますので少々お待ちください」とどこかに連絡をすると聖居から1人の男が此方に来たので理玖は
「初めまして御影 理玖です」
すると男はふんと鼻を鳴らして見下した態度による
「保脇 卓人三尉だ…何故このような男を聖天子様は…」
などといった発言により理玖は保脇から聖天子に対する妄信のようなものを感じた。その部分をあまり刺激しないように尚且つ速やかに聖天子のもとに案内してもらえるように
「保脇さん、聖天子様もお待ちでしょうし急ぎ案内をお願いします」と声をかけた。すると保脇は不満そうにも案内を始めた。
数分後ー保脇がおそらく聖天子が居るのであろう部屋の前で止まるとコンコンとノックをして聖天子に呼びかけるように
「保脇です御影 理玖を連れてきました」
「了解しました保脇さんご苦労様です、御影さんも入ってください」
そして入った部屋は壁の一面がガラス張りで陽の光により明るく照らされている中に聖天子が執務に使うのであろう机と、今現在
聖天子が腰掛けているソファーそしてテーブルを挟んで対面に置かれているソファー、この大きな明るい部屋はわずか四つばかりのものしか無かった。
「御影さんどうぞお掛け下さい、そして保脇さんを含む御影さん以外の方は皆さん後退出願います」
「どういうことですか聖天子様このような男と護衛もつけずに会談とは危険です」
保脇が焦ったようにそう言うと聖天子は一瞬声を低くして
「これは東京区代表としての命令ですみなさん速やかに退出なさい」
とても冷たい聖天子の声に護衛の者たちも驚き慌てながら部屋を出た。
「失礼しました御影さん、まずはお掛け下さい」
「そうですね聖天子様もあまり時間が無いでしょうし前置きは結構です、すぐに話を終わらせましょう」
「了解しましたそれでは本題に移りましょう。御影さん、まずはあなたの民警許可証の掲示をお願いします」
理玖はこの話題に入るのがわかっていたようですぐに民警証を聖天子に差し出した。聖天子は理玖の民警証を見ると確信を得たようで
「やはりこの民警証は偽装でしたか、これはどこで手に入れたのですか?」
「さすがに地区代表を欺くことはでできませんでしたか、高知区製のかなり再現度の高いものだったのですが。バレてしまった以上私は追放か捕縛でしょうね、もっとも捕縛であった場合は相応の抵抗をした上で外部への逃走をしますがね」
理玖の発言の高知区のところで聖天子は目を見開くと
「…高知区まさか本当に生き残っていたとは、それと焦らないでください。本来であれば御影さんの仰る通りの対処をするところですが今回は緊急であなたに依頼したいことがあるのです」
理玖は依頼ということで面倒ごとになると思ったが同時に偽装民警証ということで自分に逃げ道が無いことも理解した。
「それで依頼とは具体的に何をするのでしょうか」
「先日あなたが里見さんと共闘して倒した非感染者ガストレアの感染源ガストレアを討伐、対象が持っているとされるアタッシュケースの回収です」
「アタッシュケースですか、中身を伺っても?」
「その質問に関してはお答え出来ません」
そう答えた聖天子の声は先ほど保脇達を追い出した時にも勝るほど低く冷たい声だった。
「そうですか、では報酬にそれなりの色をつけていただけるとありがたいのですが」
「報酬は相応額の現金、正式な民警証の発行となります」
「つまり依頼を受ければ正式にプロモーターとなり依頼を受けなければ民警証偽装により捕縛ですか、了解しました依頼を受けましょう」
「有難うございます御影さん、明日里見さんを含めた東京区の大手民警を集めて同じ内容を依頼するのでその時に新たに御影さんに伝えるべき情報が上がればイニシエーターとの契約日を含めて里見さんへ伝言をお願いすることになると思います、その為明日一日は連絡が取れるようにしておいてください」
「そうですか、それではまた契約日に会いましょう」
そう言って理玖は聖天子との会合の部屋から出て外で控えていた保脇達を無視して聖居を後にした。
高知区については二章のはじめに詳細を話します。
とりあえずは高知区は非合法の犯罪者予備軍集団自治区だと思ってください。