ブラック・ブレット ーガストレアとなった少年ー 旧作 作:ブロマイン
「ちょーろー、2人がきましたよ」
元気な声をあげる少女の先には長老、まるでさっきまで泣いていたかのように目元を赤くした延珠、それを眺める子供達がいた。
「お二人ともよく来てくれました。今日は…遊びに来たわけではなさそうですね」
「やはりわかりますか。想像通りでしょうが今日は藍原 延珠さんの捜索にきました。」
「彼の元へと連れて行くのですか」
「いえ、取り敢えず蓮太郎には彼女が無事に見つかったと連絡するだけですよ。藍原さんもその方がよいでしょうしね」
それに対して長老、松崎さんはそうですかと小さく答えた。
「もしもし蓮太郎、聞こえていますか?」
「ああ、延珠は…見つからなかったよ」
「延珠ちゃんでしたら見つかりましたよ」
「本当か!今どこにいるんだ!」
「本人の希望でそれには答えることが出来ません。けれども彼女は無事ですので蓮太郎はゆっくり休んでください」
そして理玖は、蓮太郎の返事を聞く前に電話を切った。
電話を切った理玖は、延珠に何があったのかを聞こうとしたが、すでに紫月が聞き始めていたのでその隣で聞くことにした。
「ねえ延珠ちゃん、何があったのか教えてくれない?」
すると延珠はぽつりぽつりと話し始めた。
学校に行くとみんなが変だった。
みんな妾のことを見ているのに誰も妾を見ていない、そんな感じがした。
とても嫌な感じだった。
その嫌な感じはすぐに嫌なことに変わった。
誰かが妾に向かってバケモノと言った。その時に変わったのだ。
みんなが口を合わせて妾のことを『バケモノ』と言った。
その中には昨日まで仲良く話をしてた友達もいた。
彼女達が叫ぶのを見て舞を探した。
舞はすぐに見つかった。
校舎の中からこっちを見ていた。
妾は舞を呼ぼうとした。
けれども舞はこちらに背を向けて校舎に入っていった。
その時妾は頭が真っ白になった。
そして気づいたときにはここにいたのだ。
話し終えた延珠は顔を俯かせているが、その声色は今にも泣き出してしまいそうであり、その震えている体は今にも心が壊れてしまうように感じられた。そんな延珠を見て理玖は声を掛けた。
「延珠ちゃん、君は今の学校を辞めた方がいい」
「どうしてだ、妾はやはりバケモノなのか!」
「そうではありません。これは君と舞さんのためです」
「妾と、舞?」
「先ほど延珠ちゃんは、舞さんが去っていったと話しましかが、きっとそれは舞さんが空気に勝てなかったのでしょう。」
「空気?」
「空気とは延珠ちゃんが感じた嫌な感じの事です。そしてそこには見えないルールがあります。今回のルールは''延珠ちゃんと喋るな”でしょうね。もしこのまま舞さんと話せない状況が続くけば、舞さんにそのことに関する罪悪感が積もります。そして大きすぎる罪悪感は憎悪へと変わってしまう、そうなればもう舞さんとの仲は戻らない」
「ならば妾はどうしたら良いのだ」
「さっきも言ったように学校を辞めればいい、ただし普通に辞めるのではつまらないので『バケモノ』から『ヒーロー』になってみんなを見返してやりましょう」
「見返す?」
「ええ」
「どうやってだ?」
「別に何も特別なことをしなくてもいいんですよ、ただ逃げない覚悟をするだけです」
「わかった」
延珠がその言葉を発した時、紫月の目には理玖が珍しくも小さく笑っているように見えた。
その後、三人は子供達と楽しい一晩を過ごした。そして翌朝39区を去ろうとした時、理玖の携帯が着信音を鳴らした。
そこに表示された名前は【天童 木更】今彼女から電話が来る意味は一つしかないだろう。そう思いながら理玖は電話に出た。
今回の内容はいずれ変更すると思います。特に理玖の延珠への説明?説教?的なものを。