不健全鎮守府   作:犬魚

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黄金のような爽やかさすら感じるタイトルに内容について考えさせられる回

【登場人物】

青葉
青葉型重巡、細かい事はあまり気にしないがレンズの汚れは気になる

多摩
球磨型の上位カースト
ネコ科の猛獣

長良
長良型1番艦、陸上部

大鳳(2)
お腹が緩い装甲空母、陸上部

島風(3)
痴女、帰宅部

榛名(2)
榛名は大丈夫、園芸部

白露(6)
1番になる為に明日は捨てた

古鷹
最近好きな番組はマジきゅんっ!ルネ●サンス、キング推し


提督と艦娘とスポーツの秋

地域密着型イベント、秋のスポーツ大会

地元との親交を深めるべく毎年開催しているこのイベントはガラが悪いと評判の当基地のイメージアップに一役買っている

 

「なに見てんだコラ?」

 

「タイマン張るか?お?」

 

…一役買っている、そんな風に考えていた時期が、俺にもありました

 

「提督、珈琲をどうぞ」

 

「これはこれは、どうも」

 

地域の偉い人に頭を下げてひ●こ饅頭を渡し、運営本部のテントに戻って来た俺をエクセレントな一杯で迎えてくれる香取先生、相変わらず素敵な方だ

 

「次は“かけっこ”か…」

 

イベントの目玉とも言える大人気競技、かけっこ

選手からすれば速さを競う単純にして明解な競技だが金網ごしに見守る観客達は違う、ウォームアップする選手達を舐めるようにイヤらしい目で見つめなければこの競技に勝つ事はできない

 

「おいサミー、どんな感じだ?」

 

少し離れた席でパソコンの画面を見つめる五月雨は面倒くさそうにこちらに視線を寄越す

 

「やはり1番人気の島風さんの頭からですね」

 

「まぁ、本命だしな」

 

人気的には島風の頭から次いで長良主将か多摩ニャー、しかし多摩ニャーは少々ムラっ気があるしなぁ、微妙に迷う気はわからないでもない

 

『えー…続きまして“賭けっこ”です、もうすぐ締め切りますので投票券をお買い求めの御方はお急ぎください』

 

青葉のアナウンスで金網の向こう側がややざわつきだした、クックック、悩め悩め、貴様らは既に疑惑と言うアナザー●ィメンションに捕らわれているのだ

 

◆◆◆

 

①多摩

第1コーナーにゃー

 

②長良

練習は裏切りません

 

③大鳳

耐える事が戦いだと思ってます

 

④島風

速さが足りない

 

⑤榛名

榛名は大丈夫です

 

⑥白露

特にお話しする事はありません

 

⑦古鷹

賞金女王目指して頑張ります

 

「えー、以上、レース前のインタビューでした、どうでしょう提督?」

 

運営本部テントから放送テントへとやって来た俺は解説席に座っていた

 

「⑥が不気味だな、何か仕掛けてくるぞアレ」

 

「青葉としては①ですね、第1コーナーで仕掛けると宣言してますし」

 

ちなみにかけっこのルールは単純、2000メートルのトラックを一周するだけだが、ルール的には武器の使用以外は全てを認めている

目突き、噛みつき、金的、何をやってもルール的には問題無い

 

「さー時間一杯です!始まりますよー!はい!今スタートしました!各艦綺麗な横並びでスタ…いや!!⑥番白露!いきなり榛名に延髄斬りだァァァァ!!」

 

「いきなりカマしてきたなアイツ」

 

【⑥榛名 脱落】

 

「今の延髄斬りで各艦やや動揺で出遅れ…いや!多摩だ!多摩のスタートは遅れてない!やや出遅れる形で島風が追う展開になりました!」

 

白露の強襲でスタートに若干の混乱があったものの、トップは多摩、次いで島風が第1コーナーに入る

 

「死ねニャー!」

 

さらに、コーナーで多摩が反転、猛追する島風の喉元に鋭い爪を喰らわせた

 

「お゛う!!」

 

【④島風 脱落】

 

「長良主将っ!」

 

「大鳳、アレをやるぞ!」

 

「いいですとも!」

 

第1コーナーを抜けた直後、トップを走る多摩に長良と大鳳が仕掛けてきた

 

「オマエらも八つ裂きにしてやるニャー!」

 

ネコ科の猛獣の如き柔軟性を生かした反転、多摩の爪が長良主将の喉元、いや、ブルマーを斬り裂いた

 

「死ねッ!ドラ猫ッ!」

 

「くたばれッ!!」

 

長良主将と大鳳のツインシュートが多摩の股間に炸裂し、多摩はアヘ顔を晒してその場に崩れ落ちた

 

【①多摩 脱落】

 

「よしッ!」

 

「長良主将!」

 

「なに…?ぶべらッ!!」

 

多摩を沈めた長良、大鳳コンビ、しかし!大鳳のスナップの効いたビンタが長良の頬を強襲した

 

「よし!」

 

【②長良 脱落】

 

 

血で血を洗うレースとはまさにこの事だろう

今、生き残っているのはトップの大鳳、続く古鷹、そして最後尾から古鷹のケツを狙いつつ手を組んで猛追する白露

 

「ヒッ!!ヒイィィィィ!!」

 

「待てェェェェ!!」

 

白露の猛追に涙しながら全力で走る古鷹、あの指は間違いなく“刺す”形をしている!“挿入れる”とか生優しいモノじゃあない

現に、第1コーナーで既に倒れていた島風に試しにとばかり突き刺してトドメを刺していたがその威力は桁違いだ、どれほどの研鑽を積んだのかと疑いたくなる

 

「たす…助けてぇー!!タスケテェー!!」

 

最後の直線、古鷹の猛追が大鳳とほぼ並ぶ、白露としては2人とも始末しなければ1番にはなれない、しかし、このままでは1人しか殺れない…

 

「…やるしかない!」

 

白露は組んだ手を離し、両の手の中指を強く突き立てた、そう、左右の手を分離する事で左右1人づつのア●ルを刺す、その様はまさに双頭の虎

この土壇場で、この天才は気高き進化を見せた

 

「ヒッ!!ヒイィィィィ!!くるなァァァァ!!」

 

「なんてヤツ…!!」

 

「死ねェェェェ!!」

 

「オゴォ!!」

 

白露の左腕が大鳳の尻を刺した、そして続けて必殺の右を…

 

「う゛っ!!こ…これは、が…ガス、ッ…お゛う゛えぇぇぇぇぇぇ」

 

大鳳のア●ルを刺すと同時に、大鳳の緩いお腹から殺人ガスが漏れたのだろう、その直撃を受けた白露は既に意識の無い大鳳のア●ルに左手の中指を刺したまま前のめりに倒れた

 

【③大鳳 死亡】

【⑥白露 死亡】

 

「ハァ…ハァ…ご、ゴールだぁ~」

 

「決まったァァァァァ!!1着7番古鷹、見事クイーンエリザベス級杯を制したのは古鷹だァァァァァ!!」

 

そして、素晴らしいレースに金網の向こう側からは古鷹さんに拍手が贈られ、1番人気の島風には怒号と罵声が贈られた

島風はケツを抑えて泣きながら退場して行ったが勝負の世界は常に非情だ、この痛みに負けずに次のレースに期待したい

 

「以上、かけっこでした、実況は青葉、解説は提督、10分の休憩の後、次の種目プログラムNo.17鎮守府名物“羅倶美偉”となります」


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