【登場人物】
提督(48)
こんなのウンザリだ!オレは部屋に戻る!
明石(4)
改修作業はなんとなくこなす、よく失敗する
妖精さん
“理力”ぐらい頻繁にその辺にゴロゴロしてるらしい、仲間意識は強い
妖精さん…
艤装やらなんやらに憑いてたり鎮守府内の雑事を色々やってくれるコボルトみたいな存在
一般的には、妖精さんと言われる未知の何かが見える将校は提督の資質が高いらしい
「妖精?は?シャブ喰ってんの?」
そして、妖精が見えないどころか存在すら信じてない者も居る…
‐工廠‐
ズズズズ……ズズズズ……
「オイィィィ!!今このラチェットォ!たしかに動いたぞォォォ!!カチカチっーか、チキチキっーか!自分で動きやがったァァァ!!」
「当たり前じゃないですか、妖精さんがナット締めてるんですから」
明石の野郎、何言ってるんだ?妖精?イカレてるのか?
「提督の足下にも3匹くらい居ますよ」
「ドラァ!!ドララララララァ!!」
『ギャー!』
『ヤメロォ!』
「…何も居ないようだが?」
「居ましたよ、ってか、なんで攻撃したんですか?めっちゃスタンプしましたよね?今」
「さぁ?何の事かわからないな、明石」
そこに“いる”ってのはなんとなくわかるが、俺には見えないので正直よくわからない
ここに着任した当初、秘書艦だった由良さんから心が汚いから見えないんじゃないかと言われ、殴り合いの喧嘩になったのは良い思い出だ
「コ●モとかセブンセ●シズとかよくわからないフワフワしたモノは信じるくせに妖精を信じない大人ってなんでしょうね?」
「よくわからないフワフワしたモンとかゆーな、白薔薇投げつけるぞ」
「なんで必殺級!?」
日課の装備改修作業、明石は20.3cm砲にトンテンカンカンハンマーを振り下ろし、よくわからない改修を加えている、正直、そんな雑な仕事で改修とか出来るのか疑わしいのだが…
「あ、失敗した」
「ほら見ろォ!」
「まぁこんな日もありますって、さ、今日のノルマ終わったしティー飲もーっと、提督も飲みます?」
『アカシ、マイフレド』
『アカシ、アールグレイ』
『アカシ、ウィスキーヲクワエテホシイ』
「はいはい、妖精さんにも淹れてあげますよぉ」
相変わらず見えないが妙な気配だけは感じるな、どうやらしゃがみこんだ明石の足元に居るようだが…
「妖精のくせにティーを飲むのか?そいつら」
「飲みますよ?中にはグルメな子もいますし」
「ふ~ん」
「あ、そーだ、妖精さん妖精さん、ちょっとお話が…」
明石は何やら足元に向かってヒソヒソと喋りだした、正直、妖精が見えない俺としては今の明石はヤバい奴にしか見えない
「提督、提督!」
「なんだ?」
「イマイチ妖精さんが信じられない提督に妖精さんを信じて貰う良い方法を思いつきました」
明石は棚に置いてあったらしい陽気でファンキーな感じのする坊やの人形を持ってきた
「…なんだコレ?キモいんだが?」
『…アイムヨウセイ…』
「ヒッ!!」
な…なんだこの人形ッ!?今なんか喋ったような…
『アイムヨウセイ…ヒヒヒ、ヒーッヒヒヒヒヒ!!』
「なんだこりゃあああああああ!!明石ィィィ!!人形がァ!人形が喋って動いてんぞォォォ!!」
「はい、妖精さんに人形の中に入ってもらいました!コレなら提督もさすがに信じてくれると…」
『ヒーッヒヒヒヒヒ!!キルユー!キルユー!』
人形(妖精入り?)はその辺に置いてあったモンキーレンチを手に取り狂喜の笑い声を上げてブンブンと振り回す
『キルユー!キルユー!』
「オイ!なんだコレ絶対妖精じゃねーだろォ!?もっとチャイルドがプレイする感じのヤツだろォ!!」」
「まぁ、見えてないだけで、今まで提督ってば妖精さんをよく蹴っ飛ばしたりしてますからね、そりゃ恨まれてますよ」
『キルユー!キルユー!』