不健全鎮守府   作:犬魚

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戦慄から受け継いで裁かれるまでの話

【登場人物】

提督(52)
理解ある大人、ビスマルクさんが好き

五月雨(22)
理解ある駆逐艦、コロンビアの農場から喜びの手紙が届いた

間宮(6)
むしゃぶりつきたくなるドエロスボディ、おばちゃんと言われると怒る

長門(9)
拳の求道者、最近、阿修●閃空ができるようになった

時津風(3)
エサ代は月額3000ギル、常にステータス異常らしい


提督と五月雨と甘くない話

「コーヒー淹れましょうか?」

 

「いらん、冷蔵庫に缶コーヒーが入ってる」

 

「ありませんけど?」

 

「あ゛?」

 

なるほど、たしかに冷蔵庫の中には買い置きの缶コーヒーがないな…

 

「コーヒー淹れましょうか?」

 

この野郎、執拗に俺にコーヒーを飲ませようとしてやがる、なんて悪質なコーヒーサーバーだ、いや、ドリップマシンとでも呼べばいいのか?

 

「いらん、チッ…買いに行く」

 

「そうですか」

 

「…なんかついでにいるモンあるか?」

 

毎度の事ではあるが、コーヒーを断り続けるのも何か心の中にバツが悪い物があるのでついでの買い物でご機嫌を伺っておくか…

 

「そうですねぇ~…あ、何か甘いもの買って来て貰えますか?チョコレート系の」

 

「カカオ120%ぐらいでいいか?」

 

「私、甘いものって言いましたよね?」

 

「チッ!」

 

「舌打ちするなら聞かないで下さい」

 

とりあえず俺は明石の店に行き、缶コーヒーを買い、甘いものはチョコパイで済まそうと考えたが舌打ちされるのが目に見えるし、なんかムカつくので、スイーツショップ間宮へ向かった

 

「いらっしゃいませー、今日のオススメはカボチャのプディングです」

 

カウンター越しに出迎える乳の大きな乳牛、間宮

とにかくデカい、もう誘ってるとしか思えないぐらいデカい

 

「おばちゃん、この棚の左端から右端まで1個づつ包んでくれや」

 

「おばちゃんゆーな、あと、今日のオススメはカボチャのプディングです」

 

「いいからガタガタ言わず包めよ、モタモタすんなホルスタインが」

 

「ホルスタインゆーな、なんですか?セクハラですか?」

 

「誉めてるんだよ」

 

「誉めるならもうちょっと言葉を選んでください」

 

ぶつくさと文句を言いながら間宮は箱にケーキっぽい菓子を丁寧に入れている、間宮の子分はワリと雑だがさすがに間宮、ダテに乳がデカくない

 

「9800円です」

 

「高けェ!!」

 

「高くないです、素材から調理法までこだわり抜いた一流の味ですので」

 

「何が一流の味だ、チッ…」

 

俺は財布から金を出してカウンターの上に置き、品物を受け取った

 

「ありがとうございましたー」

 

「チッ、たかがご機嫌取りが大損害だ」

 

「ご機嫌取り?」

 

「気にするな」

 

しかし、買ってみたものの多すぎる気がするな、1列1個づつだから、よく考えりゃ10個近くある…

俺は1個でいいとして五月雨も1個2個ぐらいしか食わない気がするが…まぁいいか、とりあえず煙草吸ってから戻ろう

 

‐‐‐

 

喫煙所へ行き煙草を吸っていると、向かいの廊下で長門と時津風が歩いていた

 

「よぉ、散歩中か?」

 

「フッ、同志大尉か…このビッグセブン、ご覧の通り、かわいい時津風の散歩中だ」

 

「同志じゃねぇし大尉でもねぇよ」

 

ステゴロなら武蔵にも殴り勝てる鉄の拳と鋼の腹筋を持つ大戦艦、長門、ロリコンだ

 

「ぐるるるッ!」

 

長門の傍で警戒と敵意の唸りをあげる陽炎型駆逐艦、時津風、人には懐かない犬だ

 

「…」クンクンクン

 

唸りあげていた時津風は椅子に置いた間宮箱の匂いを察知したらしい

 

「アマイモンの匂い」

 

「なんだと…?提督よ、お前、まさか悪魔と契約したのかッ!」

 

「するか、っーかアマイモンが悪魔とかよく知ってるなオマエ?」

 

生粋の中二病である天龍と木曾なら即答できるのも納得がいくが長門も知ってるとは意外だな

 

「陸奥が読んでいる本に描いてたからな、アマイモン受けがどうのこうの…」

 

「あぁ、そんな感じ…」

 

陸奥ェ…

 

「匂いがする」クンクンクン

 

「やらねーぞ」

 

「提督よ、その箱はなんなのだ?」

 

「間宮んトコで買った高級スイーツだ」

 

「ほぉ…スイーツか」

 

「スウィーツ」クンクンクン

 

この犬、日本語怪しいのになかなか発音がいいな

そして長門は俺と同類か…

 

「珍しいな、提督がスイーツとは…ハッ!?まさか貴様、高級スイーツを駆逐艦のエンジェルス達に振る舞って自分だけ好感度アップ大作戦か!ズルいぞ!」

 

「いや、しねぇから」

 

「しかしさすがは同志提督だ、これほど狡猾な作戦を思いつくとはな、このビッグセブン、驚嘆したぞ」

 

「しねぇから」

 

なんで俺がクソガキどもの好感度あげにゃならんのだ、どうせ上げるならビスマルクさんの好感度上げ……

 

「ハッ!そ…そうか!」

 

買い過ぎた菓子をお裾分けと言う自然な流れでプレゼントし好感度を上げるッ!なんて完璧な作戦なんだ…これはもうアレだ、自然な流れでスイーツを持って行く→ビスマルクさん好感度MAX→好き!抱いて!→ハッピーエンド

 

「…そうとわかればこんなところでプカプカ煙草を吸っている場合じゃない、よし!」

 

俺はケーキっぽいものが入った箱を手に……手に?ん?

 

「うまいうまい」ガツガツ

 

「ナニしてんだァァァァ!!この駄犬がァァァ!!」

 

ちょっと目を離していた隙に、時津風が箱を開封し、中身をベロベロと食べていた

 

「ぐるるるッ!!」

 

「返せッ!!」

 

「シャーッ!!」

 

「ぐわあああああ!!噛んだァ!この犬ッ!噛みやがったァァァ!!」

 

‐‐‐

 

「ただいま」

 

「遅かったですね…どうしたんですか?それ?」

 

「それと言うのはどっちだ?」

 

袖を噛み千切られた服の事か、ボロボロになった間宮箱の事か…

 

「両方です」

 

シュークリームだけは死守した俺はシュークリームの入った箱を五月雨に渡し、五月雨は替わりに絆創膏を寄越した

こういうトコがムカつくんだよな、コイツ


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