【登場人物】
提督(70)
中二病、細かい数字は覚えないが面倒くさい口上は覚えている
天龍(3)
中二病、銀幕デビューで最高に濡れた
木曾(3)
中二病、外ではONで部屋ではOFF、姉ちゃん達が怖い
「天より降臨せよ!万能なる魔界の支配者!天魔王ゴッド・ゼクス!」
「ヘッ!きやがったなゴッド・ゼクス!こいよ!返り討ちにしてやるぜ!」
秋の作戦も無事に終わり、特にやる事もない俺は同じく暇人の天龍とアツかりしカードバトルに興じていた
「さぁその天下を穫ると大口叩いたその口で敗北のターンエンドを宣言しろ!」
「フッ、オレはまだ負けてねぇぜ…ッ!オレはこのドローに賭けるッ!………引いたぜ、希望を!」
「なにッ!?」
アツく燃え上がる魂の勝負、天龍め…やはりお前は大したやつだ、お前とのファイトはいつだって俺を熱く燃え上がらせてくれる、だからこそ!お前と言う最高のファイターだからこそ倒し甲斐があると言うものだッ!
「大変だァァァァァァ!!提督ッ!大変だァァァァァ!!」
「む?」
「お?木曾」
俺と天龍のアツいバトルの中、執務室の重厚な扉を勢い良く開き、妙に焦った様子の木曾が駆け込んで来た
「どうかしたのかね?」
「オマエもヤるか?」
「ハァハァ…提督、と…天龍か、いや、今はそれより大変なんだッ!」
球磨型軽巡の末っ子、木曾、俺や天龍と同じく暗黒物質やキリル文字に心ときめくピュアな心を持つ逸材
「オマエがそれほど焦るとは、まさか……“ヤツ”らかッ!」
「フッ、どうやら新たなる聖戦の始まりらしいな、クッ!左目が疼くぜ」
ちなみに天龍の左目にはかつてこの世界を恐怖のズンドコに叩き落とした黙示録の竜が封印されているらしい
「いや……そうじゃなくて」
「じゃあなんだよ?」
「水くせぇぞ木曾、オレらマジダチじゃねーか?」
俺と天龍は木曾を温かく迎えてやり、天龍は自分の飲みかけのオレンジジュースを木曾に差し出した
「実は…」
「実は?」
「部屋に帰ったら………美少女が居たんだ」
重苦しく口を開いた木曾、そうか…美少女か
「は?ナニ言ってんだ木曾、イカレてんのか?」
「イカレてねーよ!マジなんだよ!マジで美少女なんだよ!サンタの格好したァ!」
「ナニ言ってるんだ木曾、そんなの現実にあるワケないだろう?そーゆーのはT●L●VEるかエロ本の中にしかないんだよ」
まぁ、そーゆー慌てん坊のエロサンタは読者の心に配慮して冴えない男のところにしか来ないんだよ、木曾みたいなイケメンのトコには来るのは最初からパンツ穿いてねー痴女なんだよ
「マジなんだって!昨日から球磨ねーちゃん見ないなって思ってたら…」
「ふ~ん」
「なんだ?球磨ねーちゃんどっか行ってるのか?」
球磨ねーちゃんを頂点とする球磨型軽巡、たしかに、たまに球磨ねーちゃんと多摩ニャーはフラリとどこかに消え、見た事のない浴衣の美少女がうろついている事がたまにあるが…
「球磨ねーちゃんの事だから大木でも殴りに行ってるんじゃねぇの?」
「あ~…あるな、ナワバリ争いで」
「ウチのねーちゃんをなんだと思ってるんだよ!」
「意外と優秀」
「変なアホ毛」
「あ~…わかった、オマエらが球磨ねーちゃんの恐ろしさを心底理解してないってコトはわかった」
木曾が言うとなかなか説得力があるな、さすがは球磨型恐怖の縦社会、だが、その恐怖の縦社会の結果、木曾はこうして俺達闇の住人となっているのだが…
「よし、じゃその美少女見にいこーぜ」
「フッ、面白れぇ」
「天龍!オマエ、ナンパしろよナンパ!オマエ黙ってたらイケメンだからイケるって!俺が女だったら即股開くね!」
「え?マジ?フフ…まぁ仕方ねぇよな、だってオレ!世界で一番強くてカッコいいしな!」
世界水準を超えた残念なイケメン天龍、黙っていたらカッコいい
「ちょ!待てよ!相手は正体不明の美少女だぞォ!オレなんか部屋開けた瞬間におっふ!しちまったんだぞォ!」
「なにビビってんだ木曾、イケメンのくせに」
「そうだぜ木曾、オマエほどのイケメンがおっふ!する美少女……この天龍様と!」
「趣味は創作弁当作り、ハンサムメガネ男子の俺がいればその場で即、夜のクリスタルクリスマスパーティーさ」
「お…おぅ!」
さぁ行こう!あの木曾をもおっふ!させたプリンセスを迎えに!乗り遅れるなよ、俺達と言うKUR●FUNEに!
俺達は最高のキラキラを撒き散らせながら、颯爽と球磨型の住む寮へと向かった
途中、うーちゃんや鹿島先生とすれ違ったが、うーちゃんにはポケットに入っていたキャンディを渡し、鹿島先生には名刺を渡し、今夜の予定を開けている事を伝えた、心なしか、鹿島先生は引いている気がしたが気のせいだろう
そして、俺達は球磨型軽巡の住む部屋へとやって来た
「…開けるぞ」
木曾は緊張した様子でハァハァしながら扉を開いた、そこに……ッ!
「なんだクマ?やっと帰ってきたクマね」
「…おっふ!」
「…おっふ!」
見た事のないサンタ美少女が居た、俺だけじゃない、あの勘違い系ヤンチャボーイの天龍すらおっふ!
「木曾、ストーブの灯油切れそうだから買ってこいクマ」
「モタモタすんなニャー」
多摩ニャーは木曾にお金を渡す、お釣りはお菓子買っていいとのコトだ
「あ、あぁ…うん」
「ん?提督とテンリューも一緒クマ?うちの子と仲良くしてくれるのはいいけど悪い遊びを教えるのはダメクマよ」
「あ、はい」
「ダイジョブっす、ハイ」
扉が締まり、俺達はただ、おっふ!とだけ言った…
「…な?」
『『誰だよアレ!?』』
俺と天龍は同時に吠える!なんだあの美少女!?
「オレが聞きたいよッ!!」
『部屋の前でうるせぇークマ!!さっさ買って来いクマァ!!』