不健全鎮守府   作:犬魚

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約20年前に現れた最先端の回

【登場人物】

提督(72)
盤上のナイトの事を未だにシグマと呼んでしまう

長門(9)
ビッグ・ロリコン・セブン、金はどうでもいいがちやほやしてもらいたいが為に行動している



提督と長門とVRV

「あ、クソ!コイツつえーな」

 

師匠が走る師走、特にやる事もなく、日々の最低業務だけをこなしていた俺はPCの画面に悪態をついていた

 

「失礼するぞ」

 

「あ゛?」

 

執務室の無駄に重厚な扉を開き、これまた無駄に重厚な腹筋を持つ重厚な戦艦が入って来た

 

「なんだ、長門か」

 

「なんだとはなんだ?」

 

「なんか用か?ご覧の通り、俺は忙しいのだが?」

 

「エロゲーでもしていたのか?」

 

「違う、チェスだ」

 

「チェス?あぁ、あの将棋っぽいアレか」

 

「そう、将棋っぽいアレだ」

 

まぁ下手の横好きと言うヤツだが、ちょっと自信あったんだがなぁ~…やっぱネットの世界はやべぇよ、ハンパじゃねぇ

 

「勝っているのか?」

 

「5戦全敗した」

 

「弱いな」

 

「俺が弱いんじゃあない、相手が強いんだ」

 

PCの画面上、俺が挑んだ対戦者ザーメミ、5戦全敗したがコイツの強さは伊達じゃない、強くてクールで度胸がある、どこのどいつか知らんが、おそらくプロだろう

 

「もういい、やめだやめ!」

 

俺は対戦相手に“ありがとうございました、いいバトルでした”とメッセージを送ると、相手から“フヒヒ雑魚乙”と書かれたメッセージが届いた

 

「腹立つなコノヤロー」

 

「まぁそういきり勃つな同志提督よ」

 

「同志じゃねーよ、だいたいオマエはなんだ?何の用だ?」

 

「うむ、実はこのビッグセブン、来るクリスマスに向けて駆逐艦のキッズ達にプレゼントを買おうと思ってな」

 

「ふ~ん」

 

「そこで同志提督に相談に来たと言うワケだ」

 

クリスマスか…そういや去年、アイツらバカどもがサンタ狩りとか言ってに街に繰り出して後日、五月雨と所轄に頭下げに行ったな

 

「このビッグセブンの調べによると、駆逐艦のキッズ達は流行りのVRゲーム機が欲しいらしい」

 

「生意気言ってるんじゃないよクソガキどもが、メガド●イブで十分だろーが」

 

「まぁ落ち着け、実はこのビッグセブン、既にそのVRゲーム機を入手している」

 

「なんだ?買えたのか?」

 

「あぁ、先日、陸奥と蟹を食いに行った際に偶然見つけてな」

 

「ちょっと待てオマエ、は?ナニ?蟹食いに行ったの?」

 

「あぁ、美味かったぞ!」

 

俺が発泡酒とチーカマ食ってる間に、なんて贅沢な野郎だ…

 

「ちなみにコレが買ってきたVRゲーム機だ、なんとソフト5本もついて5千円だった」

 

そう言って長門が紙袋から取り出したのは真っ赤なマシン、その形状はまさしく時代の最先端を行き過ぎたVRマシンッ!

約20年前、1人の天才が作り出し、世に放ったゲーム機

 

「バーチ●ルボーイッ!」

 

「フッ、どうだ?カッコいいだろう?」

 

長門のアホは得意気にしているが…

まぁ、なんだろうな…VRって言えばVRなのか?コレ?

 

「コレさえあればこの冬、キッズ達の人気はこのビッグセブンが独り占めだろうなぁ!ハッハッハ」

 

コレの購入に関し、同行していたであろう陸奥が止めなかった事に悪意を感じるな

 

「コレさえあれば!あのウォースパイトに勝てる!今こそ…今こそキッズ達の人気を取り戻し、このビッグセブンがちやほやして貰う時なのだ!なぁ同志提督よ!」

 

コイツ!陛下に対してなんて害意を持ってやがる…ッ!まぁたしかに、陛下はクソガキどもから絶大な人気だが…

 

「ハハハ…ハッハッハ…ハァーッハッハッハ!

 

「うるせぇよ!」

 

「すまんすまん、このビッグセブン、つい興奮してしまった」

 

「まぁいいんじゃねぇの?そのバーチ●ルボーイがあれば」


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