【登場人物】
速吸(3)
久々の登板、速吸クン
バカだらけの中で珍しいまともな稀少な人材、大鯨ホエールズのクローザー
グラーフ・ツェッペリン(3)
クール&スタイリッシュな魔界に生まれし無双の者、長門とは違うベクトル
朝、あまりの寒さに股間が縮み上がる中、速吸クンと日課のキャッチボールをしていると制球を乱した速吸クンのジャイロレーザーが股間に直撃し、危うく大惨事となるところだったが、寸でのところでコ●カケを使用する事で難を逃れた俺は速吸クンの作った朝からメガ盛りサンドイッチをベンチで食べていた
「どうぞ!温かいココアです」
「ありがとう」
速吸クンは持って来た水筒から温かいココアを淹れて俺に手渡す、うちのバカどもの中でこれほど気の付くよく見るとかわいい子はそうはいない
「今度の新外国人もかなりヤるらしいぞ、もう会ったか?」
「あ、サラトガさんですね!はい、先日会いました」
アイオワと違い、サラトガはマリーンへの入隊前の半年はマイナーに居たらしく地区優勝にも貢献したそうだ
「やっぱりオーラがありますね、強打者の風格と言うか…なんて言いますか、色々大きいものを感じました!」
「そうか、まぁたしかに色々大きいな」
既にメジャー入り確実と言っていいあの凶器のようなバストは並みの艦に出せるものじゃない
無駄に大ボリュームなサンドイッチをココアで流し込んでいると、広場の向こうに大きな紙袋のようなものを抱えた顔色の悪いヤツが歩いているのが目についた
「ナニやってるんだ、グラーフ」
「む?Admiralか……それと、グラーフ・ツェッペリンだ」
ドイツの白色乳デカ空母、グラーフ・ツェッペリン、常に顔色が悪いが体調はいつだって良好ゥ!らしい
「面倒くせぇな」
「人の名を面倒くさいなどと言うな、それと……貴様は、ハヤ?ハヤズリだったか?」
「速吸です!」
「すまん…ハヤズイ、ハヤズイだな、よし、今覚えた、失礼したな」
コイツ、顔色もそうだが表情も変わらんから本当に反省しているのかしてないのかわかりにくいな
「ところでそのグラーフ・ツェッペリンくんは朝から一体ナニをやっているんだ?芳醇な人間のエキスでも求めてさまよっていたのか?」
「言っている意味がわからんな」
グラーフ・ツェッペリン、未だ、一部の艦やアホなキッズ達から血を吸うと噂されている
「その紙袋はなんだ?」
「コレか?コレは母国より取り寄せたStollenだ」
「シュトレン?」
「Stollenだ」
8っちゃんさんがよく食ってるアレか、前に食べるかと勧められて食べてみたがなかなかアレな感じのモンだった、しかし…今、グラーフが持っている紙袋に入っているシュトレンはアレだな、そう…
「デカいな」
「まだ切ってないからな」
「ふ~ん、そんなデカいのを食うとは、なかなか剛毅だな」
「そのまま食う訳がなかろう、これをクリスマス用に飾り付けてお菓子の家風にするのだ」
「お菓子の家か…」
まさかこの吸血おっぱいからそんなメルヘンな単語が飛び出るとは思わなかったぞ
「へぇ、お菓子の家ですかぁ~…昔、実家でそんな本読んだコトありますね!」
速吸クンは速吸クンでお菓子の家に興味津々らしい、やはり女の子はそーゆーメルヘンなのが好きなのだろうか?いや、速吸クンの事だ、きっとト●コを愛読していたのだろう
「オマエ、そんな器用なコトできたのか?」
「当然だ、何故なら私はグラーフ・ツェッペリンだからな」
何故ならじゃねーよ、グラーフ・ツェッペリンだからなで済ませようとするんじゃないよこの乳袋は
「すごいですね!私なんか蒸しパンぐらいしか作れない尊敬します!」
「速吸クンは蒸しパンが作れるのか」
「はい、田舎に居る時はよく作りました、最近も……え~っと、2ヶ月ぐらい前に作りましたね、駆逐艦の子達と」
「ほぉ…」
グラーフが駆逐艦の子と言う単語に反応した
「その話、詳しく聞かせては貰えないだろうか?」
「詳しく…?ですか?」
「あぁ、相応の謝礼はしよう」
グラーフはポケットからブ厚い財布とユーロ紙幣を取り出した
「いやいやいや、そんなお金貰う程では…」
「いや、このグラーフ・ツェッペリン、十分な謝礼をしなければ気が済まないタチでな、まぁ貰っておいてくれ」
「やめておけ吸血空母、速吸クンが困っている」
「む」
「やめておけ」
「そうか…ならば仕方あるまい、謝礼は後日振り込みと言う形で」
わかった、コイツバカなんだな、クールでスタイリッシュを装ってだけのバカなんだな!
「グラーフ」
「グラーフ・ツェッペリンだ、次に略したらAdmiralと言えど体に風穴が開くぞ」
「こんな話を知っているか?」
…ある基地にとある戦艦姉妹が居た、姉は普段は寡黙で近寄りがたく人生を背中で語る神話の時代からのアニキであり中身は駆逐艦をクンカクンカスーハーしたい生粋のロリペド野郎、妹は近寄り易く女子力の塊、子供達にモテモテのパーフェクトお姉さん
ある日、姉は妹に“どうしてオマエばかり駆逐艦のエンジェルス達にモテモテなんだ!ズルいぞ!”と言い、妹はこう答えた“はぁ?今、忙しいからその話、後でいい?”と…
「まぁ、普通に聞いただけでは見苦しい姉の話でしかないな」
「グラーフ・ツェッペリン、お前もこの見苦しい姉と同じだ、なんか近寄り難いオーラを醸し出している」
「なんと!」
まぁそれだけではなく、第一印象で血液をベロベロしそうと言う点もあるんだが…
「な…なんと言うコトだ、Admiral!では私のお菓子の家でキッズ達と楽しいクリスマス大作戦はどうなる!?」
「このままでは確実に失敗するだろう」
「Sitzsack!なんと言うコトだ……このままでは、私はまた犬しか居ない孤独なクリスマスを過ごさねばならないのかッ!」
「大丈夫ですよ!グラ……グラペリンさん!グラペリンのお菓子の家ならきっと駆逐艦の子達も興味を持ってくれますよ!」
「は…ハヤズリ!」
「グラペリンさんに足りないもの……あ、そうだ!笑顔!笑顔とかどうですか!」
「………笑顔か」ニマァ
邪悪ッ!!なんて邪悪な笑顔だ、これは並の駆逐艦なら確実に漏らす!!
「その意気です!」ニコッ
「ありがとうハヤズリ、このグラーフ・ツェッペリン、勇気が湧いてきたよ」ニマァ…