【登場人物】
足柄(2)
通称、ワイルドウルフ
男なら拳一つで勝負せんかい
大淀(2)
通称、デスマシーン
データに無い事にはめっぽう弱い
「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」
「オイ!足柄サンがまた荒れてんべ!」
「超怖えー」
妙高型重巡の三番艦、足柄、通称ワイルドウルフ、かつて南町商店街を仕切る闇の帝王をビルから落下させたこともあり駆逐艦のキッズ達から憧れの対象とされている
「どうしたァ?足柄ァ…」
荒れて椅子とテーブルに当たり散らす、そんな近寄り難い足柄に平然と近寄るインテリ眼鏡系軽巡、大淀
足柄とはマジでダチ、略してマジダチの関係らしく、よく二人で夜の水族館に行ってはお気に入りの服の袖をギザギザにして帰ってくる
「ここは楽しい談話室だぜ?キッズ達がビビってトランプできねーじゃねぇか?」
大淀の言う通り、駆逐艦のキッズ達はビクビクと怯えながらいつでもワイルドウルフのパワーウ●イブが飛んできてもいいように下段ガードの体勢をとっていた
「む?そう…そうね、オイ!オマエらァー!悪かったな!コイツでクッキーでも買いなァ!」
足柄はバー●リーの財布から数枚の紙幣を取り出し、一番近くに居た朝潮にスタイリッシュに投げ渡した
「ヒュー!足柄サンオトコマエーッ!」
「さすが足柄サン!マジワイルドウルフッ!」
キッズ達は足柄に頭を下げてキャッキャ言いながらマミーヤ・ママの店にクッキーを買いに行った
「…で?ナンで荒れてたんだオメー?また合コンでも行ったのか?」
「あ゛?行ってねーし、っーか先週オマエと行ったろーが」
つい先日、足柄と大淀は提督に頼み込み、若手イケメン将校との合コンをセッティングしてもらったのが、三対三のスリーマンズマッチだったので、とりあえず自分達より積極性と自己主張が無く、可愛いさと美しさを備えていない(これ重要)チームメイトを誰にするか悩み“そうだ!ほら!なんかあの田舎のJKみてーな重巡いたろ?ほらアイツアイツ!たしかそう…古鷹!そう古鷹だ!”と結論付け、古鷹さんを最後のチームメイトとして声をかけ、いざ決戦の場に向かった
『スイマセン、遅れてしまいましたぁ』
決戦の場に現れたのは足柄も大淀も知らない都会的に洗練され、美しさと可愛いさを兼ね備えたスタイリッシュ重巡
足柄と大淀は知らなかった……改二改装され、洗練された古鷹さんの姿を…
結果、その日は古鷹さんと言う無双セイバーが火縄大橙DJ銃、若手イケメン将校達をおっふ!させてカチドキを挙げるには十分な破壊力を振るった
「…チッ、思い出すのも忌々しい!」
「まったく、まさかあのヤボスケがあれほどのポテンシャルを秘めていたとは計算違いだったぜ」
足柄と大淀は苦々しい思い出に溜め息をついた
「で?先週の合コンじゃねーならなんで荒れてたんだ?」
「いや、昼間キヨシとアサシとカスミとデパート行ってよぉ~」
「なんで誘わねーんだよ、は?ナニ?仲間ハズレ?私だけ仲間ハズレ?」
「いや、誘おうと思ったんだけど私の車4人乗りだしさぁ」
「は?ナニ?ス●オ?ス●オかなんかなのオマエ?いいよ、オモテ出ろよ、タイマン張ろーや」
大淀は指をバキバキと鳴らして椅子から立ち上がる
「まぁハナシは最後まで聞けって、まぁ座れ、な?お茶でも飲むか?アッサーム」
「いただきます」
「…まぁ、そんなワケで4人でデパート行って、ガキどもは玩具売り場かゲームコーナーに放って私はバッグでも見ようと思ったワケよ」
「オカーサンか、オメーは」
大淀はアッサムに砂糖を角砂糖を3個入れてカップをかき混ぜる
「そしたらよぉ、なんか広場?なんかほら1Fとかにあるじゃん?広場的なの」
「催事場ってヤツな」
「そこでクリスマス?子供クリスマス抽選会みてーなのやってんの、サンタだけじゃないですげーモフモフっぽいトナカイいんの」
「ふ~ん」
「もうキヨシとアサシが大ハシャギ、サンタすげートナカイすげーって袖引っ張んの」
「まぁ、アイツらピュアだしな」
「カスミも興味なさげっぽくしてんのに内心めっちゃトナカイに興味津々っぽいのな」
「っぽいな!」
「で、なんかレシート千円分で一回抽選できるしサンタとトナカイと撮影できるっーからキヨシとアサシがめっちゃ撮影してーってゴネるのな」
「まぁ、そうなるわな」
「カスミも内心めっちゃトナカイ触りたいのモロバレなのにキヨシとアサシにダセーダセー言ってんの」
「誰に似たんだろーなぁ」
「まぁ、私もそのぐれーならいいやと思って3人に上で遊●王カードでも買って抽選して来いよって五千円渡したのな」
「オカーサンか」
足柄は自分のカップに紅茶を注いで角砂糖を8個入れてかき混ぜた
「で、私は5階行ってバッグ見てたのな」
「買った?」
「いや、買ってない、で鼻歌唱いながらゴキゲンにバッグ見てたら館内放送でキヨシちゃんとアサシちゃんとカスミちゃんの保護者の方呼び出し、もうこの時点で嫌な予感しかしねーのな」
「あ~…」
「で、1階に行ってみたらカスミガン泣き」
「カスミかよ!キヨシじゃねーのかよ」
「なんだよチクショウと思ってよく見たらクビがもげたトナカイが横たわってんのな…」
「あ~…」
店員曰わく、撮影する際、霞はトナカイのクビの辺りに抱き付いたらしく、子供ではありえないぐらい過度な力で締め付けたのか?トナカイのクビがもげたらしい
「まぁ、でも中の人が機転を利かせたらしく中の人はカメみてーに頭を胴体に引っ込めて顔バレは阻止して中の人などいませんよと子供のユメは守ったそーだ」
「アルデバ●ンか」
「まぁ、でもカスミからしたらトナカイを惨殺したよーなモンだし、周りの子供から見ても楽しいクリスマスイベントが一転、惨殺ショーなワケよ、カスミだけじゃないで周りの子供も泣きまくり」
「うわ~…行かなくて良かった」
「で、結局いたたまれなくて頭下げまくってソッコーでガキども連れてデパートを後にしたワケよ」
「まぁ、なんっーか…まぁ、ゴクローサン」
「で、帰りの車ん中でキヨシとアサシがカスミに元気だせよーって抽選で当たったお菓子ボリボリ食って車内に食べカス落としまくり、マジあの顔面にサニーパ●チ叩き込んでやったわ、心の中で」
「心広いなオマエ…マジワイルドウルフ」
「まぁ、カスミを元気付けようとした結果だしな、ハァ…今度こそアイツらとはデパート行かねー、マジ決めた、ゼッテー行かねー、今度オマエ連れてけよ」
「え?ムリ」