【登場人物】
長門(11)
駆逐艦が選ぶアツくて広くて頼れる雄々しき背中を持つ神話の時代からのオレ達のアニキランキング第1位
グラーフ・ツェッペリン(4)
駆逐艦が選ぶ夜の眷属にして銀の弾丸で頭をブチ抜いたぐらい死なない本物のフリークスランキング第1位
「なぁ、陸奥よ」
「なに?」
戦艦寮の一室、日課である朝のバーベルトレーニングを終え、シャワーで汗を流してひと心地ついた長門は明石の店で買った中古ゲーム、シ●タープリンセスをプレイしていた
「この長門、妹が欲しいのだがどうすればいいのだろうな?」
「…はぁ?」
「どうすればいいのだろうな?」
陸奥の目に写る長門の目は真剣そのものだ、一点の曇りすらない綺麗な瞳、見る者によってはその気高き魂の輝きはまさに聖者と言えよう
「…そうね、とりあえず私の存在を全否定するのやめてくれるかしら」
◆◆◆
「…と言うワケだ、同志提督よ」
「何がと言うワケだ、あと同志じゃない」
執務室にやって来た長門は陸奥に喰らった虎砲のダメージに時折顔を歪めつつ、己のアホな失敗話をしていた
「このビッグセブン、妹が欲しいのだ」
「オマエ妹いるじゃん」
「アレは妹ではない、修羅だ」
「修羅か…」
「なぁ提督よ、なんとかならんか?このビッグセブンに血の繋がらない多数の妹を紹介してくれ」
「五月雨、金属バット持って来い、金属バット」
なに言ってんだコイツ?イカレているのか?いや、イカレてるんだったな
「はい、コレでいいですか?」
「おう」
俺は五月雨からミ●ノVステージを受け取り、深く深呼吸してスタンスを大きく開き、思いっきり長門の腹にフルスイングした
バシンッ!!!
「んほぉ!!!」
普段ならば並みの金属バットは折り曲げる強度を誇る長門の腹筋、しかし、今日は陸奥から喰らったダメージの為か、その衝撃を長門の内臓に確実に刻み込んだ
「お、効いた」
「い…痛いじゃないか」
「バカなコト言ってんじゃないよこの性犯罪艦が」
「まぁ待て、同志提督よ、このビッグセブンとて突然血の繋がらない妹を増やすのは実際に難しいであろう事は重々承知している」
「難しいじゃない、不可能だ」
「そこでこのビッグセブンは考えた、この際、このビッグセブンの妹を広く募集してみては…と」
「募集してみては…と、じゃねーよ、陸奥に謝れ、陸奥に」
「フッ、我ながら天啓とも言えるこの閃き、このビッグセブンの妹になれるビッグチャンス、駆逐艦のエンジェルス達は黙ってはおくまい」
その自信がどこから湧いてくるかは知らんが、そのエンジェルス達はお前に対して畏敬の念が強過ぎて応募してこないだろう
バンッ!!!
「話は聞かせて貰った」
突然、執務室の重厚な扉が開き、顔色の悪い空母がズカズカと入って来た
「ゲェーッ!お、オマエはーッ!」
「その話、このグラーフ・ツェッペリンも参加させて貰おう」
ドイツから来た見た目は不健康、身体は不健全空母、グラーフ・ツェッペリン!
「貴様は…独逸から来た白いヤツ!」
「グラーフ・ツェッペリンだ、戦艦ナガト」
長門とグラーフ、遂に出逢ってしまったこの似て非なる両者の間に火花が散る!
「このグラーフ・ツェッペリン、恥ずかしながら駆逐艦のキッズ達と仲良くしたいと常日頃から考えているのだが、何故だかどうして避けられている」
「ほぉ…」
「そこでグラーフ・ツェッペリンは考えた、そうだ!妹と言う体ならばシャイガール達もこのグラーフ・ツェッペリンに歩み寄り易いのではないか…と」
ダメだコイツ、そして何故コイツも無根拠とも言える自信に溢れているのだろう…
「同志ナガトよ」
グラーフ・ツェッペリンは手袋を脱ぎ、長門へと握手を求め、長門はフッと笑いその手をアツく握り返す
「フッ、こちらこそ宜しく頼む、同志グラーフ・ツェッペリン」
「フッ、グラーフで構わない、同志ナガト」
何がフッだ、カッコつけやがって…しかし、今、ここに駆逐艦のキッズ達にモテたくてモテたくて仕方ない悪魔のコンビが誕生した、この絶望感…まるでネプチ●ーンマンとマンモ●マンが組んだ以来の絶望を感じやがる
「では同志提督、募集要項について詳しい話を詰めよう」
「そうだな、このグラーフ・ツェッペリン、近所に良いカフェを知っている、話はそこで…」
「だから同志じゃねーって言ってるだろーが、いい加減にしろよオマエら」