【登場人物】
ポーラ(5)
イタリアから来た禁断ビッグバン、飲む吐く脱ぐは当たり前
ザラ(3)
通称ザラ姉様、近い内に新たなる力を獲る予定らしい
「Ciao,il mio nome e Pola」
「…は?」
「Admiral Cattivo umore?」
ナニ言ってんだコイツ?イカレているのか?
姉であるザラと共に執務室にやって来た稀代のアルコール依存艦ポーラ…
しかし、いつものポーラとは様子が違うみたいだが …
「なんなんだ?一体」
「実はそれをご説明しようと思いまして…」
ザラはなにやら非常に申し訳なさそうな顔をしているが、この姉妹に何かあったのだろうか?まさかアレか…?
「まさか…レ●プされたのか?」
「ハァ!?ち…違いますよっ!」
「そうか、コイツの事だから普通に泥酔姦でケツからスクリュードライバーでも流し込まれたかと思ったが…」
「その……ポーラを禁酒させまして」
「…はぁ?」
「禁酒させたんです、十日間」
ザラ曰わく、正月から吐いて飲んで脱いで、吐いて飲んで脱いでを繰り返すヤンチャ妹にとうとうキレ、十日前に手足のところに皮のベルトが出てくる椅子にポーラを座らせ強制断酒をさせたそうだ…
一日目『あ゛あ゛ァァァァ!!酒ェー!酒ェー!アルコール!アルコールをくれェェェ!』
三日目『アルアルアルアル……ウヒ!ウヒョヘ!ヒョヘヘヘヘ!コロスーッ!コロスコロス!コロシテクレー!』
五日目『ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ、ポーラ変わります、生まれ変わりますゴメンナサイ』
七日目『アー…アー…妖精サン…コンニチハー』
九日目『…そら、きれい』
…そして、壮絶なる十日間を乗り越えたポーラからは尿とか涙とか体内の巣くう今までのアルコール分を流し尽くし、まさしく別人のように生まれ変わった
「やりすぎだろォ!!」
「正直、ちょっとやりすぎたと思ってます」
なるほど…道理でいつもは居るだけでアルコールランプみたいな匂いがするポーラからアルコールの匂いがしないワケだ
「Non guardare cosi peccato」
「…オイ、なんて言ってんだコイツ?」
俺がポーラに視線をやるとポーラはサッとザラの後ろに隠れた
「恥ずかしいからあまり見つめないでください、と…」
「…キモいッ!」
「キモいはないでしょう!キモいは!?」
「いや、普通にキモいわ、今までが今までだしな」
「まぁ、それはそうですけど…」
しかしアルコールの呪縛から解き放れたポーラか、まぁ、アルコールが入ってても見た目だけなら美少女と言っていい容姿だっただけに、アルコール分が無いとかなりハイレベルな美少女なんじゃないのか?乳デカいし
「っーか日本語はどうした?日本語は」
「アルコールと一緒に流れ出たみたいです」
「えげつねぇな」
「でも!これでポーラは真人間になったんです!これがZara級重巡の真の姿なんです!」
なんとも誇らしげに胸を張るザラ、まぁザラとしてもやり過ぎ感は感じたものの結果オーライな感じなのだろう
「…まぁ正直キモいがそのうち慣れるか」
「キモいとか言わないでください」
俺は五月雨が棚の中に置いてる一口チョコレートの入った瓶から中身を一つ貰い口に放り込んだ
「オマエらもいるか?高価いヤツだぞ」
「あ、いただきます」
「Grazie per il vostro」
俺は二つ取り出し、それぞれに渡すと二人はそれを口に入れる
「うん、これは美味しいですね」
「…」カッ!!
「…ほのかにブランデーが入っているような感じが……ッ!」
このチョコレートには微量なアルコールが入っている事に気付いたザラはすぐに動きを止めたポーラに視線を遣った
「KUAAAAAAAA!」ニマァ
「ポーラァァァ!!」
「アルコール!摂取らずにはいられないッ!」
怪物が、甦った
ポーラはまるで猫の猛獣のような躍動感溢れるポーズで跳び、棚に置いてあった貰い物の日本酒を奪取して流れるように上の口から飲み干す!
「URYYYYYY…足りませんよぉ、まだまだ全然足りませんねぇ」
「ポーラァ!!」
「ザラ姉の貧弱な波紋などポーラには効きませんよぉ~、しかし今はポーラも万全ではありませぇん~」
ザラの鉄拳を右手で捌き、ポーラは高圧で日本酒を口から発射する!
「グッ!?」
名付けて空裂酒刺驚(スペースリバー・スティンギーゲロズ)!
「それではザラ姉様、オサラバでぇ~す」スタコラサッサ
「ポーラァ!!クッ!なんてコト!またあの怪物を解き放ってしまった!!早くなんとかしなければ!提督!早くなんとかしなければ!」
こうして、ザラとポーラ、二人の奇妙な戦いは今年も何事もなく始まる
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