【登場人物】
鹿島先生(11)
天下無敵の練習巡洋艦
龍鳳
柔らかなる乳と剛なる右太腿と剛なる左太腿を持つ軽空母
痴女風
私が遅い?私がSlowly?冗談じゃないよ!
「鹿島ァァァァァ!!」
「龍鳳ォォォォォ!!」
鹿島と龍鳳、決して相容れない二つの矜持、繋ぐ事のできない“無法”と絶対にして確固たる“正義”が激しくぶつかり火花を散らす
「すげェ戦いだ…すげェ戦いだッ!」
「すげー!練習巡洋艦と軽空母ってあんなコトできるんだー!」
両者の戦いに瞳をキラキラと輝かせて見つめる駆逐艦のキッズ達
「あそこで戦ってるのねー、一人は私の元同僚で、一人は私の妹分、ヘヘッ…まぁよく頑張っちゃいるけど私よりは下ね」
パラソルを地面に刺し、オシャレなティーセットを並べて優雅にティータイム中なのであろう、一人の痴女みたいな格好の駆逐艦がキッズ達に声をかける
「は?痴女風ちゃんそんな強いの?」
「ありえねーし」
「嘘じゃないよ!私はね、世界を縮める艦だし…」
「だったらまずキチンとした格好しろよなー」
「オイ!そんな痴女ほっとけよ!マジすげー」
キッズ達はキャッキャとハシャぎながら二人の戦いを再び追いかけ、痴女風と呼ばれた痴女のウサギの耳のようにそびえ立つリボンが折れ曲がった…
「鹿島ァ…お前は限界を超えちまったんだなぁ…だったら進め!徹底的になァ!龍鳳…少しくらい時間が出来たら戻ってやれよ…瑞穂サンの……ところに」
…死ーン
◆◆◆
話は二時間程前に遡る…
「演習ですか?」
「演習ですよ」
座学の授業を終え、提出する書類を提督に渡しに来た私に提督からの指示が下った
「鹿島先生、今日は香取先生が休暇をとっておられるのはご存知かと思います」
「え、えぇ…」
確かに、今日は香取姉さんは休暇をとっており、昨日の夜から夜行バスで湯●院に温泉旅行へと向かっている、まったく、羨ましい限りだ
「たしか演習の予定は入ってなかったハズでは?」
「それが少々手違いがありましてね、先方への連絡ミスと言いますか…まぁ、あちらさんはウチを殺す気満々なんですよ」
演習で殺す気とはこれ如何に?と言いたいところだが、逆に、ウチが毎回殺す気で演習に臨んでいるので何とも言えない…
「そこで鹿島先生、急な事で申し訳ないのですが、今日は鹿島先生の指揮でお願い出来ればと…」
「は…はぁ?別に構いませんが」
「素晴らしい!さすがは鹿島先生だ!いやぁ!ありがとう!本当にありがとう!」
提督は私の手を握りアツい握手をする…あとで手を洗おう
「あの…それで、演習に出す子は?」
「あぁ、それはこちらに書いてますので今すぐ呼び出してください」
「はぁ…」
提督から受け取った書類には睦月型の子が数名と痴女みたいな子と軽空母……
「龍鳳…」ギリッ
「は?」
「あ、いえ、なんでもありません!すぐに準備に取りかかります、はい!」
私は提督に一礼してそそくさと執務室を後にした
まずは駆逐艦の子達に準備させて……
あの忌々しいおっぱい軽空母にも声をかけないと…
◆◆◆
いつもと違い、演習場を包む歓喜と狂喜…
既に大破判定を受けたであろう敵部隊が海面プカプカと漂うバトルフィールドで争う二つの艦
「………フーッ~、なんでウチの艦とウチの艦が争っとんのかね?」
書類仕事を終え、煙草を吸いがてら演習でも見に行こうと考えた俺は自販機で缶コーヒーを買い、演習場へとやってくると、銀河ギリギリぶっちぎりの爆乳ハイパーバトルが展開されていた
とりあえず、俺はその辺に居た夕張にこれは何事か尋ねることにした
「あ、提督、お疲れ様です」
「なんで身内で争ってるんだ?」
「さぁ?なんかよくわかんないんですけど、最初は普通に相手方を殴ったり蹴ったりしてたんですけど、演習終わったかな~って時に急に二人で殴り合いを始めました」
「…ナニ言ってるんだ?イカレているのか?」
「イカレてないです」
夕張曰く、鹿島先生と龍鳳は出逢ったその日からDNAレベルで仲が悪いらしく、スケベ女教師とスケベ新妻、属性の違いから反目し合っているのでは?との事だ
「ゲイは軽空母になってスケベ若奥様辞めたろ」
「まぁ、どっちも精●絞りとる形してますし、アレですよ?同族嫌悪みたいな感じじゃないですか?●ーメンモンスターVS●ーメンモンスターみたいな」
「●ーメンとかゆーな」
そうか…仲悪かったんだな、アイツら
既に戦いは最終局面らしく、スケベ女教師、鹿島先生とスケベ新妻、龍鳳はもはや艤装も砕け、拳と拳でお互いにフラフラになりながらの原初のファイト!
『あ……ァァ!アアアアアアアア!ウルアアアア!』
『ぅ……カアアアアアアア!!!』
『ヴォ…ルァァァァァ!!』
『グッアウォォォォォ!!』
荒々しく、激しく、雄々しい死闘の末、二人は互いに拳を向けたまま海面に前のめりに倒れた