不健全鎮守府   作:犬魚

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提督と五月雨が通常運転回

【登場人物】

提督(85)
コーヒーはブラック無糖

五月雨(35)
コーヒー以外は割と普通、ミロも普通

夕張(16)
和式肉●器


提督と五月雨と君の名がッ!

最高の機材と最上の技術、そして最も重要な物、それは美味しいコーヒーを淹れたいと想い続ける情熱…

 

「マズっ……」

 

何故これだけ揃ってるのにこの味を淹れる事が出来るのか、毎日飲んでいたら確実にノイローゼになるであろうこの味を何故にそんなに誇らしげに勧める事が出来るのか、着任以来のそこそこ長い付き合いだが俺には未だに理解出来ない

 

「…甘いモンでも食いに行くか、口直しに」

 

「甘い物ですか…いいですね、あと、口直しは余計な一言です」

 

五月雨は机に置かれたコーヒーを下げて給湯室へと持って行く、一応、俺が上司である自覚はあるらしく俺が不味いと言う分にはタフなスピリットで耐えている

 

「また間宮さんですか?」

 

「アイツんとこ高いんだよなぁ~」

 

「まぁ、高いだけあって美味しいですけど」

 

「でも高いんだよなぁ~」

 

スイーツショップもといスウィーツショップ間宮、ここに配属される前はグルメ刑務所に懲役2億年で入所していたが自主退所したグルメ給糧艦間宮、乳はデカいが心は狭い

 

「あ、それならコレに行きませんか?」

 

「あ?」

 

五月雨は自分の机から実にカラフルなA4用紙大のチラシを取り出して俺の机に置いた

 

「え~…白●沢学園オンリーイベントUSHIWAKA祭り?」

 

「あ、間違えました、それ鹿島先生に渡すやつでした、こっちです」

 

「え~…女子限定スウィーツバイキング・THE・ウィンターカップ」

 

何がTHEだ、カッコつけやがって…

 

「今度姉妹で行こうって話になってるんで、どうせなら一足先に偵察してみたいかなと…」

 

「オマエら地味にキョーダイ仲良いよな、っーかコレ、女子限定とか書いてるじゃん、俺無理じゃん」

 

「大丈夫ですよ、ほら、前に夕張さんが作った未完成ハマカZでトランスフォームしたじゃないですか」

 

「2度と飲むかァ!あんなモン!」

 

正直、あの時は元に戻れて心底ほっとしたものだ、だってないんだぜ?アレが、生まれた時から俺と共に居た相棒が

 

「正直、結構美人でしたよ?」

 

「やかましい」

 

何が美人だ、エロ本じゃあるまいし…自分が美女になっても嬉しくねぇっての

 

「フッ…話は聞かせて頂きましたーッ!」

 

執務室の重厚な扉を勢い良く開き、発育不良の出荷落ちメロンみたいなヤツがゴロゴロと転がりながら執務室に入ってきた

 

「女子限定スイーツバイキングに行きたい!でも女子じゃないからイケないッ!そうですね!?」

 

ビタン!(ビンタ)

 

「メタファ!!」

 

「うるせぇよ、なんなんだテメーは?」

 

親父にはぶたれた事ないらしい頬を触り、気色の悪い笑みを浮かべる開発系ドM軽巡、夕張

 

「そんな提督の為に本日ご用意致しましたアイテム、名付けてまして“君の名がッ!”です」

 

そう言って夕張が取り出したのはチャチな玩具のようなリング

 

「このリングを装着した者同士の精神を入れ替えるアイテムです」

 

「あ~…あるある、そんなアイテム、エロ本とかエロゲで見たわ」

 

「使い方は至って簡単、このAリングを提督が嵌め、Bリングを任意の人物に嵌めると入れ替わります」

 

「ふ~ん」

 

「さぁ提督!こちらのAリングを嵌めてください!」

 

グイグイくるなコイツ…

 

「…ちょっと待て、まずそのBリングを俺に渡してから渡せ」

 

「え゛!?…いや、それはちょっと…ねぇ?ほら?」

 

コイツ……俺がAリング嵌めたらすかさずBリングを自分に嵌めて俺に成り代わるつもりかッ!

 

「早くしろ、3秒待ってやる」

 

「クッ!……五月雨ちゃん!そいつ抑えてッ!!早くッ!」

 

「本性見せるの早過ぎだろーがッ!」

 

‐‐‐

 

「…で?俺に成り代わってこの基地を支配するつもりだったか?あ?」

 

叛逆者夕張にAリングを嵌め、トラロープでぐるぐる巻きに縛りあげて床に転がしたまま反乱の動機について尋ねる

 

「クッ!殺せ!」

 

「何がクッコロだ」

 

俺は今朝水揚げされたビチビチと跳ねる新鮮なイ級の足にBリングを近づける

 

「ヒィ!?イ級はイヤ!イ級はヤダァァァァァァァ!!」

 

「クックック、どうだ?イ級になって新しい艦生も悪くないじゃないのか?」

 

「言います!動機言いますからイ級だけは勘弁してくださいィィィ!」

 

俺はビチビチと跳ねる新鮮なイ級を五月雨に手渡し、五月雨は窓を開けて思いっきり海の方へぶん投げた、運が良ければ海に帰れるだろう

 

「て…提督に成り代わってこの基地を支配したかっただけなんですぅ…出来心なんですぅ!」

 

「ゲスか!?」

 

「普通にゲスな理由でしたね」

 

コイツ、ただのドMの変態かと思いきやなんて野望を秘めてやがる

 

「五月雨」

 

「なんですか?」

 

「間宮行くぞ、間宮」

 

「はぁ、別に構いませんが…」

 

「ちょ!待って!待ってください!放置するんですか!?私を放置して行くつもりですか!?」

 

「心配すんな、土産にアツアツの肉まん買ってきてやるよ、そんで上の口からねじ込んでやる」

 

「ヒッ!?」

 

だからなんでちょっと嬉しそうなんだコイツは

 

「私は今日はカスタードの気分ですね」

 

「俺はヌルっとしてないチョコレートだな、俺のチョコレートと交換しよーぜ」

 

「考えておきます」


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