不健全鎮守府   作:犬魚

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全3回の3回目

【登場人物】

提督(89)
銃は苦手
こいよ!銃なんか捨ててかかってこい!楽に殺しちゃつまらんだろう?ナイフ突き立て俺が苦しみもがいて死ぬ様を見るのが望みだったんだろう?


提督暗殺編 後編

「色々考えてみたんですけど………やっぱり死んで頂けませんかね?」

 

再び来訪した第五特務、天海中佐に食事でも如何ですかと誘われ街に繰り出した俺達、自他共に認めるハンサムメガネ男子である俺と、爽やかでイケボ、ルックスもイケメンの天海中佐が並んで歩いている姿を見て古鷹さんがなんか写メ撮ってたが、帰ったらキチンと誤解を解く必要があるだろう…

 

天海中佐予約済のオサレなレストランでディナーを済まし、基地への帰路と向かう筈の車は明らかに基地とは違う方向へ向かい、実に見晴らしの良い場所で停車したので俺達は車を降りた

 

「煙草いいか?」

 

「どうぞ」

 

胸ポケットから煙草を取り出して火を点ける

 

「フーッ~……で?なに?随分とロマンチックシチュエーションだが、告白とかやめてくれよ?」

 

「まぁ、ある意味告白ですが」

 

天海中佐は拳銃を取り出して銃口をこっちに向ける、その手馴れた姿はまるで映画俳優の様に実にサマになっている

 

「私も手ぶらでとなると色々とカドが立つもので…」

 

「偉い人にはお土産にひ●こ饅頭持って帰ったらどうだ?なんなら明日の朝イチで買ってく…」

 

パァン!!

 

銃声、そして、鉛玉が俺の頬を掠めた

 

「…だよなぁ」

 

「まぁ、お互い上の面子と言うものがありますからね」

 

「たしかに」

 

パァン!!

 

二発目の銃声が鳴る直前、俺は指に挟んでいた煙草を天海の顔に弾き、今度は当てる気だった銃弾は狙いを外した

 

「…チッ!」

 

「悪いが明日は大事な用事があるんだ」

 

俺は天海から停車してある車を挟んで距離をとる

明日はクソガキどもの工作教室を見た後にイ●ンモールでお買い物して、夜は香取先生と一杯、大人の店で飲む約束がある

 

いまいち使い馴れない拳銃を抜き、天海に銃口を向ける

 

「得意ではないと聞いてますが?」

 

「勿論、得意じゃない」

 

耳は痛いし、動く奴には当たらないし、どうにも達成感が薄いからあまり好きじゃない、しかし、当たる気はしなくても牽制するにはもってこいのアイテムだ

 

「そこで天海、どうだ?銃なんか捨ててかかって来いよ」

 

「イヤです」

 

「よし!わかった、俺も捨てるからかかって来いよ!な?」

 

「イヤです」

 

チッ、男なら拳一つで勝負せんかいって流れにはならねぇか、さすがは第五特務、シリアスパートで生きる奴ァ違うな

 

「私が銃を手放したら撃ってくるのが目に見えますから」

 

「バカ言うな、俺がそんな卑怯で卑劣な男に見えるのか?」

 

「見えます」

 

パァン!!

 

三発目の銃声、銃弾は再び俺の頬を掠めて飛んで行く…

コイツ、この暗さでなんて腕してやがるんだ?ほぼ正確にアタマを狙ってやがる、マズいな…こっちは銃なんか使い馴れてないからたとえ明るくても相当距離詰めないと当たる気がしないんだが…

 

「ったく…そんなに職務に忠実だと疲れねぇか?」

 

「疲れますねぇ、たまには休暇でもとって温泉にでも行きたいものです」

 

「温泉か…いいな」

 

「この仕事が終わったら休暇の申請を出そうと思います」

 

「いいんじゃねぇの?休暇、初めて申請した有給は家族揃って温泉、行ったその日に事故って泣いた、ロックじゃねーか」

 

パァン!!

 

四発目が鳴ると同時に俺は車の影から飛び出して天海との距離を詰める、その間に五発目が左の肩を貫いたのは少々余計だったが…

 

「痛ッ……ってぇなコノヤロー」

 

距離にして約1~2メートルぐらいか?たとえ夜でもこの距離なら撃てばどっかに当たるだろう…

まぁ、逆に、あっちも同じ条件なんだが…

 

「とりあえず、お互いに銃を下ろして話し合いといかないか?」

 

「こちらからは特にお話する事はないのですが」

 

「俺の昇進についてだよ、考えとくって言ったろ?」

 

「あぁ、ご心配無く、二階級特進ですよ」

 

「あっ…そ」

 

いかん、肩めっちゃ痛くなってきた、これはマズい…

 

「天海よ、1、2、3で銃を下ろそう、1、2、3で!な?」

 

「ふむ…まぁいいでしょう」

 

こちらの意図を察してくれたか…さすがはイケメン、心までイケメンだ

 

「3」

 

「2」

 

『『1ッ!!』』

 

パァン!!!

 

2つの銃声が重なる、天海の弾は俺の左肩を更に貫き、俺の弾はどうやら当たらなかったらしい

 

「アダッ!!いだだだだだ、こ…殺す気テメーはッ!?っーか撃つかフツー!?」

 

「1、2、3の撃ち合おうって言ったのはそっちじゃないですか」

 

「銃を下ろすって言ったろーが!!」

 

「ハハ…もし、そちらが本当に銃をおろしていたら今頃は罪悪感に苛まれてたかもしれませんね」

 

まぁ、天海の言う事はごもっともだ、なにせこっちも撃ってるから言い訳もクソもない

 

ヴヴヴヴヴヴ…ヴヴヴヴヴヴ…

 

「…む」

 

「なんですか?」

 

「ちょっと電話出ていいか?」

 

「どうぞ」

 

銃口がキッチリとこっちを向いている以上、下手な事言った瞬間パンだろう、俺はポケットでブルブル震える携帯を取り、受話ボタンを押した

 

「はいはい、オレオレ、痛ッ!いだだ……あー、はいはい、あー…今取り込み中なんですけど?はい?別に構いませんが……天海中佐」

 

「はい?」

 

「電話替われって、上司が」

 

俺は携帯を天海に渡し、ようやくひと息つけると地面に背を預けた

 

「はい……えぇ、なるほど、了解しました、はい」

 

天海は通話ボタンを切り、俺の携帯を投げて寄越した

 

「どの時点から気付いて動いていたんですか?」

 

「大将殿から電話があってすぐだな」

 

この辞令はもっと大きなモンを喰いつかせる為の撒き餌、そして出来るだけ生きが良く動いてるように見える疑似餌だ

 

「俺が撒き餌でお前さんが疑似餌なワケだ」

 

おかげで大きな魚がかかったらしい、これにて餌はお互いに役目を終えたワケだが…

 

「第五特務そのものが仕掛の一つに使われた、と言うワケですか…」

 

「上に居座ってるヤツらはどいつもこいつもバケモノだらけだぞ」

 

「そうですね」

 

海軍と言う名の大所帯、上に行けば行くほどその闇は深かく、濃い物になっており、そこに棲む奴らは同じ人間なのかどうかすら疑わしい、まぁ、そのバケモノどもに大将殿も含まれているけどな

 

「ふぅ…ま、これで私も仕事が一つ減ったので良しと考えますか」

 

「ゴクローサン、ただ天海よォ…最後にもう一つ仕事があるんだよ」

 

「はい?」

 

「病院連れてってくれねぇか?緊急外来」

 

肩めっちゃ痛いし、血は止まらんし、これはマジでヤバい感じがするんだが…

 

◇◇◇

 

後日…

 

基地近郊の大学病院

 

「リンゴ食べますか?」

 

「俺リンゴはウサギ型に切って貰わないと食べれないんだが」

 

第五特務の息がかかった大学病院の一室、俺は新聞を読みながら五月雨が持ってきたフルーツ盛り合わせを食べていた

 

「ウサギはちょっと難しいですね………う~ん、あ、コレならどうですか?朱鷺」

 

「お前すげーな!」

 

案外手先が器用なんだなコイツ

 

「…しかし、今回はワリと危機一髪でしたね」

 

「まったくだ」

 

後から天海中佐に聞いた話ではこの件に関して正体不明瞭な髪の長い女が色々とヤンチャな口利きして回っていたそうだが…とりあえず、はぁそうっすか?としらばっくれた

 

「サミーよ」

 

「五月雨です、なんですか?」

 

「いや、そろそろオ●ニーしたいから出てってくんないかなと…」

 

「………はぁ」

 

「なんだその溜め息は!?」

 

「いえ、なんでもありません、なんでしたら鈴谷さんでも呼びましょうか?」

 

「そんなオマエ……デリ●ル感覚で呼ぶなよ」

 

「と言うか、早く退院してくださいよ、来週から次の作戦始まりますから」

 




次回は200回目
提督と五月雨が通常運転でレ●プと言う単語が乱発

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