季節感は積極的に取り入れて雑に吐き出します、はい
【登場人物】
磯風(4)
年始以来の登場、フーフーする事に凝っている難しい年頃
熊野(15)
庶民派エセガント航巡
ボリボリ食べる
鈴谷(33)
サルモ●ラ菌
「この磯風、早速だがチョコレートなる菓子を作ってみた、是非食べてくれ」
明石の店で缶コーヒーとあんまんを買い、喫煙所で煙草を吸っているとニコニコと笑いながら黒髪の死神が44マグナムをハンマーコックしながら歩いて来た
「もし食べ難いと言うなら、この磯風、フーフーしてやる事もやぶさかではないぞ」
「そのチョコレートはフーフーしながらでないと食せない温度なのか…」
生まれついてのグルメ犯罪艦磯風、その前科はグルメ刑務所の脱獄を含め千を超える生粋のグルメ犯罪者、グルメに関しては己の“美学”のようなものを持っているらしく、その基本理念は“見た目は普通”にあるとの事だ
「今回はジューシィでありながら後味を残さない濃厚な甘さを追求してみたぞ!」
「ラットで試したか?」
「モチロンだ!あまりの美味さに、文字通り、ほっぺたが落ちてしまったよ」
「そうか…」
ほっぺたが落ちるのか、コレは…
「さぁ!おあがりよ!」ドヤァ!
ほっぺたが落ちてしまう危険物を何故これだけ誇らしげに人に勧める事が出来るのだろうか…
「悪いが俺は腹一杯でな、海にでも捨て……いや、海は良くないな、なら山にでも埋めて来てくれないか?」
「フッ、提督よ、そこは後で食べるよと言ってポッケに仕舞うところではないのか?」
「俺がイケメンで、お前のそれが毒劇物でないならそうしたかもな」
「だがこの磯風!出来ればこの場で包みを開封し、目の前で食してくれる事を期待している!」
「あー…ムリムリ、それはムリ」
「なんと!?」
それは心までイケメンじゃないとムリだわ、悪いが俺はそんなお人好しではない
「クッ!」
「クッ!じゃねーよ、まず人体にどれほどの影響を与えるのか、谷風クンに食わせろよ」
「フッ、谷風は浦風と朝からデパートに出かけていてな、朝起きたらチンして食べなさいと書かれた紙と500円が置いてあったよ」
「容赦ねぇな」
あの最高に粋でイナセな谷風クンにここまでさせるとは…
「かく言う私も、昼から高価なチョコレートを買いに浜風と行く予定だがな!」
「………ちょっと待て、その話を詳しく聞かせてくれ」
浜風ちゃんが?チョコレートを…?高価なチョコレート、高価……安価ではなく高価、安価ならばバラまきバンバンヴァレンタインの可能性があるが、高価となれば話が違う、バラまきバンバンヴァレンタインではないッ!つまりは本命ッ!圧倒的本命!意中の相手への必殺!となれば、それはつまりアレだ………俺だな、俺に違いないッ!圧倒的確信ッ!
浜風ちゃんがチョコレートを渡す→俺、受け取る→好き!抱いて!→HAPPY END…
完璧だ、完璧な流れじゃあないか…なぁオイ!
「なぁオイ!!」
「何がだ?」
「ありがとう磯風クン、生きる希望が湧いて来たよ…」
「うむ…よくわからんが、この磯風、何かの役に立ったのなら何よりだ」
「さぁ行きたまえ磯風クン!デパートへ!そうだ………コレ、とっておきたまえ!デパート行ってみんなで美味しいもの食べなさい!」
俺は財布から数枚の紙幣を取り出して磯風の手に握らせてやった
「う…うむ、何かよくわからんが、受け取っておこう」
‐‐‐
「あ、提督じゃん」
「相変わらずモクモクしてますわね」
新たな煙草に火を点け、これから起こるであろう美しい展開に胸躍らせていると、今回も特に仕事の無いクサレ航巡姉妹、鈴谷と熊野が何か食いながら歩いていた
「よぉ、クズども」
「誰がクズよ」
「クズはアナタですわ」
「フッ、普段ならその不遜な発言、鈴谷にケツバットしてやるところだが今日の俺は機嫌がいい、見逃しやるから消えろ」
「意味わかんねーし、っーかなんで鈴谷だけ!?熊野には!?」
「私のケツバットは鈴谷のケツバット、鈴谷のケツバットは鈴谷のケツバットですわ」
「もっと意味わかんねーし!」
「そうそう…提督、手をお出しなさい」
「手?」
熊野は手に持っていた袋からウサギの糞みたいな粒を俺の手にバラ撒いた
「なんだコレ?」
「麦チョコですわ、美味しいですわよ」
「ふむ…麦チョコか」
「今日はヴァレンタインですし、提督にもお裾分けしてあげますわ」
正直、1ミリも嬉しくないのだが…
「あ、鈴谷もあげよっか?鈴谷食べかけの板チョコだよ?」
「いや、いい」
「なんでェ!?」
「えー…だって、お前の食いかけとかサル●ネラ菌が付いてそうじゃん」
「ハァ!?付いてねーし!?鈴谷をなんだと思っての!?」
「ビッチ」
「ビッチですわ」
「ビッチじゃねーって言ってんだろ!っーか熊野ォ!!」
ちなみに、日付が変わる夜まで執務室でワクワクしながら待っていたが、泥酔状態のアルコール依存艦しか来なかった…
後日、浦風から浜風ちゃんから貰ったチョコレートすげー美味かったと聞いて腹にパンチした後にとりあえず胸を揉んでいたら谷風クンに膝蹴りを喰らい、ほろ苦い思い出となった
次回は小笠原諸島哨戒線強化!