不健全鎮守府   作:犬魚

210 / 940
演習行くと5人に2人は高戦4とちよちよの気がする今日この頃…

【登場人物】

提督(95)
権力と権威にめっぽう弱い大人

夕張(17)
たまには普通に仕事もする

あの御方
さる、高貴な御方…


提督と夕張と高速化

最初は胡散臭い物だと思われていた低速艦高速化計画、第二海域にて被験体ナンバーY10M(航空戦艦)と被験体ナンバーZ02(航空戦艦)をサンプルとして実証実験を敢行、そして、この実験は見事に成功し、身体には特に後遺症・副作用もないらしい事がわかった…

 

「ちなみにタービンに関しては艤装に専用の特殊なアタッチメントを搭載する事が可能です」

 

「うむ、よくやった」

 

たまにはマトモな仕事をする兵装実験軽巡、夕張

夕張は持っていた書類をファイルに纏めて机に上に置いた

 

「撫でてやろう、きなさい」

 

「え…?」

 

夕張の中に戦慄が走るッ!聞き違い?間違いない!言ったんだ!私を撫でてやるとッ!何よりあの手のカタチッ!動かぬ証拠…ッ!撫でるしかないカタチッ!

 

「な…ナニ言ってるんですか?」

 

「嫌なら別にいいが」

 

「あ…いや、別に嫌ってワケでは」

 

「サミー、彼女にアツいティーを淹れてやりたまえ」

 

「あ、冷たいのあります?出来れば炭酸系で」

 

五月雨は面倒くさそうに立ち上がり、冷蔵庫からパチモンコーラみたいな変な缶を取り出し、中身をグラスに移し替えて夕張に手渡した

 

「はい、どうぞ」

 

「ありがとー………って甘ァ!!ナニコレッ!?」

 

「たしか…なんちゃらペッパーとか名前の飲み物です、前にちょっと旅行に出てた際に立ち寄った場所で勧められて買ったんですよ」

 

ちなみに、五月雨的にはなんか不味そうだったのでそのうち誰かに飲んで貰おうと冷蔵庫に保管していたそうだ、缶だけに

 

「五月雨、茶淹れてくれ、茶、アツいの」

 

「熱いヤツですね」

 

「さ…五月雨ちゃん、私もアツいお茶頂戴、出来れば濃い目」

 

「はいはい」

 

‐‐‐

 

「しかし、これで低速艦の高速化が安心かつ安全に御使用頂けると証明されたワケだが…」

 

「そうですね」

 

「はい!提督!はい!」

 

元気良く挙手する夕張は先程の書類とはまた別に、なんとも可愛いらしいアニマル表紙のファイルを取り出した

 

「なんだ?」

 

「実はこの高速化試験ですが、更なる先がありまして…」

 

「まぁ、一応聞いてやる」

 

「タービンや強化本缶の代わりに、このGNド●イヴ(コーン型)を搭載する事により安心かつ安全にトラ●ザムを…」

 

「ほぉ…GNドラ●ヴか、ちょっと貸してみろ、まずオマエのケツに挿してト●ンザムバーストしてみるから」

 

「と…トラ●ザムバーストはちょっと…」

 

何がGNド●イヴだ、コイツ、いつの間にかロクでもねぇモン作りやがって…

 

「まぁいい、それよか高速化についてだ」

 

「はぁ?」

 

「第三海域、まぁ最終海域の後半戦では高速戦艦による水上部隊が使えるらしい」

 

「高速戦艦……あぁ、コレは完全にモメる流れですね」

 

そう、高速戦艦だ、うちには暴力の化身と言われている高速戦艦姉妹、金剛姉妹、イタリアから来たズイウン積めるキレエロパスタ姉妹、ステーツから来たダイナマイトパッキンガール、アイオワ

そしてドイツから来た美の化身、ビスマルクさん

 

さっき五月雨がモメると言ったが、高速戦艦はだいたいプライドが高いのが多く、特に金剛姉妹は旗艦金剛でない場合は舌打ちして金剛以外の旗艦に従う気が全くない、旗艦アイオワで金剛以外の金剛型を編成すると露骨にやる気を無くし、金剛とアイオワを組ませるとメンチ切り合って先に進まずチームワークどころの話ではない

 

「まぁ、普通に考えたらモメる流れでついでに血も流れる流れだ」

 

「あ、そう言えば今回の作戦期間、ビスマルクさんお腹痛いから休むって言ってましたよ」

 

「そーゆーコトは早く言え」

 

「ついでに、ビスマルクさんに付きっきりのマンツーマン看護するのでオイゲンさんも休むそうです」

 

必要があれば速攻で部屋から引きずり出してくれるわ、あのクソプリン野郎が…そして、後でビスマルクさんの部屋に間宮の店で買った最上級のプリンを持って馳せ参じよう

 

「では、今回は金剛さんかアイオワさんが旗艦の流れで…」

 

「バカめ、話は“高速化”についてだと言っただろうが」

 

「はぁ?」

 

賢い五月雨は話がイマイチよくわかってないらしく曖昧な返事を返してきたが、夕張のアホはわかったらしく元気良く挙手した

 

「あ、わかりました!低速艦を高速化する感じで……!」

 

ビタンッ!(ビンタ)

 

「だるびっしゅ!!………な、なんで叩いたんですか?」

 

「なんとなくだ、悪かった」

 

「い…いえ」

 

相変わらずちょっと嬉しそうにキショい笑みを浮かべ、夕張は頬をさすった

 

「低速艦の高速化………あ、まさか…ッ!?」

 

「気付いたかサミー」

 

「ま…まさか“あの御方”を!?“あの御方”に連合艦隊総旗艦として御出陣を頼まれると…?」

 

さすがは五月雨だ、どうやら俺の意図に気付いてくれたらしい

 

「そう………“あの御方”だ」

 

「最大最強の大和さんでもなく、栄光のビッグセブンでもなく……“あの御方”を?」

 

「五月雨、三●に行くぞ!“あの御方”への謁見に手土産無しなどは有り得ないからな!」

 

俺は壁に掛けてあった上着を羽織り、外出の準備を整える

 

「あ、私も行っていいですか?新しいカーディガン買いたかったんですよ」

 

 

こうして俺と五月雨、そして夕張の三人は●越へと向かう事にした




次回は最終海域、発動!光作戦………たぶん!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。