不健全鎮守府   作:犬魚

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駆逐艦は保護されているッッッ!!

【登場人物】

提督(97)
この基地で一番偉い人、それなりに話がわかる大人で大人の特権を使いたがる

足柄(5)
キッズ達から絶大な人気を誇るワイルドウルフ、長女からの評価は渋い


提督と足柄とアツかりし保護者

特にこれと言って急ぎの仕事もない今日、俺は香取先生に少しお時間宜しいでしょうかと誘われ、コレはきっと“特別な個人授業”のお誘いなのでは?と期待に胸と股間を膨らませ香取先生の待つ教務室に行くと、何故か俺と同じく香取先生から呼び出しを喰らったらしい足柄が来ていた…

 

「え~…それでは、保護者説明会を始めます、まずはお手元の資料が揃っているか確認を~…」

 

「は?」

 

「ちょ!待てよ!」

 

「なにか?」

 

いつも優雅なエレガント、香取先生は資料を捲る手を止めて俺達を見る

 

「先生、ちょっと僕の聞き違いとかそんな感じと思うんですが……今、保護者会、と?」

 

「はい」ニコッ

 

「いやいやいや!意味わかんないだけど!?提督はいいとして、なんで私まで!?」

 

「ア゛ァ?なんで俺はいいんだコラァ?この子持ち処女がァ!」

 

「ハァー?言いやがった!このオッサン言いやがったよッ!誰が子持ち処女だコラァ!タイマンだよ、オモテ出ろ!」

 

「はいはい、お二人ともお静かに」

 

パァァァン!!!

 

凄まじい衝撃音と衝撃波が一触即発で向かい合う俺と足柄の間に炸裂し、床があり得ないぐらい削られた…香取先生の鞭とはこれほどの、これほどのレベルかッ!!

 

「へ…ヘヘ、冗談、冗談ですよ先生ェ…」

 

「オレらマジフレンドだからよォ~、ちょっとコーフンしてじゃれついてただけですよ先生ェ~」

 

その、圧倒的な戦力を前に、俺と足柄の間に言葉は無く、心で利害は一致した

 

「…では、改めてお手元の資料ですが」

 

「ちょっと待って!一つ!一つだけ質問いいかしら?」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「提督はほら、まぁここの責任者的なアレだし、この会に呼ばれるのは当然だと思うけど…なんで私まで?私関係なくない?」

 

足柄の至極最もな質問、たしかに、俺は一応この基地の一番偉い人なので仕方ないと納得できるが、足柄は違う、あくまで一重巡洋艦だ

 

「あぁそんな事ですか……大淀さんからキヨシとアサシとカスミの保護者は足柄さんと伺ったもので」

 

「大淀ェ!!!」

 

足柄はパワーMAXのゲイザーを机に叩き込んだ

 

「……あの野郎、ゼッテー許さねぇ、ゼッテー殺す」

 

「もう質問は宜しいですか?では資料の2ページ目を…」

 

‐‐‐

 

「先生!キヨシはちょっと算数はアレですけどやる気はあるんです!」

 

「先生!うーちゃんはやればできる子なんです!ちょっとぷくぷく言ってますけど友達も多いし!」

 

「は?キヨシの方が友達多いし?なにより可愛いし」

 

「は?オマエなにうーちゃんディスってんの?キヨシなんてただのバカガキじゃん」

 

「は?」

 

「は?」

 

保護者会は思ったよりヒートアップしていた、開始当初、香取先生のありがたいお話を黙々と聞いていた俺と足柄だったが、個別生徒の授業態度や成績の話辺りから俺達はいつの間にかヒートを上げ、互いに目をかけている子は実は良い子なんです!と先生にアピールしていた

 

「アサシなんてぶっきらぼうに見えて自分のチョコフ●ークをキヨシとカスミに分けてくれる優しい子なんですぅー!自分より他人に気を遣える優しい子なんですぅー!よく見ると超可愛いし!」

 

「弥生タンなんて趣味はちょっとアレだけど掃除の時は自ら率先してチリトリ係やってくれる良い子なんですぅー!しかもよく見ると超キュート!」

 

「あ?」

 

「あ゛ぁ?」

 

バチバチバチバチ!(メンチビーム)

 

「はいはい、お二人のお話はよくわかりました、とりあえずメンチ切るのはやめて下さいね」ニコッ

 

「あ、はい」

 

「サーセン」

 

香取先生のエレガントな執り成しがなければ既にこの場でK●Fが開幕していただろう、それ程に、俺達のヒートゲージはアツく燃え上がっていた

 

「とりあえず保護者の方のお話は今後の授業の参考にさせて頂きますね」

 

「先生!ウチの子をお願いします!ちょっとバカっぽいけど良い子達なんで!」

 

足柄は香取先生の手をアツく握った

 

「では今日はこれくらいで……ご協力、ありがとうございました」

 

「はい!ありがとーございますセンセー!」

 

「こちらこそありがとう御座いましたー!」

 

俺達は香取先生に深々と一礼し、教務室を退出した…

 

「…」

 

「…」

 

「提督」

 

「なんだ?」

 

「私、少しアナタを誤解していたわ…アナタなかなか見所のあるアツいガッツがあるじゃない」

 

「フッ、俺もオマエを侮っていたよ、キッズ達の将来に…あんなにアツく考えてるとはな、足柄、大した奴だ」

 

俺達はアツく握手を交わし互いを認め合った

 

「よし!今日はママんトコ行くかァ!」

 

「いいわねッ!付き合うわ!………あ、その前に」

 

「なんだよ?」

 

足柄はスマホみたいなものをポケットから取り出しポチポチと操作し耳に当てる

 

「………あ、オイ!大淀コラ、ちょっとオマエなに?マジで?マジで?マジで殺すぞオマエ、は?……は?いやマジ殺すから、え?今から提督とママんトコ飲み行く、あ゛?おぅ?おー…いやいやいや、ムリ、っーか来い、来なかったらマジぶっ挿入すから、オマエのクサ●ン破壊すっから」

 

「俺の前でクサ●ンとか生々しいコトゆーな」

 

「大淀来るって」

 

「来るってじゃねーよ、まぁいいけど」


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