3月のワイルド足淀回
【登場人物】
足柄(6)
通称、ワイルドウルフ
授業参観には気合入れるタイプ
大淀(5)
足柄と話しているだけでただれた性癖が暴露されている、ある意味の被害者
「うっお―っ!! くっあ―っ!! ざけんな―っ!」
「オイ!足柄サンがまた荒れてんべ!」
「超怖えー」
妙高型重巡の三番艦、足柄、通称ワイルドウルフ、因縁の宿敵との決着の際、思わず転落する宿敵を助けようとするワイルド漢気は駆逐艦のキッズ達から憧れの対象とされている
「どうしたァ?足柄ァ…」
荒れて椅子とテーブルに当たり散らす、そんな近寄り難い足柄に平然と近寄るインテリ眼鏡系軽巡、大淀
足柄とはヤンチャな時代を共有するヤンチャメイトらしく、一緒にヤンチャした夜は共に袖をギザギザにして帰った仲
「まぁ落ち着けよ足柄ァ…見ろ、キッズ達がビビってジェンガできねーじゃねーかよォ~」
たしかに、ここは艦種問わずに誰しも憩いを求めてやって来る部屋、談話室…
キッズ達は足柄のバーンナックルハリケーンを恐れてブルブルと震えていた
「フッ、私としたコトが、オマエらァー!コイツでマカロンでも買いなァー!」
足柄はVuitt●nの財布から数枚の紙幣を取り出し、スタイリッシュに一番近くにいた雷に投げ渡した
「ヒュー!足柄サンオトコマエー!」
「さすが足柄サン!咆哮する狼ーッ!」
キッズ達は足柄に頭を下げてキャッキャとハシャぎながらマカロン売ってそうな明石の店へと走って行った
「…で?今度はナンだ?街コンか?」
「あ゛?行ってねーし」
大淀はテキトーな椅子に腰を下ろし、机の上に置いてあったゴマ煎餅をくわえてスタイリッシュにパキった
「昼間、キヨシとアサシとカスミと動物園行ってよォ~」
「だからナンで誘わねーの!?ナンで私だけハブんの!?私ら同じ礼号組じゃね?礼号組鉄の結束なんじゃね?」
「だってオマエ寝てたじゃん」
「いや…まぁ、寝てましたけど、いや、起こせばよくね?普通起こさね?」
「っーかオマエ、バ●ヴ挿したまま寝オチすんなよ、マジ焦ったわ、キヨシとアサシがオマエ呼びに行って大淀にチ●コ生えてるーとか言ってマジ焦ったわ」
「あ~……あ~…うん、ごめん」
「いや、もう…マジで、ホントマジな、マジ焦ったから、マジどう言い訳すっか考えてとりあえず言い訳したから」
「ホント?ホントに?」
「あぁ、大淀は大人だから月1回チ●コ生えるって言ったら納得してくれたわ」
「それダメじゃん!!それ私が月1でチ●コ生えるって誤解されただけじゃん!?」
大淀はあーありえねー死にてーと言いながら頭を抱えて机に突っ伏した
「まぁいいじゃねぇか、常時チ●コ生えてるワケじゃないし、月1で」
「よくねぇよ!!」
大淀は机をバンバン叩いて己の不覚とまるでナイスでない足柄の言い訳に憤るしかなかった
「もういいわ…で?動物園行ったんか?」
「行ったよ、で、まずゴリラにウ●コ投げられてキヨシ撃沈」
「あー…あるある」
「で、キヨシ号泣、とりあえずそのままじゃマズいんで売店に行って新しいシャツ買ったワケよ」
足柄の選んだ背中に鐘を背負った侠客Tシャツが気に入ったのか、キヨシはすぐに機嫌を直し、アサシとマッハ突きごっこするぐらいにハシャぎ回ったらしい
「で、改めて動物園を見て回ってたらペンギンのショーがありますよーって場内アナウンスがあったワケよ」
「動物園にペンギンいんの?」
「いるよ、ペンギン」
「ふ~ん、ペンギンは水族館と思ったわ」
「で、キヨシとアサシがペギー見てーペギー見てーって騒ぎまくり」
「まぁ、そうなるわな」
「カスミも口ではペギーとかぶっさい鳥じゃないとか言ってるけど、さっき売店でペギーのぬいぐるみ見てメッチャ欲しそうにしてたのな」
「ツンデレか」
「で、どうせ見るのはタダだしペンギンふれあい広場にペギー見に行ったワケよ」
「いたの?ペギー」
「いたよ、めっちゃ居た、なんかフンバリペンギンとかゆーヤツ」
「フンボルトだろ」
「あ~…それそれ、それだわ、フンボルト、オマエペギー詳しいじゃん?」
「まぁ昔、よくデートで水族館とか行ってたし」
「は?ナニそれ?聞いてねーんですけど?オイ大淀ォ、コラ?え?」
「言ってねーし、っーかなんでオマエに言わなきゃなんねーだっーの」
「ま………昔の話か、今はチ●コ生えてるしな」
「生えてねーよ!!足柄ァ!オマエマジで!マジでヤるぞ?ヤっちゃうぞ?」
「キャーこわーい」
「棒読みやめろ!チッ……で?ペギーのショー見たの?」
「見たよ、なんかすげーイライラしたわ」
「イライラしたとかゆーなよ」
「で、キヨシとアサシは純粋にペギーペギー言って大興奮」
「カスミは?ツンツンデレデレのカスミちゃんは?」
「ペギーって叫びたいけどめっちゃ我慢して金魚みてーに口パクパクしてたわ」
「めっちゃかわいいなオイ!」
「ちなみにコレ、写メな、勿論ムービーも撮った」
「後でコピーな」
「で、ショーが終わってペギーを触れるふれあいタイムってのが始まったのな」
「あー…あるある、あるところにはあるわ、私も昔彼氏と水族館行ってキャー可愛いって触ってやってたわ」
「チ●コ生える前な」
「………足柄ァ、ちょっとオマエ立て、タイマン、タイマンはろーや」
「まぁ落ち着け、ハナシはまだ終わってねーよ」
「マジで、温厚な私もマジキレたわ、久々に」
大淀と足柄は時間にして20秒程メンチを切り合い、大淀は後で殺すと呟いて再び席に座った
「で、ペギーペギーってキヨシとアサシが袖引っ張りまくり」
「そりゃそうなるわな」
「カスミも仕方ないから付き合ってあげるわーとか言ってるけどもう頬緩みっぱなし」
「だよなぁ、そうなるわなぁ」
「で、ペギーのトコ行ったらペギーがなんか殺気立ってんのな」
「なんでだよ!?」
「なんか私が近寄ったらありえねーぐらい素早く逃げんの、群で」
「群で!?」
「あまりに逃げるからキヨシとアサシがめっちゃヘコんでんのな」
「カスミは?」
「今にも泣きそう」
「だよねー、泣くよねー」
「で、今日はペギーの虫の居所悪いんだろと思って3人置いて私は自販機にジュース買いに行ったワケよ」
「…あ」
「何が、あ、だ!まぁ、その…ナニ?察しの通りなんだけど」
「ジュース買って戻ってたらなんかペギーが普通にアイツらの周りにウヨウヨいんのな」
「まぁ、うん…まぁアレだな、ペギーの眠っていた野生、DNAが狼と言う捕食者の存在に気付いてたんだろーな」
「久々にヘコんだわ」
「まぁ…うん、仕方ないわ」
「まぁ、ガキどもはペギーの羽根触ったり頭叩いたりして超満足したみてーだし、最後に売店に寄って帰ったワケよ」
「ペギーのぬいぐるみ買った?」
「買ったよ、キヨシとアサシも空気読んでぶっさい鳥のぬいぐるみ欲しいって言って、カスミもお揃いで買うってなら仕方ないわねーって流れで買ったよ、ぬいぐるみ」
「仲良いなアイツら、尊いわ」
「尊いわ」
「…ハナシ終わり?」
「終わり」
大淀と足柄はお互いに狂暴な笑みを浮かべてユラリと立ち上がり、楽しい談話室から立ち去った