不健全鎮守府   作:犬魚

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狂気の研究が運命を狂わせる回

【登場人物】

夕張(19)
狂気の紙一重

提督(103)
必殺技は獄門



提督と夕張と星の天敵

「新しい装備を開発しました!ハッキリ言って自信作です」

 

執務室で優雅にグリーンティーを飲んでいると、グリーンな制服のヘソチラ軽巡がニコニコと笑いながら入って来た

 

「そうか、死んでくれ」

 

「いきなりィ!?」

 

「出来れば自殺して欲しいんだが、そうだな…五月雨、そこのロッカーにニホントウ・オオワザモノが入ってるから出してくれ」

 

「これですか?」

 

「あぁ、それそれ」

 

俺は五月雨から受け取ったニホントウを抜刀し、その切っ先を夕張に向けた

 

「待ち!ちょ!待ってくださいよ!せめて私の研究成果を見てからにしてくださいよ!」

 

「見なくてもわかる、どうせしょーもないモンだろ?」

 

「ちょ!痛い痛い痛い!ゆっくり刺さってる!ゆっくり刺さってりゅうぅぅぅぅぅ!!」

 

なんで刺されながら感じているんだコイツは…あぁ、Mなんだったな

 

「まぁいい、とりあえず見せてみろ、結果次第ではケツから尖った木に串刺しにして湿地帯に放置してやる」

 

「は…はいっ!」

 

だからなんでちょっと嬉しそうなんだコイツは…真性のMか?もう引き返せない本物のマゾなのか?

 

「では改めまして………今回の発明はこちら!ジ●ノバ細胞です!」

 

「…足がないな」

 

「足なんて飾りです」

 

夕張の取り出したいかにも胡散臭いガラスケースの中にはどう見ても胡散臭い菌がいるらしく、全てにおいて胡散臭かった

 

「とりあえず斬っていいか?」

 

「まぁお待ち下さい、話はまだ終わってないのです、こちらをご覧下さい」

 

何が終わってないのですだ、舐めてんのかコイツは…

夕張はポケットからタブレット端末を取り出して何やら映像を表示して俺に見せる

 

「…キヨシと武蔵だな」

 

「はい!清霜ちゃんには戦艦を超えた究極のパワーが手に入ると説明して魔洸ジュースを飲んで貰いジ●ノバ細胞を注入しました」

 

「だから、ピュアなアホガキを騙すなよ!」

 

「ジュースはいいけど注射はイヤがったので無理矢理しました!」

 

「無理矢理すんなァ!!」

 

俺は夕張の頭を掴んで黒檀の机に勢い良く顔面を叩き付けた

 

「いだぁ!!…ま、まぁ映像を見てくださいよぉ~…今から超生物となった清霜ちゃんが武蔵さんとファイトするんです!」

 

「ア゛ァ?」

 

この時点で夕張の処刑はもう決まっているが、とりあえず俺はタブレットの画面に映る武蔵と清霜を再び見る、っーかコレ、リアルタイム映像なのか

 

『ウォー!謝ってももう許さねーぞォー!』

 

『ハハ、そんなパンチではこの武蔵は倒せんぞ?パンチとは………こうだ!!』

 

『オゴォ!!』

 

笑顔であしらう武蔵の大人気なさすぎスーパーブローが清霜のボディを貫き、清霜は錐揉み状に回転しながら宙を舞って頭から床に激突した

 

「やりすぎだろォ!!」

 

「さすが武蔵さん!手加減とか大雑把なコトはできない雑ぶりィー!」

 

ナニやってんだアイツは…オイ、これ、清霜のヤツ死んだんじゃあ…

 

『ヘッ…ヘヘ、さすがは武蔵さんだ』

 

『ほぉ…今のパンチを受けて立ち上がるか』

 

立ったッ!!清霜はあの超絶悶絶ダイナミックボディブローをその身に受けて立ち上がった!しかしッ!

 

『キヨォォォ!!』

 

『むっ!?』

 

清霜は奇声を上げ、その身体がなにやら巨大に!禍々しく!っーか気持ち悪く変化してゆく

 

「キモっ!!」

 

「これこそ新しい進化の形!ヘレティック・キヨシ!」

 

「キモいわッ!オイ!アレ元に戻れるんだろーな!?あんな清霜、夕雲が見たら泣くぞォ!」

 

っーか、夕雲じゃないでも泣くレベルだぞアレ、問答無用で射殺されるモンスターだよ

 

『オラァ!!』

 

『オゴォ!!』

 

武蔵のスーパーブローがヘレティック・キヨシの腹を貫き、ヘレティック・キヨシは再び錐揉み状に回転しながら宙を舞って頭から床に激突した

 

「弱っ!!ヘレティック・キヨシ弱いぞ!なんだアレ!?」

 

見た目の凶悪クリーチャーに反して、ヘレティック・キヨシは武蔵の一撃で沈み、その場でピクピクとしていた

 

「アレー?おかしいですね、もうちょいヤれるかと思ったんですけど」

 

「何がおかしいだよ!清霜、クリーチャーに成り損じゃねーか!見た目に反して弱過ぎるだろ!哀れ過ぎるだろ!」

 

「む…お待ちください!今、ヘレティック・キヨシが最後の進化を遂げる時が来たみたいです!」

 

「あ゛?」

 

タブレット端末の映像、瀕死っぽくピクピクしていたヘレティック・キヨシが輝き、更にその姿を変化させた

 

『むっ…』

 

『フシュュュ、初めてですよ武蔵さん…この清霜を完全体にさせたのは…』

 

さっきまでとは打って変わったスタイリッシュ、無駄の無い洗練された?デザインとなった清霜…うん、まぁスタイリッシュと言っても普通にキモいの変わらんが

 

「遂に…遂に進化しやがった!極限生命体にッ!終わりだ……この星はもう!」ガタガタ

 

「何が極限生命体だ」

 

夕張は戦闘民族のバカ王子みたいな顔をして映像を食い入るように凝視する、たしかに、禍々しい肥大化から一転しての凝縮された小型化は変身のテンプレだと思うが…

あの夕張がここまで怯えるぐらいだ、極限生命体キヨシは相当ヤバいモンスターなのでは…

 

『オラァ!!』

 

『オゴォ!!』

 

三度炸裂した武蔵のスーパーブローが極限生命体キヨシNAの腹を貫き、錐揉み状に回転しながら宙を舞って頭から床に激突した

 

「弱っ!!」

 

「アレー?」

 

「何が極限生命体だ!フツーに雑魚じゃねぇか、フツーにワンパンチ完了じゃねーか!?」

 

「おかしいですね、私のデータではもうちょい頑張れるハズだったんですが…」

 

極限生命体キヨシNAはピクピクとしていたが、やがて動かなくなった

 

『なんだ清霜、だらしないぞ?そんなコトでは戦艦までの道はまだまだ遠いぞ?ハッハッハ』

 

っーか武蔵、お前清霜の変化をスルーし過ぎだろ、物事大雑把過ぎるだろ

 

「…夕張」

 

「はいっ!四つん這いですか?壁に手をつきましょうか?」ニコッ

 

 

後日、なんやかんやあって清霜は元のアホな清霜にも戻った

あと、夕張は重りを付けて湿地帯に放置し、デカい蛇に追いかけ回されたそうだ




おまけ

ヘレティック・キヨシ
超キモい、本体・右腕・左腕で構成されており、倒すと変身する、超キモく、超弱い

極限生命体キヨシNA
キモい、最終形態に相応しいパワーはまるでなく、やっぱり超弱い

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