この春、鈴谷がセカンドステージに進化するとの報せが…
【登場人物】
提督(104)
ビッチに厳しいバッドガイ
鈴谷(35)
なんやかんや二週間ぶり、高いヒロイン力を持つ事故物件
熊野(14)
鈴谷が戦慄する驚異の不良物件
爽やかな朝、小鳥さんオハヨウと挨拶をし、快便を済ませて今日はきっとナイスデイになるだろう思いつつ執務室に行くと、朝から鈴谷が人の机でナニかしていた…
「ナニしてんの?オマエ、角●ナか?」
「ちげーし!見てわかんない?机を拭いてるんですけどー?」
「ふ~ん」
「ふ~ん…って、それだけ?」
俺は執務机には向かわず、来客用の椅子に座って基地スポを読む事にした
「俺の頼れるライトハンド、サミダリューンは?遅刻か?」
「サミーなら今日は休みだよ」
「は?聞いてないんですけど?」
「そりゃそーよ!だって朝イチで代わって貰ったからね!」
鈴谷曰わく、朝、食堂で丁度五月雨と会い、目玉焼きあげるから今日の秘書艦代わってよと頼んだらアッサリと代わってくれ、さらには貰ってばかりでは悪いからとピーマンまで進呈してくれたそうだ
「とゆーワケで、今日は鈴谷が秘書艦です」
「チェンジで」
「チェンジとかゆーな!キャ●クラか!?」
「やかましい、ったく…勝手なコトしやがって、今日は俺の番からで一生懸命考えてきたのに」
「ナニよ?俺の番って…?」
「将棋だ」
「…は?」
「は?じゃねーよ、将棋だよバカヤロウ」
作戦海域も終わって特にやる事も無く、ここ最近、俺と五月雨は執務室でアツい将棋カツドウに興じており、昨日は業務時間内に終わらなかったので盤面をそのままにしておいたのだ
「仕事しろよ!提督業!」
「してますぅ、最低限はしてますぅ~」
「クッ!腹立つわ……でもまぁ、言われてみるとここに遊びに来た時ってだいたいサミーのヤツ、クロスワードパズルしてる気が…」
「まぁいい、対局は明日に持ち越しだな、せっかく素晴らしい手を考えて来たのに」
「あ、そうそう、そう言やサミーからナンかメモ紙みたいなの預かったっけ…」
鈴谷はポケットから電話の横のメモ用紙みたいな紙を取り出した
「ん~…たぶんコレ、将棋のコトじゃないかな?ここに兵とかなんとか書いてるし」
「なんだ?アイツそんなモン用意してたのか」
相変わらず変に痒いところに手が届くムカつく野郎だな…それならと考え、俺は昨日のそのまま盤面を取り出した
「喰らえ!神の一手を!」
「え~っと…はい」
「む………チッ」
「え〜…こっちに金?金だっけ、はい」
「むっ!?」
な…なんだ?俺が昨日一晩一生懸命考えた手がたった二手で抹殺された…?あ…ありえない
「…チッ」
「じゃ、こっちで」
「鈴谷、ちょっとその紙見せろ」
「え?」
俺は鈴谷からメモ紙を奪い取って内容を確認する、その内容は…今日最初の手から十三手目に俺が投了するまでの手がスラスラと書かれてマース……マース
「オーマイガ!オーマイガァァァ!!」
「え?ナニ!?なんなのォ!?」
…引退しよう、今日限りで
‐‐‐
午後、刺激的な敗戦のショックから立ち直った俺は執務机の上に足を置いて今週のジ●ンプを読んでいた
「おい五月雨、コーヒーくれ、冷蔵庫の」
「サミーじゃねーし」
…そういやそうだったな、結局のところ、特に秘書艦業務の無い鈴谷は午前中、執務室の掃除をしていたのだが、高いところを掃除する時にいちいちパンツ見せてきたのは何かの嫌がらせかナニかだろうか?
「ねー!暇なんですけどー」
「ふ~ん」
「ふ~ん、じゃねーし!」
「暇ならその辺でスクワットでもしていろ」
「誰がするか!バーカ、そもそもなんでスクワット?あ、アレですか?鈴谷にスクワットさせて上下に揺れる鈴谷のオパーイガン見する気でしょ!?」
「誰がするか、オマエのビッチパイ見るぐらいならチョコ●イ食いながら3DOでスー●ーパイでもするわ」
「ハァ!?ちょっと聞き捨てならねーんですけど!っーかビッチパイってナニ?ビッチじゃねーし」
「うるさいヤツだな、今、巻末コメント読んでるんだから静かにしろ」
「鈴谷の意見は巻末コメント以下か!」
うるさいヤツだな、もう面倒くせぇから邪眼でもかけて追い払った方が良い気がしてきた、そんな事を考えていると、重厚なブ厚い扉をノックする音が聞こえてきた
ゴン!ゴン!
「はいってまーす」
「トイレかッ!ったく…はいはいどーぞ、今日は鈴谷が秘書艦様ですよぉ~」
扉を開けて入って来たのは鈴谷とよく似た制服の妹、プッツン航巡熊野
「あら?鈴谷、珍しく朝から居ないと思ったらこんなところで遊んでましたの」
「遊びじゃねーし、仕事だし、で?ナンの用?今日の秘書艦鈴谷様がまず用件を聞いてやるし」
「アナタではハナシになりませんわ」
「なんだとー!!ば…バカにして!」
「提督、今週末ですけど何時にどこに集合ですの?」
「あ~…まぁ9時ぐらいに正門でいいんじゃねぇの?」
「9時ですわね」
熊野はアニマル柄のスケジュール帳に時間を書き込む、アナログではあるがそこら辺は実に感心だ
「ちょ…ちょ待てよ!」
「なんですの?」
「え…?ナニ?熊野、週末提督とどっか行くの?」
「えぇ、街におデートに」
「おデートォォォォォ!!!?」
鈴谷はあまりの驚愕に膝を折り、その場に崩れ落ちた
「はぁ…冗談ですわ、小粋なクマノジョークですわよ」
「あ……ジョーク、ジョークね、小粋なクマノジョークね、あー…ビックリした、マジ心臓止まるかと思ったわ」
何故そこまでビビる必要があるのだろう、相変わらずコイツの思考回路は理解に苦しむ
「ちょっと街に映画を見に行ってお洒落なお店でお買い物してお食事してくるだけですわ」
「あー…なるほどねー映画見て買い物して食事するだけねー………って!!そーゆーのをおデートって言うんだよォ!!」
再起動した鈴谷は熊野に吼えた後、ズカズカと歩いて来て俺に掴みかかった
「どーゆーコトですかぁ!?えぇ!?ナニ?どーゆーコトォ!?」
「顔が近い、顔が!あとビッチ臭い」
「ビッチじゃねーし!臭くねーし!説明!鈴谷に納得いく説明をお願いします!」
「なんでオマエの納得がいるんだよ、単に週末暇だから遊びに行くだけだろーが」
「なるほど…」
「納得したか?」
「したよ、納得」
「わかってくれて嬉しいよ」
鈴谷は俺の胸ぐらから手を離して納得するように何度か首を縦に振った
「って!!わかるかボケェ!!1mmも納得できるかーッ!!」
「お…おぅ!」
「え?ナニ?テイトクと熊野はおデートする仲なの?鈴谷が知らないだけでステディな仲なの!?」
「単に仲良しなだけですわ、もちろんセ●クスはしておりません」
「あぁ、してないな」
「…え?ナニ?コレ鈴谷どう解釈したらいいの?熊野がおバカなの?テイトクが不能なの?」
鈴谷は片手で額を抑えてフラフラと机から離れた
「誰が不能だ」
「誰がおバカですか」