不健全鎮守府   作:犬魚

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野望の明石ファーム回

【登場人物】

提督(109)
卵焼きは甘い方を好む

明石(9)
卵焼きはネギを入れる

山風(9)
よく明石とつるんでいるが、明石からは可愛がられている


提督と明石と飛べない鳥

「………なんだコレ?」

 

「エミューです」

 

基地の南区間には俺が着任する更に以前から広大な空き地がある、その昔、ここには何かの施設を作ろうとした計画があったらしく、大人の事情がなんやかやあって計画は頓挫、現在は特に使う予定も無いだだっ広いだけの土地が広がり、一時は国有地売却についても考えられたそうだが偉いセンセイ方のスキャンダラスなお話やらなんやらでそちらの計画も頓挫、結局のところ、南区間についてはだだっ広いだけの広場と化しており、一部では、暇な奴らがジャガイモなどを栽培しており、農園として暇な奴が艤装を担がず、クワを担いで労働の汗を流していた

 

そして今、その南区間に用があって訪れた俺の前に、ダチョウのようなワケのわからん生物が居た

 

「エミューです」

 

明石はヨォ~シヨシヨシとエミューの頭を撫でてコミュニケーションを図っている、このエミューとか言う生物、どうやら明石が飼っているらしく、よく見ると数頭……いや、数羽か?その数羽がヴォーヴォー鳴きながら柵の向こうで闊歩していた

 

「かわいいでしょ~?」

 

「明石」

 

「はい!なんでしょうか?」

 

「なんだコレは?」

 

「ですから、エミューですって」

 

「エミューだかリュシュフェルだかはどうでもいいんだよ!俺はこの鳥ファームはなんだって聞いてんだよクソが!」

 

南区間に広がる広大な土地を一部囲む木の柵と“ふれあいアカシファーム”の看板、この野郎、いつの間にこんなワケのわからん物を…

 

「いや~、最近エミューの飼育を始めてみたんですよ、肉も卵もイイ感じですし、丈夫で飼い易いですし!何より金の匂いがプンプンするんですよ!」

 

「今すぐ殺せ」

 

「ヒドッ!!い…命をなんだと思っているんだ!アンタはーッ!」

 

「オマエこそ軍の施設をなんだと思ってるんだクソが、そのスケベスカートのスケベスリットから手ぇ突っ込んでパンツごと引きずり下ろすぞ」

 

大淀といいコイツといいスケベなスカート穿きやがって、もしかして誘ってんのか?いや、この制服を採用した上の人間がスケベなのか?だとすれば並のスケベではない、相当にハイセンスのキレたスケベだろう

 

「だいたいオマエ、誰に許可取ってんだ?俺は聞いてないぞ」

 

「さ……サミーダレちゃん?うん、サミーダレちゃんに鳥を飼っていいですかってちゃんと聞きましたよ?うん、ほら!ちゃんと許可証も貰いましたよ!」

 

「ナニ鳥とかふわっとした言い方してんだテメーは」

 

「鳥ですぅー!鳥なコトには変わりありませんー!」

 

「飛べねぇ鳥は鳥と認められんな、皆殺しだ」

 

「なんでそんな鳥に厳しいんですか!?ってか飛べなくてもいいじゃないですか!鳥差別ですよ!」

 

「やかましい、ウチで飼っていい鳥はセキセイインコかフェニックス響だけって規則で決まってんだよ」

 

「そんな規則聞いてないんですけど!ってかフェニックス響って鳥じゃないし!」

 

「ゴチャゴチャうるせぇな、オラ、鳥集めろよ、今日はここで鳥肉メインのバーベキュー大会だよ」

 

「イヤやぁぁぁ!カンニンしてェ!!エミューは!エミューは悪くないんですぅ!エミューファームは私の全財産の5分の3をつぎ込んだ私の夢なんですぅ!それにほら!よく見たら可愛いでしょ?ね?ね?」

 

「えぇい!離せッ!離さんかこの下郎め!」

 

明石が俺にしがみつきゴチャゴチャとエミューの存命を嘆願していると、一匹……いや、一羽か?まぁいいや、その一羽は背に何故か山風を乗せており、そいつが俺と明石の立っている場所へとやって来た

 

「…明石さん、餌あげたよ」

 

「あ、山風ちゃん、ありがとー、おねーさん助かるわーホント助かるわー」

 

「なにやってんだ?オマエ」

 

「…あ、テイトク」

 

「山風ちゃんにはエミューの餌やりのバイトをして貰ってるんです!」

 

「…1回500円」

 

コイツ、またガキの小遣いで安価な労働力を…

 

「ちょっと聞いてよ山風ちゃん!提督がエミュー殺すって!皆殺しにするって言ってんのよ!山風ちゃんからもやめてって頼んでくれないかな!」

 

「…殺すの?」

 

この野郎、明石ィ…俺がガキには少々甘いと思ってやがるな、だが俺はそんな甘い男ではない、今から殺戮のパレードが始まる事に変更は無いッ!

 

「…殺すの?」

 

「………まぁ、今日はお腹の調子が良くないし、また今度にしておくか」

 

「…そう、良かったね!今日は大丈夫だって」

 

山風はエミューの頭をバシバシと叩き、エミューの背に乗ったまま再び広大なエミューファームへと去って行った

 

「…」

 

「…フッ」

 

「フッ、じゃねーよ!テメー!あ゛?何がフッだ?ア゛ァ?バカにしてんのか?ア゛ァ?」

 

俺は明石の顔面を掴んで力の限り握り締めてメリメリした

 

「ア゛ァァァ!!痛い痛い痛い!割れる割れる割れる!痛い!やめてやめて!スネークバ●トやめてぇぇぇ!!」

 

「まぁいい、とりあえず今日のところは下の口からエミューの卵ブチ込んで下っ腹に蹴り入れるだけで勘弁してやろう」

 

「死ぬぅ!!そんな大きいの死んじゃう!!ってか!なんでそんな鬼畜エロゲみたいなコト考えつくんですか!鬼畜なんですか!?」

 

「鬼畜じゃない、提督だ」


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