不健全鎮守府   作:犬魚

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話せばわかる第五特務課回

【登場人物】

提督(110)
叩けば埃が出ないように努力はする埃高き提督

天海中佐(2)
シリアスパート出身のチート性能イケメン主人公


提督と天海中佐と内偵監査

先日、上から春の監査が入るからヤバい書類とかアレなデータとかキチンとまとめとけよダボがと連絡があったので、五月雨と共に些かアレな書類やらデータやらをイイ感じにアレし、上から監査役が来るのを待ち構えていた

 

「正門から連絡です、なんかイケメンが来てるそうですが?」

 

「俺が許す、殺せ」

 

「そのままお通しして下さい、その人、監査の人なので」

 

五月雨は受話器を置いてお客様用のお茶菓子を用意しますと言って執務室を出て行った、しかし…監査役のくせにイケメンとはふてぇ野郎だな、コレはアレだ、もう完全にアレだ、性格悪いエリートみたいなのがネチネチ因縁つけてくパターンだろう、で、秘書艦とかそんな感じのポジションにキミの大事な司令がどうなってもいいのかな?ん?とか言うアレだろう

 

---

 

「お久ぶりです、その後、お元気そうで安心しましたよ」

 

海軍大本営直轄第五特務課所属、天海中佐は爽やかなイケメンスマイルで挨拶をし、五月雨にお土産だとなんか高価そうな菓子詰を渡した

 

「久しぶりだな、どうだ?最近、人、殺してるか?」

 

「僕の仕事をなんだと思ってるんですか」

 

「殺し屋だろ」

 

この天海中佐、所属部署柄、表向きは軍部の内偵が主な仕事だが、時と場合によっては些かアレな仕事もこなしており、先日、上のゴタゴタに利用された俺はこの天海中佐に命殺られかけて緊急入院コースになった

 

「ハハ…人聞きの悪い」

 

「やかましい」

 

「まぁまぁ、今回だって先日のお詫びも兼ねて、少々甘めに監査しようと思って僕が来たんですから、ね?それでチャラにして下さいよ」

 

「フン…まぁいい、そもそもウチには叩いても埃とか出ないがな」

 

「………そうですか、ではこの明石酒保の異常な仕入れや申請許可の無い風俗営業店舗についてですが、提出された書類に記載されてな…」

 

「ちょっと待とう天海クン、少し大人の話をしようじゃないか!サミー!サミー!中佐にティーを淹れて差し上げたまえ!極上のティーを!」

 

この野郎ォ…チッ、さすがに内偵監査のプロフェッショナル、非常に気に入らないがここはお互い大人になってより良い方向で話をまとめるか…

 

「どうぞ」

 

「ありがとうございます、え〜…駆逐艦の五月雨さん、でしたかね?」

 

「はい、白露型駆逐艦六番艦五月雨です、それがなにか?」

 

「ハハ…いえ、以前、他所の基地で見た同じ五月雨さんとは随分と雰囲気が違うなと思いまして」

 

「あ〜…昔は私もたぶん中佐の言っておられる雰囲気だったと思います、ただ、私の場合上司が少々アレでしたので…」

 

「オイ、誰がアレだコラ」

 

「正直、私も中佐のようなイケメンの上司だとやる気出たんですけど…」

 

「ハハハ…残念ですが、僕には妖精とやらが見えないので同じ海軍所属の軍人でも艦娘を率いる役目はできないもので…」

 

天海曰く、昔はそれっぽいのが見えていたらしく、昔は基地司令的なものを目指していた時期もあったらしいが、まぁ、そこはシリアス畑出身の少々アレな過去があるんだろう

 

「妖精と言えば…提督、提督も妖精さんが見えないんでしたね」

 

「は?妖精とかそんなフワフワしたモン信じてねーし」

 

「よくそれでこの仕事に就けましたね」

 

「ゴタゴタした事情があったんだよ、ゴタゴタした」

 

---

 

「…さて、とりあえず形式上、特に問題は無いようですね」

 

「当たり前だろ、ウチはクリーンな基地運営だからな!」

 

天海は書類のファイルを鞄に入れ、とりあえずの監査を終わらせた

 

「ハハハ、どうせならこちらで深海棲艦を使った非人道的な悪魔の研究とかしていたなら面白かったんですが、平和そうでなによりです」

 

「誰がするか、そんな物騒な研究」

 

「…まぁ、それはもっと上の根深いトコでやってますし」

 

オイ、コイツ今、サラリととんでもないコト言わなかったか?まぁいいや、関わり合いにならないのが身の為ってヤツだな

 

無事に監査も終わり、俺は天海と飯でも食いに行こうやと誘い、基地を出て街に出ようと執務棟の廊下を歩いていると、白露型のバカどもがゲラゲラ笑いながら自販機の前でたむろしていた…

 

「ギャハハハ!でよぉー!マジでワンパンで沈めてやったわ!」

 

「村雨は頭悪いっぽい」

 

近所のヤンキーかなんかかコイツらは…

 

「ナニしてんだクズどもが」

 

「あ、テートクっぽい」

 

「チィース、ん?ナニこのイケメン、マジイケメンじゃん、あ、もしかして新しいテートク!?」

 

「んなわけねーだろ、コイツは大本営から来た監査役様だ、シツレーな口利いてんじゃねーよ」

 

「天海です、よろしく」ニコッ

 

「え?あ、よろしくお願いしますぅ!」

 

何がよろしくお願いしますぅだ、さっきまでウ●コ座りしてたのに、なんで顔赤らめてんだよ、なんで髪気にしてんだよ、ナメてんのかコイツらは…

 

「ん?」

 

「どうした?天海中佐殿」

 

「いえ、そちらの白い髪の子…」

 

「白い………?」

 

いたァァァァァァァァァ!!!確実に監査でクロが出る!問答無用で軍事法廷で裁かれる真っ黒な要因がァァァァァ!!

 

「…あの、もしかして深海棲…」

 

「やだなぁ中佐!アレは春雨!春雨ですよぉ!白露型五番艦の!」

 

「白露型五番艦の春雨…たしか以前、資料で見た時は鮮やかなピンク色の髪だったような…」

 

「イメチェンですよ!イメチェン!ほら!今の若い子はみんなオシャレだから!髪の色なんて次の週には変わってますよォ!あの子ほら!春だし!気合い入れて金髪に染めようとしてちょっと薬剤強すぎっちゃったんですよ!」

 

「はぁ…なるほど」

 

「なぁハルサメェ!な?」

 

ヤバいヤバいヤバい、さすがにズルズル監査の天海でもコイツに目を瞑るワケがない!ウチで深海棲艦、しかも姫級を飼ってるとかバレたら最悪極刑だ!

 

「え?ナニ?…あ、イケメンだ」

 

「天海です、よろしく」

 

「あ、どーもー…くち、ハルサメでス」

 

「…少し発音が独特なようですが」

 

「外国暮らし長かったんです!な?外国暮らし長かったんだよな!?ちょっとほら、中佐に気の利いたセリフでも言ってやれ!な?」

 

俺はハルサメ(仮)に至高のアイコンタクトを送る“コイツにバレたら狩られぞ!とにかく春雨をやりきれ!”と…

その想いが通じたのか、ハルサメ(仮)はニヤリと笑って親指を立てた

 

「ヤラセハ…シナイ…ヨッ!」

 

ダメだァァァァァ!!コイツ全然わかってねぇよ!なんでよりによってそれ言っちゃうんだよ!もう疑惑じゃねぇよ、中佐すでにポッケの黒いブツに手ぇかけちゃってるよ!

 

「村雨、春雨、お腹空いたから食堂行くっぽい」

 

「そうねぇ、今日の給食ナニ?」

 

「麻婆豆腐だって」

 

そして、空気の読めない白露型のバカどもは腹減ったーと言いながら俺達に一応、頭を下げて食堂へと去って行った

 

「…」

 

「…」

 

「天海中佐殿」

 

「なんでしょうか?」

 

「今日は俺が出しますから好きなモン、じゃんじゃん食ってください、あ、あとそっちの店も電話しときましょうか?」

 

「…そうですね、まぁ、提督には少々お聞きしたい事がありますし、どこか静かに話せるお店にしましょうか?」

 


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