今回はナイスガッツ溢れるドリームチーム
【登場人物】
提督(123)
コーチと言えばいやらしい響きと思ってるダメな大人
鳳翔(5)
通称ビッグママ、めっちゃ長い煙管を愛用している、提督もサミーも頭が上がらない大人
長良(2)
長良姉妹の長女、長良主将と呼ばれる陸上部の主将で根性とガッツで生きている
大鳳(3)
ア●スの緩さに定評がある装甲空母、ガッツ溢れるタフ・ガイらしいがア●ルは緩い
速吸(4)
スポドリ係のよく見るとかわいい気がするナイスガッツマネージャー、最近制球が乱れている
鬼怒(2)
名前だけ登場、陸上部のナイスガッツメイトらしい、よく見ると美少女
鎮守府内に存在する煌びやかな光を放つ夜の店、ナイトクラブHO‐SHOW…
『HO‐SHOWへようこそロミオー!』
軽空母、鳳翔がオーナーを務めるこの店は決して、キャバレーナイトクラブ、略してキャバクラではない
薄い酒と安いツマミをおっぱいの大きな女が勧めてくるだけの店だ
「春は夜桜、夏には星、秋には満月、冬には雪、それで十分酒は美味い」
「フーッ~…良い台詞じゃないかい」
「つまり、病んでいるのだよ!」
「台無しだよ」
それで不味いと思えるのなら、なんか色々自分が病んでいるとかそんな感じの師匠の良い台詞だった気がするが…まぁいいか
ママといつものテキトーな大人の挨拶を交わし、俺はいつものテキトーな席に座って煙草に火を点けた
「フーッ~…」
「ッシャー!長良です!」
「大鳳です!」
「速吸です」
お…おぅ、これまた艦種を問わないナイスガッツ溢れる面子が来たな、なんなんだ?これは何かのパーティーか何かだろうか?
「長良です!」
長良姉妹の頂点に君臨する長女、長良、その軽巡とは思えないナイスガッツ溢れる性能はチームメイト全員にアツいナイスガッツを与えてくれるナイスガッツ主将
「大鳳です!」
呪われし悲運の装甲空母、大鳳、その空母とは思えない中破でも艦載機を乱射するナイスガッツ溢れるタフさはチームメイト達にタフ&ハードのナイスガッツを見せてくれる
「速吸です」
給油艦と言う名のスポドリ係、速吸クン、そのスポドリ補給技術はチャカとポントウが入り交じる戦場においても決して揺るがず、常に最高にナイスガッツ溢れるスポドリをチームメイトに提供してくれる
「…これはまた、随分と珍しい奴らが来たな」
右隣に大鳳、左隣に速吸クン、正面に長良主将…これほどまでに屈強な体育会系トライアングルはそうはないだろう
「提督!ナニにしますか!」
「え?あ~…あ、じゃ、とりあえずビールでいいや、ビールな」
「ッシャ!ビール一丁ーッ!」
「ビール一丁ーッ!」
長良主将のナイスガッツ溢れるオーダー、そして、オーダーを復唱するナイスガッツを忘れない大鳳はいつものオ●オンビールを取り出し、ナイスガッツにグラスに注ぎ、俺の前へと置いた
「お待ちどーさまでした、ビールです!」
「あ、あぁ」
…いや、泡じゃん、コレただの泡じゃん、ナニナイスガッツな流れで誤魔化そうとしてんだコイツ、誤魔化されないよ?俺は
「いや、泡だろ」
「主将!」
大鳳はしまったとばかりに長良主将に向き直り、長良主将のアツいビンタが大鳳の頬を打った
ビタン!(ビンタ)
「たういッ!」
「やり直し!提督!もう一度……もう一度大鳳にチャンスを与えてやってくださいッ!もう一度!もう一度だけトライさせてやってください!」
長良主将はアツく俺に頭を下げた、大鳳にもう一度チャンスを与えて欲しいと…たった一度のミス、それがチームにとってもしかしたら取り返しがつかないミスである場面がある、それでもコイツを信じて最後まで全員でヤりたい!そのナイスガッツが俺の胸を打った
「…その心意気や好し、熱意や好し!」
「提督っ!」
「大鳳クン」
「はい!」
「見せて貰おうか、君のナイスガッツを!」
再び瓶とグラスを手に取った大鳳、その手は僅かに震えている、このプレッシャーの中、果たして大鳳はベストを尽くす事ができるのか…
「ッ!!」
再び注がれるビール、しかしダメだ大鳳クン、ダメ!ダメ…っ!そんな真っ直ぐなグラスじゃあ駄目、失敗するっ!圧倒的失敗…ッ!
しかし、そんな大鳳の手にしたグラスを横から伸びる手が優しく傾けた
「センパイ、グラスはこうやって傾けた方がいいって、田舎のおじいちゃんが言ってました!」
「速吸…っ!そう…そうなのね!」
そうだ、大鳳は一人じゃあない!共にチームを支える仲間達がいる、大鳳の手は震えを止め、みるみるうちにグラスに注がれる黄金色の液体、目に見えてわかるハジケる気泡、そして理想的な白い泡、大鳳の肩に手を置き、長良主将も無言だが確かなアツいエールを贈る
「…お待ちどうさまでした、ビールです」
「うむ」
……悪魔的美味さ…っ!!いつものオリ●ンビールだが、この一杯には当基地陸上部全員の……いや、そういや鬼怒がいないな、まぁいいや、とにかくアツい情熱で注がれた一杯だ
「フーッ~…」
「大鳳!よくやった大鳳!オマエならできるってよォ!」
「センパイ!おめでとうございます!センパイ!」
「長良主将…速吸…クッ!ありがてぇ……!こんな私を信じてくれて、ありがてぇ……ッ!」
陸上部のナイスガッツメイトはガッシリと抱き合い、喜びを分かち合った
実に泥臭い青春のアツい一ページだ
「っーかオマエら、なんでオマエらみたいな泥臭いのがこんな雌臭いトコでバイトしてるんだよ?」
「いや、実は今日、練習終わった後にみんなでガッツリ牛丼でも食うかーって話になりまして」
「それで、食堂が開いてなかったのでじゃあ鳳翔さんのお店で食べようと言うコトになりまして」
「みんなでガッツリ食べたのはいいんですけど、そのぉ~……お恥ずかしながら、誰も財布を持っていなかったコトに後から気付きまして」
…ただのバカだった、長良主将と大鳳がワリとアレなのは知ってたが、速吸クンでもウッカリする時があるんだな
「それでまぁ、ママから食った分は身体で払いなァ!ってコトになったんです」
とりあえず、長良主将は自分が働くからチームメイトはカンベンしてくれとママに頼もうとしたが、そこはアツいチームメイト達、チームの責任は主将だけの責任じゃないっすよとアツい熱意に折れたそうだ
たぶん、ママもこのナイスガッツを煩わしく感じ、テキトーなバイトとして扱ったのだろう
「ビッグママほどのママが、なんて器量の小さい」
遠くから“聞こえてるよ、ボーイ”と聞こえた気がするが、まぁ、ママとしてもこの店に存在してはならないアツい体育会系集団をさっさと追い払いたい気持ちもわかる、さっさと稼がせてやるか
「…オマエらいくら分食ったんだ?」
「さ…三万円分ぐらい?」
「牛丼だけで食い過ぎだろォ!?」
見た目はスリム&スポーティだがさすが体育会系、食べ放題以外は入ってはならない類だ
「……はぁ、まぁいいや、オマエらもなんかテキトーに飲んでいいぞ、小腹空いてるなら軽食でも…」
「え?いいんですか?ッシャース!じゃ、私オレンジジュースで!あと、このガッツリチリミートのディップポテトで!」
「じゃ、私もオレンジジュースで、あと、このとろ~りカマンベールチーズのベーコン焼きで!」
「私もオレンジジュースと~……う~んダブルミートボール&ウィンナーデニッシュで」
「食い過ぎだろォ!?なんなのオマエら!?」
この日、長良、大鳳、速吸、この三人は今週の最高売上を上げ、一時的にだがランキング10位の五十鈴さんをランキング外に蹴落すナイスガッツ快挙を上げたそうだ