不健全鎮守府   作:犬魚

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陽炎型フェア実施中のヌメヌメした回

【登場人物】

陽炎
陽炎姉妹の長女、気に入らない奴にはすぐに手袋をぶつける

不知火
陽炎姉妹の次女、知識に貪欲な陽炎型一の知識人、新聞はテレビ欄と四コマ漫画と占いしか読まない

川内
忍なら敵味方問わず憧れるニンジャマスター、破●の瞳で見られたら死ぬ


提督とかげぬいと豊潤な餌

明石の店で煙草と缶コーヒーを買い喫煙所へと向かっていると、執務棟の裏にある雑草地帯で駆逐艦っぽい二人組が何かを捜していた

 

「ナニやってんだ?オマエら」

 

「ゲッ!テイテク!」

 

人を見るなりいきなりイヤな顔をする陽炎姉妹の頂点に君臨する長女、陽炎、陽炎型はその数もさることながら、最強の死神、雪風を擁する駆逐艦の最大派閥らしく、支援団体に阿賀野型や一部長良型などが存在し、中でも、最大の派閥を決定付ける最大の要因はあの金剛姉妹がバックに居るのが大きい…

 

「不知火達はバッタを探しているのです」

 

陽炎姉妹の次女、不知火

長女陽炎と共に姉妹カーストの最上位に君臨している次女、その駆逐艦とは思えない眼光の鋭さと重低音でイカせてやるぜと言いたげな声はこの俺ですら震えが止まらず、ビビって金出しそうになった程だ

 

「…バッタ?」

 

「バッタですが?」

 

ナニ言ってんだコイツ?イカレてるのか?

 

「親潮がライギョ釣ってきたから寮で飼おうと思って餌を探しにきたのよ」

 

…ナニ言ってんだコイツら?そもそもライギョってバッタとか食うのか?と言うか、親潮って誰だ?

 

「我々はライギョに関して知識に乏しいのでライギョに関して知識が豊富と自称するライギョ博士の黒潮に尋ねたらバッタを食べると聞いたのです」

 

「まったく、めんどくさいったらありゃしないわ」

 

「何がライギョ博士だ」

 

そもそも、ライギョなんて川だか沼だかにいるんだから水の中にいるヤツを食ってるだろ…

 

「しかし、困った事にこの草むらにはバッタがいないようですね」

 

「えぇ、まさかバッタが既に絶滅しているとは思わなかったわ」

 

「してねぇよ、っーかライギョならバッタ以外でも食べるだろ、小魚とか…」

 

「ほぉ…」

 

「ナニ?提督、ライギョに詳しいの?」

 

「まるでライギョ博士だなですね」

 

「何がライギョ博士だ」

 

しかしライギョか……俺がまだガキだった頃、よく釣ってた気がするな、当時の若く、美しい俺からはライギョのドジョウみたいなキショい顔は戦慄を覚えたものだ

 

「あ、陽炎、バッタがいました」

 

「マジ?」

 

「マジです、ほら」

 

「ホントだ!しかも二匹!なんだっけコレ…?ショウユバッタ?」

 

「違います、これはオスがメスの上にまるでオンブしているように見えるファックをしているバッタ………セ●クスバッタです」

 

不知火の1ミリの澱みすら感じられない呼称ッ!!

 

「オンブバッタだよッ!なんて名前で呼んでるんだよこの子は…」

 

「ほぉ…さすが提督ですね、バッタにも詳しいと見えます」

 

「まるでバッタ博士ね!」

 

「何がバッタ博士だ」

 

ダメだコイツら、陽炎姉妹の最上位に君臨する長女次女とは思えないアホっぷりだ…

 

「陽炎、せっかくなのでここは提督の協力を仰いでみると言うのはどうでしょう?」

 

「提督に?」

 

「えぇ、我々は些か昆虫には疎い昆虫素人、しかし今までのやりとりで提督は昆虫に詳しいバグズ玄人と不知火は推察しました」

 

「なるほどね…さすがは不知火だわ」

 

「何がなるほどだ、っーか昆虫に詳しくねぇよ」

 

「つまりは………甲虫王者!」

 

何が甲虫王者だ、ムシキ●グに謝れよ

 

「では陽炎、ドンドン探しましょう」

 

「そうね、ライギョがお腹を空かせているわ」

 

「そうか、ガンバレよ」

 

付き合っていたらロクな事にならん、さっさとこの場を去ろう

 

「不知火!カエルよ!カエルがいたわ!」

 

「カエルですか、ふむ……カエルならライギョも食べそうですね、どうですか?カエル博士の提督」

 

「知るかよ!っーかカエル博士じゃねぇよ」

 

いや、よく考えたら…そういや昔、食わせた気もするが、まぁいいや

 

「このカエル、よく見ると背中に数字みたいなのが書いてあるわね」

 

「どれどれ………ふむ、これは暗号ですね、本物はいない、意味がわかりません」

 

「オイ、そのカエル、ここに居ちゃダメなヤツじゃないのか?」

 

陽炎はなんかキモいし、いらねーやとカエルを草むらに投げ捨てた…しかし不知火、コイツ、あの暗号を瞬時に解読するとは、大したヤツだ…

 

「あ、ヘビよ!不知火!今度はヘビがいたわ!」

 

「落ち着いてください陽炎、あれはヘビではありませんね、川内さんです」

 

草むらからヌルリと顔を出したヘビの口が大きく裂け、その口中からヌメヌメした川内がズルリと現れた

 

「よくわかったわね…」

 

ヌメヌメした川内は不知火を大した子ねと褒めヌメヌメを纏ったまま不知火の頭をヌメヌメに撫でた

 

「実は新しい口寄せを探していてね…」

 

「ほぉ…」

 

「口寄せってナニ?」

 

「実は不知火も知りません」

 

ほぉ…とか如何にも知ってそうに頷くなよ、なんなんだコイツは

 

「口寄せってのはアレだ?なんか召喚獣的なのを喚んだりするファンタスティックなビーストだ」

 

「ほぉ…さすがは提督、詳しいですね」

 

「あ~…アレ?ゾー●シーカーとかヴァリガルマ●ダみたいな!」

 

何故その例え!?もっとメジャーなのいるだろ!?バハ●ートとか!?陽炎のセンスもいまいちよくわからんな…

 

「アナタ達、この辺りに珍しいヘビがいると聞いてるんだけど…アナタ達見てないかしら…?」

 

「さぁ?」

 

「不知火は見てないですね」

 

「どんなやつなの?」

 

「全体的に紫っぽいやつよ…」

 

全体的に紫とか完全に毒ヘビだろ、そんなアブないのが基地の中うろついててたまるか

 

「剣食べて殴りかかってくるやつよ…」

 

「白蛇帝アル●ウスヴァイパーかよ」

 

「知ってるんだ…」

 

「まるでヘビ博士ですね」

 

「何がヘビ博士だ」

 

川内は見つけたら教えて頂戴ね…と言い残し、ヌメヌメしながら去って行った

 

「陽炎、とりあえずセ●クスバッタも捕りましたし、一旦寮に帰りましょう」

 

「そうね」

 

「だから、セッ●スバッタとかゆーな」


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