【登場人物】
提督(130)
好きな技は阿修羅バスター
五月雨(43)
好きな技は阿修羅稲綱落とし
白露(8)
No.1ファイティングアーティスト
浜風(4)
根が真面目な良い子、白髪ではない
「たまには童心に返ってプロレスごっこでもするか」
「はぁ?」
大人と言うものは、立ち止まってふとした時に幼き日の憧憬を思い出すものだ、いつの間にか大人としての立ち居振る舞いを覚え、過ちに対して感情を捨て、ただ、過ちを認めて次の糧にするようになったのはいつからだろうか?俺は読んでいた基地スポを机に置き、大人である事への疲れに溜め息を吐いた
「コーヒーでも淹れましょうか?」
「いや、冷蔵庫に麦茶入ってるからそれでいい」
「そうですか」
五月雨は冷蔵庫から麦茶のペットボトルを取り出し、グラスを俺の前に置き、表面張力ギリギリに並々と注いだ、たぶん何かのいやがらせだろう、この青髪ロングも難しい年頃だ…
「で?なんですか?プロレスごっこですか?」
「あぁ、よしサミー、オレとファイトしよーぜ!」
「え?普通にイヤですけど」
「ルールはカベジェラ・コント・カベジェラな」
「だから、普通にイヤですって、私の髪をなんだと思ってるんですか?」
「アレだろ?なんか排熱機構を兼ねてるとかそんな感じだろ」
「兼ねてません、なんですかその設定」
俺はてっきり体温の上昇と共に髪が赤色化して90万度のバーンスパイラル熱線とか吐くバーニングサミーになると信じていたんだが…
「そんなにプロレスごっこしたいなら体育館に行ったらどうですか?週2ぐらいで暇な人達がレスリング的なコトしてますよ」
「ほぉ、そんな暇人がいるのか」
「えぇ」
「よし、見に行ってみるか、五月雨、付いて来い」
「え?普通にイヤですけど」
‐‐‐
体育館に行くついでに、明石の店でシャーペンの芯となんかチョコレート的なお菓子を買って来いと頼まれ、ややイラッとしたがたまにはこの青髪ロングのご機嫌をとっておいても損はないだろうと考えて快諾し、俺はなにやら歓声がする体育館へと来ていた…
「白露No.1白露No.1!」
「出たァァァァ!白露のはずかし固めだーッ!」
「これは厳しい!浦風!これは厳しい!」
体育館中央に設置されたリングを囲む熱狂的ファン達、そして、リング上は今まさにアツいファイトが行われていた
「浦風!ギブアップ?」
「ぐわああああ!!ノー…ノーじゃあ!」
はずかし固め、それは相手の股を開かせた体勢でホールドする関節技である、その目的は当然ながら関節を痛めつける事であり、決していやらしい技ではない
「フッ…やるじゃない」
「お…おんどれぇ…」
白露はニヤリと笑ってホールド解き、ハァハァする浦風を解放した
「白露がホールドを解いた!」
「あ、あの構えは…」
「出るぞ!白露のスペシャルNo.1フィニッシュ!」
白露は再び浦風の身体を上下逆さまで持ち上げて両腿をガッシリと掴み、股間丸見え体勢にして飛び上がった、あの体勢こそまさに五所蹂躙絡みッ!またの名を…キン肉バ!!
「おーっと!まだフックが終わってないぜーッ!」
「ぐえっ!?」
いや!さらに浦風の首を両脚でフックし、そのまま勢い良いリングに落下するつもりか!
「出たァァァァァ!!アルティメット・シラツユバスターだー!」
「アレを喰らって無事にリングから降りられた者はいないぜー!」
「浦風ェ!死ぬな!浦風ェェェ!!」
究極の名を冠した新世代バスターがリングに着弾し、どう見ても深刻なダメージを受けた浦風は白目を剥いたまま失禁してリングに転がり、レフェリー役であろう矢矧ちゃんが首を横に振った
「ナンバーァァァァァ!ワンッ!」
「白露No.1!白露No.1!」
「白露No.1!白露No.1!」
試合時間:23分11秒
白露○:アルティメット・シラツユバスター
浦風●:死亡
「…なんだこれ」
これ、ごっこじゃないで真剣じゃん、完全に殺る気じゃん、っーか浦風大丈夫なのかあれ?
色々と考える事はあるが、色々と考えていると勝者である白露がマイクを握り敗者をディスるパフォーマンスが始まった
「フッ、おっぱいデカいからっていい気になるんじゃないよ!このホルスタイン風情が!今度から白露型が廊下を通る時はそのおっぱいが邪魔にならないように道を空けるんだねぇ!」
「クッ!大丈夫か浦風!」
「ホルスタイン風!ホルスタイン風ェ!しっかりせぇ!」
敗者であるホルスタイン風を囲む第十七駆逐隊のチームメイト達、谷風クンはホルスタイン風を抱きしめ、磯風はとりあえず濡れているから気持ち悪いだろうとパンツをズリおろし、そして…
「…リベンジです」
「あ゛?」
「私!この第十七駆逐隊の浜風が浦風のカタキをとります!」
浜風ちゃんはマイクを握りしめ、白露に宣戦布告した
「あはははは!!面白い冗談言うじゃないかこの乳袋は!」
「冗談なんかじゃありません、私がアナタを倒すと言っているのです!」
「あはははは!聞いたかい?みんな!この私を倒すだって………プロレス舐めんじゃないよ!このニュージャージーが!」
珍しく怒っている様子のレアな浜風ちゃんを嘲笑うかのように、白露はヒラリと飛び上がってコーナーポストへと上がった
「この白露とヤりたいのならせめてコイツらを倒してからにしなァァァァ!」
白露が指をパチンと鳴らすと、跳び箱などが置いてある倉庫の辺りからスモークが噴き出し、何者かが現れた
「あ、アレはーッ!」
「白露残虐同盟だ!」
「なんだそれ!?」
白露残虐同盟ッ!それは、白露が集めた血も涙もない極悪ヒール集団、残忍・残酷・残虐!全てを兼ね備えたフダ付き達………らしい
「ダンク松風!」
「クレーン秋津洲!」
「JINTSU!」
「ミステリアスパートナー!」
残忍・残酷・残虐のノボリを持った最凶集団が舌を出しながら歩いてきた、っーかミステリアスパートナー!覆面コートの裾短過ぎだろ!足見えてるよ!“非理法権天”が見えてるよ!正体バレバレだよ!なにやってんだアイツ…
「フッ、次はチーム戦よ!私とヤりたいのならあと4人集めるコトね」
「クッ…4人ですか」
「貴様ァ!浜風に友達がいないのをいいコトになんて卑劣な策を!」
「コイツぁまさに卑劣だよコイツぁ!」
「いますよ!友達っ!いますから!」
磯風と谷風と味方からのアツいディスりに慌てる浜風ちゃんもかわいい、そうか、友達いないのか…
『そうだぜ!』
『オレ達が手を貸すぜーッ!』
館内の跳び箱倉庫とは真逆、壇上側の放送設備が備え付けられた側の扉の辺りからスモークが噴き出し、再び何者かが現れた
「旧ソから来た刺客!戦いの精密機械、ファイティングコンピューター!ヴェールヌイ!」
「妹の前では常に完璧を演じる完璧なる姉、どう見ても深刻な病を患っているガラスのエース!翔鶴!」
「そして………ミステリアスパートナー!」
新たなる3人の戦士達が現れた、っーかミステリアスパートナー被ってるじゃねぇか、なんで敵も味方もミステリアスパートナーいるんだよ、まぁ…こっちは足元までスッポリ隠れてるだけマシだが…
「あ…アナタ達は!」
「ハラショー、アツい友情を返す時が来たよ」
「えぇ…ビ●ン白髪染めに嫌われた白髪者同士、ぅぅ…ごぶっ!ゴフッ!」
「クココココ」
オイ、一人いきなり死にかけてるぞ、ミステリアスパートナーのコート赤く染めてるぞ
「フッ、試合は来月よ…それまでに後一人とせいぜい死ぬ準備をしておくことね!」
白露はマイクをリングに捨てコーナーポストから飛び降り、白露残虐同盟が作る騎馬の上に華麗に着地し、残虐同盟と共にゲラゲラ笑いながら体育館から去って行った…
「………なんだこれ?」
その後、体育館を出て明石の店に缶コーヒーとシャーペンの芯を買いに行こうと体育館を出ると、出店みたいなので藤波の顔がプリントされたTシャツが売ってたのでそれを買って執務室へ戻った…
‐‐‐
「ただいま」
「どうでした?」
「シャーペンの芯とチョコレート的なチョコレートだ」
「ありがとうございます」
「あと、提督からいつもガンバル君にプレゼント、藤波Tシャツだ」
「…ありがとうございます」