【登場人物】
提督(131)
湯断せずに行こう!
五月雨(44)
油断の間違いでしょう?
本日未明より春の中規模作戦が開始される小春日和の午後、当基地では作戦前恒例のやってるやるぞとエイエイオー的な気合を入れる全艦集会が開かれていた…
「えー…皆さんの日頃の努力の甲斐あって、今回も燃料も弾も十分に準備できました、後の事は考えずジャブジャブ使って構いません、動くヤツには頭に2発、心臓に2発、動かなくなるまでキチンとブチ込んで下さい、出来れば深海の人には自殺して頂きたいのですが、それはまぁ…なかなか難しいアレなので、とりあえずアレです、それっ!虐殺ですの心意気とフェアプレイの精神を持って元気に、力一杯プレーして下さい、皆さんがまた元気な顔を見せてくれると提督信じております、以上」
「はい、提督のお話でした、続きまして先日開催されました作文コンクールの優秀賞の発表を…」
俺はマイクに頭をぶつけないように深く頭を下げ、今日も眼鏡が素敵な香取先生が次のプログラムを読み上げ、予定通りに粛々と進み、滞りなく全艦集会は終了した
‐‐‐
「さて…」
執務室に戻って来た俺は戸棚からお客様用のゴツいガラスの灰皿を取って机に置き、胸元のポケットから煙草を取り出した
「まだ作戦開始されてないので執務室は禁煙です、吸いたければ外でどうぞ」
「カタいコト言うんじゃないよこの子は、ちょっとくれーいいじゃないの!ランナーだって一塁をリーリーしちゃってるじゃないの?」
「ダメです」
当基地では作戦期間中は執務室で煙草が吸える人と地球に優しい変則ルールを採用している、やはり作戦期間中は色々とイライラする問題も発生し易く、イライラする度に喫煙所に行ってたら作戦指示が滞りがちになるのだ
「へいへい、わかりましたよ」
「とりあえずコーヒーでも淹れましょうか?」
「結構だ」
「そうですか」
「それよか、今回の作戦はなんなんだ?上から来たFAX真面目に見てねぇからよく知らねぇんだが…」
前回、冷静に考えると、深海棲艦はかなり本土近くまで接近していた気がするが…この国の防衛の要はどうなっているのだろう?どう考えても、ヤバい気がするんだが…
「今回は北東方面らしいですよ」
「ふ~ん」
「たしか第五艦隊がどうとかって…」
「第五艦隊ねぇ…」
誰だったか?まぁ、とりあえずは誰を指名されてもそれなりにヤれる水準には鍛え上げているとは思うんだが…
「あ、そうそう、潜水艦の人達がゴールデンゴールデン言いながらキャリーバッグ曳いてましたけど…」
「あぁ、一応、長期休暇の予定だからな、今のトコ」
「一応、ですね」
当基地の所属の実力派エリート、潜水艦どもには作戦期間中は長期休暇アリと謳い、手厚い福利厚生のホワイトな職場環境を整えているのだが……ごく稀に休暇取り消しもある
「前回は休暇取り消しされてブチ切れた潜水艦がMVPチケット総穫りしましたし、あ、今回は趣向を変えてエルミタージュ美術館行くとかなんとか…」
「何がエルミタージュだ、カッコつけやがって」
揃いも揃ってアホ面がナニ言ってんだアイツらは、まんだ●けにでも行って来いってのな
「はぁ……まぁいいや、どうせ本格的に作戦に参加するのは明日になるだろうし、メシでも食いに行くか」
「そうですね」
次回からイベント編
出撃!北東方面 第五艦隊!