第二海域北海道沖の①
【登場人物】
春雨(偽)
ヒューマンのサブカル文化にデカルチャーして悪堕ちした誇り高き深海の姫級、普段着がジャージ
ネトゲでは姫級だけに姫プレイかと思いきやバリバリの斬り込み役
昔はヤラセハシナイヨ!とカッコいい事を言ってたが最近の口癖は、息をするのもめんどくせー
初戦となる津軽海峡攻防戦、深海屈指のディフェンス力を誇る潜水棲姫を下し、チームは次のステージ、北海道沖へと進む…
「で?新たなステージはどんな感じだ?神に挑む場所か?」
「とりあえず、まずは輸送作戦からですね」
「輸送か…面倒くせぇな」
物資だか資源だかの輸送しつつだと火力が少々欠けるが、まぁ仕方ない、油断せずに行こう
「まぁいい、輸送作戦ならとりあえず誰か暇そうなヤツに行かせるか」
「あ、それともう一つ…」
「なんだ?」
事前に調べていた資料を片手に、五月雨は珍しく言い難そうに思案してから口を開いた
「…敵の旗艦、駆逐棲姫らしいです」
「ふ~ん」
駆逐棲姫、駆逐棲姫か………たしかアレだったか?駆逐艦のくせに舐めた超性能してやたらと夜戦魚雷ブチ込んでくるイラっとくるヤツだったか?最近の作戦海域じゃ見なかった気がするが久々に厄介なヤツが出てきた………
「……ん?」
いや、よく考えたらごく最近見た気がする、あぁ、なんかすげぇ最近見た気がするよ、たしか今朝食堂でタマゴサンド食いながらスマホをポチポチイジってた気がするよ、あの白髪頭
「五月雨クン」
「なんでしょうか?」
「ワルサ……ハルサメを呼べ、この海域にはアイツに出てもらう」
「出撃させるんですか?」
「丁度いい、己の闇と決着をつけるにはいい機会だろう」
「どちらかと言えば、うちに居る方が春雨姉さんの闇な気がするんですけど…」
己自身の闇と戦うのは少年漫画には欠かせないアツい展開だしな、己の闇を乗り越えたり受け入れたりするとパワーアップするかもしれん
「あと、夕立と村雨を出撃準備させておけ」
◆◆◆
出撃予定の書かれた掲示板前…
「はぁ~…」
「出撃っぽい」
「村雨のちょっといいトコ見せるかぁ~」
掲示板に貼ってる海域情報には敵旗艦の名前に駆逐棲姫とか書いてるんですけど、コレヤバくね?コレ完全にヤバくね?私のポジション完全に乗っ取られたくね?え?誰だよ駆逐棲姫って…それ私じゃないの?ナニ?二代目?新型駆逐棲姫かなんかなの?どうすんのコレ?私、完全に帰る場所失ってるんですけど
「やべー…」
とりあえず集ちゃんに何か聞いてないか聞いてみよう、ポケットから取り出した深海phoneで集ちゃんの端末にメッセージを入れるとすぐに返信が帰ってきた
【集ちゃん:お前死んだわ(笑)】
(笑)じゃねーよ!舐めてんのかあのクソ眼鏡ッ!
「村雨!ハルサメ!誰が一番ミンチにするか競争するっぽい」
「え~…それちょっとダルいんですけどぉ」
「や、私もちょっと今日はお腹痛いんで…」
この作戦海域、下手したら私がミンチにされかねない気がするんだけど…水鬼のババア完全に私を亡き者にする気だよ、話せばわかる中枢様と違ってあのババア、完全に私を裏切り者扱いだよ、私が一体何をしたんだよ!艦娘の巣に潜入するとか超危険な任務を遂行してるんだよ?超危険なんだよ!美味しいモン多いし!ネット超便利だし!ネトゲ超ハマるし!課金額やべーし!
漂う猛烈にイヤな予感に頭を抱えていると、弾薬の箱を持った誰かがやって来た
「ユウダチ、ムラサメ、ハルサメ、ちょっといいかな?」
「あ、時雨様っぽい」
「ナニ?時雨様も出るのぉ?」
「いや、僕は待機だよ」
白露型の次女、時雨様
ただの駆逐艦とは思えない絶対的なカリスマ性を持っており、僕に逆らう者は提督でも殺すと明言しているヤバい人だ
「わかっていると思うが我々白露型が出撃するからには圧倒的な力で勝利しなければならない」
「へいへいっぽい」
「わかってるしぃ~」
「は…はぁ」
「わかっていると思うが、腑抜けなゲームをした場合、僕が粛正する」
やっぱやべーよ時雨様は…よし、頑張ろ
次回は②
戦慄!深海棲艦に悪堕ちしたピンク