占守島に現れた惨劇の王者
【登場人物】
北端上陸姫
深海期待の陸上型新人、姫プレイヤー
13ちゃん(4)
豪華クルージングに当選したイヨティンのお姉さん、薄幸
利根(3)
自称も通称もワガハイ
好物はハンバーグ
筑摩(3)
利根姉さんの妹、如何なる時でも姉を立てる妹の鑑、些かサイコな面もあるらしいがサイコとはなんの事じゃ?
『勝ツノハ北端!勝ツノハ北端!』
『勝者ハ北端!勝者ハ北端!』
深海北方集団侵攻上陸本隊、深海期待の陸上型新人、北端上陸姫率いる、今、一番勢いのあるミラクル深海チームと噂されている…
『コリナイ…コタチ………!フフフ、ヒヒヒ!アヒャヒャヒャ!ドウ?コレドウ?カッコ良クナイ?コレカッコ良クナイ?』
『カッコイイヨ!』
『姫サママジカッコイイヨ!』
『離島ナンカメジャネェーヨ!』
占守島に見事上陸を果たした侵攻部隊、北端上陸姫はヤツらと会敵した際のビッとしたキメ台詞をみんなで考えようと部隊の北端深海ボーイズ達を集めて話し合いをしていた…
北端上陸姫、似たようキャラをしている離島棲姫だか棲鬼だかをやたらと意識しており、前回、よくわからない内に瞬殺された離島棲姫をバカジャネーノバカジャネーノのと小馬鹿にして殴り合いになったのは深海的にはよくある話だ
『マ、アンナチ●カスミタイナ奴ヨリ私ノ方ガヨッポド有能ッテノヲヨウヤク上ガ判断シテクレタワケヨ』
『ダヨネー!』
『今マデ姫サマガクスブッテタ意味ワカンネーシ』
『知ッテルカ?アイツ前回瞬殺サレタ責任取ッテ南氷洋ノ柱ニ左遷サレタラシーゼ』
『マジダセー!』
今回、北端上陸姫が率いる深海北端ボーイズは北端上陸姫の熱狂的ファンらしく、同じく離島棲姫に付いている離島ボーイズとは非常に仲が悪い事でも有名であり、一度激突すればまるでラ●トセーバーで戦う騎士のように光る棒で殴り合っている
『サァー!今日ハ海軍滅ボシテ勝利ノワンマンコンサートヨ!ボーイズ達!私ノ為ニ死ニナサ……』
立ち上がり、聖なる深海騎士団達を鼓舞しようと腕を真上に突き出した北端上陸姫、それに呼応して立ち上がり咆哮を上げる北端ボーイズ、のハズだった………
『ア?』
『オイオマエ、ナンカ刺サッテルゾ?』
『アレ…?ナンダコレ?弾丸?』
『キ…基地航空隊ダッッッ!!ヤツラァァァ!!既ニヤツラノ“射程”ニ入ッテイルゾォォォ!!』
上空から飛来するチャチな玩具……ではなく、精巧なスケールモデルのような陸上攻撃機部隊の強襲、北端上陸姫とボーイズ達めがけて重い弾をプレゼントして去って行った
『クソッ…!何人殺ラレタノ!?』
『ハ級!ハ級ーッ!』
『ロ級!クソッタレ!オマエ最前線デ姫ノパンチラ見ルノガ夢ダッテ言ッテタジャネーカ!チクショー!!』
『姫!ヤツ……ヤツラデス!』
『ウ……嘘ダロ、アイツラナンデコンナ島ニ来テルンダヨ!』
北端上陸姫が陸上型である以上、おそらく最大でも重巡、後は軽巡や駆逐艦だろうとタカをくくっていた侵攻上陸本隊に迫っていたのは悪名高き三つ首の竜ッ!!
◆◆◆
「あ゛ー?オイ蒼龍コラ、手ぇ抜いてんじゃねぇぞ、カス」
「抜いてねぇし、オメーのミスだろ、ル級くれー殺っとけよ」
「あ゛?」
「ア゛ァ?ヤんのか?」
二航戦、飛龍と蒼龍は互いにメンチを切りながらアンアン言って顔を近づける
「飛龍さん、蒼龍さん、あそこ、なんかカツオみたいなのが泳いでる」
そして、もう1人の空母、第3の首、雲龍は航空攻撃に飽きたらしく、カツオの群れのようなものを指差して2人のガラの悪い先輩に教えた
「お、マジじゃん」
「乱獲しよーぜ、乱獲、持って帰ってママんトコでタタキにしてもらおーぜ」
「蒼龍、オマエ頭いいな!」
「だっしょ?だっしょ?ギャハハハハハ!雲龍、オマエも手伝え!オマエも」
空母達は既に勝敗が決したゲームから興味を無くし、カツオを獲り始めた
「あ……あの、まだ、終わって……ないから」
空母3、航巡2を率いる安心で安全な豪華クルージング、今海域の攻略部隊旗艦を務める伊13はカツオ漁を始めた空母達を止めようと勇気を出してみたが、その声はまったく届かない
「あ…あの……」
「よいよい、あやつらの仕事はもう終わったのじゃ!あとはワガハイがおる!」
「そうですね姉さん」
フンドシ風のフンドシっぽい前掛けをバタバタと風で揺らし、利根はワガハイワガハイと大声で笑い、妹の筑摩はそうですね姉さんと輝く瞳で姉の全てを全肯定し、艤装に取り付けてあるプロ仕様のカメラのシャッターを絶え間なく切っていた
「行くぞ筑摩ァ!ワガハイの魂のこもる鉄拳であんなチンチクリンを沈めてくれるわー!」
「さすがです姉さん」
利根は敵旗艦である北端上陸姫のところへ全力で走り、その鉄拳をチンチクリンボディに叩きつけた
「うおおおおぉぉぉ!!衝撃のファースト三式弾!」
『オゴォ!!』ビチャビチャ
光る吐瀉物を吐き、北端上陸姫が大きくうずくまった
「まだじゃあ!げき……え、えっと…げき?」
「撃滅です姉さん」
「それじゃあ!げ…げき!撃滅のセカンド三式弾!」
『オゴォ!!』ビチャビチャ
クロスガードの隙間を抜け、利根の三式弾と言う名の鉄拳が再び北端上陸姫のボディを貫いた
「トドメじゃあ!!」
『チョ…調子ニ乗ンナァァァァァ!!』
「むっ?」
北端上陸姫の眼に怒りの火が点き、逆襲の北端上陸ナックルが利根のチンチクリンボディに突き刺さった
「オゴォ!!」
『ハー……ハー……舐メンジャネーゾ、コラァ』
逆襲の鉄拳に立場を逆転した、北端上陸姫は下腹と両膝に力を入れて立ち上がり、利根を見下ろした
「………おい」
『ア゛?』
深く、闇より暗い瞳をした長身の航巡に腕を掴まれ、右腕が力いっぱい砕かれた
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ー!!』
「この腕が姉さんを叩いた悪い腕ですか?悪い腕ですよね?」
『ア゛ア゛ア゛ー!!痛イ痛イ痛イ痛ィィィ!!』
「さっき姉さんをチンチクリンとかディスりましたよね?」
『エ…?エェ!?でぃすッテナイ!でぃすッテナ……オゴォ!エオッ!オボォ!』
筑摩は悪い子だー悪い子だーと呟きながら北端上陸姫のボディに執拗に膝を叩き込み、残っていた左腕を躊躇なく折った
「これは……姉さんの分」
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ー!!』
「これは……姉さんの分」
『痛ァァァァァイ!!』
「これは……姉さんの分」
『ヤメテヤメテヤメテ!!ホント!謝ル!謝ルカラ……ア、足!足ヲ舐メマス!』
その凄惨な光景に、13は震えが止まらなかった、海の中だから大丈夫だったが、あまりの恐怖に失禁を止めることもできなかった
「あ゛ー…筑摩の野郎、キレてやがる」
「こうなったらもう誰にも止められねぇべ」
カツオ漁に飽きた二航戦先輩が13のところへやって来て、13に飴でも食うかと飴を手渡した
「これは姉さんの…」
『カ…勘弁シテ……』
瞬殺のファイナル三式弾が北端上陸姫にメリ込み、北端上陸姫と北端ボーイズはブクブクと気泡を残して海に沈んでいった…
「…う~ん」
「姉さん!やりましたよ姉さん!さすが姉さん」
「ん?」
北端上陸ナックルで悶絶していた利根が目を覚ますと、筑摩は早速、姉の偉業を誉め讃えた
「さすが姉さんです」
「なんかよく覚えておらんし、お腹が痛い気がするのじゃが……そうか!さすがワガハイか!」
「今日のMVPチケットは全て姉さんです」
「そうかそうか!よし!早く帰って美味いモン食うか!なぁ筑摩ァ!」
「えぇ姉さん、今日は姉さんの好きなハンバーグにしましょう」
「ガッハッハッハ!そうじゃなぁー!」
次回は新しい装備を開発した回
次々回から最終海域、北の痴女……魔女!