不健全鎮守府   作:犬魚

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今回はマグロ軍曹様の好意で書かせて頂いております
本当に感謝です、はい

【登場人物】

眼鏡の人(146)
数字に弱い文系眼鏡

五月雨(50)
唯一無二の殺人バリスタ

真田大佐
マグロ軍曹様の『バカが鎮守府に着任しました』の主人公の人、殺戮・恐怖政治・血祭りがスローガン…らしい


マグロ軍曹様の以下略、当基地の漣とは別物

足柄(9)
人生経験豊富で実姉から子持ち処女とディスられている伝説の狼

大淀(8)
足柄のマジダチで思考と言動と愛車がDQN寄り、礼号キッズからは月1回チ●コ生えると未だに誤解されている


提督と真田大佐と接待回

「研修?」

 

「はい、内容的にはそんな感じみたいですね」

 

上から届いた1枚のFAXを手に、五月雨はその文面を読み上げて公文書らしく面倒くさい言い回しの内容をわかりやすく要約した

 

「なんでも、参謀司令部の真田大将の親族の方らしいですよ、たしか弟とかなんとか…」

 

「そんな大将知りません」

 

大将なんて沢山居るし、イチイチ覚えているほど俺も暇人ではない、そもそも、派閥や所属が違って何処の偉い人とか覚えるほど俺は仕事熱心でもないし、そりゃ昇進とかしたい願望はあるが、いや、昇給してくれるなら昇進してくれなくてもいいが…

 

「まぁいい、どうせ研修っても“ガハハハ!最近コレ、調子はどうですか?私は80切りましてねぇ”とか話すだけだろ」

 

「そんなのでいいんですか?」

 

「いいんだよ、ちょっと遠出の出張なんてのはそーゆーモンなんだよ」

 

「はぁ?」

 

俺は五月雨から受け取ったFAXを眺めて内容を確認する、ふむ…真田大佐か、階級的には俺より偉くはないが、とりあえず、司令部に身内と言う名のパイプを持ってるらしいし、適度に接待しておくのが吉だろう…

 

「サミエール」

 

「五月雨です、なんですか?」

 

「ママにこの日接待に使いたいって連絡しといてくれ」

 

俺は五月雨に用件を伝え、上着を手に取って立ち上がった

 

「わかりました、どちらへ?」

 

「便所」

 

◇◇◇◇

 

こんにちは、綾波型9番艦、漣です

今日、私はウチのバ……ご主人様こと真田雪斗大佐と他所の基地へ研修と言う名の出張に来ています、正直、物凄く気は進みませんでしたが、大淀さんと明石さんと相談した結果、ここはやはり秘書艦が同行して、ウチのバ……提督がバカやらかした際に迅速に黙らせるべきだろうとの話になり、正直ハズレしかない貧乏くじを引かされ、ここまでやって来ました

 

「コーヒーをどうぞ」

 

「あ、ども」

 

この基地の司令官さんとウチのバ……提督が何やらガハハハ!とか笑いながら話をしている間、秘書艦のサミ…五月雨ちゃん?………あれ?五月雨ちゃんってもっとユルっとしてフワっとしてややドジなトコがある可愛らしい子だったような気がするんですが…

その、五月雨ちゃんが淹れてくれたコーヒーを受け取り、一口飲んでみたが……

 

「…」

 

マズッ!!不味いですよコレは!なんだろう、この、我慢したら飲めない事はないけど二度と飲みたくないと思わせる絶妙な不味さ、豊潤なコーヒーと香りと決して相容れない口の中に広がる産業廃棄物処分場のような濃厚なコク、そして、何故この五月雨ちゃんはこの殺人的不味さのコーヒーをお客に出して何故そこまで誇らしげな佇まいで居られるのか…

 

「あ、お菓子もありますよ、お菓子、バタークッキーですけど」

 

「あ、いただきます」

 

少しでもこの味を中和したい、私はいただきますと言ってテーブルに出されたバタークッキーを手に取った、すると…

 

「上等だぜコノヤロウ!オモテに出ろよタイマンじゃあ!」ピキッ!パキッ!

 

「へぇーやるんすかセンパイ?オレ、ケンカつえーっすよ?」ピキッ!パキッ!

 

さっきまでガハハハと笑いながら和やかに談笑していた眼鏡の人とウチのバカがピキッ!パキッ!とか変な擬音を出してお互いの胸ぐらを掴んでいた!?

 

「なんでェェェェェェ!?今まで仲良く話してたじゃないですかー!?」

 

「ナニ言ってんだザミー、さっきから俺達は地球寒冷化作戦について相容れない意見を話しあってたぞ」

 

「地球寒冷化作戦っ!?」

 

なんの話してんだよコイツら!?深海棲艦どころか地球を滅ぼすつもりだよ!?眼鏡の人とウチのバカはどこからか取り出した光る棒みたいなもので互いに斬り合いを始めた!

 

「エゴだよ!それは!」

 

「そうか、鈴谷はパパを求めていたのか…それを煩わしいと感じた私は鈴谷をビッチとして扱ったのか!」

 

…なんだコレ、いや、ウチのバ……もういいや、バカで、そのバカと真正面からバカをやれるなんて、まさかこの眼鏡の人も…

 

「バカですけど?」

 

「ですよねー…」

 

五月雨ちゃんは特に気にした様子もなく、コーヒーのおかわり如何ですかと聞いてきたので丁重にお断りし、眼鏡の人とウチのバカは激しい死闘の末、いつの間にやらガハハハと笑いながら熱い握手をかわしていた…正直、もう帰りたい

 

◆◆◆◆

 

倶楽部HO-SHOW…

それは、基地の中に存在する艦娘が多数在籍する決していかがわしくない、酒類などを提供する夜の店である…

 

「足柄よ」

 

「大淀です」

 

真田大佐とのアツいガンダ●ファイトを終え、軽く食事を摂った後に、今日はいい娘用意してますよぉ〜と下卑た笑み浮かべ今日の接待タイムが始まった、そう、あくまでこれは真田大佐への接待であり、もしよろしければ司令部大将のお姉様に良い口利きをお願いしますよぉ〜と言う下心は存在しない事を明言しておこう!

 

「オイ、わかってると思うが接待だからな」

 

「えぇ!身内に大将がいる有望な若手ね!」

 

「フッ、提督…私と足柄は百戦錬磨の猛者ですよ」

 

ダメだコイツら、しかしなんでよりによって今日はこのダメコンビしか用意できなかったのか!?

 

「ナニ飲みますぅ?焼酎は芋麦米、ウィスキー、ブランデー飲み放題ですけどぉ〜?あ、あとソフトドリンクもありますぅ」

 

さすがは足柄だ、まるで本職のような鮮やかな導入ッ!これが伝説の狼…ッ

 

「あ、じゃあ焼酎…米にしよっかなー!」

 

「米ね!」

 

「水割りでいいですか?」

 

そして、足を組んでスカートのスケベスリットを無駄に強調し、鮮やかにグラスにアイスを入れる大淀、その無駄の無い正確な動作はまさしく精密機械ッ!

 

「漣さんはオレンジジュースでいいですか?」

 

「あ、はい、ザーナミはオレンジで」

 

秘書艦として同行してきたサザ…サザビーくんだっけか?一応、彼女も店内に同席しており、俺と五月雨が座る席で物珍しそうに店内をキョロキョロと見回していた

 

「真田大佐、私達も飲み物頂いても?」

 

ナニが飲み物頂いても?だ、気色悪りぃ野郎だな、足柄と大淀、普段が普段だけに吐き気すら感じるのだよ…

 

「よぉーし!今日はパーっと出すぞォォォ!!ザーナミ!大開放祭じゃあああああ!!」

 

「大佐男前ーッ!」

 

「よっ!大佐の中の大佐ーッ!」

 

「………ただし、ザミー、テメーはダメだ」

 

「は?」ピキッ!

 

一瞬、漣クンがマジギレした顔を披露すると、真田大佐は流れるような腰から頭を下げ、ヘッ…へへ、冗談、冗談だぜベ●ータと謝罪した

 

「足柄、大淀、ちょっとちょっと、ちょっとこっち耳貸せ」

 

「チッ…なに?」

 

「いいか?間違っても頭からビールかけてシャンプー入りまーすとかするなよ?相手は身内に大将がいるんだ、もし下手打ったら大将の逆鱗に触れてバスターコールされるかもしれんからな」

 

「しねーし、そんなコト」

 

「まぁ見てろってオッサン、有り金全部とカード類巻き上げて免許のコピーとってやんよ」

 

ダメだコイツら……もしかしてコレはバスターコール待ったなしの流れなのではないだろうか?俺は嫌な予感だけを感じつつ、真田大佐へと視線を向け…

 

「フゥゥゥゥゥ!!脱・衣!」

 

突如として真田大佐の海軍的制服がハジケ飛び、制服の下からセーラー服的な服が現れた!

 

「フゥ、やはり夏はセーラーに限る」

 

清涼感のある夏色コーデ!アツいSUMMERをBOMMERに変える大胆モテカワ宣言ッ!

 

衝撃のコーデチェンジに戦慄する俺達の中、ただ一人、正気を保っていたらしい漣クンが立ち上がって吠えた

 

「このおバカァァァァァァァァ!!なんで脱ぐんですか!?せめて見た目だけは普通を装うって約束したじゃないですか!」

 

「反吐が出るぜ」ペッ!

 

「………スイマセン、なんか鉄の棒みたいなのありませんか?」

 

「金属バットでよければ」

 

五月雨から金属バットを受け取った漣クンは待て!話し合おう!話せばわかる!話せばわかると叫ぶ真田大佐の頭部めがけて腰の入ったスィングを振るったが、真田大佐はまるでトゥーンの住人のように身体を曲げてそれを避け、ゲラゲラ笑っていたところ、トゥーンワー●ドを破壊され断末魔を叫びを上げて砕け散った…

 

◆◆◆◆

 

後日、件の漣クンから手紙が届き、ウチのバ……提督は腹立つほど普通に元気ですと書かれた書面と野菜みたいなよくわからない生物にボコられて張り付けにされて吊るされながらもダブルピースする真田大佐の写真が同封されていた…

 

「…これはたしかに腹立ちますね」

 

「ダブルピースする余裕があるぐらいには元気なんだな」

 

俺は写真をゴミ箱に投げ、椅子に掛けてあった上着を手に取って立ち上がった

 

「どちらへ?」

 

「便所」


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